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欧州逮捕状制度と犯罪人引渡制度の手続的相違 : 「行政」、「司法」、「EU機関」の役割を中心として

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<論 文>

欧州逮捕状制度と犯罪人引渡制度の手続的相違

「行政」、「司法」、「EU 機関」の役割を中心として ―

浦 川 紘 子

European Arrest Warrant proceedings and extradition:

the difference in procedure focusing on the role of the executive,

the judicial and the EU s institutions

URAKAWA, Hiroko

This article analyzes the difference in procedure between extradition and European Arrest Warrant (EAW) proceedings. In extradition, the executive has been originally responsible for the whole process. The judicial hearing was introduced subsequently in 19th century, but the effect of the decision depends on national law. In EAW proceedings based on the Framework Decision in 2002, the judicial authority is a main actor in the national level and the existing EU s bodies or system as well as some of EU s institutions have relation with the process in the EU level. The former covers European Judicial Network, E u r o j u s t a n d S c h e n g e n I n f o r m a t i o n S y s t e m , w h i l e t h e l a t t e r t h e C o u n c i l , the Commission and the Court of Justice of the EU. Generally speaking, the competence of the EU s institutions including the bodies over the criminal field has been enhanced now, comparing to in 2002. Therefore they are getting to play a more significant role in the EAW proceedings.

Keywords: European Union, European Arrest Warrant proceedings, extradition キーワード: EU、欧州逮捕状手続、犯罪人引渡し

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Ⅰ 問題の所在

マーストリヒト条約(1993 年発効)により、いわゆる「三つの柱」から成る EU が誕生した。 従来からの欧州三共同体を承継する第 1 の柱、新たな枠組みとしての共通外交・安全保障(第 二の柱)、司法・内務協力(第三の柱)である。刑事司法協力は、第三の柱の一分野に位置づ けられた。第三の柱は、政府間協力を基礎とするもので、統合を基礎とする第一の柱とは、そ の法的枠組み及び政策手段において、明確に異なっていた。 その後、アムステルダム条約(1999 年発効)で、第三の柱の大幅改革が行われたことに伴い、 刑事司法協力は、第三の柱という政府間協力枠組にありながら、次第に統合分野の理論が用い られるようになり、急速な進展を遂げてきた。その典型となるのが、経済法の分野で確立した 「相互承認原則」の、刑事法分野への導入である。そして、この相互承認原則を採用する最初 の措置として、「欧州逮捕状枠組決定」1)が 2002 年に理事会によって採択された。これによって、 EU域内で単一の逮捕状を用いるという新たな制度が誕生し、伝統的に採用されてきた犯罪人 引渡し(extradition)は廃止(abolish)されることとなった(欧州逮捕状枠組決定前文(5))。 この両者は、手続的に大きく異なる制度を構築している。 犯罪人引渡しに通じる慣行は古くから存在したが、今日の犯罪人引渡しは、19 世紀頃に確立 したものであるといわれる2)。その手続きは、一般的には外交経路(diplomatic channel)を 通じた請求に始まり、司法及び行政による審査を含むものと説明される3)。司法による審査は、 当該引渡請求が関連法規に合致するものであるかどうかを審査する4)もので、「法的許容性」5) の審査である。一方、行政による審査は、当該引渡請求の履行に対する「相当性」の審査である。 これらの諸要素をもって、犯罪人引渡手続は構成されている。

他方、2002 年に誕生した「欧州逮捕状手続(European Arrest Warrant proceedings)」は、全手 続きを司法が担うことを原則とする。つまり、行政による判断が排除されたのであり、この点 が、犯罪人引渡手続と欧州逮捕状手続の顕著な違いであると指摘されている6)。さらに、この 背景には、ピノチェ(Pinochet)元チリ大統領の引渡し問題の影響があることも、すでに指摘 されている7)。それではなぜ、犯罪人引渡手続は、これほど長期にわたり、行政と司法の関わ りをもって存立し、それがいかなる意義を持っていたのかという点を、欧州逮捕状手続との比 較的視点から問い直す必要があると思われるが、これまでのところ、このような分析は十分に なされていない。さらに、欧州逮捕状手続には、EU 機関の関わりという大きな特徴がみられ るが、EU 機関が、全体としてどのように関わっているかについては、ほとんど考察されてい ない。 そこで本稿では、欧州逮捕状制度及び犯罪人引渡制度において、行政、司法及び EU 機関が、 それぞれいかなる役割を果たすのかという点を中心として、両者の違いを明らかにしたい。 かかる問題意識の下、以下、Ⅱでは、欧州逮捕状手続の法的枠組みを明確にした上で、Ⅲで

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両手続きの具体的な比較検討を行う。その際には、(1)各手続きはどのようにして始まるか、(2) 引渡しを求められている者の同意をどのように取り扱うか、(3)引渡しに対する審査と決定を どのように行うか、という特に違いが顕著な 3 点から考察する。さらに、Ⅳにおいて、欧州逮 捕状手続に組み込まれている EU の主要機関の役割を検証し、結論(Ⅴ)を述べることとする。 2002 年に欧州逮捕状枠組決定が採択されてから 10 年以上が経過した。この間に、EU は、 2009 年のリスボン条約の発効を経て EU 自身が大きく変化し、EU の刑事法分野8)も、多大な 影響を受けた。本稿は、こうした EU のダイナミックな動きも踏まえつつ、国際刑事司法協力 の今日的課題を考える一助としたい。

Ⅱ 欧州逮捕状手続の法的枠組み

1.EU 法上の根拠 欧州逮捕状手続は、2001 年 9 月 19 日に欧州委員会が提出した提案書9)に基づき、2002 年 6 月 13 日に理事会が採択した「欧州逮捕状枠組決定」を根拠とするものである10) 「枠組決定」とは、かつて EU 警察・刑事司法協力の分野のみに用いられていた EU 法の一 形式で、「加盟国の法と規則(law and regulations)を接近(approximation)させるために 採択される」ものであり、「達成されるべき結果について(as to the result to be achieved)加 盟国を拘束するが、方法及び手段(form and methods)については加盟国当局(national authorities)に委ねられる」ものと定義される(EU 条約(アムステルダム条約版)第 34 条 2 項(b))。したがって、各加盟国は、EU 法である枠組決定の実施のために、国内法を整備す る必要がある。現在、リスボン条約の下では、枠組決定は法形式としては廃止された11)が、枠 組決定を含む旧 EU 条約上の既存の法令は、「削除、無効又は改正の措置が採られない限り」、 効力を有し続ける(第 36 議定書(リスボン条約版)第 9 条)。したがって、今なお欧州逮捕状 枠組決定が妥当する。 欧州逮捕状枠組決定には、「附属文書(ANNEX)」が付いている。この附属文書が、「欧州 逮捕状(European Arrest Warrant)」の書式である。この共通書式の欧州逮捕状に、必要事 項を記入し、一加盟国において、「発付(issue)」されることとなる。そして、送付先の加盟 国で「執行(execute)」される。すなわち、欧州逮捕状を発付する加盟国(issuing Member States)と執行する加盟国(executing Member States)という関係で捉えられる。「当該加盟 国の国内法に照らして、欧州逮捕状を発付する権限のある発付国の司法当局」を発付にあたる 司法当局(issuing judicial authority)(以下、「発付司法当局」)(欧州逮捕状枠組決定第 6 条

