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低学年理科学習評価に関する考察 : 「自由試行」に基づく学習活動を中心に

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(1)低学年理科学習評価に関する考察 「自由試行+に基づく学習活動を中心に. 森本信也*・松森靖夫**・堀田尚美*. Evaluation in. Low. Shinya. of. Student. Graders. MoRIMOTO,. Learning of. Elementary. Yasuo,. MATSUMORI. Science. on. School. Naomi. HoRITA. 序 低学年理科ほ現行小学校学習指導要領1)においては,. 「低学年児の未分化性・活動の総 合性を配慮した理科学習を行うべきである+との位置づけがなされている。そのため実際 の学習場面にほ活動の総合性として「科学遊び+や「子どもの自由な探究活動+がさかん. に導入されている。 このような位置づ桝ま決して目新しいものではなく,既に大正期より始まる低学年理科 特設運動2)の中でも主張されてきた内容である。その基調とするところほ児童中心主義に よる教育観である。この教育観は学習の準備段階として児童に必要なことほ専門科学の体 系の基礎をわかり易く教授することではなく,彼らの心身の発達特性を考慮して学習の仕 方(learn. how. to. learn)を学ばせることが先ず優先されなければならないと主張する. ものである。この考え方が低学年理科と結合した結果がいわゆる「遊び+や「自由な探究 行動+を中心とした学習活動として現われるのである。 このような主菜の卓越性とは裏腹に,現状においてほ遊びを中心とした探究活動の結果, 児童一人ひとりにどのような変容を期待し,それをいかに評価するのかが明確化されない まま学習が展開されることも少なくない。しかもこのような問題に関する議論は僅かに, 栗田の「自由試行+に関する理論的研究3),武村らによる「科学遊び+を取り入れた理科 指導+に関する研究4)に見られる程度である. そこで筆者らほ本稿において,低学年理科における評価の方法論に関する諸問題を取り 上伏. その問題解決-の1つのアプローチを試み,上述の教育観を包含した低学年理科の. 在り方について検討を加えたいと思う。そのために先ず第1章でほ「自由試行+及び「遊 び+に関する諸説から,その理科教育的意義について述べる。第2章では,これらに基づ * **. 理科教育教室(°ept. 千葉県日出学園(Chiba. of. Science Hinode. Education) Gakuen).

(2) 森本信也・松森靖夫・堀田尚美. 176. く学習活動の評価方法について論じる。そして第3章以下においては,この評価方法の実 際の授業場面における適応可能性について言及したい。. 第1章. 理科学習と自由試行. 現在,低学年理科において,科学遊びや自由試行を含む「遊び(Play)+の概念が学習 方法の1つとして取り上げられているが,この概念は非常に措象的でありその定義は,広 範多岐にわたる。そのため「遊び+と自由試行の関係・価置づけも不明確であると思われ る。そこで本章でほ「遊び+. ・自由試行に関する定義,そしてその理科教育的意義につい. て論じる。. (I). 「遊び+の理科教育的意義. カイヨワ(Caillois, (3)不確定な活動, る5)o. R)ほ遊びの本質を6種の活動((1)自由な行動,. (4)非生産的な活動, (5)ルールある活動,. (2)分離した活動,. (6)虚構的活動)として定義す. さらに「一般に遊びほ肉体・性格・知性にとって,あらかじめ定められた目的のな. い教育として現われ,遊びが現実から遠ければ遠いほど,教育的価値は大になる+と言及 している。これらの記述は,遊びが自由な知的活動であり,非現実的な遊びはど教育効果 が大きいことを示すものである。. またピアジェ(Piaget,J)ほ発達的見地から遊びを3つのカテゴリー(第1カテゴリー :ルールあるあそび)に分けて,遊びとほ, :実践のあそび,第2 :象徴的あそび,第3 現実に順応していく活動でほなく,現実を作り変えることにより,子供の欲求を満たす活 動(同化活動)である6)としている.このピアジェの論に基づき,滝沢は「遊びは自由意. 志による自然的行動であり,活動の結果よりむしろ活動の過程を楽しむものである7)+と 強調する。 さらにワロン(Wallop,. H)紘,遊びの横能の1つとして偶然性をあげており「遊びは. 偶然の機会と能力発揮の機会を同時に含んでいる.遊びほ,利害関係から離れて自分の能 力を使ってみる機会を提示するが,しかし,日常のわかりきった条件や拘束から解放し, 思いがけない様々な可能性をつくり出す8)+と主菜している。 これら上掲の「遊び+理論ほ,ヨ里科教育の立場から次のように解釈できる。 ・理科における「遊び+とほ, ①自然の事物・現象を自由に探究する知的活動である。 ②自己の科学的諸能力を十分発揮し,知的欲求を充足する活動である。 ③得られた結果よりも,それに到るまでの探究の過程を楽しむ活動である。 ④偶然性に基づく活動であり,思いがけない様々な発見を創出する活動である. このように,理科学習において「遊び+は児童の知的欲求を十分満足させるものであり, 創造的思考力・探究能力を養う恰好の活動として位置づけることができる。.

