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NSAIDs と腎障害

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1.緒言

非ステロイド系消炎鎮痛剤(non-steroidal anti-inflammatory drugs: NSAIDs)は高齢化に伴い処 方頻度が上がっており、どの科においても繁用され ている薬剤の一つとなっている。一方で副作用、こ とに腎障害に関しては認識が十分であるとは必ずし も言い難い。近年高齢化や生活習慣病の増加に伴い 潜在的腎機能低下を有する患者は増加しており、慢 性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)患者は 1,330 万人と推測されている1)。腎機能低下は自覚

症状がないため本人・家族とも認識していないこと も珍しくはないが、高齢者ではNSAIDs 投与は腎 機能低下のリスクを高める2)。NSAIDs による腎障 害の特徴と処方に際しての留意点等について、薬剤 性 腎 障 害(drug-induced kidney injury: DKI) の 総論を含め各種ガイドラインに基づき概説する。 2.薬剤性腎障害総論 1) 定義と診断基準 薬剤性腎障害診療ガイドライン3)によるDKI の 定義、診断基準、治療を表1に要約する。DKI と は「薬剤の投与により、新たに発症した腎障害、あ るいは既存の腎障害のさらなる悪化を認める場合」

総説

非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)と薬剤性腎障害

中山謙二 国立病院機構仙台医療センター 腎臓内科 抄録  薬剤性腎障害はどのような薬剤でも起こり得る。自覚症状がないまま腎不全が進行する例も珍しくはない ため、腎機能と尿所見の定期的検査が早期診断につながる。血清クレアチニン値の前値からの150%の増加 や蛋白尿の出現・増悪を認めた際は必ず薬剤性腎障害を疑い、薬剤使用歴・腎障害発生時期を確認し被疑薬 を中止して経過を観察する。非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs) は薬剤性腎障害の主な原因の一つであり、 シクロオキシゲナーゼ阻害による腎前性の急性腎障害、電解質異常に加えてアレルギー性尿細管間質性腎炎、 免疫を介する糸球体障害等の多彩な腎障害を呈する。投与に際しては基礎に慢性腎臓病や心・肝不全がないか、 新たに脱水に傾く病態の合併がないか、レニン・アンギオテンシン系(RAS) 抑制薬や利尿剤等の腎障害リス クの高い薬剤の併用がないか等を検討する。軽度であっても腎機能が低下している症例ではNSAIDs の投与 量と投与期間は必要最小限とし、必ず腎機能をフォローする。腎障害が発症した場合は十分な補液とドパミ ン等での腎血流保持で対処するが、改善不十分もしくは糸球体病変や尿細管間質性腎炎を疑う場合は、早期 にステロイド治療を含め腎臓内科に相談することが望ましい。 キーワード:NSAIDs、急性腎障害、電解質異常、尿細管間質性腎炎、糸球体病変 薬剤 の投与により, 新たに発症した腎障害 ,あるいは 既存の腎障害のさらなる悪化 を認める場合 ①該当する薬剤の投与後に発生 ②中止により腎障害の消失,進行の停止 ③他原因が否定できる場合 該当薬剤を可能な限り早期に同定し,中止すること ※被疑薬中止ででも腎障害が遷延した場合ステロイドを考慮

表1.薬剤性腎障害(drug-induced kidney injury; DKI)

定義

診断

治療

*早期発見に必要な検査:血清Cr, BUN, 一般検尿(, Na, K, Ca, 尿酸) ・ 腎毒性医薬品使用時には尿中NAG, β2-MG or α1-MG *急性腎不全の確定した定義は存在しないが、「血清Cr値が前値の150%

