市街化調整区域における都市的土地利用と農業的土地利用の調整メカニズム : 埼玉県における都市計画法第34条11運用の自治体を事例として
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(2) 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). 40 (210). 域などを含めて広く適用するのではなく,現行. 発の原則禁止もしくは将来的な市街化区域予定. 規制のためにまちづくりの上で何らかの問題を. 地としての市街化調整区域に厳格に 2 区分する. 4). 抱えている地域において適用する」という方針. 制度であったため,線引きの内か外かによって. で,34─11 の条文を拡大解釈し,市街化区域の. 土地の資産価値に差を生じさせ,土地所有者に. 「染みだし」地域だけでなく, 「集落地域の活性. とっての不公平感や制度自体の不透明性が生じ. 化」を目的に市街化調整区域全域を対象にした. た.その不公平感を補うために,改正都市計画. 県条例を整備しているからである.つまり,開. 法以前にも当時の都市計画法第 34 条 10 号イの. 発圧力の強い地域では使わず,人口減少により. 大規模開発の規模要件の緩和,10 号ロの弾力的. 地域社会維持に困難を生じている地域に使うも. 運用,都市計画法第 43 条の既存宅地制度を利用. 5). のとして導入された .具体的事例として,34. した緩和等を行ってきた8).し か し,既存宅地. ─11 の運用において特徴的な川越市,羽生市,. 制度に関しては,許可を不要とする農家住宅を. 日高市の 3 自治体を取り上げ,自治体関係部局. はじめ,分家住宅や日常生活に必要な店舗など. 担当者,農業者からの聞き取り調査を元に,同. 個別に許可されてきたため,無秩序な宅地化に. 条の導入経過,運用における各市の特徴,共通. 拍車をかけ,地域によっては市街化区域とほと. 点,導入後の影響などを比較対照する(図 1) .. んど変わりない市街地が見られるようになり,. Ⅱ 2000 年都市計画法改正 の 問題点 と 埼玉県 開発許可条例の概要. まちづくりの視点が欠けているとの批判もあっ た9).また,1968 年の新都市計画法の創設から 30 年 が 経過 し,都市的生活 や 都市的活動 を め. 2000 年の都市計画法改正の変更点について. ぐる社会的情勢は大きく変化し,都市機能を支. は上述したが,区域区分制度に関しては,区域. える各種の産業立地は,交通・情報網の整備と. 区分の選択制を導入することに対する危惧があ. モータリゼーションの進展等に伴い,立地上の. るにもかかわらず,線引きを外した後の補完的. 制約要因がなくなりつつあることもまた要因と. な制度を用意することなく選択制が実施される. して挙げられている10).. 6). ことになった .しかし,実際には区域区分制. そこで,改正都市計画法では,市街化区域に. 度が選択制になったことが逆に各自治体が線引. 近接して市街化区域と一体の日常生活を構成し. きの必要性について真剣に考えるきっかけにな. ている地域に対して 34─11 の開発許可の条文を. り,改正後も大多数の自治体が区域区分制度を. 新たに設け,市街化調整区域の土地所有者の不. 継続している7).. 公平感の原因となっていた既存宅地制度を実質. この都市計画法改正では,市街化調整区域で. 的に拡大し,都道府県等が条例で定めた区域で. の開発許可制度の緩和も行われた.この運用に. 行う開発行為については,既に集落が形成さ. 関しては,本稿でも後段の各事例で取り上げる. れ,道路等の公共施設が整備されていれば新た. が,34─11 区域に農振農用地が含まれた上,結. な公共投資の必要性もないことから,予定建築. 果的に農振除外,農地転用が許可されたため農. 物の用途が条例で定めた支障あるものに該当し. 地価格が急騰するなど,土地利用の混乱も生じ. ないものであれば,開発行為が許容されること. ることになった.. になった.. そ の 要因 と し て,2000 年都市計画法 の 改正. しかし,34─11 の区域指定に関しては,上述. 前 か ら 市街化調整区域 の 開発規制 を 建前通 り. したように道路交通網の発達した今日では「近. に厳しく運用することが困難であったことであ. 隣・隣接」の範囲は単に物理的な距離だけで区. る.区域区分制度は,都市計画区域の中で開発. 分することは適正を欠くという理由から,要件. を誘導・促進する区域である市街化区域と,開. に「市街化区域への隣接,近傍」が求められな.
(3) 市街化調整区域における都市的土地利用と農業的土地利用の調整メカニズム(小嶋) (211). 41. 図 1 川越市,羽生市,日高市位置図. かった.また,条例制定において自治体の判断. 年に県の開発許可条例を施行したが,その際,. 基準で条件を付けることが可能であったので,. 34─11 の 条文 を 拡大解釈 し,本来,改正都市計. 埼玉県や栃木県の県条例のように 34─11 を拡大. 画法が意図していた市街化区域からの染み出し. 解釈し, 「都市の機能と田園・自然環境とが共. 部分や開発圧力が強い地域に対する緩和措置よ. 生する質の高い居住地域」の形成を目指すと. り,む し ろ 市街化調整区域内 の 既存集落 の 人. いった将来の土地利用のイメージを具体的に示. 口の停滞やコミュニティーの現状維持という課. し,市街化調整区域内の大規模既存集落などの. 題を解決する, 「地域活性化策」の手法として,. 人口の停滞やコミュニティーの維持困難といっ. 県の開発許可条例の制定を行った.. た問題に対処するため,地域活性化の必要な地. 埼玉県内の 34─11 の区域指定は,2004 年 6 月. 域に限定してスポット的に区域指定を行う事例. 時点 で 条例対象市町村 38 市町村中 32 市町,既. も見られた11 .このように 34─11 の区域設定に より開発圧力や農地所有者の土地所有に関して. 存集落 37,738 ha 中約 19,897 ha が指定されたが,. の不公平感を解消したり,地域活性化策として. 用にばらつきがある.県条例に沿う形で条例を. の運用も可能であるが,その反面,その運用方. 制定している自治体もあれば,権限委譲が進め. 法を誤ると条例の緩和的側面が強く発揮される. られた特例市や開発許可等の事務を移譲してい. ことになり,区域指定によっては,将来的に新. る自治体では,独自に条例を施行し,34─11 の. しい居住地の小集団が調整区域内に散在する可. 区域指定をしている.そのため,後述するよう. 能性がある.. に図面で 34─11 の区域を指定せずに,開発基準. この都市計画法改正に合わせ,埼玉県は 2002. の条文のみを定めている自治体(川越市)もあ. ). 同じ 34─11 の区域指定に関して自治体ごとに運.