(3) 低学年理科学習評価に関する考察. 177. (2)理科学習における自由試行の重要性 「自由試行(Messing カ.)キュラムESS 女ins,. About)+を理科教育界に初めて導入したのは,米国の初等理科. (Elementary. Science. Study)の初代委員長であるホ-キンス(Howl About)+を次のように定義9)しているo. D)であった。彼ほ「自由試行(Messing. 「-・-子ども達には指示もなく自由に勉強(Work)する時間が普通の何倍も多くいる (これを遊び(Play)と呼びたければそれでよいが,私ほあえて勉強(work)と呼 ぷ).そこで子どもに材料や実験器具である-{物''を与え,指示もせず質問もしない で,自由に組みたてたり,調べたり,吟味したり,実験したりさせる。これを私は水 Aboutと呼ぶo -・・・+ ネズミ君1O)の哲学に敬意を表し, Messing さらに小学校5年生の児童に振り子を与え,自由試行を導入した実験授業を行い,その教 育的効果について明らかにしているoそれによれば. 児童ほ長時間にわたり教師の方向づ. けのないままに,意欲的かつ探究的に活動に取り組んだという。そして児童は,糸の長短 ・振幅の大小・おもりの軽重を用いて,幾通りもの運動パターンを発見し,教材としての 振り子自体にも非常に大きな親近感を持つに到ったという。自由試行ほ授業の導入期とし て学習効果があるばかりか,子どもの行なった活動・発見した探究課題はその後の学習指 導に多くの基礎資料を与えるものであると強調している. また,栗田は自由試行を観点や目的をあらかじめ指示しないで実験器具や材料等の具体 物を用いて児童・生徒に自由に行わせる観察や実験であり,自由な活動をさせる学習であ る】1)と定義しているoそして自由試行の理科教育的意義として, (1)子どもの実態を知る, (3)指導計画の基礎資料を与える, (4)授業の導入 (2)探究学習(発見学習)の理想像である, の役目を果たす, (5)予備実験の役目をする,の5項目をあげている。 両者の見解から,自由試行とは自由な探究的学習活動であり,理科学習方法の1つとし. て位置づけられていることがわかる。また子どもの知的欲求を充足し,さらに伸長するも のであり,発見学習の理想像であり,かつ本章(1)の理科における『遊び』の諸特性を具備 する,すぐれた能動的学習活動と捉えることができる。. (3)低学年理科における「自由試行+実施上の問題点 現在,低学年理科学習では,自然の事物・現象に関する直接経験を重視しているため, 「磁石遊び+. 「おもちや遊び+等による自由試行が取り入れられている。しかしながら,. 次のような三つの指導上の問題点があげられる。. 1.自由試行を行なう際,十分な'一物”. ,十分な"時間”を与えるのは原則であるo. ころが,学習者の知的好奇心を喚起し,探究活動を捉すために必要な代物''の質的選 択の基準が不明確である。 2.自由試行の中で学習者が用いたり発見した,プロセススキル・科学概念及び科学的 態度を評価する枠組が欠如している。 3.自由試行によって得た学習者の実態を,今後の学習指導にどのように生かしたらよ いか-その方策が欠如している。. と.

(4) 森本信也・松森靖夫・堀田尚美. 178. これら自由試行による指導上の諸問題解決-の試みとして,次章でほ低学年理科・評価内 容分析表を作成する。この作業によって低学年理科における自由試行の位置づけが,明ら かになるものと思われるo. 第2章. 億学年理科・評価内容分析表の作成. -ESS. ・評価プログラムを参考にして一. 本章では,児童の自由試行をカリキュラム構成の基本理念としているESSの評価プロ グラムを参考にして,低学年理科・評価内容分析表を作成するo (1) ESS試価プログラムの板要 ESS12)は「Messing. About+理論の提唱者ホ-キンス(Hawkins,. 開発した56モジュールから成る初等理科カリキュラムであるo. D)らが中心となり 「Messing三About+に象徴. される児童中心の活動を多く含むため,あらかじめ計画された評価場面は,ほとんど設定 されなかったo. この評価場面の任意性ほ,本カ1)キュラムのすくttれた特徴として広く受け. 入れられてきた。ところが,その一方では評価場面・評価方法の不明確性のため,学習効 果も満足に捉えきれぬまま各キジュールが使用されてきたことも事実であるo この短所を 補う意図のもとに, 1974年ESS評価プログラム13)が公卿こされるに到った。 i)評価プログラムの内容構成 ESSの評価プログラムほ,. 4項目(単元目標・レベル・評価目標・目標額域)から成. る。以下,各々に説明を加える。 ・単元目標(Unit. Objectives). 56のモジュールごとに示されている評価目標のことである。評価に具体性を持たせその 観点を明確にするため,すべて行動目標(Behavioral Objectives)の形で記述されてい る。単元日原は児童の学習能力に応じ選択でき,新たに目標を付加することも可能である。 ・レベル(Levels). 本カリキュラムでほ,モジュールを扱う学年に福を持たせている。例えば,モジュール 17. 「Groving. 「Musical. Seeds lnstrumental. (種の成長)+ほ幼稚園から小3, Ricipe. Book. 33. 「Sand. (砂)+ほ小2-3,. (楽器の)+でほ幼稚園から全学年にわたり取り扱. うことができる。従って本プログラムでは学年枠をはずし,各モジュールの評価目標を次 の3段階にレベル化している。 Bレベル(Basic一基礎レベル) 1. :最も低いレベルで達成可能な評価目標。はとんどすベ ての学習者が達成できるレベル。. Ⅰレベル(Intermediate-中間レベル) l Aレベル(Advanced一高等L,ベル) ・評価目標(Evaluation. Objectives). :かなり高いレベルで達成可能な評価目標o大 半の学習者が達成できるレベル。 :さらに高いレベルで達成可能な評価目標。. 49.

(5) 低学年理科学習評席に濁する考察. 179. 各単元目標は,いくつかの具体的な評価目標に分かれている。評価目標はそれぞれの単 元目標と照合し,児童の行動に基づいて記述されている。この評価目標ほ,教師や児童が 選択することもできるし,クラスの実態により加えることもできる。 Area). ・目標領域(Goal. 評価目標のレベル化に加え,さらに綿密な評価活動を実施するために,ブルーム(Bloom, B.. S)の教育目標のタキソノミ-. (Cognitive. Affective′. (認知),. (情意),. Psychomotor. (精神運動)により,目標を細分化し次のように目標領域を設定している。 (1) Rational. Thinking. Process14). :. (科学的思考のプロセス). (観察). -Observation. (分類). -Classification. (測定) -Measurement Collection and Organization -Data -Inference -Variable -Making. (データの収集と構成). and Prediction (推論と予想) ldentification (変量の同定とコントロール) and Control and. Testing. Hypothesis. (佼説の設定と検証). Synthesis (プロセスの統合) -Process (2) Manipulation (操作). (3) Cornmtlnication. (4). Concepts. (概念). (5). Attitudes. (態度). (伝達). 「Growing. 以上がEES評価プログラムの概要である。具体例として,モジュール17. Seeds. (種の成長)+の評価プログラム(-部)を蓑1に示しておく. ii)評価プログラムにおける評価方法 授業において評価はチェックリスト法により実施される。チェックリストほ,上述した 「評価目標+と「評価額域+に基づき作成されている。リストにより学習達成度が5段階 (1-5)でチェックされる。これは授業老の主観をできるだけ避軌. 客観的に学習中の. 行動を観察し評価活動を行う目的で設定されたものである。. (2)低学年理科・評価内容分析表の作成 i). ESS一低学年レベルの目標分折. 評価内容分折表作成に際して,先ずES の内容の分析を行なう.本カ7)キュラムのK. Sにおいて低学年に配当されている「目標領域+ 21 (幼稚園)から小学校第2学年段階にほ,. のモジュールが配当されている。これら21のモジュールについて,. Bレベル(基礎レベル). の目標群を抽出し,その頭目数を集計した(表2参照)。 分折の結果から,科学的思考のプロセス(Rational. Thinking. Process)に関する目標. 数が全体の約半数(51%)を占めているのが明らかになった。また科学的思考のプロセス の構成内容に着目すると「観察+に関する目標が51項目と多く「分類+. ・. 「測定+. ・. 「デ.