1 項)、「当該加盟国の国内法に照らして、欧州逮捕状を執行する権限のある執行国の司法当局」

を執行にあたる司法当局(executing judicial authority)(以下、「執行司法当局」)(同第 6 条 2 項)と呼ぶ。

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欧州逮捕状枠組決定では、本枠組決定に基づいて構築される手続の名称は、特に明記されて いなかったが、その後に進められた EU 刑事司法協力における被疑者・被告人の権利に関する 規範形成12)の中で、「欧州逮捕状手続(European Arrest Warrant proceedings)」という用語

が使われるようになった。ここでは、「刑事手続(criminal proceedings)」に対して、「欧州逮 捕状手続」であるが、これによって本枠組決定における手続きを指す名称が示されたとみるこ とができる。 2.加盟国国内法上の根拠 欧州逮捕状枠組決定は、2004 年 1 月 1 日を欧州逮捕状手続の施行日と定めた。したがって、 2003 年末までに、各加盟国は国内法を整備しなければならなかったが、当時の加盟国 15 ヵ国 中 7 ヵ国が間に合わず、施行が遅れる加盟国が相次いだ13)。2004 年、2007 年、2013 年に合計 13 ヵ国が EU に新規加盟したが、全ての国で国内実施法が整えられ、現在、EU 全 28 ヵ国で 運用されている。 3.実施状況の評価 欧州逮捕状枠組決定は、欧州委員会による各国実施状況の報告を定めており(第 34 条 2 項)、 本規定に基づく報告書(以下、「第 1 報告書」14))が 2005 年に提出された。欧州逮捕状枠組決 定上、実施報告書の提出は、この 1 回限りで、定期的な報告を求めるものではなかったが、そ の後、理事会は第 1 報告書のアップデートを求め、これに応じて、新たな報告書(以下、「第 2 報告書」15))が 2007 年に欧州委員会より提出された。さらに、組織犯罪に対する相互評価制 度(本制度については、Ⅳ . 2. で後述)を受けて、第 3 の報告書(以下、「第 3 報告書」16))が 2011 年に欧州委員会から欧州議会と理事会に対して提出された。 このように、欧州逮捕状手続の実施状況に関する 3 つの報告書が、異なる根拠の下で提出さ れている。ただし、いずれも欧州委員会により、同趣旨において作成されたもので、内容的に は連続性を持ったものである。各加盟国の実施状況に対し、包括的な分析が加えられている。

Ⅲ 両手続きの比較検討

1.手続きの開始 1.1. 犯罪人引渡しの請求 犯罪人引渡しは、これを請求する国(requesting state)(以下、「請求国」)と、請求を受け た国(requested state)(以下、「被請求国」)との関係で捉えられてきた。 犯罪人引渡しの請求は、請求国から被請求国へ、伝統的には外交経路を通じて行われてきた。 しかし、近年の多数国間条約では、必ずしも、外交経路のみに依拠するものではなくなってき

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ている。たとえば、1957 年の欧州犯罪人引渡条約17)第 12 条 1 項や、1981 年の米州犯罪人引渡 条約18)第 10 条は、外交経路を第一の手段としながら、当事国間の同意により、政府機関等の 直接の連絡も可能とする選択肢を付している。さらに、1962 年のベネルクス条約19)第 11 条は、 法務大臣(Minister of Justice)間の直接請求のみを規定しており、必ずしも外交経路を通じ た請求を要しない条約も存在している20)。1996 年の EU 犯罪人引渡条約21)第 13 条も、各加盟 国の中央当局(central authority)が、請求の送付及び受け取りに責任を有するものと規定し ていた。したがって、今日における犯罪人引渡請求は、必ずしも外交経路によるものとは限ら ず、柔軟な運用がなされるようになってきている。最近の文献では、「犯罪人引渡し(extradition) は、外交(diplomatic)又は政府(governmental)の経路(channel)を通じて、正式に送付 された要請で始まる。」22)と説明されるものもあり、この点における近年の変化が表れている。 しかしながら、いずれにしても、この段階における役割を担うのは原則として「行政」である ことには変わりない。 引渡請求は、書面で行われるが、その際提出すべき書類は、基本的には被請求国の法による ため、国によりさまざまである。一般的に、コモンロー諸国では、一定程度の有罪証拠を付す ることが求められるが、大陸法諸国では、この有罪証拠要件は採用されていない23)。二国間条 約が締結されている場合は、当該条約の定めによるが、相手国によって内容が異なることもあ る。したがって、犯罪人引渡しの請求に際しては、その都度、請求国は、被請求国の要請する 書類を整えなければならない。 引渡請求が被請求国の要件を満たさない場合、その請求は却下される。引渡請求が受理され れば、正式な引渡審査の手続きへと移ることになる。 1.2. 欧州逮捕状手続 (1)欧州逮捕状の送付 欧州逮捕状が対象とする人物の所在地が分かっている場合、発付司法当局は執行司法当局に 欧州逮捕状を直接送付することができる(欧州逮捕状枠組決定第 9 条 1 項)。また、発付司法 当局は、シェンゲン情報システム(Schengen Information System; SIS)に、当該人物に対す る警告(alert)を発することを決定できる(同第 9 条 2 項)。

発付司法当局が、送付先となる権限ある執行司法当局を特定できない場合、その確認に際し、 「欧州司法ネットワーク(European Judicial Network; EJN)」の連絡拠点(contact points) を利用することが可能であり(同第 10 条 1 項)、発付司法当局が希望する場合には、確実な