以上に上昇する」を基本と考えると簡潔

薬剤性腎障害の診療ガイドライン作成委員会:薬剤性腎障害診療ガイドライン㻞㻜㻝㻢㻌

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と定義される。診断基準は、1.該当する薬剤の投 与後に新たに発生した腎障害であること、2.該当 薬剤の中止により腎障害の消失、進行の停止を認め ること、の両者を満たし、他の原因が否定できる場 合である。ただし、 ① 薬剤投与から発症までの時間が個々の薬剤で異な ること。 ② 既存の腎障害の存在などにより、診断に難渋する こと。 ③ 原因と推定される薬剤も複数が該当し、確定診断 は困難なことが多々あること。 ④ ときに腎障害が固定して改善しないこと、長期に わたり緩徐に進行する場合があること。 以上の問題点もあり、薬剤性腎障害の診断ならびに 原因薬剤の特定がしばしば困難となる。 臨床症状としては初期は無症状であるが、腎機能 低下の進行により体液貯留症状(浮腫・心不全・肺 水腫等)や消化器症状(食欲不振・悪心・嘔吐)、 神経症状(意識障害・痙攣)が出現する。薬剤過敏 性腎障害では発熱・皮疹等の全身症状を伴うことが ある。しかし自覚症状を呈しないまま腎不全が進行 する症例も少なくないため注意が必要である4)。 腎障害の検査所見に関してはいわゆる「急性腎不 全」の確定した定義は存在しない。近年急性腎障害 (acute kidney injury: AKI)の概念が整備され、こ れに準じてもよいが、「血清クレアチニン(sCr) 値が前値の150%以上に上昇する」を基本と考える と簡潔である。sCr 値が上昇傾向にあり、前値の 150%以上に達する可能性が大きい場合も急性腎不 全と考えるのが早期診断につながる。尿細管障害の 早 期 発 見 に は 尿N-acetyl-β-D-glucosaminidase (NAG)や尿 liver-type fatty acid-binding protein (L-FABP)等が有用である5)。尿中好酸球はアレ ルギー性機序、免疫学的機序による急性尿細管間質 性腎炎(acute tubulointerstitial nephritis: ATIN) で検出される場合があるが、疑陽性率が高く、薬剤 性腎障害診療ガイドラインでは診断に有用なバイオ マーカーとしての推奨はされていない3)。陽性の場 合は急性尿細管壊死を否定できる可能性がある。薬 剤性急性腎不全の診断については、厚生労働省重篤 副作用疾患別対応マニュアルが参考になる6)。 2) 薬剤性腎障害の機序 腎が薬剤の障害を受け易い理由としては、a)血 流量が豊富である、b)血管表面積が広い、c)尿濃 縮機構を有している、d)物質の再吸収、分泌を行っ ている、等が挙げられる。特に尿濃縮により、髄質 深部、乳頭部では薬剤は極めて高濃度となり腎障害 を惹起する7)。薬剤性腎障害の機序は以下の如く分 類される。 Ⅰ.直接型: ① 中毒性腎障害;用量依存性に発症する腎構成細胞 障害(特に近位尿細管) ② 過敏性腎障害;用量非依存性でアレルギー機序が 関与するATIN ③ 免疫機構を介して起こる腎障害;液性もしくは細 胞性免疫を介する糸球体病変(微小変化、膜性腎 症)や血管炎 Ⅱ .間接型:腎血流障害や電解質異常などを介した 間接毒性 Ⅲ .閉塞型:低溶解度薬剤の遠位尿細管・集合管で の結晶析出を介した尿路閉塞性腎障害 また腎の障害部位に基づき、①糸球体障害、②尿 細管障害、③腎間質障害、④腎血管障害に分類する ことも可能である。各障害部位と臨床症状、代表的 な原因薬剤を表2に示す。 3) 薬剤性腎障害の疫学 厚生労働科学研究腎疾患対策事業の「高齢者にお ける薬剤性腎障害に関する研究」における2007 年 ~2009 年の薬物性腎障害実態調査8)によると、腎 臓専門医施設における全入院患者のうち、0.94% が 表2.薬剤による腎臓の障害部位と臨床症状 障害部位 病態 臨床症状 障害を来しやすい薬剤 輸出入細動脈 腎血行動態の変化 腎前性腎不全 利尿剤 RAS抑制薬 非ステロイド系抗炎症薬 造影剤 カルシニューリン阻害薬 溶血性尿毒症症候群 急性腎不全 溶血性貧血 血小板減少 カルシニューリン阻害薬 マイトマイシン 糸㻌 㻌 球㻌 㻌 体 微小変化型 ネフローゼ症候群 蛋白尿 非ステロイド系抗炎症薬 ペニシリンなどの抗菌薬 膜性腎症 ネフローゼ症候群 蛋白尿 非ステロイド系抗炎症薬 DMARD(ブシラミン・ペニシラミン・金製剤) 尿細管 ・ 間質 尿細管間質性腎炎 腎性腎不全 ペニシリンなどの抗菌薬 非ステロイド系抗炎症薬 シスプラチン 急性尿細管壊死 腎性腎不全 シスプラチン 造影剤 アミノグリコシド系抗菌薬 表2.薬剤による腎臓の障害部位と臨床症状

