Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
№19:小児の有色歯面プラークに含まれる細菌種と齲
蝕経験歯数の相関
Author(s)
永井, 宜子; 桜井, 敦朗; 本間, 宏実; 田中, 公子; 新
谷, 誠康
Journal
歯科学報, 114(3): 292-292
URL
http://hdl.handle.net/10130/3327
Right
目的:小児の口腔に認められる歯面プラーク(バイ オフィルム)は多くの場合白色だが,時に黄色やオ レンジ色のプラークを認めることがある。一般的に は有色プラークは,嫌気性グラム陰性桿菌が入り込 んだ成熟プラークであると考えられる。しかし,小 児のプラークに含まれる細菌種の詳細や色の差異に よる構成細菌の変化についての研究は少ない。本研 究では同一小児から採取した有色プラークと白色プ ラークに含まれる細菌種を明らかにし,口腔内の状 況との相関を検討した。 方法:有色歯面プラークを認める患児に対して,有 色および白色プラークを採取した。DNA を抽出 し,PCR 法によっ て 特 定 の 菌 種 の 有 無 を 判 定 し た。本研究で対象とした菌種 は Streptococcus mu-tans, S. sobrinus, S. sanguinis, S. gordoniiおよび,歯 周病原性菌とされる Porphyromonas gingivalis(Pg), Tannerella forsythia(Tf),Treponema denticola(Td), Aggregatibacter actinomycetemcomitans(Aa)の8菌 種である。本研究の手法は東京歯科大学倫理委員会 の承認を経て行った。 結果:本研究では12歳以下の小児29名からプラーク を採取した。対象小児において菌種別の検出率は S. sanguinisが74%と最も高く,S. sobrinus が4%と 最も低かった。オレンジ色プラークを保有する小児 で最も低年齢なのは5歳であった。齲蝕原性細菌2 種は白色プラークで,歯周病原性菌4種は有色プ ラークで高頻度に検出される傾向にあったが有意差 は認めなかった。齲蝕経験がある小児は齲蝕原性細 菌の検出率だけでなく,歯周病原性細菌の検出菌種 数が有意に高かった。有色プラークは白色プラーク よりもやや多くの菌種が検出されたが,齲蝕経験の ある患児の白色プラークからは齲蝕経験のない患児 の有色プラークよりも多くの菌種が検出される傾向 があった。 考察:本研究の結果は,低年齢児の口腔内の状況 が,将来の齲蝕だけでなく歯周病のリスクにも強く 影響しうることを示している。小児期からの口腔管 理が将来の口腔疾患の予防に重要であり,さらに齲 蝕経験歯数の多い小児については将来の口腔疾患の リスクに対しても適切な指導が必要であると考えら れる。 目的:超音波切削器具は,回転切削器具と比較して 神経,血管,粘膜などの軟組織に対する侵襲が少な いため,その有用性が広く知られている。しかし, 超音波切削器具による骨の創傷治癒についての基礎 的研究は殆どなされていない。そこで,本研究は超 音波切削器具を用いた骨の創傷治癒過程を観察し た。 方法:実験には13週齢の雄性 SD ラットを用いた。 実験群は超音波切削器具(SURGERY FALCON, 長田電機工業)を用い,切削条件を出力12W,周波 数28.8±0.2kHz,チップ先端をφ1.2mm とした。 対照群は回転切削器具(CYCLON Z,シーフォー ス)を用い,φ1.2mm のラウンドバー,回転速度 800rpm とした。 殺直後の大腿骨長軸に対し直交 方向に溝状の骨欠損を形成した後に,通法に従い標 本を作製した。その後,走査型電子顕微鏡(SEM, SU6600,日立)及び三次元解析走査型電子顕微鏡 (3D-SEM,ERA-8900FE,エリオニクス)にて切 削面を観察し表面形状を評価した。また,超音波及 び回転切削器具により,頭蓋骨に溝状の骨欠損(幅 1.2mm,深 さ0.6mm,長 さ4mm)を4本 作 製 し た。術後3,7,14,21日目に 殺し,H-E 染色標 本を作製して骨の治癒過程について組織学的評価を 行った。本実験は東京歯科大学動物実験倫理委員会 の承認を受けている(263001号)。 結果:SEM による切削面の観察では,実験群の切 削面は鱗状の粗造な面を呈しており,ハバース管断 端は殆ど認められなかった。一方,対照群では切削 面は滑沢であり,ハバース管断端が明瞭に認められ た。3D-SEM による表面粗さ(Ra,Sa)を検討し た結果,Ra(μm)については実験群,対照群それ ぞ れ が0.38±0.19,0.18±0.04,Sa(μm)に つ い ては0.45±0.18,0.20±0.04となり,実験群が有意 に大きかった。H-E 染色標本において3日例及び7 日例では両群共に骨切削部に血 の残存が観察さ れ,仮骨の形成は3日例では認めなかったが,7日 例では一部認められた。14日例では,両群共に未成 熟な新生骨が観察された。21日例では両群共に成熟 した新生骨が観察された。 考察:SEM 及び3D-SEM の所見では,切削面の性 状は実験群が粗造であり骨への侵襲が対照群に比べ て大きい傾向が見られた。しかし,治癒過程の H-E 染色像所見では,超音波切削器具は回転切削器具と 同様な新生骨の形成が認められた。