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急激な経過を取った労作性熱射病の1例

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Academic year: 2021

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仙台市立病院医誌 24,167,2004  索引用語 労作性熱射病  非高温環境  低体温療法

急激な経過を取った労作性熱射病の1例

近岡秀二,今井香織,早坂

はじめに

 熱射病は高温環境下で発症する印象を持つ医療 従事者が多いと思われる。今回我々は非高温環境 下で発症し急激な経過を取った労作性致死性熱射 病の一例を経験したので報告する。 症 例  12歳の男性。生来健康であった。8月18日正午 過ぎより学校体育館でバスケットボールの練習を していた。途中で調子が悪そうだったが休憩をし ながら練習を続けていた。15時20分過ぎにしゃ がみ込み,嘔吐及び意識消失が出現したため当院 救急外来を受診した。なお15時時点の仙台市は雨 で,気温21度2分,湿度86%だった。  初診時所見:JCS 300,脈拍170/分,血圧98/45 mmHg,体温40.8度,全身冷汗あり。  画像所見:頭部CT異常なし,胸部写真異常な し。  血液検査:別表参照  入院後経過:高体温である事より労作性熱射病 と診断し,①冷却ブランケット,冷却生理食塩水 胃内注入等による冷却②人工呼吸管理③グリ セオール④デキサメタゾン⑤ミダゾラムにて 治療を開始。入院後数時間でDIC所見, AMY/ GOT/GPTの上昇が出現したためウリナスタチ ン,メシル酸ガベキサートの投与を開始した。体 温は各種冷却により速やかに低下したため以後冷 却を中止した。血圧低値のため昇圧剤を使用した が低めで推移した。入院後乏尿でありアルブミン 補充及び利尿剤を使用したが反応は悪かった。19 日にFDP 1,109μg/d1と著増しており肝腎機能 は更に増悪し,CTにて脳浮腫が認められた。意識 レベルはJCS 300のままだった。19日昼過ぎに心 肺停止を来たし,心肺蘇生,経皮的心肺補助装置 (PCPS),大動脈内バルーンパンピング(IABP), 血漿交換及び持続血液透析(CHD)を開始した。し かしながらその後も乏尿が続き意識の回復は無 かった。20日と21日に施行した脳波及び聴1生脳 幹反応にて臨床的脳死と診断した。改善の見込み が無く,ご家族の延命治療を望まない意志があっ たことから21日にPCPSを中止し,同日永眠さ れた。 考 察  熱射病は熱中症の最重症型であり,高温環境下 での労作に伴う40度以上の高体温,中枢神経症状 を以って診断される。しかし本例のように高温環 境以外での激しい運動による発症例が近年注目さ れている。熱射病は急激な経過を取り予後が不良 であるために,積極的な治療が必要である。高体 温による多臓器障害が重要であるため,冷却ブラ ンケットや冷水浴等による早期の低体温療法が極 めて重要である。また一般の方々,特に運動指導 者に対して,高温環境下でなくとも熱射病が発生 することを啓蒙する必要があると思われる。 仙台市立病院小児科 Presented by Medical*Online

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