(6) 森本信也・松森靖夫・堀田尚美. 180. 表1. Groving. Seeds. UPi'lT OBJⅨ汀IVE 托‡emble. ESS評価プログラムの一例. ).. T71eStuden.I w;Jt idem(ify arLd describe properties. objects that. and. Coat Area RこIlioni11Thinkil喝Prot:css. EⅥlluatioJI O坤ctive a.. o(seeds. seeds.. The. student. tlJfC Or Seeds. orauy describe the co(or. size,$7)ape, and seeds. objects that leSemble. wju. and. lex・. (Obsemltiolll.. ('otllmuTi・. ・. cat1011. UNIT. OB)ECrlVE. Ey3]uJ(ion. Giyen. 2.. Ike )ikenesses. Iemine. or. a. objects(ha(. collec(iort orseedsand. di√(erences. (hem.. 3mOnS. resemble. Coat. Objec(ire. a. The student will arrange Seeds and objects tha( rescmbfe sce・ds iJltO Subsets based upor) color. sほe. Shapc', texture, and so qtl.. UN[T. OtuヱCTJVE. Ev3(ua (;on. 3.. ¶e sttJden=州plant. seeds. seeds.. the studenl. wilJ de-. Area. R;ltional Tllink]'ng Process tClass汀ie・ation). 3)td m3iltlai11. SrOIVillg. Seeds.. C(1a暮Area. Objec(ire. 8.. The. student. wjJJ plant seeds in. 8.. The. student. wi)l water. and. a. contaJ'ner. ro√hJ'sgrowJ'喝SCeds. care. Mallillula(ion. wil)I St)jt.. IIor scveritl. A(Ii(lldcs. weeks.. UNIT. 4.. OEuECrlVE. Giyen. a. frLIm. p7arL( growing. a. Seed.. (he student. Ey3hLa暮iorL Ob)'ectiye. a.. The studellt on. vations. will de?c†il}e its呈10Wth. Coal. Will rceord pictoriauy. or. in wri(ing. thti'daily. Area. Ra(ional Thinkir唱Process (Data Collection and Orgallぬ・. obser・. plaTt( growth.. lion),..Communication. T.. The. studeJl(. in plan(. UNJT・. OBJECTIVE. EydtJJL1如O. 8.. Viu. record with. a. Thillki(1g Process (Dat.1 Col]cctiofl and Organi之iL・ lion, Measurement).. Rational. the daily changes. lneaStlringuaph. growth.. The. S.. The sttJdent. will dissect seeds and describe. their properties. Coal Area. b3ectiye s(udent. will dis'scctsoaked. bean. or. L The student w;1J dt:scribe dissected seeds di喝Tam.. pea. seeds wi(h his ringers.. using. a. picture story. or. Manipu]a(iorL. Rational Thinking Process (Data Collection and Organiヱa・ lion), ComJrluhica(iorl.

(7) 低学年理科学習評併に関する考察 表2 評 (1) Rational. ESS-低学年レベルの日額分析 目. 価. 181. 標. T壬Iinking. l目標項目数[割. 合(形). Process. (科学的思考のプロセス) 51. 20. ・分. 察 類. 18. 7. ・測. 定. 24. 9. ・推論と予想. 18. 7. ・データの収集と構成. 14. 5. ・坂出の設定と検証. 5. 2. ・変真の固定とコントロー)t' ・プロセスの統合. 3. 1. 0. 0. 178. 51. 50. 19. 31. 12. ・観. 小. 計. (2) Manipulation. (操作). (3) Commllnication. (コミュニケーション) (4) Concepts. (概念). (5) Attitudes. 28. (態度). 1. 11. l. 1 00. 18. 計. Ⅰ. 260. -タの収集と構成+にも各々20前後の目標が割り当てられている。このことほ,低学年期 の理科では「観察+をほじめとする4つの科学的思考のプロセスが重視され,評価もそれ らを中心に実施されることを示している。 従って,科学的思考のプロセスを構成する他の要素である「変量の同定とコントロ-ル+ 「伝説の設定と検証+. 「プロセスの統合+に関する評価項目は少ないoこれほ,低学年児. の発達段階・学習能力の実際を考慮し,中学年以上をこ評価の場を設定した処置と推察でき る。. 科学的思考のプロセス以外でほManipulationに関する評価項目が19%と多いo一方, Conceptsほ11%,. Attitudesについても7%と低率であり,両者を加えても20%に満た. ないoこのことからもESSが学習者の活動を中心に構成されており,低学年レベルでは, 科学概念・態度よりも探究の技法に比重を置いているといえる。 次にE. S. S評価プログラム構成を参考に,低学年理科評価内容分折蓑を作成する。. ii)評価内容分折表の作成 評価内容分折表の枠組としてほ, (i)で述べたESS評価内容プログラムの目標領域(Goal Area)を用いたo表3に評価内容の分折表の枠組を示す.ただし, Proeessでほ,. EE. 1.のRational. Thinking. S評価プログラムの低学年期において特に比重の置かれていた「観察+.