(4) 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). 42 (212). れば,34─11 の解釈の相違により調整区域全域. サトイモ等の良質な野菜が生産・出荷され,特. を 34─11 の区域に指定し,農振除外の上,農地. にサツマイモについては,都内の料亭で取引さ. 転用を許可してしまった自治体(日高市)もあっ. れるなどブランド野菜の産地として都市近郊農. た.. 業の地位を確立している. Ⅲ 自治体の事例分析. ⑵ 34━11 の導入経過 川越市 の 条例制定 は,2006 年 5 月 に 行 わ れ. 1.川越市の事例. た.当初,川越市 は 県条例制定 に 合 わ せ て 条. ⑴ 川越市の概要. 例を制定し,34─11 区域を指定する予定であっ. 川越市は,埼玉県の中央部よりやや南部,武. た.しかし,実際に区域指定のシミュレーショ. 蔵野台地の東北端に位置している.北東部の水. ンをしていく過程で,職員が住民と協議しなが. 田地帯,中央部の市街地,南西部の畑地帯に分. ら区域指定を行うには集落の数が多すぎて難し. けられる.都心から 30 ㎞の首都圏に位置する. いことがわかった.その理由として,川越市は. ベッドタウンでありながら,商品作物の生産を. 1955 年から 1960 年にかけて 9 つの旧町が合併. 中心とした近郊農業,交通の利便性を生かした. し,現在も 9 つの地区それぞれに川越市の支所. 流通業,伝統に培われた商工業,豊かな歴史と. があり,9 地区のそれぞれの集落を市街化区域. 文化を資源とする観光など,充実した都市機能. に指定し,それ以外を市街化調整区域にしたこ. を 持 ち,衛星都市 と し て 発展 し て い る.最近. とで結果的に市街化区域と調整区域が入りくん. では,古い街並みのある観光地としても有名. でいることや 9 地区それぞれに排水,道路等の. で あ る.川越市 の 人口 は 2008 年 3 月 1 日現在. 整備率に差があったからである(図 3).. 335,744 人(埼玉県統計部調べ) .埼玉県で最初. 当時,川越市に対して開発業者からだけでな. の 市 と し て 1922 年 に 30,359 人 で ス タート し,. く,議会や県の宅地取引業協会からも少しでも. 1955 年の合併で一気に 10 万人を超え,その後. 早く都市計画法を生かしたまちづくり,規制緩. も順調に増加を続けてきた.近年,出生率の低. 和を生かしたまちづくりをしてほしいという要. 下などがあり,伸び率は低くなっているが,人. 望はあったが,34─11 の条例の施行に関して,. 口は増加傾向にある(図 2) .. あえて県条例には追随しないで暫く様子を見る. 近隣自治体と比較した場合,その特徴として. ことにした.その理由として,2003 年に川越. 市街化調整区域内に農振農用地が大きく設定さ. 市の中核市への昇格が予定されており,中核市. れていることである.川越市が農業振興地域を. になれば都市計画の事務等を独自に行うことが. 指定する際に市街化調整区域内に多くの農振農. 可能となることから,市としては中核市昇格と. 用地を確保できた理由として,第 1 に当時から. 同時に開発審査会を設置し,集落地域ごとに開. 市内に営農意欲の高い農業者が多かったことが. 発を認めていく方針を採ることにしたからであ. 挙げられる.農業者は,農振農用地の指定を受. る.. けることによって行政投資を受けられ,農作業. 条例の制定までにある程度の時間の余裕が. の高度化が図ることができ,反収が上がること. あったことから,すでに 34─11 区域の運用を始. を期待して,市の北東部を中心とした水田地帯. めていた鶴ヶ島市,坂戸市,日高市等の近隣自. を中心に大きく農振農用地が指定された.第 2. 治体を参考にしながら,方針を検討することが. に地理上,水田地帯は入間川が持つ地の利を確. できた.特に,西に隣接する日高市では,後段. 保することができ,自然環境に恵まれており,. で事例として取り上げるが,農振農用地も含め. また市の南西部の畑作地帯も関東ローム層の自. る形で 34─11 区域が指定されたため,土地利用. 然環境に恵まれており,ほうれん草,小松菜,. に混乱を生じることになった.このような先発.
(5) 市街化調整区域における都市的土地利用と農業的土地利用の調整メカニズム(小嶋) (213). 43. ᎹᏒੱญᏪᢙ 㪊㪋㪇㪃㪇㪇㪇. 㪈㪋㪇㪃㪇㪇㪇. 㪊㪊㪇㪃㪇㪇㪇. 㪈㪉㪇㪃㪇㪇㪇 㪈㪇㪇㪃㪇㪇㪇. 㪊㪉㪇㪃㪇㪇㪇. 㪏㪇㪃㪇㪇㪇. ੱ 㪊㪈㪇㪃㪇㪇㪇. Ꮺ. 㪍㪇㪃㪇㪇㪇. 㪊㪇㪇㪃㪇㪇㪇. 㪋㪇㪃㪇㪇㪇. 㪉㪐㪇㪃㪇㪇㪇. 㪉㪇㪃㪇㪇㪇 㪇. 㪉㪏㪇㪃㪇㪇㪇 1989 1998 1999 2001 2002 2004 2005 㪟㪈 1990 㪟㪉 1991 㪟㪊 1992 㪟㪋 1993 㪟㪌 1994 㪟㪍 1995 㪟㪎 1996 㪟㪏 1997 㪟㪐 㪟㪈㪇 㪟㪈㪈 2000 㪟㪈㪉 㪟㪈㪊 㪟㪈㪋 2003 㪟㪈㪌 㪟㪈㪍 㪟㪈㪎 2006 㪟㪈㪏. ✚ᢙ. Ꮺᢙ. . 図 2 川越市人口推移(川越市資料より作成). ᧄᐡ▤ౝ. ⧐㊁. ฎ⼱. ධฎ⼱. 㜞㓏. ේ. ᄢ᧲. 㔰ࠤ㑐. ฬ⚦. ጊ↰. ᐕ ઙ ᐲ. ઙ 㕙Ⓧ. ᢙ. ઙ 㕙Ⓧ. ઙ 㕙Ⓧ. ᢙ. ᢙ. ઙ 㕙Ⓧ. ઙ 㕙Ⓧ. ᢙ. ઙ 㕙Ⓧ. ᢙ. ઙ 㕙Ⓧ. ᢙ. ᢙ. ઙ 㕙Ⓧ. ઙ 㕙Ⓧ. ᢙ. ᢙ. 㕙Ⓧ ᢙ. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 山田 . . 芳野. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 古谷 . . . . . . . . . . . . . . . 名細. . . . 霞ヶ関. 本庁. . 南古谷. 大束. ᐔᚑ㪈㪏ᐕᐲㇺᏒ⸘↹ᴺ╙㪊㪋᧦㪏䋭㪊ၞౝ䈮㑐䈜䉎ㄘォ↪⸵น⁁ᴫ䇭䇭䇭䇭䋨ㄘᴺ╙㪌᧦䋩. 高階. 㪉㪇㪇. 福原. 㪈㪌㪇 ઙ. 㪈㪇㪇 㪌㪇 㪇. ో 䋸䋭䋳. ᧄᐡ. ⧐㊁. 㪈㪏 㪌 㪈㪏. 㪉㪍 㪈㪈 㪌㪇. ฎ⼱. ධฎ⼱. 㜞㓏. ේ. 図㪉㪌3 川越市地区別位置図 㪉㪏 㪊 㪉㪍 㪋 㪈㪊. 㪈㪈 㪋㪏. 㪇 㪇. 㪉 㪈㪈. ᄢ᧲. 㔰䊱㑐. ฬ⇌. ጊ↰. 㪉㪍 㪋 㪈㪉. 㪊㪌 㪈㪋 㪈㪇㪍. 㪋㪋 㪉㪌 㪈㪋㪏. 㪉㪈 㪍 㪈㪌.
