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高等特別支援学校(職業科)における就労準備としてのSSTの効果の検討

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Academic year: 2021

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(1)高等特別支援学校(職業科)における就労準備としてのSSTの効果の検討               特別支援教育学専攻                 心身障害コース.                    M10105E                    舟引 充 度知的障害者や発達障害者(自閉症スペクトラム、. I.問題と目的.  平成21年3月r特別支援学校学習指導要領」の改定. AD肥D,LD)の指導・支援が検討され、SSTを取り入. 後、自立活動の中で「人間関係」が新設されている。自. れた授業実践を学校のカリキュラムに位置づけていくこ とが必要となる。ソーシャルスキルを学校教育に取り入. 他の理解を深め、対人関係を円滑にし、集団参加の基盤 を学校現場で教えていくことの必要性を認めている。. れて体験的理解を促進することは、就労実現と就労を継.  対人関係の築き方を学習する方法にソーシャルスキ ルトレーニングが(S㏄i創Sk皿sTra㎞皿g以下,SSTと表 記)が知られている。SSTは、ソーシャルスキルを指導 する一連の技法であり、子どもの社会適応を援助する有. 続することに大きく貢献すると考えられる。.  そこで、本研究では高等特別支援学校(職業科)にお. いてSSTを中心とした授業実践を行い、その効果を検討 することを目的とした。また、カリキュラムヘの位置づ. 効的なアプローチ方法のことで、数多く実施されている。. けのあり方も検討する。. 特別支援学校の現場において実施されているものは数少. u.方 法 1.対象  対象はB県立高等特別支援学校高等部2年40名(男 子36名、女子4名)であった。 2.期間 実施期間はx年4月∼6月であった。 3.手続き. ないが、日仲・島宗(2007)は、知的障害特別支援学校の. 中学部・高等部においてSSTを取り入れた授業開発を進 め、授業支援ツールを開発し「授業としてSSTを実施す ることで、生徒の日常生活における社会性を向上できる ことがわかった」とし、知的障害特別支援学校での授業 に取り入れる有効性を示している。.  高等特別支援学校(職業科)のように、企業就労を目 指す教育を考えたとき、学校教育の中でどのようなスキ ルを教える必要があるのかについて、検討することが必 要である。知的障害者の就労のための指導課題に関する. 1)事前質間紙調査(就労スキル尺度).  対象生徒と担任に授業実践前後に就労スキル5領域 75項目を実施した。就労スキル尺度は、r知的障害者の 就労の実現と継続に関する指導課題についての調査」(向. 研究(2002)の調査では、事業所対象に行った調査結果で、. 後・望月,1999)を使用した。就労スキル尺度は、「日. rあいさつができること」r人に迷惑をかけたら謝罪がで. 常生活スキル」r協調性スキル」r職業生活スキル」r意思. きること」rお礼が言えること」など協調しながら人間関. 表示スキル」「作業」の5カテゴリーから構成され、4. 係を築くスキルが求められている。さらに、「仕事面では. 段階で評定を行った。. さほど問題はないが、ごく当たり前の、基本的な社会的 スキルが身についてい机一、ために、職場の人に受け入札. 2)SSTを取り入れた授業実践  対象生徒にSSTを取り入れた全10回の授業を行った。. られず就労が維持できなかったケースは意外に多い」(上.  授業実践プログラムは、就労スキル尺度を基にアセス. 岡,2004)という指摘もある。就労継続にあったては、 職場におけるソーシャルスキルが重要な要因になってい. メントを行い、担任教員の聞き取りを経て、就労の実 現・継繍と必要であるとされるスキルの中から職場の対. る。. 人関係面に関わるソーシャルスキルを選び、井澤(2007).  知的障害のある児童生徒の「キャリア発達・内容表(試 案)」(菊池ら、2010)では、高等部において、職業およ. と障害者職業総合センター職業センター実践報告書r職 場対人技能トレーニング」を参考に内容を設定した。. 想定して具体的に適応するためのスキル獲得の時期と位.  就労スキル尺度の達成度の高い方を4、低い方を1とし て点数化し、尺度のカテゴリーごとに各項目の点数を合. 置づけている。また、rWe㎞anの機能的カリキュラム」. 計し平均を求めた。. の中でCheW1Ha汕eγM脳wen&Couet・Klingenbe㎎. 3)現場実習でのスキルチェック. び卒業後の家庭生活に必要なスキルを実際に働く生活を. 業カリキュラムには、職場の人間関係の形成,維持に関.  高等特別支援学校で実施された現場実習(9日間)に おいて生徒自身によるスキルの実行チェックを行った。. するスキルを提案している。このことは、学校現場で軽.  (作業終了後,実習日誌に○×を記入). (2004)が雇用のための準備として、学校が有すべき職. 一202一.