EJN電気通信システムにより送付することができる(同第 10 条 2 項)。また、SIS を利用で

きない場合には、発付司法当局は、インターポール(Interpol)に欧州逮捕状送付を要請でき る(同第 10 条 3 項)。

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7 条 2 項前段)。この場合の中央当局の関与は、司法当局が必ずしも EU の諸外国語に通じて いるとは限らず、こうした実務上の必要性から認められるものと解される24)。したがって、こ の段階における行政の役割は、あくまでも限定的なものであり、原則的に「司法」がこの役割 を担う。 欧州逮捕状手続の下では、「欧州逮捕状」という、単一令状を用いるため、犯罪人引渡請求 時のように、提出書類が国ごとに異なるという複雑さが回避されるようになった。ただし、第 1 報告書によれば、欧州逮捕状に加え、欧州逮捕状枠組決定上は規定されてない、その他の書 類を提出することを義務付けている国もあり、運用が一致していない。欧州委員会は、SISⅡ (SISⅡに関しては、後述)の実現等により、この問題は段階的に解決できるとみなしている。 また、第 2 報告書により、欧州逮捕状の主要な送付手段が、インターポールや SIS を通じた ものであることが明らかになった。すなわち、当時の統計において、欧州逮捕状の全発付数の 58%がインターポール、52%が当時 13 ヵ国で運用される SIS を通じて送付され、その他が加 盟国間の直接送付であった。1 通の逮捕令状が、複数の手段により送付されるため、全体で 100%を超える。このような状況は、加盟国の側からみれば、必ずしも当該加盟国を指定して いない欧州逮捕状が、インターポールや SIS を通じて入ってくるため、多数の欧州逮捕状を受 け取るという現象が生じている25) (2)EU 機関の役割 上に見たとおり、欧州逮捕状手続の開始は、既存の EJN 及び SIS との連携が、欧州逮捕状 枠組決定の条文上明記されている。EJN 及び SIS は、そもそもいかなるもので、欧州逮捕状 手続と具体的にどのように関わっているのかについて、本枠組決定成立以後の動向も踏まえて 考察する。 ①欧州司法ネットワーク(EJN) EJNは、EU が、刑事司法協力の分野において、最初に設置した組織的枠組みである。その 発端となったのは、1997 年、理事会が採択した「組織犯罪と闘うための行動計画」26)であり、 その中で、「司法協力のためのネットワークを構築することによって、欧州レベルでの対策を 共有するよう努めるべきである」(第 21 項)という勧告が提示された。これに従い、理事会は、 1998 年に共同行動27)を採択し、EJN を発足させた。EJN は、各加盟国の国際司法協力に責任 ある中央当局及び司法当局又はその他の権限ある当局により構成され、各加盟国に 1 ヵ所以上 の連絡拠点を置き、加盟国間の連絡手段を組織化し、組織犯罪のような重大犯罪対策のため、 効果的な情報伝達を促すものである(共同行動第 2 条 1 項、2 項、3 項)。情報伝達には、電気 通信網(telecommunications network)が利用される(同第 3 条)。こうして、もともとは組 織犯罪対策のために構築された、各国の関係当局を結ぶネットワークが、欧州逮捕状手続にも 利用されることとなった。

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本共同行動は、2008 年に理事会決定28)により全面的に改正され、格段に機能強化された。

当初、事務局は無く、理事会事務局がその運営に責任を有していた(同第 9 条 3 項)が、事務 局の設置が明記され(理事会決定第 2 条 8 項)、現在、ユーロジャスト本部の中に置かれている。

EJN事務局が 2014 年に発表した「運営報告書−2011 年及び 2012 年−」29)によれば、現在、

EJNは、EU 全域に 400 近い連絡拠点を有し30)、EU 全体を網羅している。欧州逮捕状の送付

に際して、このネットワークを利用すれば、EU レベルでの迅速な連絡が可能となる。実際、

EJN連絡拠点を利用した司法協力要請は、増加し続けており、欧州逮捕状手続にも積極的に

関わっている31)。ただし、本報告書によれば、対象とする 2 年間において、欧州逮捕状の準備

支援要請は、ハンガリーからの 786 件が最多であるのに対し、0 件の国もあり、その利用状況 には、加盟国によりかなりの差がみられる。

②シェンゲン情報システム−SIS から、SIS 1+、SISⅡへ−

シェンゲン情報システム(SIS)は、1990 年に合意されたシェンゲン実施協定を根拠として 創設された32)。同実施協定は、1985 年に 5 ヵ国で締結されたシェンゲン協定とともに、国境管 理の廃止や、人の自由移動の法的枠組みを形成した33)。この枠組みは、当初は EU/EC の枠外 において、任意の国家で進められた政策であったが、アムステルダム条約により、EU に統合 された。その際、SIS に関する規定のみは、第 3 の柱の管轄となり、その他は第 1 の柱に統合 された34) SISは当初、犯罪人引渡しの要請者(実施協定第 95 条)を含む 6 種の警告(alert)を有す るデータベースとして構築され、参加国の情報共有を可能とするものであった。そこで、欧州 逮捕状手続においては、欧州逮捕状を SIS の警告に含めるものとした。ただし、シェンゲン関 連規範には、EU の全加盟国が参加している訳ではなく、当初、SIS への参加は 13 ヵ国であっ た(第 2 報告書)。

そ の 後、SIS は、 第 二 世 代 の シ ェ ン ゲ ン 情 報 シ ス テ ム(second generation Schengen Information System; SISⅡ)35)へと移行することが 2008 年36)に決定した37)。高度な情報技術

を備える SISⅡは、技術的な整備に加え、各国の法整備も要し、予定の移行日は延期せざるを えなかった。そこで、SIS は、一旦、可能な範囲で新たな制度(SIS 1+)へ移行し、2013 年 4 月 9 日、SIS 1+から SISⅡへ完全移行した38)。現在、SISⅡの下で、欧州逮捕状のデータベー

ス利用が行われている。

1.3. 両手続きとインターポール

欧州逮捕状枠組決定は、インターポールへの協力要請も、明文で可能としている。インター ポールの正式名称は、「国際刑事警察機構(International Criminal Police Organization)」で あるが、欧州逮捕状手続では、条文上 Interpol という通称が用いられている。1923 年に創設

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された国際機構であり39)、EU/EC 及びシェンゲン関連規範との関係性は無い。インターポー ルは、国際手配書40)を通じて情報共有する仕組みを有しており、この仕組みの下で、国際的な 犯罪人引渡しの手配が従来から行われてきた41)。他方、欧州逮捕状手続においては、SIS に参 加していない EU 加盟国もあり、「SIS が利用できない場合には、」インターポールへの要請と いう方法が可能とされている(欧州逮捕状枠組決定第 10 条 3 項)。したがって、インタポールは、 独立した国際機構として、犯罪人引渡し及び欧州逮捕状手続の両方に関わりを有するように なっている。 2.本人の同意 2.1. 犯罪人引渡し (1)犯罪人引渡し 犯罪人引渡しにおいては、本人の同意は、その手続を構成する要素に含まれない。すなわち、 犯罪人引渡しは、Stein が定義するように、「本人の同意にかかわらず(regardless of his or

her consent)」42)行われる。ただし、本人の同意がある場合には、それ以上の手続きを中止し、 当該人物を速やかに引渡すという方式もとられてきた。この方式は、「略式犯罪人引渡し (simplified extradition)」43)と呼ばれ、正式な犯罪人引渡しとは明確に区別されてきた。 (2)略式犯罪人引渡し 本人が引き渡されることに同意した場合は、略式の手続きにより短期間で身柄を引き渡すと いう慣行は古くからあった。1889 年に中南米 5 ヵ国で締結された「国際刑法に関する条約」44) に、犯罪人引渡しに関する諸規定が置かれたが、その中にも、略式犯罪人引渡しに通じる規定 を確認することができる。当該規定は、「逮捕された者が、犯罪人引渡要請に対して、自ら従 うと述べた場合、裁判官又は裁判所は、その者が同意を表明したことを記録し、それ以上の手 続きを行わずに、犯罪人引渡しが合法であることを宣言する」(第 38 条)というものである。 しかし、当時は、このような手続きに特別な名称は与えられていなかった。1962 年のベネルク ス条約第 19 条は、 summary procedure として、本人の同意に基づき、正式な引渡しとは異 なる手続きを規定した。その後、1981 年の米州犯罪人引渡条約第 21 条において、同様の手続 きが simplified extradition として規定された。この名称が、たとえば、1990 年の国連犯罪 人引渡モデル条約45)第 6 条、1995 年の EU 略式犯罪人引渡条約46)、2003 年の EU・US 犯罪 人引渡協定47)第 11 条などの国際文書や、専門書48)において、用いられるようになっている。 略式犯罪人引渡手続では、特定性原則(speciality rule)への影響が付随する49)。特定性原 則とは、引渡を求められた者が、引渡しの対象となった犯罪以外で、請求国において、拘禁、 裁判、処罰されないことをいう50)。犯罪人引渡しの枠組の中で論じられる諸原則のほとんどが、 被請求国に課されるものであるのに対して、特定性原則は、「請求国が被請求国に対して負う