(8) 森本信也・松森靖夫・堀田鵜糞. 182. 表3 1.. r分採+. 評肺内容分析表の枠組. Rational. ところで,. ・観察・分類・測定・推論 2. Manipulation. 3. Commtlnication. 4. Concepts. 5. Attitudes. 「推論+の4項目を選択し. た。. Process. Thinking. 「潮定+. Manipulation, cepts,. 2.. ESS評価プログラムでほ, 3.. Communication,. 5. Attitudes. られているが,. 4.. Con-. の各内容が詳細に論じ. Rational. Thinking. Process. についての説明が省かれている。そのため米. 用いて,. Rational. Thinking. Process. (Science-A. 国のプロセス中心初等理科カリキュラムSAPA15). Processの評価内容を補ったo. Approach)を. SAPAでは13のプロセスス. キルを中心に学習課題が設定されている。そのうちの基礎過程,観察,測定,分類,推論 に関連する学習課題を参考にした。以下,表3の枠組に従い,低学年理科・評価内容分折 衷を表4に示す。. 表4 目 1.. Rational. 標. 額. Thinking. 低学年理科・評価内容分析表. 域. 評. l. 価. 内. 容. Process. (科学的思考のプロセス) ・観察(Observation). ①. 色・形・大き・さ・手ぎわり・におい・音・温度のよ. ⑧. うな事物の特徴を同定し記録する。 諸事象の変化を,色・形・大きさ・温度などの特徴 によって同定し記録する。. ・分類(Classification). ①. 事物をある1つの性質によって分類する(一重分 類)0. ⑧. 分類の観点をかえて,多様な一重分類体系をつく る。. ・測定(Measurement). ①-a. 重ね合わせによって,. 2つの物の相対的な長さ. を比べる。 ①-b. 最も短かいものから最も長いものまで,長さの 順に並べるQ. ⑧ ㊥. 任意の単位によって,ある物の長さを決める。 任意?単位によって,ある物の体積(かさ)を決め る。. ④. センチメートル・デシメ-トルまたほメートルであ. ⑥. る物の長さを決める。 天びんを使って,物の重さを測定する。. ⑥. 任意の単位によって,平らな辞のものの面積(広さ) を決める。. ・推論(Inference). l ・観察事実と解釈を区別する.

(9) 低学年理科学習評価に関する考察. 日. 額. 2.. Maniptllation. 3.. Communieation. 領. f. 域. (操作). 評. 価. 183. 内. 容. ・科学的な問題を探究するのに必要である適切な道具や 器具を集めて使う。. (コミュニケーショソ). ・科学とそのプロセスについての自分の結論と対処した 事柄を,口頭で,書面で,もしくほ言葉を使わないで 述べる。. 4.. Concepts. (概念). 5.. Attitudes. (態度). ・科学の事実・理論・法則・構成・概念の知識を想起し たり使用する。 ①. 科学の学習で,それぞれの好奇心と持続性を示す。. ⑨. 科学する活動に喜びを見つ仇科学胎方法や価値の ある批判的思考を通じて集中られた論処を受叶入れる。. ㊥-a. いろいろな活動に熟むに取り鼠むことによって, 科学の学習に自信を持つ。. ⑨-b. 学習活動に一人一人個人的をこかかわることによ つて,ほっきりとした自己のイメージを育て,. 科学の学習に対して「私(ぼく)は,それをす ることができるJという態度を育てる。. 以上の評価内容分折衷の理論的根拠は,米国理科カリキュラム(ESS・SAPA)によったも のであるo従って我国の低学年児の理科学習評価に十分機能するか否か,検証する必要が あるo従って第3章以降でほ,実験授業を行い,本表の有効性について具体的に検討する.. 第3幸. 美験授業の実施. (1)尭験授業の目的 a・低学年理科・評価力容分析表(蓑4)が,実際の学習場面で十分機能しうるか否か. その妥当性について検証する. b.自由試行を取り入れた理科学習の中で,学習者の演じる多様な活動を把撞し,その 分折を行なう。 (2)乗施期日及び対象 昭和58年9月21日,. 28日の2回に分けて(1回45分の授業),筆者らが実施したQ対象. 紘,千葉県市川市の小学校第1学年10名(男子5名・女子5名)であるo授業内容ほ,小 学校学習指導要領・第1学年理科・内容(2) 「じしゃく+である。学習者は, 「じしゃく+ に関しては未履習である。. (3)集魚授業の方法と内容 授業ほホ-キンスのMessing. About理論を方法論にして実施したoすなあちホ一幸ソ.

(10) 森本信也・松森靖夫・城田尚美. 184. 表5. ○の局面. I △の局面. 1. 自由試行を導入した理科学習の3局面(ホ-キンスによる) 「Messing About (自由試行)+の行われる局面である。児童に材料や 時間を十分に与え,自由に活動させる場面である。. 既に○の局面で児童はさまざまな探究課題を発見しているo児童が見つけ た探究課蘇に取り組むための方向づ仇 意欲をもたらす局面である。 jProgrammed)+ ホ-キンスは△の局面を「多岐プログラム化(Multiply の局面として位置づけている。. ○ △の局面での探究活動の成果を話し合う局面である。彼ほその局面を is 「理論の局面(Theory square/□)としている. ・. □の局面. スは,表5に示すように,理科学習には3つの局面があるとし,記号を用いて○の局面, △の局面,口の局面として表現している16)o ○の局面でほ,磁石をほじめとする 上述の授業方法論に基づき,実験授業を実施した。 教材を自由に扱わせ,自由試行を行わせたo児童相互の が,教師からの働きか桝ま机間巡視の助言程度にとどめた。. Communication. △. ・. は自由とした. □の局面でほ教師側から. 児童に探究課題を与え,それについて児童が発表するという形式をとった。 尚, 9月21日には○の局面を, 9月28日にほ△, □の授業を行なった。 (4)使用する教材 次のも1のを1セットにし,児童各自に与えた。 ・磁石3. (フェライト磁石2,ゴム磁石1). ・鉄棒2. (そのうち1本は黒く塗ってある). ・釘(4本). ・クリップ(4個). ・スチールウール. ・銅棒. ・アルミ板 ・鏡. ・スポンジ. ・木片. ・銅板. ・布 ・毛糸. ・ガラス. (5)授業展開 授業展開は○の局面と, △ ・ロの局面の2つに分け記述する。 i) ○の局面(自由試行の局面)での授業展開 表6は,. ○の局面で児童が行なった主な活動をまとめたものである。. ii) △・□の局面での援業展開 ○の局面の学習後, △ ・ロの局面の授業を行なったo しかしながら授業時間(45分)に 制約があるため,探究課題を次の3つにしぼり児童に取り組ませた..