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薬剤性腎障害によるものであり、36.5% が非回復で あった。原因薬剤として、NSAIDs(25.1%)、抗 腫瘍薬(18.0%)、抗菌薬(17.5%)、造影剤(5.7%) が挙げられ(図1)、直接型、過敏型、混合型で分 類すると54.6% が「直接型腎障害」であった。薬 剤性腎障害の治療の基本は該当薬剤を可能な限り早 期に同定し、中止することであるが、この調査では 治 療 と し て 被 疑 薬 の 中 止(38.2%)、保存的治療 (30.4%)が多く、ステロイド治療は 11.3% に実施 されていた。 3.NSAIDs による腎障害 1) 機序と特徴 前述の調査の如くNSAIDs は薬剤性腎障害の主 たる原因の一つである。処方頻度が高いこともあり ほとんどの報告で原因薬剤の上位に入る9) 10)。 NSAIDs の主な効果は、炎症局所におけるプロ スタグランディン(prostaglandin; PG)の産生阻 害である。組織が損傷されると、ホスホリパーゼ A2 により細胞膜のリン脂質からアラキドン酸が遊 離される。NSAIDs は遊離されたアラキドン酸か らPG を合成する経路の律速酵素であるシクロオキ シゲナーゼ(cyclooxygenase; COX)の働きを阻害 することにより抗炎症・鎮痛作用を発揮する11)。 腎においてPGE2、 PGI2 は糸球体輸入細動脈を始 めとする腎血管拡張・腎血流の維持に関与している ため、NSAIDs 投与によりこれらの PGs 産生が阻 害され腎血流量と糸球体濾過量が減少し腎機能が低 下 す る と 考 え ら れ る12)。 電 解 質 に つ い て も 腎 内 PGs は尿細管での Na 再吸収、集合管での ADH に よるH2O 再吸収を調節しており、NSAIDs 投与に よるPGs 抑制により Na および H2O が貯留し、浮 腫や低Na 血症が起こりえる。また遠位尿細管で のアルドステロン作用を抑制し、高K 血症をきた す13)。片腎を含む慢性腎疾患、うっ血性心不全、 腹水を伴う肝硬変、または循環血流量が減少してい る患者では、レニン・アンギオテンシン系(RAS) 及び交感神経系の活性化による腎血管収縮に対して 血管拡張系PGs 産生が代償的に亢進している。こ れらの患者にNSAIDs を投与すると腎血行動態が 破綻し、腎前性AKI・Na 貯留と浮腫・高 K 血症 を起こすことがあるため注意を要する14)。 薬剤性腎障害ガイドライン3)によると、腎機能 正常者の術後疼痛緩和目的でのNSAIDs 短期間投 与では、術直後にクレアチニンクリアランスの優位 な低下を認めるものの臨床上重大な腎機能低下には 至らないが15)、一方でNSAIDs 投与・非投与患者 間でのAKI 発症のプール解析では、大半の古典的 NSAIDs は相対危険度の有意な上昇(RR 1.58-2.11) が確認されている16)。CKD 患者への NSAIDs の 長期投与は、通常量ではCKD 進展リスクにはな らないが高用量では進展に関連するとの解析があ り17)、高齢者やCKD 患者では NSAIDs は腎機能 低下のリスクであると考えられる18) 19)。中等度以 上の腎機能低下(eGFR < 30ml/min.)症例への投 与は禁忌であり軽度腎障害であっても過量投与や漫 然とした連用は避けるべきである。 日常臨床で遭遇するもっとも一般的な腎障害は腎 血流低下によるAKI であるが、NSAIDs はそれ以 外にもⅣ型アレルギー機序によるATIN、免疫機序 による糸球体障害、腎乳頭壊死等様々な腎障害を惹 起し、腎虚血が持続すれば急性尿細管壊死に至るこ ともある。NSAIDs による ATIN では古典的三徴(発 熱・皮疹・好酸球増多)を呈することが少なく、投 与から発症までの期間が抗生剤等での7 ~ 10 日間 に比して6 ~ 18 か月と長いとされる20)。 NSAIDs に特徴的な腎障害として尿細管間質性 腎 炎 を 併 発 し た ネ フ ロ ー ゼ 症 候 群(NSAID nephropathy)があり21)COX 阻害下でリポキシ ゲナーゼを介するロイコトリエン産生が増加し、糸 球体及び尿細管周囲毛細血管の血管透過性を亢進さ 図1.薬剤性腎障害の疫学と被疑薬