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義務」51)であるという点が特徴的である。特定性原則は、Stein により、「一般的に、個人に権 利を付与するものとはみなされず」、「被請求国における法的プロセスの侵害から保護するもの」 と説明される52)。そうであれば、正式な「法的プロセス」を経ない略式犯罪人引渡手続におい ては、特定性原則の前提が失われ、その適用は事実上不可能となる。また、米州犯罪人引渡条 約では、裁判官その他の助言の上で、本人の同意の確認を行うと規定されている(第 21 条)。 こうした略式犯罪人引渡手続を採用するか否かは、条約により異なる。1957 年に成立した欧 州犯罪人引渡条約には、当初、略式犯罪人引渡しの規定がなく、EU では、略式犯罪人引渡手 続の導入が、かつての重要課題であった53) 2.2. 欧州逮捕状手続 欧州逮捕状に基づいて逮捕された者が、発付国へ引き渡されることに同意を表明した場合の 手続きは、欧州逮捕状枠組決定上の正式な手続きを成す(第 13 条)。この場合、適切な場合には、 特定性原則が適用されないことへの表明が行われ(同第 13 条 1 項)、同意の成立に際しては、 法律家の支援を受ける権利を有する(同第 13 条 2 項)。こうした同意の表明は、各国国内法に より、正式に記録される(同第 13 条 3 項)。引渡しへの同意がある場合、同意から 10 日以内に、 執行司法当局は欧州逮捕状執行の最終決定を行う義務が生じる(同第 17 条 2 項)。 このように、欧州逮捕状手続では、略式犯罪人引渡しの方式が組み込まれ、引渡に同意する か否かをまず確認される。引渡しへの同意は、これまでのところ、約半数のケースでみられる ことが、欧州委員会より報告されている(第 3 報告書)。引渡しへの本人の同意がない場合、 権限ある司法当局による審査へと移ることになる。 3.審査と決定 3.1. 犯罪人引渡し (1)審査と決定 犯罪人引渡しは、その歴史を ると、もともとは、行政が排他的な権限を有していた54)。理 論的にも、犯罪人引渡しは、法の履行ではなく、行政措置であり、司法の関与は賢明でないと いう考えがあったという55)。犯罪人引渡手続に、司法による判断を導入したのは、1833 年のベ ルギー法が最初とみられる56)。しかし、この法律は、司法の決定に対する法的拘束力を認めて おらず、その結論は勧告的な意味しか持たなかった57)。その後、1870 年にイギリスにおいて初 めての犯罪人引渡法が制定された。ここでは裁判所における一般的な審査権限は与えられな かったが、例外的に、引渡対象犯罪が政治性を持つか否かについてのみ、治安判事(magistrate) が決定することとされた58)。この時代から、徐々に、犯罪人引渡手続における司法の関与がみ られるようになるが、その役割は限定的であった。他方、米州においては、司法における決定が、 引渡し拒否の場合には拘束力を有し、引渡し可能の場合には、勧告的な性質を有するという新

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たな慣行が生まれ、この慣行が次第に広く受け入れられていった59)。当時、司法が介入するよ

う に な っ た の は、「 法 の 支 配(rule of law)」 と「 基 本 的 人 権 の 保 護(protection of fundamental human rights)」という観点からであると考えられている60)。さらに、司法審査

においては、当該引渡審査の対象となっている者に対する、弁護士等による支援の重要性が見 出されるようになり、1929 年のドイツ法では、裁判所における法的支援が整えられた61) 20 世紀後半になると、犯罪人引渡手続において、国内法上、司法の関与を義務付ける傾向が みられるようになる。たとえば、司法の判断を経ない犯罪人引渡決定が、違憲とされた判例の 存在が確認されている62) こうして、犯罪人引渡しは、行政と司法の判断を伴い成立するという手続きが、定着したと 考えられる63)。現在では、同列に位置づけられている向きがあるが、歴史的にみれば、本来は 全体として行政が担う手続きであり、そこに司法による法的観点からの判断が付け加えられた と見ることができる。ただし、司法の関与自体は、国際法が要請するものではない64)。司法決 定の効果についても、各国法の定めにより、国際法はこの問題については規律していない65) また、裁判所の審査は、刑事手続とは異なるという立場が、一般に妥当している。特に、犯 罪人引渡審査では、有罪か無罪かの判断は行わない66)という観点において、刑事手続と区別さ れる一つの指針となる。 いずれにしても、犯罪人引渡しという制度は、本来的にその手続きを行政が担ってきた歴史 があり、今日においても、裁量を伴う最終決定権が「行政」に存在するのである。 (2)ピノチェ引渡し問題の影響 ピノチェは、1973 年から約 20 年間にわたってチリ大統領を務めた政治家である。ピノチェ 引渡しをめぐる問題は、1998 年、英国滞在中であったピノチェに対して、スペインが英国に犯 罪人引渡し請求を行ったことに端を発する。英国裁判所は、ピノチェの引渡しを認める決定67) を下したのに対して、最終決定権を有する国務大臣がピノチェの体調不良を理由に、引渡しを 拒否する決定を行い、同人はチリに帰国した。しかしながら、この国務大臣による引渡拒否決 定には、フォークランド紛争を背景とした政治的考慮があったとみられている68)。ピノチェ事 件のこのような結末が、EU において新たな身柄引渡手続を構想するに際して、行政による政 治判断を排する手続きとした一因であったと指摘される69) 3.2. 欧州逮捕状手続 (1)審査と決定 引渡しに対する本人の同意がない場合には、執行司法当局が身柄を引渡すか否かを決定する ことになる(欧州逮捕状枠組決定第 15 条 1 項)。その過程において、当該人物は、執行司法当 局による審理(hearing)を受ける権利を有する(同第 14 条)。身柄の引渡拒否は、「欧州逮捕

