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結合組織再生治療のための,吸収性凍結乾燥PRP スポンジの開発

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Academic year: 2021

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学 位 研 究 紹 介

学 位 研 究 紹 介

【背景と目的】

 多血小板血漿(Platelet-rich Plasma;PRP)は,血小 板由来の増殖因子を豊富に含むことから組織再生療法に 広く応用されてきた。しかし,液状であるためハンドリ ングの難しさや,調製時間の制約から創傷や熱傷といっ た緊急時の対応に課題がある。そこで,先行研究におい て Polyglactin 910 メッシュを基材に複合化した凍結乾 燥 PRP を考案し,長期保存可能な増殖因子供給源とし て創傷被覆に有効であることを報告した。本研究では, polyglactin910 の分解成分は起炎性を持つことから,生 体親和性の向上を目的として,複合化する基材をコラー ゲンスポンジに変更し凍結乾燥 PRP の改良を試みた。

【材料および方法】

 ヒト末梢血から調製した PRP をコラーゲンスポンジ (TerudermisⓇ :10x10x2 mm)に室温で3分間含浸させ, 凍結乾燥処理により PRP スポンジを作製した。4℃で 3週間保存後,実験に供した。PRP スポンジに含まれ る増殖因子は抗体アレイ(Ray Biotech)により,表面 性状と粘弾性はそれぞれ走査型電顕(SEM)と原子間 力顕微鏡(AFM)により評価した。ヒト培養骨膜細胞 の増殖に及ぼす影響について,セルインサートによる培 地添加を行い WST-8 を用いて比色定量的に評価した。 PRP スポンジにヒト骨膜細胞を播種し,細胞形態と細 胞増殖を SEM および組織標本により評価した。また, ヌードマウス背部皮下へ移植し,その組織修復への影響 を免疫化学組織染色(PCNA,αSMA)によって評価 した。本研究は本学倫理委員会で承認された方法に則り 十分な説明と同意のもと行われた。

【結   果】

 凍結乾燥 PRP スポンジのコラーゲン線維表面に多数 の血小板付着と形成されたフィブリンメッシュを認めた (図1)。そのため,コラーゲン単独の場合と比較して水 中で有意に低い粘弾性を示した(22.0kPa vs. 1.87MPa)。 凍結乾燥 PRP スポンジには,凍結 PRP と同等の増殖因 子(e.g., PDGF-BB, PDGF-AB, IGF-2, FGF4)が保存さ れており(図2),培地添加によりヒト骨膜細胞の増殖 を促進した。骨膜細胞を播種した PRP スポンジはコラー ゲン線維の間隙をフィブリンメッシュが覆い,未処理の コラーゲンスポンジに比較して培養 10 日後の細胞定着 は僅少であった。動物移植においては,肉眼的には PRP スポンジへ周囲から主要血管の侵入がみられた。 組織学的には炎症性細胞の浸潤は軽微であり,特に, PRP スポンジ周辺の組織に PCNA,αSMA 陽性の細胞 を多数認め,線維芽細胞の増殖と血管新生を示していた。 移植後4週目で未処理のコラーゲンスポンジに比べ, PRP スポンジ内部では早期に脂肪組織の形成が進んで いた。

【考   察】

 コラーゲンスポンジは厚みのある形状から PRP 含浸 性に優れ,構造的には血小板保持に適性を持つことが観 察された。さらに,凍結乾燥処理後も増殖因子の活性が 保たれることを示している。PRP スポンジに播種した 細胞はフィブリンメッシュに覆われて球状の細胞形態を 示しており,細胞伸展の抑制がスポンジ内部の細胞増殖 を抑制していることが考えられる。生体内においては, 113

結合組織再生治療のための,吸収性凍結

乾燥 PRP スポンジの開発

An improved freeze-dried PRP-coated

biodegradable material suitable for

connective tissue regenerative

therapy

新潟大学大学院医歯学総合研究科 歯周診断・再建学分野

堀水 慎

Division of Periodontology, Department of Oral Health Science, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences

Makoto Horimizu

図1 凍結乾燥 PRP スポンジおよびコラーゲンスポンジの SEM 観察像(*:血小板凝集)

(2)

新潟歯学会誌 44(2):2014 - 46 - 114 周囲組織からプラスミンをはじめとした分解酵素がフィ ブリンを分解するために,PRP スポンジ内部への血管, 細胞侵入を妨げることなく,保存された増殖因子による 組織修復の促進が起こることが示唆される。

【結   論】

 PRP をコラーゲンスポンジと複合化して凍結乾燥す ることにより,生体親和性の向上,起炎性軽減を達成で きた。さらに,凍結乾燥 PRP の生理活性を長期的に保 存できることを示し,臨床的には緊急処置や軟組織再生 療法における適応拡大につながることが示唆された。

【文   献】

1)Nakajima Y, Kawase T, Kobayashi M, Okuda K, Wolff LF, Yoshie H. Bioactivity of freeze-dried platelet-rich plasma in an adsorbed form on a biodegradable polymer material. Platelets. 2012;23:594-603.

図2 抗体アレイによる凍結(黒)および凍結乾燥(白) PRP スポンジの増殖因子半定量解析

参照

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