(11) 低学年理科学習評価に関する考察. 蓑6. 0の局面での活動例. な. 学習者l. 185. 学. 活. 習. 動. 1つのフェライト磁石で,鉄棒を持ちあげようとする。 (持ちあがらない/). ・まず,. l. 2つのフェライト磁石を使って,鉄棒を持ちあげた。 ・鏡の上での,磁石の吸引,反損。. わ 〕. ・鏡を通じた遠隔操作。. Hメ. 磁石の極を利用した釘の移動。 名付けて「釘のでんぐり返し+.. 棒磁石の中央部に 釘ほつかない。. ・ゴム磁石の両端に釘,クリップを全部つけた。 女. 2. ・ゴム磁石とクリップ・釘を組み合わせての「人形づくり+0 ェライト磁石. ヽ鉄棒. 2つのフェライト磁石を手に持ち動. 正::⊃. かすことによって机上のゴム滋石を を動かす(遠隔操作). プラスチックのふたを利用した遠隔. 帆. 名付けて「自動車+. 操作。 ・プラスチックのふたを利用した吸引・反療.. 忘蒜∋. R. ノ. ※使用した物が,スチ-ルウール・クリップ・釘に 限られていた。.

(12) 186. 森本信也・松藤靖夫・瀬田尚美. 学習者i. 主. な. 学. ・磁石につくもの・つかないものの分類。 女. 4. ・銅板・ガラスを通した遠隔操作。 ・ガラスを利用した吸引・反麿。 ・磁化された釘軒こクリップつけて持ち上げたo. 女. 5. 「釘が磁石になった+o. フェライト磁石にクリ12プを一列につなげるo. 名付けて「属のしっぼ+ ・磁石につくものlつかないものの分析 ・磁石のカ(スチールウ-ル.ク1)ップ). ・磁石の吸引・反損。. ・磁石につくもの,つかないものの分類。. /. 節. ・磁石と釘を用いた遠隔操作。. 帆. ′′ゴム磁石. ・アルミニウム坂,銅板を通した遠隔操作。. 一こ==J ・鏡を通じた吸引・反療。. n/. 釘. ・磁石の遠隔操作。. 、フェライト磁石 ・紙を利用した遠隔操作。 男. 4. ・磁石で木に釘打ちに専念. ・フェライト磁石を布で巻いて,その上から,もう王つのフェライト磁石を付ける(逮 隔操作)0.

(13) 低学年理科学習評価に関する考察. 主. 学習者I. な. 学. 習. 187. 括. ・鉄棒を入れたゴムパイプが磁石につくかどうか(遠隔操作)0 フェライト磁石で持ち上げる(遠隔操作)0 ・スポ1/ジの中をこスチールウールを入れて, ・釘を立てて磁石をタマにしたボーリング 遊び。 男. 5. ・木を利用した吸引・反墳。 名付けて「びっくり箱+. /フェライト磁石. … ̄⊆∋. 木. \-フェライト磁石 探究課題① :磁石につく物とつかない物に分けよう ② :プラスチックのふたの上にのせた磁石を鉄棒で動かそう(遠隔操作) ③:磁石2つをのせたプラスチックのふたの下から,別の磁石を近づけてみ よう(磁石の相互作用一晩引,反掩) 表7に探究課題ごとの授業展開を示す。. 表7. △・ロの局面の授業展開(①磁石に付く物,付かない物). 教師の働きかけ. t. 児. ・前時(○の局面)と同様に 教材(1セット)を各自に 配布。 ○. 〉く. の用紙も各自 に配布Q 「磁石紅付くものは○の方に 置いて下さい。磁石につか. 女1. :スポンジ・布・木ほ迷わず×の方-.スチールウールはゴム 砥石で確かめたo. ない物ほ×の方に置いて下. 女2. :ゴム磁石を使って1つずつ確かめたo. さいJ.a. 女3. :ゴム磁石を使って1つずつ確かめた。フェライト磁石を○の 方へ入れた。. 女4. :スポンジ・布・木などの非金属ほ迷わず×の方-0 分額操作ほ速い.. 女5. :冊磁石雲.

(14) 森本信也・松森靖夫・堀田尚美. 188. 約5分間で全員一応分類できたが,スチールウールについてほ×の 方に入れている者もいた. 「ついた物を発表しましょう+. ついた物を1つずつ持ち上げて,みんなの桑認を得る。 (あっていたら拍子) 持ち上げた物・・・・・・鉄棒(2本),釘,クリップ,スチールウール. 表8 教. 師. の. 働. き. △・□の局面の授業展開(㊥遠隔操作) か. け. l. 児. 童. 左図のようにした瞬間に,口々に--. /7ェライ硝石. 「それ動かすんでしょう+ 「できる.′+. 〔∋. レプラスナックのふた. 「ちょっと先生のやり方を見て下さい。これ(フ ェライト磁石)をのっけるでしょう。のっけて から,このさっきの磁石にくっついた棒(鉄棒). 「簡単+. で動かそうと思ったの。ところが全然できない. 「動かせる+. んです。+ 「でほ,やってみよう+. 全員,動かせる自信たっぷりである。 実際,やってみるとなかなか動かせない。 (鉄棒を立ててしまっている) 女4ほ上手に動かしており,他の児童に「そうじ ゃないよ+と教えてあげていた。 よく動かせないため,フェライト磁石と鉄棒を逆 にして動かしている児童もいた。 「これだと動くのになあ+. 「前にきて動かしてくれる人いますか。+. 女4は,鉄棒を横にして,上手に動かしてみせた。. 「みんな,やってごらん。+. 全員,動かせるようになった。.