(6) 44 (214). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). 事例の反省点を踏まえて条例を整備していくこ. ⑶これまで許可の適用除外とされてきた医療施. ととした.. 設,社会福祉施設,学校,庁舎等の公共公益施. ⑶ 都市計画部局にとっての 34━11 の問題点. 設を建築する目的で行う開発行為について許可. 都市計画法改正に伴う既存宅地制度の経過措. が必要となるなど,これまでの調整区域の規制. 置・救済措置の期限が 2006 年 5 月 17 日までで. 緩和の方針からコンパクトシティ化に向けた方. あったので,その期限にあわせて川越市の条例. 針へと再度戻ることを想定した内容になってい. は,34─11 区域を面的指定ではなく,34─11 区. る.市の担当者も「今回の改正では,34─11 区. 域に該当するか否かを道路,排水等の要件に. 域の導入から時間が経過していないため,国も. よって文章のみで制定することとなった12).. 調整区域内の 34─11 区域設定による開発の規制. 川越市の文言上の 34─11 の区域が実際には,. 緩和の方針を変更しなかったが,次の都市計画. どのくらいの面積になるのかを地図に当てはめ. 法の改正では,調整区域の開発において 34─11. てみたところ,市街化調整区域の農振白地区域. 区域内の運用もあわせて厳しく抑制される方針. の約 2 割に該当する 400ha が該当することが. に転換されるのではないか」と予想しており,. わかった.条文のみで 34─11 条例を用いた川越. もし,調整区域内の開発が厳しく改正されるの. 市には次の 3 点の問題が生じることになった.. であれば,それにあわせてマスタープランも見. まず,第 1 に住宅建築数と人口問題の関係で. 直さなくてはならないと考えているという.. ある.川越市では 34─11 区域内を中心に戸建て. 第 2 に都市計画の方針の変更に伴う独自の土. 住宅が相次いで建設されているが,それでも大. 地利用計画制度の必要性である.市としては都. 幅な人口増加は見られず,現在 33 万人前後で. 市計画の土地利用計画を整理していくことが課. 推移している.市としては,まだ住宅供給は飽. 題であると考えている.現在の川越市の都市計. 和状態に達しておらず,都内から 30 分圏内と. 画は 34─11 区域により市街化区域以外も開発が. 利便性もよいため農業者自身も不動産として農. 可能になったことで,本来想定していた当初の. 地の需要がまだあると考えているが,ある程度. 都市計画と現在の開発状況の間に「ずれ」が生. の住宅供給が進めば農地の売却も落ち着き,住. じてきており,今後,市全体の土地利用計画に. 宅供給も自然に収束していくものと考えてい. ついて都市計画分野と農政分野で調整していく. る. . 必要がある.. しかし,34─11 区域内の安価な住宅を購入す. また,土地利用の「ずれ」に関連して暫定逆線. る層は,車があればまとめて郊外のスーパーに. 引き方式(通称: 「埼玉方式」 )が 2006 年 3 月で廃. 買い物に行けるので,若年層が中心であり,逆. 止が決定したことも大きく影響している.埼玉方. に高齢者が市の中心部に残されるという状況が. 式とは,当分の間,計画的な市街地整備が行われ. 見受けられる.それを裏付けるように調整区域. る見込みのない地区を,用途地域の指定を残した. 内の小学校の児童数がここ最近増えており,調. まま,一旦,市街化調整区域に編入し,その後,. 整区域に人口が張り付くことで新たな公共投資. 土地区画整理事業等の実施が確実になった時点で. の必要性が出てきている.. 市街化区域に再編入するという埼玉県独自の方式. 一方,2007 年 11 月には都市計画法が改正さ. であった13).しかし,この暫定逆線引き地区から. れ,⑴大規模な集客施設が立地可能な用途地域. 市街化区域への再編入が減少し,1998 年には実績. を見直し,近隣商業地域,商業地域,準工業地. ゼロとなったことから,廃止されることになった.. 域に限定,非線引き都市計画区域の白地地域で. 逆線引きを実施した地区は,2006 年 3 月までに市. は原則として立地できなくなる.⑵市街化調整. 街化区域か市街化調整区域のどちらに組み込まれ. 区域内の大規模開発を許可できる基準の廃止,. るかを選ぶことになった.実施地区の 1 つである.
(7) 市街化調整区域における都市的土地利用と農業的土地利用の調整メカニズム(小嶋) (215). 表 1 川越市地区別農地転用状況(川越市 HP より引用) 年. 本庁管内. 度. 件 数. 14. 83. 15. 83. 16. 芳野. 古谷. 件 数. 面積. 35,106. 26. 38,281. 23. 12,454. 44,443. 16. 5,292. 27. 43,580. 121 71,547. 25. 12,876. 23. 28,223. 17. 95. 57,078. 23. 7,485. 29. 18. 106 55,597. 36. 38,359. 24. 面積. 件 数. 南古谷 面積. 件 数. 59. 34,443. 69. 63. 29,683. 51. 54. 22,348. 70. 20,012. 42. 32,371. 15,691. 51. 38,061. 面積. 件 数. 高階. 福原. 大東. 霞ケ関. 45. (単位:m2) 名細. 件 数. 面積. 件 数. 面積. 件 数. 面積. 22,862. 30. 22,195. 57. 21,205. 69. 34,927. 25. 9,878. 18. 7,693. 19,827. 21. 12,297. 54. 188,489. 65. 21,506. 35. 28,526. 27. 14,284. 22,434. 42. 34,092. 56. 42,170. 61. 22,261. 26. 10,227. 29. 14,524. 58. 26,963. 28. 20,346. 82. 51,872. 72. 44,448. 43. 26,853. 27. 12,202. 61. 29,674. 29. 16,544. 84. 48,927. 86. 59,177. 63. 52,725. 44. 32,328. 砂久保地区でのアンケートでは,98% が調整区域 14). 面積. 件 数. 山田. 面積. 件 数. 面積. 目星をつけた土地が 34─11 区域に該当し,開発. に入ることを希望している .砂久保地区以外に. が可能であるか,随時窓口に相談に来ることで. も川越市内には暫定調整区域が 6 カ所あるが,川. 相談件数が急激に増加したからである.. 越市は暫定調整区域を調整区域に編入した場合に. また,川越市の場合は開発許可申請をする際. は,その地域は 34─11 区域に該当させない方針で. には事前に窓口に相談していなければ申請は出. ある.