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食変光星の観測と質量推定
12S1-032 小目谷柊平
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目次
要旨
1. はじめに
2. 食変光星
2.1 変光星
2.2 食変光星
3. 観測対象の特性
4. 観測
4.1 使用機器
4.2 観測方法
5. 画像解析
5.1 ダークフレーム
5.2 光度測定
6. 観測結果
7. 質量推定
8. 考察
謝辞
参考文献
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要旨
昨年度の卒業研究,斎藤英恵(2014)で食変光星の観測をしたがデータが不十分であったこ とを知った.そこで,食変光星V364 Cas の観測データを増やし光度曲線グラフを作成する こと,質量推定を行うことを目的とし観測を行った.観測は明星大学天文台を利用した. 観測技術の不足と天候などの条件により観測データはあまり取れなかったが,後の研究 につながるよう改善点などを考察した.改めて明星大学天文台を利用しての食変光星の観 測が充分可能であることと,より質の高い食変光星の研究のために観測データをさらに増 やす必要があるということがわかった.1. はじめに
それまで夜空の星は明るさが変わることはないと思われていたが,17 世紀にくじら座の ミラ,18 世紀にペルセウス座のアルゴルと,明るさが変わる星が発見され認識が大きく変 化した.現在では数万個もの変光星が登録されており,変光のメカニズムも解明されてき た.中でも食変光星は変光周期が一定で食の予報をすることができるため,アマチュアで も観測しやすい.しかし,極小予報の精度を高め,また,何かしらの要因で起こる周期の 変化に対応するため,最新の観測データが求められる. 本研究では,食変光星V364 Cas を観測し,得られたデータから光度曲線グラフを作成, 質量推定することを目的とする.また,純粋に食変光星の観測データを増やすこと,極小 予報の精度の向上も目的の一環とする.昨年度の卒業生による研究,斎藤英恵(2014)に倣い 同じ目標星を観測することで,明星大学天文台を利用しての食変光星研究の質の向上を目 指す.4
2. 食変光星
2.1.
変光星
時間とともに明るさが変わる恒星を変光星という.その周期や明るさは星によって様々 である.変光星総合カタログ(GCVS)第 4 版によると,変光星は食変光星(食連星),爆 発変光星(爆発星),脈動変光星(脈動星),回転変光星(回転星),激変変光星(激変星), 変光X 線型の 6 種類に分類される.2.2.
食変光星
重心の周りを複数の星が公転している星を連星という.連星は,軌道傾斜角が 90°に近 づくと星同士が食を起こすようになる.この,連星の公転によって起こる食によって変光 する天体を食変光星,もしくは食連星という.2 つの恒星からなる食変光星を考えたとき, 明るい星が暗い星に隠される食を主極小,暗い星が明るい星に隠される食を副極小と呼ぶ. 明るい星が暗い星に隠される主極小は,副極小に比べて減光量が大きくなる. 食変光星の公転周期と変光周期は同じであるため,変光周期は正確である.このことか ら,食変光星の食を予報することができる.しかし,実際に観測してみると予報通りに食 が起こらなかったり,連星によっては公転周期が変化したりすることがある.したがって 食変光星の観測は,予報精度を高めるためにも周期変化の原因を探るうえでも重要である. [Fig. 2-1 食連星の光度曲線の例]5
3. 観測対象とその特性
今回の目標星は,変光周期が短く時期的にも観測がしやすいと考え,V364 Cas に決定し た.また本研究は,斎藤英恵(2014)の研究に倣うことで目標天体の観測データを増やすこと も目的のひとつとしている.標準星としたBD+49 225 は,太陽系外天体目録 SIMBAD と Aladin Lite を用いて目標星を半径 10arcmin で見たとき,表示される恒星の中で最も明る い天体である.観測を行うにあたり,AAVSO(アメリカ変光星観測者協会)から目標天体 の観測用星図を入手した[Fig. 3-1]. [Fig. 3-1 V364 Cas の観測用星図] [名称]V364 Cas [標準星]BD+49 225(V 等級 9.49) [赤経]00h 52min 43.0s [赤緯]+50°28′10″ [変光範囲]10.6 – 11.2V [変光周期]1.5430694 日
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4. 極小時刻の推算