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せる機序が想定されている13) 22)。一般的なアレル ギー性ATIN と共通の過敏性機序による連続した 疾患と扱う立場がある23)が、現時点で異同に関す る結論は明らかではない。 なおシクロオキシゲナーゼにはCOX-1 と COX-2 の2 つのアイソザイムが存在する。COX-1 は大部 分の正常細胞や組織に定常的に発現し、身体機能の 維持に関与している。一方、COX-2 は炎症等に伴 いサイトカインや炎症メディエーターによって局所 に誘導される。しかしながら腎臓では両者とも定常 的に発現し、恒常性に寄与している。このためいわ ゆるCOX-2 選択的阻害薬は胃粘膜障害は少ないが、 腎障害については非選択的阻害薬との差は示されて おらず24) 25)、COX-2 選択的阻害薬が腎に対して安 全であるという保証はない。

米 国 で はNational Kidney Foundation が CKD 患者の鎮痛薬としてNSAIDs ではなくアセトアミ ノフェンを第一選択薬として推奨し、アスピリンア レルギー、胃腸障害患者、利尿薬服用者、心疾患、 高血圧、腎臓病、肝臓病患者、65 歳以上の高齢者 は医師の指示なしでのNSAIDs 服用を禁止してい る26)。ただしアセトアミノフェンは他の鎮痛薬と の複合剤の長期大量服用により慢性的な腎乳頭壊 死・石灰化、慢性間質性腎炎による慢性腎不全を来 たすという報告もあり27)、複合剤を含むアセトア ミノフェンの長期投与時における安全性に関しては 明確なエビデンスはない。 2) NSAIDs 腎障害の診断と治療 NSAIDs による AKI 発症の危険因子として利尿 薬の使用・敗血症・ネフローゼ症候群(発症初期) 等による有効循環血液量低下や、慢性腎臓病、65 歳以上の高齢者、造影剤使用などが知られている。 腎前性AKI の予防は十分な水分補給など適切な腎 血流の保持であり、発症した際の対処法はNSAIDs の中止と補液等による腎血流の保持である。診断に 際しては先ず尿一般および沈査、腎機能・血中およ び尿中電解質・血清アルブミン(Alb)・BNP・血 液ガスを検査し、心・腹部超音波や単純CT 等で腎 の形態と血管内外の容量を評価する。理学所見およ びFENa 等から腎前性腎不全と判断されれば十分 な補液を行い、適宜hANP や低用量ドパミン併用 を検討する。Ga シンチ、腎生検は有用ではあるが 原因薬剤の特定につながるとは限らない。高度腎不 全・溢水・高K血症を呈した際は急性血液浄化法が 必要となるが、血管内脱水の状態で体外循環を施行 するのは血圧低下や腎虚血促進のリスクがあり、開 始時期とモード(CHDF か IHD か)に関して確立 された基準はない。また透析は急性尿細管壊死が回 復するまでの代替療法であり原因に対する治療では ないことを認識すべきである。 早期に被疑薬を中止すればNSAIDs による AKI は通常1 週間程度で回復する。重篤な場合でも数 日から数週間で回復することが多い3)。アレルギー 機序による尿細管間質性腎炎の場合は被疑薬の中止 による改善が得られなければプレドニン40mg 程度 のステロイド療法を検討するが、ステロイドの有効 性はconflicting であり20)、一律に投与すべきかに 関して確立されたエビデンスはない。有効例であっ ても被疑薬中止後2 週間以上経過してからのステ ロイド投与は腎機能改善への効果が乏しいとの報告 があり28)、被疑薬を中止し腎前性因子を除外・補 正しても腎障害が遷延する場合は2 週間以内には ステロイドを開始すべきかを判断することが望まし い。その点からも腎機能・尿所見を定期的に検査し、 薬剤性腎障害の早期発見に努めることが重要であ る。ステロイドが使用困難な場合はミコフェノール 酸モフェチルも選択肢となる20)。 近年高血圧・心不全の患者でRAS 抑制薬(アン ギオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)、アンギオテ ンシン受容体阻害薬(ARB))が基礎薬として処方 され、利尿剤が併用されていることが少なくない。 このような患者にNSAIDs を投与すると、RAS 抑 制薬は糸球体輸出細動脈を拡張し、利尿剤は循環血 液量を減少させるためNSAIDs による輸入細動脈 収縮と相まってGFR が低下し急性腎不全のリスク が上昇する(“Triple Whammy”)29) 30)。高齢者で は複数施設から多剤が投与されている場合も多く、 市販薬にはNSAIDs を相当量含むものもあるため 服薬歴には十分な注意が必要である。