その理由として農業を継続したいから調整. せないことになっていることも相談件数が増加. 区域に編入するにもかかわらず,開発可能な 34─. した要因である.窓口での相談と現場での確. 11 区域として取り扱うことに矛盾があり,もし今. 認・調査作業で 34─11 区域の制定後,担当職員. 後,開発を希望するのであれば,34─11 区域とし. は大きな負担を抱えることになった.従来と比. てではなく市街化調整区域内の地区計画という形. 較すれば,現場での確認・調査作業も十分に行. で処理していくという.. うことは,困難であり,結果として十分に行う. ちなみに川越市では法律では廃止された既存. ことができなかった確認・調査作業が今後の土. 宅地制度について農業者の中に継続を要望する. 地利用に関して影響を生じる可能性があること. 声があり,面積要件を 150 ㎡ から 200 ㎡ に上. が懸念されている(表 1)(図 4).このように. げ,用途も狭め,厳しくすることで今までどお. 34─11 の区域指定が条文のみで指定されたこと. り既存権利は残していくことにした.川越市. により問題となった.. に対して,このように条例で既存宅地制度を復. ⑷ 農政部局にとっての 34━11 の問題点. 活させたこと,34─11 を区域指定でなく文言指. 農政部局は,34─11 の区域指定の話が都市計. 定で実施したことに関して改善指導もあるとい. 画部局からあった際には,国土の有効利用,農. う.. 地保全策の観点から,区域指定・文言指定のど. 第 3 に相談件数の増加である.特に条例化し. ちらの場合においても,農振農用地,第 1 種農. た 直後 の 2006 年 5 月 の 議会議決 を 経 て 34─11. 地をその対象からは除外するよう申し入れ,実. 条例が広報されてから近隣自治体と同様に相談. 際,除外されている.. は多くなり,相談件数の増加に伴って,申請数. しかし,34─11 区域が条例で整備されると 34. も多くなったので職員の完了検査・確認作業量. ─11 区域内に農地を所有する農業者には,どの. が増えることになった.しかし,川越市で特に. ように 34─11 区域内の農地を活用すれば,営農. 多かった理由として区域を図示せず,条文のみ. を継続することができるかという土地利用上の. で指定するという性格上,不動産業者が実際に. 戸惑いが生じた.一方,農振農用地にしか農地.
(8) 46 (216). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). を所有していない農家も同様に,農業経営が農. から,解除後は転用され市街化区域への編入が. 振白地,市街化区域とバランスよく所有してい. 今後増えるのではないかと予想している.. る農家と比較して,今後の農業経営は厳しくな. 一方,市の南西部の畑作を中心とした地帯で. ることが予想されることから,農地の不動産活. も,水田地帯とは異なった問題がある.その第. 用を通して農外収入を得るためには,農振除外. 1 として平地林の保全があげられる.川越市を. しか方法はないと考えるようになった.. 中心とする三富地域では江戸時代の新田開拓に. 特に川越市の場合は,農振農用地内には水田. より,屋敷(林),畑,平地林の順に配置され. が多いことから, 稲作農家を中心に米価の下落,. た 短冊状 の 細長 い 区画(間口 40 間・約 72 m,. 高齢化に伴う後継者不足で経営が行き詰まって. 奥行 375 間・約 675 m)が見られ,特に平地林. おり,さらに補助金の対象となる事業等もなく. は,有機質肥料となる落ち葉を生産し,冬場の. なってきているため農業機械等が購入できず,. 強い風を防ぎ,薪や炭にもなる農業や生活に不. 不動産を切り売りし,運転資金を捻出しなけれ. 可欠なものだったが15),この循環型の農業を平. ば農業の継続が困難になってきている.実際農. 地林の下草刈りや落ち葉はきなどの手間がかか. 政窓口には, 「農業資材・機械の維持経費がか. ることを理由に止めてしまっている農家も多. かり農業収入だけではやっていけない.農地を. く,現在では平地林を中心に 34─11 条例による. 守っていくことが困難になりつつあるので何と. 開発が進んでいるという.また,担当者が話す. かしてほしい」と農振除外に関する相談が増え. ように限られた予算の中では,農地保全も難し. ている.農政部局としては,稲作農家の農業経. くなっている.とはいえ,水田地帯に比べて,. 営の継続と農振除外の問題に対応することが課. 畑作地帯は,サツマイモを中心とした川越ブラ. 題になっている.. ンドをすでに確立しており,都市近郊農業とし. しかし,34─11 区域の制定時に農振農用地と. て消費者が身近にいる環境を生かして直売所を. 第 1 種農地を 34─11 区域から除外し保全してい. 中心に経営を安定させている農家が多いことか. る以上,農振除外に関しては慎重にならざるを. ら,意欲ある農家は今後も十分に農業の高度化. えない.また農振地域については,おおむね 5. をしていくことは可能である.. 年ごとに土地利用計画,農業振興計画を見直す. ま た,現状 は,要件 に 合致 す れ ば 自動的 に. ことになっているが,農地法,都市計画法,建. 34─11 区域に該当してしまうが,地域によって. 築基準法など他法令の許認可が見込まれない場. は農振白地であっても転用不許可であるといっ. 合に,農振除外の申し出を受けることはできな. た区域を面的に決めたいという考えはあるとい. い.川越市独自の農振除外の要件もあるが,公. う.. 用公共施設,地域住民の福祉の増進のためやむ. ⑸ 農業者にとっての 34━11 の問題点. を得ないと認められる施設,当該農用地を所有. 川越市は,北東地区が水田地帯,南西地区が. する農業者等及びその親族のための住宅用地,. 畑作地帯となっており,34─11 区域に関しての. 収用移転,敷地拡張のみに限定されており,転. 農業者の土地利用意向が地域ごとに異なってい. 用した土地に建てた施設を申請者以外の者に使. ることが転用件数からも見受けられる.. 用させることを目的とした除外は認められてい. 南古谷地区,山田地区を中心とした水田地帯. ない.そのため農振農用地にしか農地を所有し. の 農家 は,「34─11 の 制度 は,開発志向 の 農業. ていない農家にとっては,34─11 区域に農地を. 者のガス抜きを可能とすると同時に農業経営の. 所有する農家との不公平感は大きい.. 失敗を挽回できる手段となっており,安心して. 仮に農振除外が許可されたとしても,川越市. 農業を継続できる為の保険」であるという.農. は市街化区域と調整区域が込み入っていること. 地の売買価格が下落する中で 34─11 区域に自分.