(15) 189. 低学年理科学習評価に関する考察 表9. △・□の局面の授業展開(⑨磁石の相互作用-吸引・反顔). 教師の働きかけ. l. 児. 童. の. 活. ギブラスチ 「この磁石を近づけたら,どうなるか。 やってみよう+. 「おもしろい+. 放とんどの児童が行なったのが・--. 壁E3† 女4の場合は,ゴム磁石を逆にしで--. ∠重 昭. 「この磁石(ゴム磁石)を近づけたら,. 「上にあがって暴れた+. 「跳ねた+. 「ジャンプした+. この上の磁石ほ暴れたでしょう。どん. 「まわったんだよ(すわったままのつぶやき)+. な暴れ方をしたかな+. 「丸くジャンプした+. 「ひっくり返ったのを見た人?+ 「他にあるかな+. 「ひっくり返った+などo. かなりの挙手。 「この磁石(フェライト磁石2個)を上に置いて,この 磁石(ゴム磁石)を下に置いたら,くっつかないのに動 いた+. 「くっつく方と,くっつかない方があるよ+ 「知ってる+ 「できるよ+. 「そんなの簡単だよ+ 「みんなに見せてあげよう+. 全員,やってみる。 「逃げるよ+.

(16) 森本信也・松森靖夫・堀田尚美. 190. 教師の働きかけ 「他にあるかな+. l. 児. 童. 「こっちの磁石. 活. の. 動. (下のゴム磁石)でつけたら,遠くへ行. っちゃった+. 1-4L. 軒. 日†. 女4の場合:. 早 「なかよしさん+. 蛋) ̄ヽ 「なかよしさんじゃない万+. 日T. 「けんかさん+. 「みんなもやってごらん+. 「とびついてくる よ+. 「なかよしさんと,けんかするところあ りますか+. 「なかよしさんを作って下さい+ 「けんかさんを作って下さい+. 「あります(声を. 69?. そろえて)+ 「できる+全島 すぐにできた。 「できた+. 「けんかできない+. :.i.

(17) 低学年理科学習評価に関する考察. 第4章. 191. 授業結果の考察. 前章での実践記録に基づき考察をすすめる。まず,授業の○の局面,. △ ・口の局面につ. いて取り上げ,終わりに評価内容分折表の妥当性に言及する。 (I) ○の局面(自由試行)について 当初,実験授業のねらいほ,評価内容分析表に従い,児童の活動を観察し記録すること. nication. ・. Manipulation. ・. Concepts. ・. Process. Thinking. にあった.ところが本分折真の5つの目標額域(Rational. ・. Commu-. Attitudes)では,児童の活動を分類し明確に記述. することができなかった.. I,5とんどの活動が目標額域Manipulationに集中してしまい 他の領域が擦能しないのである。 その要因として,自由試行による児童の活動の大部分が具体的操作による活動(ManiThinking つま り, Rational pulationに含まれる活動)であったことがあげられるo Ma血ipulation ProcessやConceptsほ, が喚起される段階もしくは Manipulationの. 成果として評価されるベき内容なのである。 tional. Thinking. Manipulationとは未分化な無意識的なRa・. ProcessでありConcepts. であり,それらが複雑に結合しているもの. と考えられる。従って,より実践的かつ円滑な評価活動を実施するために,評価内容分折 衷の枠組(各日標領域の並列的位置づけ)を修正しなければならない。 表10ほ評価内容分折衷の枠組(表3 表10. )を再構成し,新たな枠組のもとで○の局面の学習括. 0の局面での学習活動(Manipulation)の分析 男5 I女1I女2l女3l女4I女5l男1I男2i男3l男4. <Rational. Thinking. Process> ・観. 察. ・分. 額. ・測. 定. ・推. 論. J. V. ∼/. V. I. V. ∼/. V. ∼/. i. ∼/. J. V J. <Concepts> J. ・磁石につく物,つかない物 ・遠隔操作. J. ・磁石の相互作用(吸引・反 発). J. ・極の存在 ・磁. 化. ・磁石の力. I. l. V. V. V. I. V. E. I. l. V. I. J. V. I. ∼/. I. f. J. J. I. V. 1 J. I. I. I. l. 暮. V. V. I. i. L. I. ∼/. l. ‡ V. I. V. ∼/. V.

(18) 森本信也・松森靖夫・堀田尚美. 192. 動を分折したものである。すなわち, Rational. Process,. Thinking. Thinking. L上表からRational 者は6名, 「分賛+に関しては4名, king. Manipulationを目標額域の上位に置き,その下位に. Conceptsを位置づけた。. Processのうち「観察+に該当する学習活動を行なった 「測定+. Rational. 「推論+でほ各1名であったo. Thin-. Processの4萌日のいずれにも,児童の活動が該当した。 「観察+の対象となった活動にほ「磁石の吸引・反遵の違いの観察+等があるo. 「測定+にほ女1の「1. にほ磁石につく物,つかない物に分類するる活動が含まれているo つの磁石ので持ち上げられない鉄棒を,. 「分類+. 2つの磁石を用いて持ち上げた活動+による磁石. の力の測定があてはまる。また女4の「磁化された釘をクリップに付けて持ち上げ『針が 磁石になった』+と呼んだことほ,. 「推論+を含む活動といえる。. これらの結果より「観察+に該当する活動が最も多いことが明らかになった。また「推 Thinking Process 読+は1名にしか見られず,低学年期でほ最も行われにくいRational であると解釈できる.. 「測定+に比べ「分類+に関する活動が多かったのは「磁石一付く 付かない+という児童の潜在意識が反映したものと考える。いずれにしても学習活動には 「観察+ 「分類+ 「測定+ 「推論+が存在しており,それ以外のRational ほ表出しなかった。従って,低学年理科で取り上げるRational て「観察+. 「分類+. 「測定+. Thinking. Thinking. Process. Processとし. 「推論+は妥当であると結論できる。. 次にConceptsの領域について述べる。. Conceptsにほ6つの下位概念(磁石につく物. ・つかない物,遠隔操作,磁石の相互作用(吸引・反凝),極の存在,磁化,滋石の力) がみられた。最も活発に行われたのが遠隔操作である。 10名中7名もの児童がプラスチッ クのふたやガラス,銅板,ゴム,布などを利用して遠隔操作を行なった。また磁石の相互 作用に関する活動も6名に見られた。他に磁石に付く物・付かない物に分類した老が4名, 極に関する活動が2名,磁化に気づいた者も2名存在した。 ところで現行学習指導要領でほ第1学年の理科に磁石に関する3つの概念(磁石に付く 物・付かない物,遠隔操作,磁石の力)を配当している。この3概念は,. ○の局面の活動. にすべてみられた。さらに小学校第3学年の学習内容である「磁石の相互作用+ 「極の存 荏+ 「磁化+に関する活動まで含まれていた。 ○の局面での学習活動(Manipulation)に ほかなり-イレベルのRational. Thinking. ProcessやConceptsが見られた。. 一方,児童個々の該当項目数にほ個人差があるo女4のように10項日中7項目に該当し 5のように1項目のみの者もいる。しかしながら, 10名中7名が3 項目以上に該当する学習活動を行なっており,全体としては多様な活動がなされたといえ た者もいれば,女2. ・. る。. ○の局面において, Communication及びAttitudesにも十分な評価が与えられる。授 業中,児童ほ友人の活動を模倣し,自分の活動に生かすことで. Communieation. の場を. 設定していた。また45分間,誰1人として飽きることなく自由試行に積極的態度(Attitu・ des)で取り組んでいたのである。. このように,理科学習への自由試行の導入ほ,すくtlれた教育効果をもたらし,知的レべ.