食変光星は変光周期が正確であるため,極小時刻の予報ができる.極小予報には以下の 極小推算式を使う.極小時刻を日で表し,元期を𝐸0,周期を𝑃,周期回数を𝐸として, day = 𝐸0+ 𝑃 × 𝐸 (1) 元期とは時間的な基準のことで,今回は斎藤英恵(2014)の観測データから極小を観測するこ とができた2014/12/05 22:55 を用いた. 極小時刻は周期回数に任意の整数値を与えることで求められる.しかし,元期が1 年以 上も前で適切な整数値に検討がつけられないため,適当な観測開始予定日を設定して極小 時刻に代入し,後から時刻を補正することで極小時刻を推算する.今回は極小時刻に 2016/01/14 22:55 を代入する. 極小推算式から, E =day−𝐸0 𝑃 (2) = 405 1.5430694= 262.4638918 (3) 求めた値の小数点以下に周期を乗算し,時刻の補正値を求める. {(3) − 262} × 1.5430694 = 0.7158172 (4) 2016/01/14 22:55 をユリウス日に変換し求めた補正値を引くと,極小時刻は同日の 4:54:19 と求められた.この時刻を基準に半周期毎の極小時刻を算出し,観測日を決めてい く.そして,5.2.で述べる観測日時に対応した推定極小時刻は次のように計算された[表1]。 主極小 副極小 2016/1/14 4:54:19 2016/1/14 23:25:19 2016/1/15 17:56:20 2016/1/16 12:27:20 2016/1/17 6:58:21 2016/1/18 1:29:22 2016/1/18 20:00:22 2016/1/19 14:31:23 2016/1/20 9:02:23 2016/1/21 3:33:24 2016/1/21 22:04:25 2016/1/22 16:35:25 2016/1/23 11:06:26 2016/1/24 5:37:26 2016/1/25 0:08:27 2016/1/25 18:39:28 2016/1/26 13:10:28 2016/1/27 7:41:29 2016/1/28 2:12:29 2016/1/28 20:43:30 [表1 推定極小時刻]7
5. 観測
5.1. 使用機器
リッチー・クレチアン型反射望遠鏡
主鏡と副鏡に複雑な高次非球面鏡が用いられたカセグレン式の反射望遠鏡.コマ収差が なく広視野で撮影できるのが特徴.すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡もリッチー・クレ チアン型を採用している. 本研究では,明星大学30 号館 R 階屋上に設置されている反射望遠鏡で観測した. [口径]40cm [焦点距離]2800mm [Fig. 5-1 リッチー・クレチアン型反射望遠鏡] 冷却 CCD
高い量子効率と,入射光量に対して出力信号が高い線形を有するという特徴を持つ光検 出器.冷却することで暗電流を減らすことができ,長時間露出が可能である.カメラに搭 載されているフィルターホルダー内にジョンソンフィルターが装填されている.今回は V フィルターを使用した.フィルターの特性は[Fig. 5-2]の通りである. 本研究では,明星大学が所有するビットラン社製冷却CCD カメラ BN82-L を使用する.8
[Fig. 5-2 ジョンソンフィルターの特性]
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5.2. 観測方法
観測日時は,[表1]に従い,極小時刻を推算して予報し1 周期内をまんべんなく観測で きるように設定した。観測写真は,露出時間10 秒で毎回 50 枚撮影した.実際に行った観 測については[表2]の通りである.なお,悪天候等でやむをえず観測を中止した日程は 省く. 観測日 撮影時間 気温 湿度 フォーカス V1 1/14 19:29 – 19:41 19:49 – 20:01 20:03 – 20:15 8.4℃ 42% 28.40mm V2 1/24 22:29 – 22:38 3.3℃ 22% 28.35mm V3 1/25 0:47 – 0:56 0:56 – 1:05 1:05 – 1:14 1.7℃ 24% 28.35mm V4 1/25 19:27 - 19:55 19:55 – 20:07 20:08 – 20:20 3.1℃ 28% 28.36mm V5 1/25 23:26 – 23:54 23:55 – 0:07 0:08 - 0:20 1.6℃ 35% 28.36mm V6 1/26 22:03 – 22:15 22:15 – 22:27 22:28 – 22:40 3.2℃ 51% 28.38mm V7 1/27 19:24 – 19:36 19:36 – 19:48 6.7℃ 42% 28.46mm V8 1/27 23:08 – 23:20 23:20 – 23:32 5.5℃ 41% 28.46mm [表2 観測日時と条件]10
観測手順
i. CCD カメラの冷却 冷却CCD カメラは,PC に接続し専用のソフトによって制御する.CCD の冷却には 30 分程度かかる場合がある.今回,冷却温度は-10℃に設定した. ii. 望遠鏡のフォーカス設定 肉眼では正確なフォーカス設定ができないので,望遠鏡のコントローラーで操作してPC 画面上に表示されるカウント値が最大になるフォーカス値を探す.フォーカス設定は,目 標星の近くにある比較的明るい星を使って行う. iii. 望遠鏡の座標設定 フォーカスの設定を終えたら,天文台のコントロールシステムに座標を入力し望遠鏡が 向いている座標を目標星に修正する.目標星の座標は,AAVSO の星図もしくは SIMBAD より得た.11
6. 画像処理・解析
6.1.