(9) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 市街化調整区域における都市的土地利用と農業的土地利用の調整メカニズム(小嶋) (217). 47. ᐔᚑ㪈㪏ᐕᐲㇺᏒ⸘↹ᴺ╙㪊㪋᧦㪏䋭㪊ၞౝ䈮㑐䈜䉎ㄘォ↪⸵น⁁ᴫ䇭䇭䇭䇭䋨ㄘᴺ╙㪌᧦䋩. 㪉㪇㪇 㪈㪌㪇 ઙ. 㪈㪇㪇 㪌㪇 㪇. ో 34 ─11 䋸䋭䋳. 建売住宅(棟). ᧄᐡ. ⧐㊁. ฎ⼱. ධฎ⼱. 㜞㓏. ේ. ᄢ᧲. 㔰䊱㑐. ฬ⇌. ጊ↰. 㪈㪏 㪌 㪈㪏. 㪉㪍 㪈㪈 㪌㪇. 㪉㪌 㪋 㪈㪊. 㪉㪏 㪈㪈 㪋㪏. 㪊 㪇 㪇. 㪉㪍 㪉 㪈㪈. 㪉㪍 㪋 㪈㪉. 㪊㪌 㪈㪋 㪈㪇㪍. 㪋㪋 㪉㪌 㪈㪋㪏. 㪉㪈 㪍 㪈㪌. (筆者作成 注;34 条 11 条例施行以降の数となっている) 図 4 平成 18 年度都市計画法第 34 条 11 区域内に関する農地転用状況(農地法第 5 条). の農地が含まれることは,不動産業者への売却. 区域の土地活用の自由度の高まりに反比例して. や共同住宅の建設を通して,営農に伴う運転資. 建売住宅等からの排水問題など営農環境の悪化. 金を準備でき,営農の継続や経営規模の拡大も. が生じている.「生活排水を浄化槽に流しても. 可能となる点は評価できるという.さらに農業. かまわないが,水田に生活排水が入ってきてし. 者の立場から言えば, 「好き好んで農地を売る. まうのは勘弁してほしい」と,農業者から排水. 人はいないし,理由があるからこそ売却するの. 設備を中心とした農村集落の整備を希望する声. だから,できるだけ本人の意に沿うような形で. も聞かれている.しかし,市担当者は「基本的. 農地活用ができるほうが望ましい」と考えてい. に排水の整備を条件としてクリアしたところを. るという.つまり, 「34─11 区域においては一. 許可しているが,それでも排水に関して生活排. 定期間,開発を志向する農業者を対象にガス抜. 水による農業用水の汚染の問題が起きている.. きをさせた上で, 最終的に守るべき農地は守り,. 34─11 区域は基盤整備が済んでいるという建前で. 地域農業の継続を図ることが長い目で見ればよ. あるが,決して水道,道路は調整区域で整備し. いのではないか,またそのようにしていくこと. ないということではないが,34─11 区域に指定す. が 34─11 の制度で可能になった」 と考えている.. るために用排水整備の予算を立てることは当然. 川越市の市街化調整区域の白地地区は,開発. できない」という.. も農業継続も可能な環境に恵まれており, 実際,. 不安定な農政の下であるからこそ,農業者. 市内でも兼業農家の多い地区では,34─11 の区. としては 34─11 区域に含まれることは望ましい. 域を中心に相続税の支払いの際に農地の切り売. が,開発許可については,地域に即した形での. りが始まっている.34─11 区域の農業者からは. 開発も認めてほしいとの声がある.. 「農業後継者は,相続の際に農地を売却すれば. 他方,霞ヶ関,福原地区を中心とした畑作地. よいから農業継続をやりやすくなるが,戸建て. 帯は,都内にも近く,若い農業後継者が多い地. 住宅を中心とした乱開発の兆候が見受けられて. 域であるため,40 歳以上は専業農家が中心と. おり,営農環境が悪化する前に土地利用整序が. なっており,専業農家率は川越市内でもトップ. 必要になるのではないか」というように 34─11. クラスの地域となっている.畑作地帯というこ.
(10) 48 (218). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). とから,水田地域で問題になっているような. 区を対象に地区計画の策定が模索されていた.. 34─11 区域の開発に伴う排水問題はないが,建. 村君地区では 1987 年に「集落地域整備法」が. 売住宅が建築されることにより風向きが変わ. 創設された際に同法を利用して人口増を計画し,. り, 砂ほこりが舞うといった問題は生じている.. 住民を対象としたアンケートを実施した.その. また,農業後継者がいない高齢者のところに不. 後 も 1989 年 に 羽生市総合振興計画,1996 年 に. 動産業者が頻繁に訪れたりしているようで,突. は羽生市田園リゾート基本構想をまとめるなど,. 然,自分の農地に隣接する農地や平地林に建売. 村君地区の将来構想を計画してきたが,1996 年. 住宅等が建築され,今後の営農環境がどうなる. に市の人口の伸びが急激に減少したことをきっ. かと心配する声が聞かれた.現に建売住宅が急. かけとして今のままの土地利用計画では羽生市. 増している霞ヶ関地区の農業者は,堆肥のにお. が衰退することが予測され,議会サイドからも. いや住民によるゴミなど新住民とのトラブルを. 本格的にその対策に取り組みが求められるよう. 心配している.. になった.羽生市が村君地区で地区計画の実施. 農地を高く売却できなくなっている中で,34. に向けて準備していた一番の理由は人口減少,. ─11 制度は,切り売りや建売住宅や共同住宅と. 少子高齢化に対する活性化対策であった.村君. いった建築を可能とする反面,新住民とのトラ. 地区 は,2002 年 4 月 1 日現在 で 人口 2060 人,. ブルの可能性など営農環境の悪化を生じる点で. 522 世帯が居住しており,高齢化率は市平均よ. 34─11 区域に含まれることは「アメとムチ」で. り 高 い 26.3%,地区内 の 村君小学校 の 児童数 も. あるという.. 2007 年度までに 77 人まで減少するなど,少子 高齢化が進行している地区であった(図 5) (図. 2.羽生市の条例施行事例. 6) .. ⑴ 羽生市の概要. 村君地区 は,羽生市 が 1970 年 に 当初線引 き. 羽生市は関東地方のほぼ中央,埼玉県の北東. を行った際に地区全域が市街化調整区域に含ま. 部に位置し,都心から 60 km,県庁所在地のさ. れ,利根川の自然後背湿地を利用した水稲単作. いたま市から 40 km の距離にあり,東と南は. 農業が営まれていたが,中心部から離れた市の. 加須市,西は行田市,北は利根川を隔てて群馬. 北部,利根川沿いに地区が位置しているため,. 県に隣接している.市域は東西 10.25 km,南. 若者の地区離れなどにより農業後継者不足,産. 2. 北 6.71 km,面積 58.55 km .. 業としての農業やコミュニティーとしての農村. 主 な 交通機関 は,東武伊勢崎線,秩父鉄道,. の活力が低下している地区であった.さらに,. 東北自動車道羽生インターチェンジ,国道 122. 東北自動車道が地区内を南北に縦断し,物理的. 号,国道 125 号があり,市の中心部は,商工業. にもコミュニティーを分断していた.その地域. の市街地となっており衣料の町として発展し,. 活性化策として地区計画を 1 つの手法として模. 周囲は農業地帯で利根川の豊かな水資源を利用. 索していたのである.. し,県北の穀倉地帯として肥沃な田園に恵まれ. 市 の 土地利用計画 に つ い て 市担当職員 に よ. ている.. ると「都市計画法第 34 条 11 制度ができるまで. ⑵ 34━11 の導入経過. は,土地利用計画を立てる際に都市計画の制度. ① 34─11 の区域創設前史. がマイナスに働いていた」という.つまり,市. 34─11 区域の指定は羽生市が県内で一番早く. 街化調整区域では分家住宅や既存宅地など農家. 取り組まれ,2003 年 1 月 29 日に市内の下村君. 関係者しか住宅の建築ができず,コンサルタン. 地区および堤地区(以下 :「村君地区」 )の一部. ト等からの具体的な専門的提案,例えば,市営. が指定された.しかし,その前段として村君地. 住宅や県営住宅,分家住宅を積極的に増やすと.
