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ICMPを用いた可用帯域推定の提案と評価

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 77 回全国大会. 6D-07. ICMP を用いた可用帯域推定の提案と評価 西川. 由明†. 耕介†. 野上. NEC クラウドシステム研究所†. 事業者の収益にとって、いかに快適なサービ スをユーザに提供するかが重要であるという認 識が広まっている。Amazon.com では商品ページ の表示が遅れると、売上が減少するという実験 結果が公表されている。インターネットにおけ る通信サービスは他の事業者のネットワークを 経由するので、事業者は他の事業者のネットワ ークの品質を把握し、接続するネットワークを ユーザが快適となるように選択する必要がある。 快適さを決定する指標の1つとして、ユーザ が実際に利用できる帯域である可用帯域がある。 可用帯域とは、通信路中のボトルネックリンク の物理帯域から他者が利用しており使えない帯 域を除いた、実際に利用できる帯域のことであ る。これまで可用帯域を推定する方法として、 pathchirp や PathQuick[1]が提案されてきた。 これらは推定サーバがサイズや送信間隔を調整 しスループットを変化させたパケット群を対象 装置に送信し、対象装置での受信間隔と送信間 隔の変化から可用帯域を推定する方式である。 また、現在一般的に利用されているスピード測 定アプリではある程度大きいサイズのデータを 装置間で送受信し、その受信スループットを計 算している。いずれにしても可用帯域を推定し たい通信路の両端にあるエンド端末に推定用ソ フトウェアを導入し推定を行う。 しかし、他事業者のネットワークには推定用 ソフトウェアの導入が困難であり、ソフトウェ ア導入なしに可用帯域を推定する方法が求めら れる。そこで、本稿では端末へのソフトウェア 導 入 不 要 な Internet Control Message Protocol(ICMP)を用いた可用帯域推定方式を提 案する。echo request メッセージを送信し、自 動応答される echo reply メッセージの RTT を用 いて推定を行う。ICMP に応答する対象装置とし て、ネットワークに必ず存在するネットワーク 機器を利用する。提案方式では、対象装置での. 応答制限の有無や応答遅延などの応答特性が方 式の実現性や推定精度に大きな影響を与える。 そこで筆者らは前述の PathQuick の応用による 実装を行い、テスト環境での評価を行った。今 回 、 そ の 評 価 結 果 と ネ ッ ト ワーク機器による ICMP の応答特性、今後の課題について報告する。. 2. 提案方式 ICMP を用いた可用帯域推定方式について図 1 を用いて説明する。推定サーバが対象装置へプ ローブパケット列を送信する。この時プローブ パケットを一定間隔で送信し、徐々にサイズを 増加させることで、パケットごとに送信レート を上昇させる。今回このプローブパケット列を ICMP Echo request で構成した。Echo request を受信した対象装置は自動的に Echo reply を応 答し、これを推定サーバが受信する。推定サー バではこの echo request/reply の Round Trip Time(RTT)を記録する。 次に推定アルゴリズムについて図 2 を用いて プローブパケット ICMP echo request 下り方向. 推定 サーバ. 対象装置 上り方向. ICMP echo reply. 図1. ICMP を用いた推定方法の概要. 4 3. RTT (秒). 1. はじめに. 2 1 0. Proposal and Evaluation of Estimating Available Bandwidth Using ICMP †Yoshiaki Nishikawa, Kousuke Nogami NEC Cloud System Research Laboratories. 0 図2. 3-41. 50 100 送信レート(Mbps). 150. 推定アルゴリズムの概念. Copyright 2015 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 77 回全国大会. 説明する。プローブパケットの送信レートを増 加させると、レートの増加に従って RTT も増加 する。しかし送信レートがボトルネックリンク における可用帯域を上回るとキューイング遅延 が増加し、RTT の上昇が著しくなる。RTT の傾き が変化したプローブパケットの送信レートをボ トルネックリンクにおける可用帯域と推定する。 今回は簡易に実現性を評価するため、傾きの変 化点を二層の最小二乗法を用いて探索する。 本方式では対象装置がパケットの受信ごとに 遅滞なく応答することを前提としている。その ため、もし装置の設定により echo request に対 する応答が制限されている場合は推定を実現で きない。また装置が即座に応答しない、または 複数の echo request に対してバースト的に応答 する場合は推定精度の劣化が懸念される。. 図3. 10回の平均推定値(Mbps). 平均推定値. 3. 実験 提案方式の実現性と推定精度の確認のために テストネットワークにおける評価実験を行った。 図 3 にネットワークを示す。推定サーバと対象 装置の間に 100Mbps のスイッチを設置すること でボトルネックリンクを作成した。プローブパ ケットの個数は 100 個、探索範囲は 10Mbps~ 120Mbps までとした。対象装置として入手のしや すさから主に家庭向けの無線 LAN ルータで A/B/C の 3 社の最新の機種を用意し、WAN 側からくる echo request に対する応答特性を評価した。ネ ットワークの外側からくる ICMP パケットは攻撃 である場合があり、既定では無視するように設 定されている場合が多いため、今回はできるだ け応答するよう設定した。 まず、応答特性の評価結果を説明する。A 社の 装置ではすべての echo request に応答を返した。 B 社の装置では 100 個の echo request に対して 5 個の echo reply を応答した。C 社の装置では 応答するように設定を変更することができなか った。 B 社の装置のように応答数が絞られている場合 には、応答数に応じてプローブパケット数を調 整することで対応できる。一方 C 社の装置のよ うに全く応答しない場合は推定を実現できない。 次に、応答特性の良好な A 社の装置を用い、 Iperf を用いて UDP で 0Mbps~80Mbps のクロスト ラヒックをかけた環境で可用帯域の精度を確認 した。結果を図 4 に示す。各クロストラヒック の送信レートごとに 10 回ずつ推定し、その平均 値を表示している。クロストラヒックの送信レ ートが 20Mbps から 60Mbps の範囲では推定誤差 が 5Mbps 以下であり、高い推定精度である。他. 3-42. テストネットワーク 真値. 120 100. 誤差5Mbps以下. 80 60 40 20 0. クロストラヒックの送信レート. 図4. 推定精度. の送信レートの領域で誤差が大きい。これは変 化点の探索に二層の最小二乗法を用いたためで ある。推定範囲の両端付近では最小二乗法に用 いる点数が少なくなるため、安定した結果を得 られなかった。探索手法を改善することでより 精度を高めることができる。. 4. おわりに ICMP を用いた可用帯域推定を提案し、テスト 環境での実験により実現性と精度について評価 した。装置ごとに ICMP に対する応答特性は異な るが、応答するものが多く高い精度で推定可能 である。ただし、ICMP に応答しない装置は存在 するので、今後は ICMP に応答しない装置でも精 度よく推定する方法を検討していく。. [1]. 参考文献 Oshiba, T.; Nakajima, K., "Quick end-toend available bandwidth estimation for QoS of real-time multimedia communication," Computers and Communications (ISCC) 2010, pp.162,167, 22-25 June 2010. Copyright 2015 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(3)

図 1  ICMP を用いた推定方法の概要

参照

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