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状を執行しない義務的事由」(同第 3 条)及び「欧州逮捕状を執行しない選択的事由」70)(同第 4 条) に該当する場合に限られ、執行司法当局がこの判断を行う。執行司法当局は、定められた期限 内に、欧州逮捕状執行の決定を行い、これが最終決定となる。したがって、欧州逮捕状執行の 決定には、行政の判断権限は無い。 同一人物に対する欧州逮捕状が、2 ヵ国以上から送付された場合も、執行司法当局がいずれ の欧州逮捕状を執行するかを決定する(同第 16 条 1 項)が、その際には、ユーロジャストに 助言を求めることができる(同第 16 条 2 項)。 また、欧州逮捕状手続が、定められた期限を遵守できなかった場合には、その旨を理由とと もにユーロジャストに通知する(同第 17 条 7 項)。さらに、一加盟国が期限不遵守を繰り返す 場合、別の加盟国は理事会にこれを通知する(同)。 (2)EU 機関の役割−ユーロジャスト− ユーロジャストは、上述の通り、欧州逮捕状手続の本段階において、本手続きに密接な関連 を有している71)。ユーロジャストは、EU の独立行政法人(agency)の一つで、タンペレ特別 欧州理事会(1999 年)において、その設置への合意がなされ(議長総括72)第 46 項)、2002 年 2 月の理事会決定73)に基づいて創設された。その後、同理事会決定は、2004 年に一部改正、 2008 年に全面改正が行われた74)。2008 年改正により、管轄犯罪が拡大したが、これは欧州逮 捕状が双方可罰性の認証を不要とする 32 犯罪に対応したものと考えられる75)。ユーロジャス トの任務は、EU 基本条約上で明記されており、「加盟国の当局及びユーロポールが行った捜 査及び提供した情報に基づき、2 ヵ国以上の加盟国に影響を与える又は共通の基盤に基づく訴 追を要する重大犯罪に関連し、国内の捜査当局及び検察当局間の調整及び協力を支援し強化す ることである」と規定される(EU 運営条約第 85 条1項1段)。また、前述の EJN との関係 においては、「特別な関係(privileged relation)」を有するものとされる(理事会決定(2008 年改正統合版)第 25α条1項)。ユーロジャストは、今日、EU 刑事司法協力の専門的機関と して、その中心的役割を担っている。 ユーロジャスト年次報告書の最新版(2014 年版)76)によると、2014 年には、4 件の欧州逮捕 状の競合による助言の要請があった。そのうち 1 件が、同報告書によって紹介されており77) 要は次の通りである。イタリアが発付した欧州逮捕状の対象者が、ベルギーで逮捕され、身柄 を拘束された。その直後、ベルギーは、同人に対するルクセンブルクからの欧州逮捕状も受け 取ったため、欧州逮捕状枠組決定第 16 条 2 項に基づく助言要請を行った。これに対して、ユー ロジャストは、ルクセンブルクからの欧州逮捕状は、捜査中の事件であり、イタリアからの欧 州逮捕状は、確定判決の出た犯罪に対して発付されている点に鑑み、まずはルクセンブルクに 身柄を引渡し、事件の全容解明を優先することとし、その後、イタリアに引き渡して刑に服す るのが妥当であると助言した。これを受けて、ベルギーの裁判所は、ルクセンブルクからの欧

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州逮捕状の執行を決定した。 また、同年次報告書によれば、欧州逮捕状の執行期限不遵守は、2014 年中に 123 件であった。 さらに、ユーロジャストは欧州逮捕状競合の場合に対するガイドラインを作成するなどしてい る78) このように、ユーロジャストもまた、欧州逮捕状手続に関して重要な役割を担っている。

Ⅳ 欧州逮捕状手続と EU 主要機関

以上のように、欧州逮捕状手続は、各段階において、関連する EU 機関との連携が図られて いることが明らかになった。それに加えて、EU の主要機関(Institutions)のうち、理事会と 欧州委員会も、欧州逮捕状の運用に全面的に関わっている。また、EU 司法府は、欧州逮捕状 枠組決定上の明示規定はないが、これまでに、先決裁定の事例があるほか、2009 年のリスボン 条約の発効を受けて、今後一層関わりを強める可能性が高い。EU の主要機関であるこれらの 三者が、欧州逮捕状手続において、いかなる役割を担っているのか、最後に検証する。 1.理事会(Council)

①司法・内務理事会(Justice and Home Affairs Council)

理事会における具体的検討は、各形態(configulations)により行われ、刑事司法協力は、 司法・内務理事会が管轄する。欧州逮捕状枠組決定上、第 2 条 2 項のリストの改正権限(第 2 条 3 項)を有している。第 2 条 2 項は、双方可罰性の認証を廃止する規定で、32 の犯罪名のリ スト79)が掲げてある。欧州逮捕状枠組決定の中でも、特に議論の多い条項であるが、本条のリ ストは、理事会により変更可能となる。 また、理事会は、「欧州逮捕状の発付方法に関するハンドブック」を公刊し、各加盟国に欧 州逮捕状の発付の基準や具体的な記入方法を提示することで、その統一化を図っている。2010 年に改訂版80)が公刊されたが、特に発付の際の「比例要件(proportionality requirement)」 に関して、改められた81)。すなわち、欧州逮捕状の発付に関して、いかなる犯罪に対して逮捕 状を発するかという基準が一致しておらず、後述の相互評価制度第 4 ラウンドの結果、この点 は特に問題視された。これを受ける形で、改訂がなされたものである。

②理事会事務局(General Secretariat of the Council)

欧州逮捕状枠組決定は、各加盟国に対して、いくつかの事項を、理事会事務局に通知するこ ととしている。まず、欧州逮捕状枠組決定を実施する前提として、各国法の下、権限ある司法

当局がどこなのか、各加盟国は理事会事務局82)に通知する(欧州逮捕状枠組決定第 6 条)。また、

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事会事務局へ連絡する(同第 7 条)。さらに、各加盟国は、欧州逮捕状の言語について、自国 の公用語以外に、他の EC[EU]83)公用語版を受け入れる場合、その旨の宣言を理事会事務局 に寄託する(同第 8 条)など、必要な情報は、理事会事務局に集められることが制度上確立し ている。 2.欧州委員会(European Commission) 欧州逮捕状枠組決定上の欧州委員会に課された任務は、第 34 条の報告書提出のみであった。 しかし、前述の通り、欧州委員会は、最初の報告書を提出した後も、欧州逮捕状手続の実施状 況の報告を通じて、本制度に関わりを持ち続けている。また、第 3 報告書にも反映されている 次のような EU 刑事司法協力全体に対する「相互評価制度」の存在は特筆に値する。 マーストリヒト条約の時代、1997 年に、「組織犯罪との闘いにおける国際的任務の国内レベ ルにおける適用と実施の評価制度を構築する共同行動」84)(以下、「評価制度共同行動」)が EU条約 K.3 条に基づき理事会により採択された。これにより、刑事分野に対する国内政策や

国際文書の「相互評価制度(mechanism of peer review)」(評価制度共同行動第 1 条 1 項)が 確立した。このような相互評価制度に対して、「国内レベルで適用可能な法の諸規則(the rules of law)と倫理(ethics)」という観点から、各加盟国は実施状況の評価チームに協力す るよう求められる(同第 1 条 2 項)。そして、本評価制度の第 4 ラウンドの対象として欧州逮 捕状枠組決定が選ばれた85)。第 4 ラウンドの最終報告書と勧告が、理事会によってまとめられ、 これを踏まえて、欧州委員会は、第 3 報告書を提出したのである。 リスボン条約以前、欧州委員会は、第 1 の柱においては、加盟国の義務違反に対して、提訴 権限も含め、強制的な制裁権限を有していたが、刑事司法協力の分野に対しては、そのような 権限は一切認められていなかった。そのような中で、この相互評価制度は、加盟国に対する制 度改善のための一定の圧力となる機能を有していたと考えられている86)。こうして構築された 相互評価制度は、リスボン条約により、EU 運営条約第 70 条に取り入れられ、今日、基本条 約上の制度となっている。 欧州委員会は、こうした報告書の提出を通じて、欧州逮捕状枠組決定の運用に関わり、各加 盟国に対して少なからず影響力を及ぼしているといえる。 この報告書を通じ、本稿の検討に関連して、重大な事態が報告されている。すなわち、第1 報告書によれば、「権限ある司法当局」として、行政機関(executive body)を指定している 国がある。欧州逮捕状の送付における中央当局の関与は限定的であるべきところ、中央当局が 専属的にこれを担っている国もある。欧州委員会による第 2 報告書においても、同様の指摘が 繰り返されている。もともと、欧州委員会が提出した欧州逮捕状枠組決定提案書87)では、「司 法当局」とは「裁判官又は検察官」(提案書第 3 条(b)及び(c))と定義されていたのだが、 最終的に理事会が採択した欧州逮捕状枠組決定からはこの部分が削除されたため、曖昧さが