ダークフレーム
ダークフレームは,撮影時に生じる暗電流によるノイズやバイアスなどのダークノイズ だけの成分を撮影した画像である.ダークフレームの撮影は,天体撮影時と同じ露出時間 と冷却温度で遮光空間を撮影する.画像処理として,天体を撮影した画像からダークフレ ームを引きノイズを除去する. ダークフレームは,各撮影日に露出時間10 秒で 10 枚撮影した.画像処理はステライメ ージ7 を使い,ダーク 10 枚を加算平均でコンポジットしたもので天体画像のダーク補正を した. [Fig. 6-1 ダークフレーム]6.2. 光度測定
観測した食変光星の光度を求めるため,測光をステライメージ 7 で行った.その際,標 準星としてBD+49 225 を使用した.得られた値は観測日時のデータとともに Excel にテキ スト出力し,等級-ユリウス日の光度曲線グラフを作成した[Fig. 6-3].12
[Fig. 6-2 ステライメージ 7 での測光]
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7. 観測結果
光度曲線グラフ:V364 Cas 1 月 14 日 19:29~20:16 V 等級 今回、5 日間 20 回の撮影を行ったが,目標星を撮影することができたと考えられる写真 は1 月 14 日に撮影したものだけであった.よって,作成できた光度曲線グラフは 1 月 14 日の観測データに基づくもののみである.そのため充分なデータが得られず,1 周期での等 級変化のグラフを作成することができなかった. 10 10.1 10.2 10.3 10.4 10.5 10.6 10.7 10.8 10.9 11 2457402.31000 2457402.32000 2457402.33000 2457402.34000 2457402.35000V
等
級
ユリウス日
光度曲線
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8. 質量推定
質量𝑀1と質量𝑀2の星が距離𝑎だけ離れて互いの周りを角速度𝛺で回っているとする.2 つ の星は重心の周りを回ることになるが,重心から𝑀1の星の中心までの距離を𝑟1,𝑀2の星の 中心までの距離を𝑟2とすると, 𝑟1 =𝑀𝑀2 1+𝑀2𝑎 (1) 𝑟2=𝑀𝑀1 1+𝑀2𝑎 (2) となる. さて,この連星の回転運動は円であると仮定すると,𝑀1の星の運動方程式は重心の周り の回転による遠心力と𝑀2に引かれる重力のつり合いの式から, 𝑀1𝑟1𝛺2=𝐺𝑀1𝑀2 𝑎2 (3) となる.ここで,連星の回転周期を𝑃𝐵とすると, 𝛺 =2𝜋𝑃 𝐵 (4) だから,(1)~(4)式より, 𝑎3=𝐺(𝑀1+𝑀2) (2𝜋)2 𝑃𝐵2 (5) となる. 次に,観測データから星の質量を出すことを試みてみる. 今回は簡単にするために,連星の回転軌道面を真横から観測していると仮定する. Chaubey(1984)の論文でも軌道の法線と観測方向のなす角が 87°になっている.15 [Fig. 8-1 食変光星の、食の入りと出の時の 2 つの星の位置関係] 2 つの星の半径を𝑅1、𝑅2とし,𝑅1≥ 𝑅2とする.𝑀2の星が𝑀1の星の後ろに隠れるとき,食 に入るときの𝑀2の星の位置をA,食を出るときの𝑀2の星の位置をB とすると[Fig. 8-1 ], 𝐴𝐵 ̅̅̅̅(A と B の距離) = 2(𝑅1+ 𝑅2) (6) となる.𝑀1の星の中心をO とおき,∠AOB の半分の角度を𝜑𝑝とおくと, 𝑅1+ 𝑅2= 𝑎 sin 𝜑𝑝 (7) となる.𝜑𝑝が小さいときは近似的に, 𝑎 sin 𝜑𝑝≅ 𝑎𝜑𝑝 だから, 𝜑𝑝=𝑅1+𝑅𝑎 2 (8) と近似する.今,観測で食の入りから食の出までの時間幅∆𝑡𝑝が得られたとする.この時間 幅∆𝑡𝑝と連星周期𝑃𝐵との比を𝛼𝑝とすると, 𝛼𝑝=∆𝑡𝑝 𝑃𝐵 (9) となる.