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4.症例 NSAIDs により出血性胃潰瘍、ネフローゼ症候群、 急性腎不全を呈した自験例を提示する。 症例:57 歳男性 現病歴:X 年 9 月~腰痛にて NSAIDs(diclofenac; 商品名ボルタレン®)を内服していた。同年10 月 21 日眩暈で某院受診、その際は体重 64kg、sCr 0.97mg/dl、Alb 3.8g/dl であった。11 月 22 日から 腹痛、嘔気・嘔吐、頭痛出現しdiclofenac は内服 を中止していた。 11 月 28 日より下腿浮腫出現し近医受診、ネフロー ゼ症候群を疑われ12 月 2 日某院紹介。受診時全身 浮腫・上腹部圧痛あり、CT 上両腎は腫大傾向を認 め た。 血 清Alb 1.5g/dl、sCr 4.88mg/dl、 尿 蛋 白 10.9g/gCr、BNP 301pg/ml であり、ネフローゼ症 候群の診断で同日入院となった。 検査結果:尿所見、血液検査所見を夫々表3、4 に 示す。 臨床経過(図2):腹痛に対し上部内視鏡検査を施行、 出血性胃潰瘍を認めPPI を開始した。diclofenac では微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)+急 性尿細管間質性腎炎(ATIN)合併(= NSAID 腎症) の報告があり、ネフローゼに対してはステロイド治 療が適応となる。当症例では出血性胃潰瘍があった ため、ネフローゼそのものおよびステロイドによる 過凝固状態からの血栓症合併リスクに対して当初 AT-III 製剤を投与し、その後低分子ヘパリン併用 下にプレドニン40mg を投与した。尿蛋白減少、尿 量増加を得て腎機能は改善、第36 病日腎生検を施 行した。得られた11 個の糸球体に増殖性変化や基 底膜の肥厚はなく、MCNS と判定された。また尿 細管間質では間質浮腫はあるがそれ以外の変化はご く軽度であり、ATIN 合併は否定的であった(図3)。 diclofenac ではいわゆる NSAID nephropathy 以外 に膜性腎症も報告がある31)が、当症例は微小変化 型ネフローゼに血管内脱水等の血行動態を介する機 能的AKI が併発したものと思われた。 図3.腎生検所見(Azan-Mallory染色, x200) 図3.腎生検所見(Azan-Mallory 染色 , x200) 表4.入院時血液所見 WBC 7100 /μl 㻌 㻌T-CHO 302 mg/dl Hb 12.7 (g/dl TG 230 mg/dl PLT㻌 40.1万 /μl HDL-CHO 40 mg/dl PT-INR 0.93 LDL-CHO 210 mg/dl APTT 37.8 sec Na 140 mEq/l AT-Ⅲ 75% K 5.4 mEq/l FDP-D-dimer 2.5 μg/ml CL 109 mEq/l LDH 337 IU/l Ca 7.3 mg/dl CK 581 IU/l iP 5.2 mg/dl TP 4.5 g/dl CRP 0.26 mg/dl Alb 1.6 g/dl BNP 300.8 fmol/ml BUN 64 mg/dl IgG 691 mg/dl Cr 4.88 mg/dl IgA 243 mg/dl UA 8.8 mg/dl IgM 120 mg/dl 㻌 CH50 47.1 U/ml ※感染症(-)、ANA・血管炎マーカー・a/CLβ2GPI・paraproteinは全て陰性 表4.入院時血液所見 図2.臨床経過 表3.入院時尿所見 〈一般〉 〈沈渣〉 比重㻌 1.023 BACT (±) pH 6.0 RBC 1-4/H Glu (-) WBC 1-4/H Pro 1730 mg/dl [10.9g/gCr] 硝子円柱 >50/L Ket (-) 脂肪円柱㻌 1-9/L O.B (1+) 上皮円柱㻌 10-49/L 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 顆粒円柱㻌 >50/L 〈生化学〉 Na / K / Cre 38 / 54 / 160 㻌 FENa 0.828 % β2mG 7631 mg/l α1mG 106.7 mg/l NAG 73.6 U/l 表3.入院時尿所見