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残った。本稿で検討した欧州逮捕状手続の趣旨に鑑みれば、この点は非常に大きな問題であろ う。

3.EU 司法府(Court of Justice of the European Union)

2002 年の欧州逮捕状枠組決定採択時、当時の EU 司法府は、EU 刑事司法協力分野に対して は、極めて限定的な管轄権しか有しなかった。そのような状況において、先決裁定手続を通じ て欧州逮捕状枠組決定の解釈を求める申請が、わずかではあるが継続的にみられるようになっ ている。最初のケースとなる、Advocaten voor de Wereld 事件88)は、欧州逮捕状枠組決定の

合法性を裏付ける重要な先例となった。さらに、2007 年には、先決裁定に「緊急手続」(EU 司法府規程第 23α条)が導入されたことは注目に値する89) リスボン条約発効後、警察・刑事司法協力分野に対する EU 運営条約第 258 条の下での欧州 委員会の権限は、過渡的措置として、5 年間は、適用できないことになっていた(第 36 議定書 (リスボン条約版)第 10 条 1 項)。EU 運営条約第 258 条は、欧州委員会が加盟国の義務違反 を EU 司法府に訴える手続きを定めた条項である。しかし、5 年間の後、この過渡的措置は失 効し(同 3 項)、2014 年 12 月 1 日より EU 運営条約第 258 条の欧州委員会の権限が及ぶよう になる。欧州委員会は、このことを、2011 年の第 3 報告書にわざわざ明記している。今後、欧 州委員会による第 258 条の下での提訴の可能性も含め、欧州逮捕状手続において、EU レベル における司法機関の役割は一層重要なものとなるであろう。

Ⅴ 結論

犯罪人引渡しは、本来的に行政の権限の下に行われる手続きであり、19 世紀以降、司法が法 的な観点からこれに関与するようになった。現在では、一般的には行政と司法の両方によりバ ランスがとられる形で、犯罪人引渡手続が成立しているが、本来的には行政が担う手続きであ ることに変わりはなく、司法は、国内法が定める範囲において、その審査に加わるのである。 したがって、犯罪人引渡手続である限り、最終的な決定権は「行政」にある。 これに対して、欧州逮捕状手続は、行政による関与を廃し、司法による身柄引渡手続の確立 を目指したものであった。そして、略式犯罪人引渡しの制度を組み込んだ。ただし犯罪人引渡 しと比較した際に、純粋に、各加盟国の司法機関による手続きとは言い難い。なぜなら、手続 き全体に対して、EU 主要機関並びに EJN、SISⅡ及びユーロジャストが、有機的に関わりを もち、重要な役割を担っているからである。欧州逮捕状手続と犯罪人引渡手続は、行政、司法 及び EU 機関の役割において、本質的に異なるのである。 欧州逮捕状制度の誕生から 10 年超が経過した今日、逮捕状制度というものが、他の地域的枠 組でも見られるようになった。欧州逮捕状制度の成立を受け、北欧 5 ヵ国90)では「北欧逮捕状

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(Nordic Arrest Warrant)」制度が始動した91)。また、中米統合システム(Sistema de la

Integración Centroamericana; SICA)による「逮捕状及び略式犯罪人引渡に関する中米条約」92)

カリブ共同体(Caribbean Community)による「CARICOM 逮捕状条約」93)、メルコスール(Mercado

Común del Sur; MERCOSUR)による「MERCOSUR 逮捕状協定」94)などが存在する。ただし、

これらの取極は、当該地域機構の制度的基盤が異なり、別途検討を要する。しかし、その際にも、 その発展の源となる欧州逮捕状手続の理解と分析は、重要な意義を有するであろう。21 世紀の 国際刑事司法協力は、逮捕状制度の誕生により、新たな段階を迎えている。

1) Council Framework Decision of 13 June 2002 on the European arrest warrant and the surrender procedures between Member States ,(2002/584/JHA),(OJ L190, 18 Jul. 2002).

2) Robert Jennings and Aurthur Watts(eds.), Oppenheim s International Law, 9th ed., Vol.1, Longman, 1996, p.950.

3) Ilias Bankekas and Susan Nash, International Criminal Law, 3rd ed., Routledge, 2007, p.294. 尾 久仁子『国際人権・刑事法概論』(新山社出版、2004)254 頁。

4) Robert Jennings and Aurthur Watts(eds.), supra note (2), p.960. 5) 尾 久仁子、前掲注(3)、254 頁。

6) Bill Gilmore, The EU Framework Decision on the European Arrest Warrant: An Overview from the Perspective of International Criminal Law , ERA Forum 3, 2002, p.145. Michael Plachta, European Arrest Warrant: Revolution in Extradition? , European Journal of Crime, Criminal Law and Criminal Justice, Vol.11(2), 2003, p.187. Nicola Vennemann, The European Arrest Warrant and It s Human Rights Implications , ZaöRV 63, 2003, p.108. Otto Lagodny, Extradition without a Granting Procedure: the Concept Surrender , Judge Rob Blekxtoon and Wouter van Ballegooij (eds.), Handbook on the European Arrest Warrant, T・M・C・Asser, 2005, pp.44-45. 横山 真規雄「EU 型『犯罪人引渡制度』の始動と共通逮捕状− 国境なきヨーロッパ の安寧秩序に向け た新たな展開−」『刑事法学の現代的展開』(八千代出版、2005)415−416 頁。Isabelle Pérignon and Constance Daucé, The European Arrest Warrant: a growing success story , ERA Forum 8, 2007, pp.205-206. Ilias Bantekas and Susan Nash, supra note(3), p.320. ホアキン・ゴンザレス・イバニ エス(著)、牧野誠司(訳)「西ヨーロッパの国際組織犯罪−EU における司法および警察による組織 犯罪対策−」上田寛(編)『国際組織犯罪の現段階−世界と日本』(日本評論社、2007)188−189 頁。 Peter Kortenhorst, Evaluating the Framework Decision on the European Arrest Warrant and the Surrender Procedure between Member States , Elspeth Guild and Luisa Marin(eds.), Still not Resolved? Constitutional Issues of the European Arrest Warrant, Wolf Legal Publishers, 2009, pp.100-101.

7) Bill Gilmore, ibid. Susie Alegre and Marias Leaf, European Arrest Warrant: A Solution ahead of its time?, Justice, 2003, p.8. Ilias Bankekas and Susan Nash, supra note(3), p.320, footnote 128. 8) EU 刑事法の体系書として、Valsamis Mitsilegas, EU Criminal Law, Hart, 2009.

