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児童への発声指導についての研究~裏声発声の有用性に着目して~

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Academic year: 2021

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(1)児童への発声指導についての研究 ∼裏声発声の有用性に着目して∼ 教科・領域教育学専攻 芸術系コース(音楽).    M08195J      跡部 裕理. 児童に身につけさせる必要があると考えた。. 1.研究の動機と目的  小学校高学年から中学生の時期に、男子は. ここで着目したのが裏声である。裏声発声で. 変声期をむかえる。また男子ほど顕著ではな. なら、変声期の喉にかかる負担を軽減し、継. いものの、女子も大人の声へと変声する。そ. 続的に歌口昌指導を行うことができるのでは. れまでは歌うことが好きでも、この時期に歌. ないだろうか。. うことが嫌いになったり、歌うことをやめて.  ただ近年の小学校学習指導要領では、以前. しまったりする児童・生徒は少なくない。教. 用いられていた「頭声発声」や「頭声的発声」. 師も変声期には歌唱指導を避ける傾向があ. という用語は姿を消し、それに代わって「自. るとよく言われており、段階的に歌唱指導を. 然で無理のない声」という用語が用いられる. 続けることが難しくなる。. ようになった。そのため教育現場では裏声発.  児童・生徒が歌わなくなる原因としては、. 声による歌唱指導に重きがおかれていない. 変声期に一時的に声が出づらくなることや、. ように感じることがある。. 変声後の1オクターブ音域が低くなった声.  そこで本研究では裏声発声の有用性につ. では音がとりづらくなることが挙げられる。. いて提起し、児童への発声指導がどうあるべ. その他にも思春期にみられる反抗、他者との. きかについて考察していきたい。. コミュニケーションの回避、また日本人特有. の同調志向などの心理的問題、さらにr一音. 2 研究の方法. 楽科教師と個人としての児童との人問関係. ○文献研究. の問題か、または現代の青少年と社会との在.  ○フィールドワーク. り方の問題としてとらえるべきもの」*1とい.   1岡山市立K小学校コーラス部の活動観察】. う考え方もあり、多種多様である。.   【NHK全国学校音楽コンクールの観察】.  しかし歌唱能力の向上には継続した指導. ○アンケート調査. が不可欠であり、たとえ変声期であっても歌 唱指導を継続させられることが望ましい。そ. 3.論文の構成. のため、変声期の炎症を起こしやすい喉でも.  はじめに. 歌唱することができる技術を、変声期以前に.  第一章 発声について.   第1節発声に関する用語の定義づけ *1 @橋本静一『小学生のヴォイス・トレーニング』音.   第2節 児童発声の特徴.   楽之友社、1995p.8. 一378一.

(2) 能を身につけており、低音域でも豊かな響き.  第3節  変声期の「声」について 第二章. をもった歌声で歌っていた。しかし地区大会. 児童発声の目指すところ. では裏声発声を十分に習得できておらず、話.  第1節  小学校学習指導要領成立以前の児童発. し声に近い地声で歌う子どもたちも多く見.  声について. 第2節  小学校学習指導要領(音楽〕における発. 第三章.  声に関する用語の変遷. 業おいても裏声発声による歌唱指導が行き. 児童発声の現状. 届いていないと二ろがあるというのが現状.  第1節  フィールドワークー岡山市立K小学校コ. であろうということが想像される。.  第四章ではアンケート調査をもとに、裏声.  ーラス部の活動観察】から. 第2節  フィールドワークーNHK全国学校音楽. 第四章. られた。二のことから、各学校の音楽科の授. 発声による歌唱ができることが変声期やそ.  コンクールの観察】から. の後の歌唱活動にどのような影響を与える. アンケート調査について. のかについて考察した。そして裏声による歌.  第1節. 調査の目的. 唱ができるということは、その後の歌唱活動.  第2節. 項目について. に対する意識に良い影響を及ぼすという二.  第3節. 実施方法. とが立証された。.  第4節. 結果.  発声指導はすぐに実を結ぶものではなく、.  第5節. 考察. 継続的に行ってはじめてその技能を身につ けさせることができるものである。そのため. おわりに. には、子どもの発達段階に応じて段階的に指. 4.論文の概要. 導していくことが必要となる。今後は裏声発.  第一章では、まずr裏声」やr地声」をは. 声による段階的な歌唱指導法について、実際. じめとする様々な発声に関する用語につい. に教育現場に立ち長い時間をかけて研究し. て、定義づけを行った。また児童発声の特徴. ていきたい。. や変声期の「声」についても述べた。.  第二章では小学校学習指導要領(音楽)に おける発声に関する用語の変遷に着目して、. 児童発声の目指すところについてまとめた。. 主任指導教員  竹内 俊一. 1998(平成10)年の改訂以降、「自然で無理. 指導教員    野本 立人. のない声」といった言い回しが用いられては いるが、あくまで発声指導の中心は「頭声的 発声」、広くいえば「裏声発声」であるべき だと言及した。.  第三章ではフィールドワークをもとに、児. 童発声の現状について述べた。NHK全国学 校音楽コンクールのブロック大会や全国大 会に臨むような子どもたちは裏声発声の技. 一379一.

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