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5.結語 薬剤性腎障害につきNSAIDs を中心として概説 した。ことに高齢者では潜在的腎機能低下があるこ とを念頭に、腎障害の予防としてNSAIDs は 1) 必要以上に多く使わない 2)漫然と長く使わない  3)市販薬を含めた併用薬に注意 4)水分を十分 に補給し脱水に注意 5)腎機能と尿所見を確認し ておく 等を勘案の上で処方を検討する。薬剤投与 中の患者で、腎機能の悪化もしくは尿蛋白の出現・ 増悪を認めた際には薬剤性腎障害を必ず疑う。腎機 能・尿沈査及び尿中電解質を測定し、被疑薬を中止 し、その後の経過観察を行う。腎血流を保持しても 改善が不良な場合、また細動脈や糸球体の病変、尿 細管間質性腎炎を疑うときには2週間以内に腎臓内 科に相談するのが望ましい。 拙稿がNSAIDs を始めとする薬剤性腎障害の予 防と対処に少しでも役立てば幸いである。 参考文献 1) 日本腎臓学会:エビデンスに基づく CKD 診療 ガイドライン2018 日腎会誌 2018;60:1037-1193 2) 日本老年医学会 / 日本医療研究開発機構研究費・ 高齢者の薬物治療の安全性に関する研究 研究 班: 高 齢 者 の 安 全 な 薬 物 療 法 ガ イ ド ラ イ ン 2015 メジカルビュー社 2015;95-96 3) 薬剤性腎障害の診療ガイドライン作成委員会: 薬剤性腎障害診療ガイドライン2016 日本腎 臓学会誌 2016;58:477-555 4) 佐藤博:今日の診断指針(第 7 版)医学書院 2015;1107-1108 5) 湯澤由紀夫、伊藤功:尿中 NAG, 尿中β 2 ミ クログロブリン - 尿細管障害・AKI とバイオ マーカー- 日本内科学会誌 2008;97:971-978 6) 厚生労働省重篤副作用疾患別対応マニュアル (急性腎不全、間質性腎炎) http://www.mhlw. go.jp/topics/2006/11/tp1122-le.html. 2019 年 2 月8 日アクセス 7) 草野英二 : 第 108 回日本内科学会講演会教育講 演(10) 薬 剤 性 腎 障 害 日 本 内 科 学 会 雑 誌  2011;100:2646-2652 8) 細谷龍男、大野岩男、川村哲也、他:高齢者に おける薬剤性腎障害の調査、CKD の早期発見・ 予防・治療標準化・進展阻止に関する調査研究 (研究代表者 今井園裕)平成21 ~ 23 年度総 合研究報告書 2012;24-25

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(採択) 」と「先生が励ましの声をかけてくれなかった(削除) 」 )と判断した項目を削除すること で計 83

(( .  entrenchment のであって、それ自体は質的な手段( )ではない。 カナダ憲法では憲法上の人権を といい、