9) Proposal for a Council Framework Decision on the European arrest warrant and the surrender procedure between the Member States , COM(2001)522 final,(OJ C332E, 27 Nov. 2001).

10) 2009 年 に、「4α 条 」 の 追 加 及 び「5 条 1 段 」 の 削 除 と い う 一 部 改 正 が 行 わ れ て い る(Council Framework Decision 2009/299/JHA)。

11) リスボン条約後の、EU 刑事司法協力における立法制度について、浦川紘子「EU『自由・安全・司法 の地域』における刑事司法協力関連立法の制度的側面−被疑者・被告人の権利に関する 2 つの指令を 手掛かりとして−」『立命館国際地域研究』38 号(2013)37−52 頁。

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13) 当時の加盟国の実施法整備の状況は、Jan Wouters and Frederic Naert, Of Arrest Warrant, Terrorist Offences and Extradition Deals: An Appraisal of the EU's Main Criminal Law Measures against Terrorism after 11 September , Common Market Law Review, Vol.41, 2004, pp.916-917 に詳 しい。

14) Report from the Commission based on Article 34 of the Council Framework Decision of 13 June 2002 on the European arrest warrant and the surrender procedure between Member States , COM (2006)8 final, 24 Jan. 2006.

15) Report from the Commission on the implementation since 2005 of the Council Framework Decision of 13 June 2002 on the European arrest warrant and the surrender procedure between Member States , COM(2007)407 final, 11 Jul. 2007.

16) Report from the Commission on the implementation since 2007 of the Council Framework Decision of 13 June 2002 on the European arrest warrant and the surrender procedure between Member States , COM(2011)175 final, 11 Apr. 2011.

17) European Convention on Extradition , done on 13 Dec. 1957. (ETS, No.24). 18) Inter-American Convention on Extradition , concluded on 25 Feb. 1981.

19) Treaty between the Kingdom of Belgium, the Grand Duchy of Luxembourg and the Kingdom of the Netherlands concerning Extradition and Mutual Assistance in Criminal Matters , signed on 27 Jun. 1962.(UNTS, No.8893).

20) Robert Jennings and Aurthur Watts(eds.), supra note (2), p.960, footnote 2.

21) Convention drawn up on the basis of Article K.3 of the Treaty on European Union, relating to extradition between the Member States of the European Union , signed on 27 Sep.1996, (OJ C313, 23 Oct. 1996).

22) Massimo Fichera, Implementation of the European Arrest Warrant in the European Union: law, policy and practice, Intersentia, 2011, p.13.

23) 浦川紘子「犯罪人引渡手続における有罪証拠要件の評価−遺伝子スパイ事件に照らして−」『社会文化 研究』(熊本大学)3 号(2005)183−200 頁。

24) Peter Kortenhorst, supra note(6), p.101.

25) Ilias Bankekas and Susan Nash, supra note(3), p.323.

26) Action Plan to Combat Organized Crime , adopted by the Council on 28 April 1997(OJ C251, 15 Aug. 1997).本行動計画は、理事会採択後、1997 年 6 月に開催されたアムステルダム欧州理事会によ り承認された。

27) Joint Action of 29 June 1998 adopted by the Council on the basis of Article K.3 of the Treaty on European Union, on the creation of a European Judicial Network ,(98/428/JHA)(OJ L191, 7 Jul. 1998).当時、警察・刑事司法協力の分野において採ることができる措置は、「共同の立場(Joint Position)」、「共同行動(Joint Action)」および「条約(Convention)」の 3 形式であった(EU 条約(マー ストリヒト条約)K.3(2)条)。発議は加盟国のみに認められており、本共同行動は、ベルギーの発 議による。共同行動の法的拘束力については明文規定がなく、解釈が分かれている。

28) Council Decision of 16 December 2008 on the European Judicial Network , 2008/976/JHA(OJ L 348, 24 Dec. 2008).

29) Report on the Management of the European Judicial Network 2011 and 2012, EJN Secretariat, 2014.

30) Id., p.11. 31) Ibid.

32) SIS 創設時の動向について、「欧州警察協力」研究会「欧州警察協力の新展開(一)」『上智法学論集』 45 巻 1 号(2001)110−114 頁。

33) シェンゲン・アキに関する詳細は、南部朝和「EU におけるシェンゲン・アキ(Schengen acquis)と 『自由、安全、司法の領域』の進展」『平成法政研究』7 巻 2 号(2003)167−216 頁。

34) Steve Peers, EU Justice and Home Affairs Law, Oxford University Press, 3rd ed., 2011, pp.201-202. 35) SIS II について、id., pp.203-208.

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37) Regulation 1104/2008/EC(OJ L299. 8 Nov. 2008)及びDecision 2008/839/JHA(OJ L299, 8 Nov. 2008)。 その後、それぞれ 2 回の改正を経ている(Regulation(EU)541/2010, Regulation(EU)1273/2012, Regulation(EU)542/2010, Regulation(EU)1272/2012)。

38) Report from the Commission to the European Parliament and the Council, Last Progress Report on the Development of the Second Generation Schengen Information System(SISⅡ), COM (2013)777 final, 2 Dec. 2013.

39) インターポールの法的性質について、「欧州警察協力」研究会、前掲注(32)、90−93 頁。

40) 国際手配書の性質について、森下忠「国際赤手配と仮拘束」『現代の国際刑事法』(成文堂、2015)185 −207 頁。

41) I. A. Shearer, Extradition in International Law, Oceana, 1971, p.203.

42) Torsten Stein, Extradition , in R Wolfrum(ed.), The Max Planck Encyclopedia of Public International Law(Oxford University Press Oxford 2012), p.1058.

43) Hans-Jürgen Bartsch, The Western European Approach , Revue Internationale de Droit Penal, No. 62, 1991, p.507. 森下忠「略式の犯罪人引渡し」『犯罪人引渡法の研究』(成文堂、2004)95−112 頁。 Torsten Stein, id., p.1065.

44) Treaty of International Penal Law , entered into on 23 Jan. 1889, Supplement of the American Journal of International Law, Vol.29, 1935, p.277.

45) Model Treaty on Extradition , A/RES/45/116, adopted on 14 Dec.1990.

46) Convention drawn up on the basis of Article K.3 of the Treaty on European Union, on simplified extradition procedure between the Member States of the European Union , signed on 10 Mar. 1995, (OJ C78, 30 Mar. 1995).

47) Agreement on extradition between the European Union and the United States of America , signed on 25 Jun. 2003,(OJ L181, 19 Jul. 2003).

48) 注 43 参照。

49) Torsten Stein, supra note(42), p.1065. 50) Id., p.1061.

51) 山本草二『国際刑事法』(三省堂、1991)213 頁。 52) Torsten Stein, supra note(42), p. 1061.

53) 浦川紘子「EU 刑事司法協力における単一令状制度の構築−双方可罰性要件の新方式−」安江則子(編 著)『EU とグローバル・ガバナンス−国際秩序形成におけるヨーロッパ的価値−』(法律文化社、 2013)143−146 頁。

54) I. A. Shearer, supra note(41), p.198.