(11) ⠀↢Ꮢੱญផ⒖ 市街化調整区域における都市的土地利用と農業的土地利用の調整メカニズム(小嶋) 㪌㪏㪃㪇㪇㪇 ⠀↢Ꮢੱญផ⒖. 㪌㪎㪃㪌㪇㪇 58,000 㪌㪏㪃㪇㪇㪇 㪌㪎㪃㪇㪇㪇 57,500 㪌㪎㪃㪌㪇㪇 㪌㪍㪃㪌㪇㪇 ੱ57,000 㪌㪎㪃㪇㪇㪇 㪌㪍㪃㪇㪇㪇 56,500 㪌㪍㪃㪌㪇㪇 㪌㪌㪃㪌㪇㪇 ੱ 56,000 㪌㪍㪃㪇㪇㪇 人 㪌㪌㪃㪇㪇㪇 55,500 㪌㪌㪃㪌㪇㪇 㪌㪋㪃㪌㪇㪇 55,000 㪌㪌㪃㪇㪇㪇. 䌈䋷. (219). 㪉㪃㪈㪌㪇 㪉㪃㪉㪇㪇 㪉㪃㪈㪇㪇 㪉㪃㪈㪌㪇 㪉㪃㪇㪌㪇 㪉㪃㪈㪇㪇 㪉㪃㪇㪇㪇 㪉㪃㪇㪌㪇 㪈㪃㪐㪌㪇 㪉㪃㪇㪇㪇 㪈㪃㪐㪇㪇 㪈㪃㪐㪌㪇 㪈㪃㪏㪌㪇 㪈㪃㪐㪇㪇 䌈䋹 䌈䋱䋰 䌈䋱䋱 䌈䋱䋲 䌈䋱䋳 䌈䋱䋴 䌈䋱䋵 䌈䋱䋶 䌈䋱䋷 䌈䋱䋸. 䌈䋸. ᐕ. 54,500 㪌㪋㪃㪌㪇㪇. 㪈㪃㪏㪌㪇. 䌈䋷 1996 䌈䋸 1997 䌈䋹 1998 䌈䋱䋰 䌈䋱䋱 䌈䋱䋲 䌈䋱䋳 䌈䋱䋴 䌈䋱䋵 1995 1999 2000 2001 2002 2003 䌈䋱䋶 2004 䌈䋱䋷 2005 䌈䋱䋸 2006 ⠀↢Ꮢోੱญ. ำ. 年 ᐕ. ⠀↢Ꮢోੱญ. ำ. 図 5 羽生市人口推移 (羽生市資料より作成). ⠀↢Ꮢ㜞㦂ൻ₸ 㪊㪇㪅㪇. ⠀↢Ꮢ㜞㦂ൻ₸. 㪉㪌㪅㪇 㪊㪇㪅㪇 㪉㪌㪅㪇. 䋦 㪈㪌㪅㪇 %. 㪉㪉㪅㪈㪈㪌㪅㪇. 㪉㪉㪅㪏㪈㪌㪅㪏. 㪈㪌㪅㪊 㪉㪇㪅㪏. 㪉㪇㪅㪇. 䋦. 㪉㪊㪅㪎㪈㪍㪅㪉. 㪉㪋㪅㪋㪈㪍㪅㪏. 㪉㪌㪅㪈㪈㪎㪅㪍. 㪉㪍㪅㪊 㪈㪏㪅㪈. 㪊㪇㪅㪇 㪉㪇㪅㪇 㪉㪌㪅㪇 㪈㪌㪅㪇. 㪈㪏㪅㪈. 㪈㪎㪅㪍. 㪈㪍㪅㪏. 㪈㪍㪅㪉. 㪈㪌㪅㪏. 㪈㪌㪅㪊. 㪈㪇㪅㪇 㪈㪌㪅㪇. 㪉㪌㪅㪇. 㪉㪇㪅㪏. 㪉㪇㪅㪇. 㪊㪇㪅㪇. 㪉㪍㪅㪊. 㪉㪌㪅㪈. 㪉㪋㪅㪋. 㪉㪊㪅㪎. 㪉㪉㪅㪏. 㪉㪉㪅㪈. 㪉㪇㪅㪇 㪈㪇㪅㪇. 㪈㪌㪅㪇. 㪈㪌㪅㪇 㪌㪅㪇. 㪌㪅㪇. 㪈㪇㪅㪇. 㪈㪇㪅㪇 㪇㪅㪇. 㪇㪅㪇. 㪌㪅㪇. 1996 䌈䋸. 1997 䌈䋹. 1998 䌈䋱䋰. 1999 䌈䋱䋱. 2000 䌈䋱䋲. 2001 䌈䋱䋳. 2002 㪌㪅㪇 䌈䋱䋴. 年 ᐕ. 㪇㪅㪇 䌈䋸. 䌈䋹. 49. 㪉㪃㪉㪇㪇. 䌈䋱䋰 䌈䋱䋱 Ꮢో㜞㦂ൻ₸. ᐕ. 㪇㪅㪇 䌈䋱䋲 䌈䋱䋳 䌈䋱䋴 ำ㜞㦂ൻ₸. 図 6 羽生市高齢化率 (羽生市資料より作成) Ꮢో㜞㦂ൻ₸ ำ㜞㦂ൻ₸.