一方,𝑀2の星が𝑀1の星の周りを2𝜋回るのにかかる時間が𝑃𝐵で,食の時間の間に回 る角度は2𝜑𝑝だから, 𝛼𝑝=2𝜑𝑝 2π = 𝜑𝑝 𝜋 = 𝑅1+𝑅2 𝜋𝑎 (10) であるべきである. 次に,𝑀2の星が𝑀1の星の後ろに完全に隠れるとき(皆既食)の時間幅∆𝑡𝑡を考える.ここ までは部分食も含めて食全体の時間幅∆𝑡𝑝を考えた.それも含めて,食の入りから部分食- 皆既食-部分食となって食を出るまでの我々から見た 2 つの星の関係を考えると,皆既食 にいる間に𝑀2の星が動く距離は2(𝑅1− 𝑅2)となる.食全体の幅を考ときと同様に,皆既食の 間に𝑀2の星が𝑀1の星の周りを回る角度を𝜑𝑡とすると,
16 𝜑𝑡 =𝑅1−𝑅𝑎 2 (11) となり,∆𝑡𝑡と𝑃𝐵の比を𝛼𝑡とおくと, 𝛼𝑡=𝑅1𝜋𝑎−𝑅2 (12) となる. ところが Chaubey(1984)の観測に見られるように,この連星の食では 2 つの食とも皆既 食の時間幅はほぼ0 である.この時間幅が完全に 0 だとすると,(11)式や(12)式から, 𝑅1− 𝑅2= 0 (13) すなわち 𝑅1= 𝑅2 (14) となる. [Fig. 8-2 Chaubey(1984)の光度曲線グラフ]
17 また,やはりChaubey(1984)の Fig. 1 からわかるように,2 つの食の一番暗いところの明 るさはほぼ同じで,食でないところの明るさのほぼ半分になっている.このことは 2 つの 星の明るさがほぼ等しいことを意味している.半径も同じで明るさも同じであれば、2 つの 星は同じ型の星で,質量も同じと考えるのが自然である.よって, 𝑀1= 𝑀2 (15) とする. (14),(15)式から,2 つの星はどちらも質量𝑀,半径𝑅の星であるとする.すると,(5)式 は 𝑎3=2𝐺𝑀∙𝑃𝐵2 (2𝜋)2 (16) となり, 𝑎 = [2𝐺𝑃𝐵2 (2𝜋)2] 1 3 𝑀13 (17) となる.一方,(10)式は 𝛼𝑝=𝜋𝑎2𝑅 (18) となり,(9)式を使って 2𝑅 𝜋𝑎= ∆𝑡𝑝 𝑃𝐵 (19) となるから, 𝑅 =𝜋 2∙ ∆𝑡𝑝 𝑃𝐵 ∙ 𝑎 (20) で,𝑎に(17)を代入すると, R =𝜋 2[ 2𝐺 (2𝜋)2] 1 3𝑃𝐵23 𝑃𝐵 ∙ ∆𝑡𝑝∙ 𝑀 1 3 = (𝜋 24) 1 3𝐺 1 3∆𝑡𝑝 𝑃𝐵 1 3 𝑀13 (21) が得られる. ここで,Chaubey(1984)の先行研究より,この連星の星は太陽より少し重い主系列星と考 えられる.そうだとすると,そのような星の半径は,太陽の半径𝑅☉,太陽の質量𝑀☉で規 格化すると, (𝑅 𝑅☉) = ( 𝑀 𝑀☉) 0.8 (22) と近似できる.ここで, 𝑀☉= 2.0 × 1030𝑘𝑔 𝑅☉= 7.0 × 108𝑚
18 (22)式を(21)式に代入し整理すると, (𝑀𝑀 ☉ ) 0.8 𝑅☉= (2𝜋4) 1 3𝐺 1 3∆𝑡𝑝 𝑃𝐵 1 3 𝑀☉13(𝑀 𝑀☉) 1 3 (23) が得られ,整理すると, (𝑀𝑀 ☉ ) 7 15 = (2𝜋4) 1 3(𝐺𝑀☉ 𝑃𝐵 ) 1 3∆𝑡𝑝 𝑅☉ (24) となり, (𝑀𝑀 ☉ ) = (𝜋𝐺𝑀☉∆𝑡𝑝 3 24𝑃𝐵𝑅 ☉3 ) 5 7 (25) を得る. 本来ならここで観測データから食の時間幅∆𝑡𝑝を算出し代入するが,そのために必要なデ ータが揃わなかったため,今回はChaubey(1984)の観測データから食の入り𝑡𝑝𝑖,極小𝑡𝑝, 食の出𝑡𝑝𝑓の値を抽出し求めることにする.主極小p1 の時間幅∆𝑡𝑝1は, ∆𝑡𝑝1𝑖= 𝑡𝑝1𝑖+ 𝑡𝑝1 = (1 − 0.939) + 0.007 = 0.068 (26) ∆𝑡𝑝1𝑓 = 𝑡𝑝1+ 𝑡𝑝1𝑓 = 0.007 + 0.064 = 0.057 (27) ∆𝑡𝑝1= ∆𝑡𝑝1𝑖+ ∆𝑡𝑝1𝑓 = 0.068 + 0.057 = 0.125 (28) 副極小p2 の時間幅∆𝑡𝑝2は, ∆𝑡𝑝2𝑖= 𝑡𝑝2𝑖+ 𝑡𝑝2 = 0.431 + 0.497 = 0.066 (29) 副極小の食の出𝑡𝑝2𝑓はそれにあたる値がなかったので,ここでは∆𝑡𝑝2𝑖= ∆𝑡𝑝2𝑓と置く. ∆𝑡𝑝2= ∆𝑡𝑝2𝑖+ ∆𝑡𝑝2𝑓 = 0.066 + 0.066 = 0.132 (30) ここでは2 つの星は同じ型で半径も質量も等しいと考えるので,∆𝑡𝑝は2 つの食の時間幅の 平均を取る. ∆𝑡𝑝= (∆𝑡𝑝1+ ∆𝑡𝑝2) ÷ 2