(2) 現場実習での支橡生徒全員のスキルを実行できた各1回 (あいさつ・報告のスキル実行が何回あっても)1目分 を9日間合計し、その延べ回数を求めた。. 4)事後アンケート  全授業終了後、対象生徒の担任教員と生徒を対象に、. 中で間接的にスキルを教えたことになり、意識化するこ とで作業スキルは相乗効果で上昇したと考えられる。知. 的障害者の就労の実現と継続に関する課題について の調査(2002)では知的障害者の就労を継続するため の課題(事業所見解)の「必ずできなければならない」. 授業の効果や訥面のアンケートを行った。同様に支橡生 徒へもアンケートを実施した。. 22項目の中に協調性ではr挨拶できること」に加え. ㎜.結果. 謝罪できること」、rお礼が言えること」が求められ、. 1.尺度の分析. 作業では「道具などを正しく使う」「道具を注意して.  授業前(事前)・授業後(事後)の平均点でt検定を. 「自分勝手な行動をせず、もし、人に迷惑をかけたら. 打つだ。. 運搬する」のこれらのスキルの獲得は、就労実現と継 続に影響を及はナことから、職業準備において、体験. 就労スキル尺度(教師評定)で「協調性スキル」と「作. 的理解を促進する場面を授業で設定することの効果. 業スキル」が有意に上昇した。. は大きいと考えられる。. 2.現場実習でのスキル実行チェック  支橡生徒の日誌による自己チェックでの回数は、rあ.  一方で「日常生活スキル」「職業スキル」では有意. いさつ」で183回、「報告」で224回であった。rあいさつ」. の実行率が、62%と必ずしも高いと言えない結果になっ た。報告については実行率が78%で高い結果になった。. な上昇がみられなかった。今回の介入は学校の授業に 限ったもので、家庭への協力や働き掛けを積極的に行 わなかったことも、r日常生活スキル」の効果が上昇 しにくかったと考えられる。「職業スキル」は作業を. 2.事後アンケート  生徒アンケートでは、項目1のソーシャルスキル・ト レーニングを勉強してよかったと思いますか?回答生徒. 間接的にスキルを教え、これらは介入した授業の目的と. 38名中、思う18名・やや思う19名が、よい評価を選. かった。授業で「教示」「モデリング」「リハーサル」「フ. んでいた。回答は、86%を示した。また、項目2の勉強 した内容は、卒業後、役立つと思いますか?についても、. ィードバック」から構成される一連の過程に沿って展開 されなかったことが、有意に上昇しなかった一因と考え. 回答生徒38名中、思う19名・やや思う18名がよい評. られる。. 価を選んでいた。回答は、87%を示した。担任教員に対. している場面に介入し、作業上必要なことを授業の中で、. も重なったが、モデリングやロールプレイで直接教えな. のプログラムに対して概ね高い言刊面を選んだ回答だった。.   r必要なときには丁寧な言葉で話す」r時と場に応 じて適切な言葉や態度で対応する」「立場をわきまえ て適切な言葉や態度で対応する」については、抽象概 念を多く含む。場面・人が変われば状況が変化してす ることは、理解できているが行動に移すタイミングや. するアンケートでは、項目1∼3でよい言刊面を選んだ回. 答がほとんどで、授業でSSTに取り組むことに対して前 向きな言判面が多く見られた。内容についても、全10回 生徒の変化については、「⑥確認をするようになった」を. 振る舞い方は難しかった可能性がある。状況理解と半I」. 選んだ教員が60%「①報告をするようになった」を選ん だ教員が40%「⑨しんどいときに、休憩を先生にいえる. 断も求められ、状況は理解できても、次の取るべき方 法として行動につなげにくかったことも考えられる。. ようになった」を選んだ教員が20%と、3つのスキルに.  生徒アンケートの授業を受けた感想の自由記述の内. 生徒の変化が現れた。. 容からは、「勉強したことを卒業後も活かしたい」r自分. lV.考 察. の足りないことが分かった」スキルが身にっいたことや.  亥橡生徒全体では、就労尺度の2カテゴリーにおいて 有意に上昇した。高等特別支援学校職業科で、SSTを実 施することにより生徒の社会性の一部を向上できること が示された。5カテゴリーのうち協調性スキノレ」「作業 スキル」は授業で取り扱った内容を含んでいたことも作. 授業が自分にとって役立つ、あるいは、卒業後役立つ等、. 用し、カテゴリーの範囲では授業実践による効果が反映 さだと言える。モデリングやロールプレイで直接教えた. 自己理解が進み、できないことや失敗に対して、自分を 肯定的にみることができるようになったと言える。教員. ことで、スキルについて知る、適切なやり方を知る、練. のアンケート結果からは、SSTは必要だと思うか、につ. 習する。と段階的に授業でスキルの学習・SSTでのトレ ーニングを行った効果が出やすかったことが考えられる。. いては95%と非常に高かい評価を得た。今回のSSTを 取り入れた授業実践の必要性を教員が強く感じているこ. 「作業スキル」については、直接授業で教えなかったが、. SSTを前向きに捉え、好意的な意見がほとんどであった。. SSTを取り入れた授業を無理なく実施できたと推察で きる。SSTを取り入れた授業を行うことで、積極的に関 わり、自分に足りない、できていなかったことが分かり、. とが分かった. 職場シミュレーションと同様に作業をしている場面に介 入したためにr道具や機械や材料の管理や手入ができる」 「道具や機械や材料を大切に扱う」「道具や機械や材料を. 注意して運搬する」等、作業場面で必要なことを授業の. ■203一. 主任指導教員 井澤信三. 指導教員 井澤信三.

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