55) Julius I. Penete, Principles of International Extradition in Latin America , Michigan Law Review, Vol.28(6), 1930, p.672.

56) I. A. Shearer, supra note(41), p.198. 本ベルギー法は、犯罪人引渡しに関する国内法として世界で初 めて制定されたものでもある(Robert Jennings and Aurthur Watts(eds.), supra note(2), p.954)。 57) I. A. Shearer, id., p.199.

58) Geoff Gilbert, Responding to International Crime, Martinus Nijhoff Publishers, 2006, p.67. 59) Ibid.

60) Id., p.197. M. Cherif Bassiouni, International Extradition and World Public Order, A.W. Sijthoff, Oceana Publications, 1974, p.504.

61) J. Mervyn Jones, Modern Developments in the Law of Extradition , Transactions of the Groutius Society, Vol.27, 1962, p.129.

62) Robert Jennings and Aurthur Watts(eds.), supra note(2), p.960, footnote 5.

63) 日本では、ハイジャック事件をめぐる犯罪人引渡手続において、行政と司法の権限配分が問題となっ たことがある。本件における当該問題を論じたものとして、薬師寺公夫「逃亡犯罪人引渡法と締結条 約の調整−国際刑事協力とその制約−」『国際協力の時代の国際法』(関西大学法学研究所、研究叢書) 第 30 冊(2004)35−95 頁;村上正直「犯罪人引渡」国際法学会(編)『個人と家族』(日本と国際法 の 100 年(第 5 巻))(三省堂、2001)72−98 頁。

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Matters relating to Individuals, A.W. Sijthoff, 1972, pp.318-319. 65) Ibid.

66) 浦川紘子、前掲注(23)。

67) 裁判所決定は、 R v Bow Street Metropolitan Stipendiary Magistrate and others, ex parte Pinochet Ugarte , [1999]2 All ER 97。本決定の邦語解説として、薬師寺公夫「ピノシェ仮拘禁事件」松井芳 郎(編集代表)『判例国際法(第 2 版)』(東信堂、2006)381-383 頁;稲角光恵「元国家元首の免責特 権−ピノチェト事件−」『国際法判例百選(第 2 版)』(有斐閣、2004)52−53 頁。 68) 森下忠「ピノチェトの引渡事件」『犯罪人引渡法の研究』(成文堂、2004)177 頁。ケント・アンダー ソン(著)、奥田安弘(訳)「フジモリ元ペルー大統領に関する国籍法および国際刑事法上の諸問題」『北 大法学論集』54 巻 3 号(2003)1085 頁。 69) 注7参照。 70) 欧州逮捕状枠組決定第 4 条において、「選択的」とされている拒否事由のうち、国内法上は義務的拒否 事由として規定する国もある(Guy Stessen, Statutory Limitations , Nico Keijzer and Elies van Sliedregt(eds.), The European Arrest Warrant in Practice, T・M・C・Asser Press, 2009, pp.132-133. 71) Jose Luis Lopes da Mota and Roelof Jan Manchot, Eurojust and the European Arrest Warrant ,

Judge Rob Blekxtoon and Wouter van Ballegooij(eds.), Handbook on the European Arrest Warrant, T・M・C・Asser, 2005, pp.63-68.

72) Tampere European Council Presidency Conclusion , International Journal of Refugee Law, Vol.11 (4), 1999, pp.738-752.

73) Council Decision of 28 February 2002 setting up Eurojust with a view to reinforcing the fight against serious crime , (2002/187/JHA), (OJ L63, 6 Mar. 2002).

74) Council Decision of 16 December 2008 on the strengthening of Eurojust and amending Decision 2002/187/JHA setting up Eurojust with a view to reinforcing the fight against serious crimes , (2009/426/JHA)(OJ L138, 4 Jun. 2009).

75) Valsamis Mitsilegas, supra note(8), pp.184-185. 76) Eurojust Annual Report 2014, Eurojust, 2015. 77) Id., p.55.

78) Steve Peers, supra note(34), p.857.

79) 枠組決定 2 条 2 項のリストは、浦川紘子「刑事司法協力」辰巳浅嗣(編著)『EU−欧州統合の現在(第 3 版)』(創元社、2012)185 頁を参照。

80) Revised version of the European handbook on how to issue a European Arrest Warrant , 17195/1/10 REV 1, 17 Dec. 2010.

81) Id., p.1.

82) 理事会事務局の概説として、Fiona Hayes-Renshaw, The Council of Ministers , John Peterson and Micheael Shackleton(eds.), The Institutions of the European Union, 3rd ed., Oxford University Press, 2012, p.75.

83) 原文は European Communities (EC)であるが、リスボン条約により、 European Community と European Atomic Energy Community は分離し、前者は European Union (EU)に引き継がれ た(EU 条約(リスボン条約版)第 1 条 3 段)ため、現在この部分は EU になると解される。 84) Joint Action of 5 December 1997 adopted by the Council on the basis of Article K.3 of the Treaty

on European Union, establishing a mechanism for evaluating the application and implementation at national level of international undertakings in the fight against organized crime ,(97/827/ JHA),(OJ L344, 15 Dec. 1997).

85) 欧州逮捕状枠組決定に対する相互評価制度第 4 ラウンドについて、Peter Kortenhorst, supra note(6), pp.97-106; Paola Fiore, The Fourth Round of Mutual Evaluation Carried out by the Council of the European Union of the Practical Application of the European Arrest Warrant , ERA Forum 8, 2007, pp.225-232; Ángeles G. Zarza, Evaluation of Member States in the Third Pillar of the European Union: the Specific Case of the European Arrest Warrant , éd. par Anne Weyembergh et Serge de Biolley, Comment évaluer le droit pénal européen?, Éd. de I'Université de Bruxelles, 2007, pp. 99-113. 86) Paola Fiore, id., p.231.

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87) Supra note(9), COM(2001)522 final.

88) C-303/05, Advocaten voor de Wereld case, Judgment of 3 May 2007.

89) Urakawa Hiroko, The Development of the Case Law of the Court of Justice of the EU in the Field of Judicial Cooperation in Criminal Matters , Ritsumeikan Law Review, No.31, 2014, pp.139-140. 90) 北欧 5 ヵ国とは、EU 加盟国であるデンマーク、スウェーデン、フィンランド、EU 非加盟国である

ノルウェー、アイスランドである。当該 5 ヵ国は、以前より、共通の犯罪人引渡制度を運用していた。 91) Asbjørn Atrandbakken, Extradition Between Nordic countries, and the new Nordic Arrest Warrant , Nico Keijzer and Elies van Sliedregt(eds.), The European Arrest Warrat in Practice, T・ M・C・Asser Press, 2009, pp.363-376.

92) Tratado Centroamericano relativo a la Orden de Detención y Extradición Simplificada , firmado al 2 de diciembre de 2005.

93) CARICOM Arrest Warrat Treaty , signed on 4 Jul.2008.

94) Acuerdo sobre la Orden MERCOSUR de Detención y Procedimientos de Entrega entre los Estados Partes del MERCOSUR y Estados Asociados , (Decisión N°48/10), firmado al 16 de diciembre de 2010.

(本稿は 2015 年度国際地域研究所プロジェクト「欧州統合の学際的研究」の研究成果の一部 である。)

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