19 = (0.125 + 0.132) ÷ 2 = 0.1285 = 0.1982 日 (31) (25)にG,𝑀☉,𝑅☉,𝑃𝐵,∆𝑡𝑝の値を入れると, 𝑀 = 2.01𝑀☉ (32) が得られる.
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9. 考察
今回の観測では,1 月 14 日に撮影したもの以外の写真は目標星を捉えることができなか った.具体的には,星図と見比べて写真に目標星とおぼしき星を見つけられなかった. 撮影が失敗した原因としてまず考えられるのは,観測の技術的な問題である.冷却CCD カメラの扱い方は事前に教わっていたが,明星大学天文台の望遠鏡の扱いについては教わ る機会がなかった.つまり初回観測日の1 月 14 日は、初めて天文台を利用して観測を行っ た日である.観測の際には,教授方と天文台の扱いに慣れた同研究室の学生に観測手順を 一から教わった.その後の観測では教わったことに忠実に撮影を行ったつもりだが,1 月 14 日以外の日程はすべてひとりで観測を行ったため,たとえ何か操作を間違えたとしても 観測の最中に気づくことができなかった可能性が高い.実際,撮影に失敗した明確な原因 はわかっていない. その他の原因としては,時間的な問題である.撮影に失敗した場合は,原因を探るため にも再度撮影をすればよい.しかし失敗に気づくのが遅く,また悪天候が重なったため, 再度撮影する日程を設けることができなかった.これらは直接的な問題ではないが,より 確実に観測を成功させるためには重要である.これらは,観測開始日を早めることと観測 に慣れるまで指導者に付いてもらうことで充分に解決できると考えられる.また,撮影後 に早めに画像処理を行うようにすることで,問題の早期発見と改善につながると思われる. 今回観測に失敗したが,仮に成功していた場合に観測データが光度曲線グラフにどう表 れるかを,Chaubey(1984) Fig. 1 の V 等級のグラフを使って予測してみる[Fig. 9-1]. なお,[Fig. 9-1]の V1-8 は[表2]に対応している.21 こうしてみると,Chaubey(1984)Fig. 1 のような光度曲線を描くにはデータ量が全然足りて いないことがわかる.極小予報により極小を観測することはできるが,特に明るさの変化 を見るためには8. 質量推定より極小を中心におよそ 0.2 日,主極小と副極小の両方を見る にはその倍に亘るデータが必要である.より質の高い光度曲線グラフを作成するためには, 1 回の観測で撮影枚数を重ねるよりも,撮影回数を多くして高範囲に亘るデータを用意する ことである. 本研究では食変光星の観測データはほとんど残せなかったが,問題点を改善すれば明星 大学天文台を利用しての食変光星の研究は充分に可能である.明星大学天文台を利用した 食変光星の研究はまだあまり行われていないことを考えると,本研究は更なる研究につな げられるものになったと考える.
謝辞
本研究を行うにあたり,手を差し伸べ助けてくださった井上一先生,ご指導いただいた 小野寺幸子先生,観測を手伝ってくださった日比野由美先生,同研究室の矢口聖君,大変 お世話になりました.最後までやり遂げられたのも皆様のご助力のおかげです.本当にあ りがとうございました.22