(19) 低学年理科学習評価に関する考察. 193. ルの高い活動を創出することが明らかになった。 (2) △・ロの局面(見つけた間窺を解決する局面)について △. ・口の局面ほ, ○の局面で児童が発見した探究課題を解決する場である。換言すれば, Thinking ProcessやConcepts をはっきり ○の局面で意識化されなかったRational 意識化させる場である。そのため△. ・□の局面ではCommunicationに関する活動が中 心となった、泰時では,児童が見出した探究課題の中から,小学校学習指導要領・第1学 年の内容に該当するもの3つ(①磁石に付く物・付かない物, ②遠隔作用 ③磁石の相互 作用)を取り上杭. 学習をすすめた.. ①については教師の口頭で,. ②・③ほ教師の演示に. よって児童に課題を提示した。. ①では磁石に付く物・付かない物を発表させたり,付く物・付かない物の属性を言わせ ることにより. Communication領域の評価を行なった。またCommunicationの論理の. 背景には, ○の局面での学習成果(磁石に付く物・付かない物の分額結果,色・形・かた Thinking・ Proeessに関 さ等を観点とした観察事項など)があるため,同時にRational Communication 活動に蘇らずとも「○・ する評価も可能であった。加えて ×を両脇に 付した紙上での,磁石に付く物・付かない物の分摂結果+により,分類能力を評価できるo. 児童によってほ,非金属を磁石に付かない物としてすばやく選択していた。これらの児 童の活動は既知の概念(金属・非金属概念)を用いて分類操作を行なった事例として, Concepts領域の評価対象となる。さらに彼らの活動ほ磁石により金属を鉄・非鉄金属弁別する学習へと進展していった。 ②でほ,磁石の遠隔操作を中心に学習を展開した。児童には言語を用いず具体的操作と して,遠隔操作を演示してもらった。前時(○の局面)での遠隔操作の経験から,各自と. もに抵抗なく,磁石と鉄の間に物をはさみ遠隔操作を行なっていたo児童の中には「磁石 で動かす+ことと「磁石を動かす+操作を混同している老がいたが,回りの友達から, Communicatinを通じ的確な助言を得ていた。磁石の力は物を隔てても働くというConceptほ言語で表現できなくとも具体的操作として理解しているものと解釈する。 ③では,磁石の吸引と反挺の違いについて,言語(口頭発表)あるいは浜示という形で, Communicationが行われた.. Communication. の中には,. 相互の吸引・反擬払関する違いの観察事項)も含まれており,. ○の局面での学習経験(磁石 Rational. Thinking. Pro・. cessについても評価でき●た。 以上述べたように△・ □の局面(① となり,また. Communication. ・③・ ③)を通じてCommunicationが評価の中心 ProcessやCon・ の活動の中にほRational Thinking. Communicationの手段として,言語を用 ceptsの評価対象となる活動が含まれていた. いる場合と具体的操作による演示の2方法があろう。しかし低学年理科における授業場面 Communication 活動が有効であることがわか では,言語より具体的操作を媒介とした ったo. もちろん本授業において言語による. 紘,磁石の吸引・反顕を「なかよしさん+. Communication. も行なわれたが,その内容. 「けんかさん+とした程度の,児童の生活言語.

(20) 森本信也・松森靖夫・堀田尚栗. 194. をそのまま取り入れた日常場面での表現に限られていた。 Attitudesの領域では○の局面と同様,各自ともに45分間楽しそうに活動しており,好 奇心と持続性を十分示したものと評価できる.. Commtlnicationが活動の中心であったた. め,非常に積極的な挙手が見られたこともAttitudesの評価となった。 (3)低学年理科・評価内容分析表の妥当性について. 表4の評価内容分折蓑に基づき,低学年理科授業の評価を実施してきた。本節では分折 表の妥当性を吟味すると同時に,本蓑による評価活動上の問題点を指摘し,より効果的な 分析表へと修正を加える。. 表4の評価内容分折表の評価内容ほ,上述したように児童の学習活動を評価する上で十 分な妥当性を有すると言える。しかしながら分折表構成の枠組には次のような問題点①③が挙げられる。 表4の評価内容分折表では各目標領域が並列的に位置づけられているが,実際の授業場 面でほ・--・. ①. ○の局面ではManipulationに関する活動が中心であり. Rational. ②. Thinking. Process,. Concepts,. Attitudesが内包されている.. ○の局面ではManipulationが中心になるため, ○の局. 亘コ'.. Manipulationの中に. Commtmicationに関する活動. RationalThinkingProcess. ・観察 ・分類. ・測定 Manipulation. ・推論. Concepts. Attitudes. ・口の局面. ● ●. RationalThinkingProcess. ・観察 ・分芙琵・. ]co. mmunication. ・卿定 ・推論. Concepts. 図l. 低学年理科、評価内容分析表の再構成. Attitudes.

