• 検索結果がありません。

記憶・意識・時間:拡張ベルクソン主義の観点から

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "記憶・意識・時間:拡張ベルクソン主義の観点から"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

記憶・意識・時間:拡張ベルクソン主義の観点から

Memory, Consciousness, and Time:

An Expanded Bergsonian Approach

平井 靖史

1 1

福岡大学人文学部

Abstract: 人間がパートナーや友人・同僚と協調的で豊かな関係を築くための条件を反省すると き、時間への着目はしばしば貴重な示唆を与えてくれる。われわれは誰かと「同じ時を過ごす」、と 言う。興味深いことに、「空間的に近傍にいる」ことは、この種の経験にとって必要でも十分でもな い。同じ列車にたまたま乗り合わせてもそこに必ずしも共有された経験はないし、離れた二人が「一 つの大切な時間を分かち合う」こともありうる(出来事の個体化への、記憶・意識・時間の関わり)。  このように、われわれ人間が日々営んでいる当たり前の〈経験〉にとって、時間そのものが持つ意 味と機能について一定の哲学的展望を得ておくことは、同種のものに構成論的にアプローチする上 でも有益な手がかりをもたらすかもしれない。  アンリ・ベルクソンは、まさに時間の観点から、きわめて独創的な心の哲学を展開したフランスの 哲学者である。本発表では、近年 PBJ(Project Bergson in Japan)の成果として飛躍的に解明が進 んだ彼の時間哲学の中から、今回のテーマに関わる話題をいくつか提供したいと思う。 1. 意識の構成論のアポリア:人間の認知・判断・行動の機能を解明し実装しても、心的意識経験 が作れるのかというギャップにどう向き合うか。 2. 内容バイアス:人間らしい振る舞いとして、発話や所作の「内容/機能」に着目しがちである が、生きた時間を享受するという意味での〈経験〉にとっては、むしろそれを支える「時間構 造」の方が決定的な貢献をしている。 3. 創造性の構造:たんに同調的・相互調整的 coordinative であるだけではない意味で協調的 col-laborative であるためには、エージェントの側の自律的で創造的な知性が不可欠である。ある 同一主題について協調的な関係を築く上で重要な創造性の契機として、観念システムの階層シ フトや、展望の時間スケールシフトなどを取り上げたい。 連絡先:hiraiya@gmail.com 人工知能学会研究会資料 SIG-SLUD-B803 [招待講演2] - 64 -

参照

関連したドキュメント

(質問者 1) 同じく視覚の問題ですけど我々は脳の約 3 分の 1

した宇宙を持つ人間である。他人からの拘束的規定を受けていない人Ⅲ1であ

題護の象徴でありながら︑その人物に関する詳細はことごとく省か

インドの宗教に関して、合理主義的・人間中心主義的宗教理解がどちらかと言えば中

  「教育とは,発達しつつある個人のなかに  主観的な文化を展開させようとする文化活動

 基本的人権ないし人権とは、それなくしては 人間らしさ (人間の尊厳) が保てないような人間 の基本的ニーズ

(評議員) 東邦協会 東京大学 石川県 評論家 国粋主義の立場を主張する『日

Photo Library キャンパスの夏 ひと 人 ひと 私たちの先生 神学部  榎本てる子ゼミ SKY SEMINAR 人間福祉学部教授 今井小の実