(12) 50 (220). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). いった提案を受けても 9 割弱が市街化調整区域. 整区域の土地利用が規制緩和され,まちづくり. の羽生市では計画が実現できなかった.また,. の自由度が急激に高まったため,34─11 の制度. 新住民を受け入れ,若者の定住化を図るために. を利用することにした.. は,企業誘致を通して産業の受け入れもしなく. しかし,これまでの 10 年間にわたり構想基. てはならなかったが,それもまた区域区分制度. 本計画を作ってきた歴史もあるので,調整区. が障害となり,取り組みが困難であった.. 域内の規制緩和の制度ができたからといって. 1996 年に報告された村君地区少子化対策協議. すぐに飛びついた訳ではなかった.市街化調. 会の「少子化についての問題点・要望,解決策. 整区域 に お け る 地区計画 は,住民合意 が 必要. 等に関する報告書」からも区域区分制度の問題. である他にも公的機関の存在が必要となるの. が既存宅地の有効利用,住環境の整備に関して. に対して,34─11 条例は原則都市基盤整備が済. の障害になっていることが明確に意識されてい. んでいる地域を指定し,自治体による公共整. る.. 備を必要としないという前提から,地域を指. その反面,農業者の分家住宅の建設,既存宅. 定すれば開発に関して不動産業者をはじめと. 地制度を活用した住宅開発等は行われ,市街化. する民間の力を活用することができる点が羽. 調整区域内 の 大 き な 農家 の 所有地 に 小規模住. 生市 に とって メ リット で あった た め 34─11 制. 宅が 20 軒くらい建設されるといったミニスプ. 度を利用することとなった.. ロールが発生するなどしていた.. 当初は,村君地区を活性化させることが目的. 上述したほかにも 1995 年に当時の市長が都. であり,10 年間かけて取り組んできたが,都. 市計画制度をはじめとする土地利用制度につい. 市計画法 の 改正 に よ る 34─11 の 制度 の 創設 に. て検討を行った結果, 「今後,市内を開発する. よって市が 34─11 区域として指定すれば,たっ. 場合には農地をつぶすしかない」という結果に. た数ヶ月で調整区域内の土地利用が可能となっ. なったが,その際も実際に市街化調整区域を土. た.その後,羽生市内では,村君地区以外にも. 地利用をすることが都市計画法,農地法ともに. 34─11 区域が追加指定されたが,それらの地区. 制度上不可能であった.同様に農地所有者から. が 34─11 区域指定を行った際には,地区計画策. も市街化調整区域があまりにも大きく指定され. 定に必要となるはずであった住民合意等の手続. ていたため,土地活用することが難しいという. きを飛ばして実施できたため,短期間に指定可. 不満も多かった.. 能となった.. 多種多様な土地利用制度を総合的に整理して. ② 34─11 の区域指定について. も結果的には機能せず,活用することができな. 当初,村君地区 は 市街化区域 に 隣接,近接 し. かったので,上述のように 1996 年に村君地区. ていたわけではなかったので,34─11 区域の導入. を含む地域に羽生市田園リゾート基本構想を策. ではなく, 「開発区域の周辺における市街化を促. 定,中でも村君地区は生産と生活が一体となっ. 進するおそれがないと認められ,かつ市街化区. た「住・農・遊」のバランスと整合性がとれた. 域内において行うことが不適当な開発行為を開. 「里」として整備していくことが目指された.. 発審査会にかけず,定型的に許可する」34─12 区. 構想区域内に 「キヤッセ羽生農林公園」を建設・. 域を指定する予定であった.そして,34─12 の区. 整備 し,集落拠点とするとともに,周辺に幅. 域指定の事前準備として,開発許可を行う際に. 員 16 m の道路を作って基盤整備をするなど市. 農村集落の範囲を明確にするため地図上に農政. 街化調整区域における基盤整備を先行投資した. 部局と都市計画部局で区域を定め,1 件 1 件整理. が,一向に人口減少の歯止めが利かなかった.. する作業を行っていた.. 2000 年 に 改正都市計画法 を 契機 に 市街化調. しかし,34─11 の対象となる「農村集落」は,.
(13) 市街化調整区域における都市的土地利用と農業的土地利用の調整メカニズム(小嶋) (221). 51. すでに施行済みの 34─11 でも開発可能とすると. うこととした.. いう県の発言により羽生市は,制定予定である. 結果として区域指定図に「農用地区域は除く」. 34─12 よりも同じ開発可能な区域指定ができる. という但し書きが記載されるようになり,職員. のならば,1 日も開発を早くしたいという理由. も「農用地は開発できない.除外もできない」. で,羽生市は 34─12 区域で申請していた全ての. と対応したからこそ結果的に農振農用地での乱. 農村集落を市長からのトップダウンで 34─11 区. 開発を防ぐことができたという.. 域に変更し,設定をすることとなった.. 34─11 区域指定により市街化調整区域の土地. 羽生市の 34─11 の区域指定は,2000 年 12 月に. 利用が緩和されることについては農政担当職員. 8─3 庁内検討委員会(当時)が 設置 さ れ,助役. からは,「農政部局の立場としては,はじめは. が委員長となり,都市計画(開発,計画) ,建築,. 調整区域が開発には抵抗があったが,市の活性. 建設,税務,農政(農業委員会含む) ,企画,政. 化政策を遂行するためには,農振農用地は守る. 策の担当部長および担当職員で構成された.開. にしてもそれ以外のところについては農政関連. 発許可制度については,埼玉県の事務として県. の補助金も削減される中で(効率よく事業を行. の許可基準で処理されていたので(平成 17 年度. うためには)若干やむなしと考えている」と話. に事務処理市に変更)地域の設定に当たり,政. している.しかし,農振農用地は完全に守り,. 令で除外することとなっている土地(甲種農地,. 34─11 区域から除外し,農地を保全する地域と,. 1 種農地 や 湛水区域等)を 除外 す る 一方,①農. 開発志向で人口増加,活性化を図る地域とに市. 振区域外については,すべての区域,②農振区. 内の開発方針にメリハリをつけることを市の方. 域内 の 農用地除外区域,③農振区域内農用地区. 針として農政部局も取り組んでいる.農政部局. 域の中で既存の集落を形成している周辺の区域. としても「業」として営農している人と「生き. でおおむね 50 m 以内の範囲内にある地形地物. がい農業」でやっている人とを 34─11 区域を指. (場所によっては,土地の境界)によって区切ら. 定する際に分けたという.. れる範囲内の土地,を 34─11 区域に指定した.. 羽生市においては,上述したように旧村集落. 特 に 農業振興地域内 の 農用地区域 の 34─11 区. が市内に点在しており,34─11 区域も連担して. 域の指定について,設定当初は農振農用地も 34. いる集落上に位置しているため集団農地・農振. ─11 区域の指定がされていると誤解した開発業. 農用地と既存集落がゾーニングされており,土. 者から「なぜ指定されているのに開発ができな. 地利用の摩擦もなく,都市的土地利用と農業的. いのか」と窓口で混乱が生じることもあった.. 土地利用の棲み分けが可能となっている.市街. その理由として羽生市は,昔の旧村単位で集落. 化調整区域のうち農振農用地 97% で,残り 3%. が形成されているのが現状であり,農用地区域. が農振白地ということから,34─11 の区域指定. 内にも多くはないが集落が点在しているため,. はしてもほとんどの農振農用地は保全される結. 農用地の指定は筆ごとの指定をすることが実質. 果になっている.. 不可能であることから,図面上は,農用地区域 も 34─11 区域に含めた形で明示したからである.. ⑶ 行政にとっての 34━11 の問題点. これらの農振農用地内の集落を 34─11 の地域か. 羽生市 で は,地域活性化,人口増 を 目的 と. ら除外してしまうことは,その地区にかなりの. して 34─11 条例に取り組んできたが,結果とし. 不利益を被るおそれがあることから最低限の土. て,住宅の建築数の割には人口が増えていな. 地を含む指定をする方法として,文言で「農用. い.確かに住宅の建設は,人口の市外流出の抑. 地を除く」と指定した上で 34─11 の農振農用地. 制効果をもたらしているという.しかし,市が. を含む形で便宜上,図面の上では区域指定を行. 活性化を想定していなかった東北道周辺の地域.