(21) 低学年理科学習評価に関する考察. Oの局面.i. 195. Rational Thirlking Process ・観. 察. ・分. 封 定. ・測 ・推. Manipulation. -材料-. 論. ●新(7f三孟去帽石…慧). Concepts. ・釘(4本) ・クリップ(4個) ・鉄棒(2串・-・・1本は黒くぬって てある). ・磁石につくもの・つかないもの ・遠悶操作. ・スチールウール・銅棒. ・塩の存在 化 ・磁 ・磁石の力. ・アルミ板. ・スポンジ. ・鏡. ・毛糸. ・布・ガラス ・銅板・?ム. ・磁石の相互作用(吸引・反常). ・木. Attitudes. 好奇心と持続性を示す. △・ロの局面 -. r---. 暮. --. -. --. --. -. -. --. -. 簸鹿. -. 1. J. :≡ ≡……三…三……皇…喜…宣言≡曇 l. 済ただし、. I. ◎、 ③は涜示. L_________________+ Rational. 0.観 CoTn7rltJnication. Process. ●砲石につくものとつかないものの違いを. 見分ける(課題①). o非言語的活動(演示する). (形・色・かたさ(手ぎわり)). ・磁石につくもの、つかないものを. 発表する(課題①) (1つずつ持ち上げる). ・砥石相互の吸引と反損の違いを見分ける. (課題③)。 0分. ・演示する(課題②・③) 0言語的活動 ・祐石につくもの、つかないものの 遠いを膏う。. (磁石につく=「鉄+)、. Thinking. 察. 類. ●金属き非金属 ・鉄と非鉄金属(課題①)。. (課題①). ・砥石相互の吸引と反擬の違いを言 う。. (「なかよL書ん+と「なかよしきん じゃないほう(けんかさん)+があ る). Cbncepts. ●磁石につくもの、つかないもの(課題①) 非金属については迷わず×(つかない). ・遠隔操作. ●磁石の相互作用(吸引・反粒)、 (課題③) lI. 両極のちがい AttittJdes. 回2. 低学年理科r磁石J教材にお()古評価内幸. ①、 ③) ・好奇心や持続性を示す(課題①、.

(22) 森本信也・松森靖夫・堀田尚美. 196. ほほとんど存在せず,学習者にもその意識ほ薄い。 ③. △. I. Commtlnication. □の局面でほCommtlnicationに関する活動が中心であり,. の中に,. Rational. Thinking. Concepts,. Process,. Attitudesが内包されている。. これらの問題点をふまえて,評価内容分折表の枠組を再構成したのが囲1である。 ○の局面では評価の中心にManip11lationを,また△ □の局面ではComminication ・. をその中心に置いた。.そしてそれぞれのもとにRational. Tllinking. Process,. Concepts,. Attiudesを位置づけた。. 本研究の総括として,新たに再構成された評価内容分折表を用いて,低学年理科「威石+ 教材における評価内容の具体例を図2に示す。. 結. 請. 本稿では低学年理科の学習活動を中心に,授業評価のあり方について論じてきた。実験 授業の結果から,評価内容分折衷の個々の項目が評価の観点として妥当であり確かな評価 活動が行なえることが明らかになった。 現在,低学年理科には明確な理念に基づく評価プログラムが欠如していることをはじめ の問題点として挙げたが,本稿で述べた評価内容分折表の諸内容・枠組ほ,望ましい低学 年理科評価活動ののための1つの指針となろう。 今後,磁石教材に限らず,他ゐ単元でも本評価プログラムの妥当性が検証されなければ ならないように思われる.. <謝. 辞>. 本研究を行うにあたり,実験投業を許可して下さった千葉県日出学園副園長熊沢淡先生, 同学園小学部部長佐川弘先生,並びに快く授業の場を提供して下さった長谷川光枝先生に 深く感謝の意を表したい。 引用文献ならびに注. 2. 文部省:小学校学習指導要額1977 板倉聖宣「日本理科教育史(付・年表)+. 3. 栗田-艮「理科学習における自由試行の意義と問題点+. 1. PP.. 1981. 279-290,第一法規, PP.. 理科の教育,東洋館出版社. 9-13. 1983.1. 4)武村重和/授業技術研究所編「理科授業研究1 17,明治図書,. 5) 6) 7). 8) 9). 「科学遊び+を入れた理科授業の改善+. PP. 13-14,岩波書店, カイヨワ「遊びと人間+清水幾太郎他訳, ∫.ピアジェ「遊びの心理学+大伴茂訳■, PP. 51-57,寮明書房, 滝沢武久「子どもの思考と認識+ P. 30,童心社, 1979 前掲書7) PP. 39-41 D.. Hawkins. ・6-. ''Messing. About. in. Science”,. PP.. 5-. 9,. 1983 1982. Science. and. Children,. 1965. 10). PP. 1982. 「水ネズミ君の哲学+とほ,水ネズミがポートに乗り,ただひたすらのらりくらりすること. Feb・.

(23) 低学年理科学習評価に関する考察 (Messing. about. in. 197. boats)をさしている.ホーキンスほ,永ネズミの寓話を論文の冒頭で紹介. している。. ll)前掲書3) Science 12) "Elementary McGraw・Hi11 13) "The Company,. 14). Study”, Evahlation. Webster Program. Division, for. McGraw ESS'',. Hill. Webster. BookCompany,. Division,. McGraw・tli11. 1974. Thinking Process''を文字通り直訳すれば「合理的思考のプロセス+となる。し かしながら,その意味をより明確に表萌するため,本稿でほ敢て「科学的思考のプロセス+とい ``Rational. う訳語を与えた。. 15) 16). "Science-A opcit・. Process. 9). Appz・oach''Ⅹerox. Corporation,. 1968. 1968.

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参照

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