(14) 52 (222). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). 的に寂しいところに住宅戸数の増加傾向が見ら. 人いる認定農業者を各集落に分散して,最低で. れたり,逆に市街地に近いところが開発された. も 10 年から 20 年くらいその集落で営農してく. りしている.そのため 34─11 区域の導入はもと. れればその農地のメリハリがつくが,そのよう. もと都市基盤整備の脆弱なところに住宅を建設. な人がいなければ単なる住人であり,調整区域. され,周辺整備が追いつかなかったり,人口増. 内を農地と宅地とゾーニングしていくことは難. や産業誘致といった地域活性化策に直接結びつ. しいという.. かないという問題点が明確になった.. 第 2 に,前述したように住宅建築数の割に人. 特に都市基盤整備に関しては,以下の 3 点が. 口が増えていない点である.結果として市街化. 課題となっている.第 1 に保全されるべき農振. 区域に近い地区においては若干の活性化も見受. 農用地は,耕地整理がなされ,道路も整備され,. けられたが,結果的に本体の目的であった村君. 基盤整備がされており,外見上は住宅開発に向. 地区は,市街地から距離があることから活性化. いているが,農振農用地である以上保全されな. にはつながらなかった.. くてはならない.反面,34─11 区域は,開発可. 確かに村君地区以外については,34─11 区域. 能であるものの,道幅が狭く,開発が困難な箇. 指定により住宅建設数は増えており,34─11 区. 所も多く,開発するにしても道路に面している. 域における農地転用許可件数は農地法 4 条につ. ところから無秩序に開発が行われている.担当. いては,34─11 の区域指定がされた 2003 年には. 者によれば 「今後 34─11 区域における開発許可,. 24 件だったのが,2006 年には 38 件(図 7) ,農. 土地利用に関して慎重に許可や方針を打ち立て. 地法 5 条については 55 件だったものが 129 件と. ていかなければ 34─11 区域内が無秩序に開発さ. 2 倍以上の伸びを示している.その中でも共同. れることが十分に予想される」が,現在のとこ. 住宅,建売住宅については 3 棟だったものが 55. ろ 34─11 区域内に特化した土地利用計画は策定. 棟建設されるなど建設数が増えている(図 8) .. されていない.また,コンパクトに理想的な土. 羽生市 の 南 に 位置 す る 加須市 で は 羽生市以. 地利用を整備していくために道路整備とともに. 上に 34─11 区域における農地転用が行われてお. 継続した農業経営が可能になるように農地保全. り,建売住宅の建設数が伸びているが,加須市. をしていきたいが,小規模な既存集落,混在化. も羽生市同様に住宅供給数の割には人口減少に. 集落が連坦して位置しており,34─11 区域内に. 歯止めがかからない状態である.羽生市では今. おいては,都市的土地利用と農業的土地利用に. 後,病院移転が予定されており,移転地が 34─. 明確にゾーニングした形での土地利用計画を作. 11 区域内であれば周辺に新たに住宅が張り付. 成することは難しい」という.ただ「34─11 区. くのではという期待を持っている.. 域を指定する際にある程度集落単位で区域指定. 第 3 に農業後継者の不足である.農業予算が. したので,新たな土地利用を計画する際にはそ. 逼迫している状態でも,農業後継者がいれば市. のほかの集落と整合性を図っていかなくてはな. の農政対策として後継者対策をすることも可能. らない.34─11 区域の中で市独自の調整区域の. であるが,後継者がいない農家も多く,市内の. 土地利用計画を新たに実施するのであれば,計. 農業者の多くが当面の農業経営を続けることし. 画以前に絶対必要とするのは地域をまとめる. か考えられないようである.しかし,現在 130. リーダーである.特に集落単位の土地利用やま. 人ほどの認定農業者がおり,個人レベルではま. ちづくりを実施する場合にはこの人とだったら. だ経営を拡大していける可能性のある若い世代. やっていけると思わせる人.そのような人がい. もいることから,農政担当職員は,今後は農あ. なければゾーニングで構想を描いても実施する. るまちづくりを目指して都市計画部局と協力体. ことは不可能である」と述べている.現在 130. 制をとっていきたいという..
(15) 㪊㪇㪊㪇 㪉㪌㪉㪌 ઙ ઙ㪉㪇㪉㪇 㪈㪌㪈㪌 㪈㪇㪈㪇 㪌 㪌 㪇 㪇. 㪉㪎㪉㪎. 㪉㪋㪉㪋. 㪈㪈㪈㪈 㪍 㪍. 㪏 㪏 㪍 㪍. 㪊 㪊 市街化調整区域における都市的土地利用と農業的土地利用の調整メカニズム (小嶋) (223) 㪈 㪈. 㪟㪈㪌㪟㪈㪌. 㪋㪇 㪋㪇 㪊㪌 㪊㪌 㪊㪇 㪊㪇 㪉㪌 㪉㪌 ઙઙ 㪉㪇 㪉㪇 㪈㪌 㪈㪌 㪈㪇 㪈㪇 㪌 㪌 㪇 㪇. 㪈 㪈 㪈 㪈. 㪟㪈㪍㪟㪈㪍. 㪟㪈㪎㪟㪈㪎. 53. 㪟㪈㪏㪟㪈㪏. 㪊㪏 㪊㪏. ో 㪏ภ㪊᧦ 㪏ภ㪊᧦ ౝหቛ ౝหቛ ో. 㪉㪏 㪉㪏. 㪉㪎 㪉㪎. 㪉㪋 㪉㪋. 㪈㪈 㪈㪈 㪊 㪊. 㪍 㪍 㪈 㪈. 㪏 㪏 㪍 㪍. 㪈 㪈 㪈 㪈. 2003 㪟㪈㪌 㪟㪈㪌. 2004 㪟㪈㪍 㪟㪈㪍. 2005 㪟㪈㪎 㪟㪈㪎. 2006 㪟㪈㪏 㪟㪈㪏. 内共同住宅 (棟) 全体 㪏ภ㪊᧦ 11 号 ౝหቛ ో ో 㪏ภ㪊᧦ ౝหቛ 図 7 都市計画法第 34 条 11 指定区域内農地転用許可状況(農地法第 4 条). 㪈㪉㪐 㪈㪉㪐. 㪈㪋㪇 㪈㪋㪇 㪈㪉㪇 㪈㪉㪇. 㪐㪎㪐㪎. 㪈㪇㪇 㪈㪇㪇 ઙઙ. 㪏㪇㪏㪇 㪍㪇㪍㪇. 㪎㪐㪎㪐. 㪋㪐㪋㪐. 㪋㪎㪋㪎 㪊㪈㪊㪈. 㪋㪇㪋㪇 㪉㪇㪉㪇. 㪍㪏㪍㪏. 㪌㪌㪌㪌 㪈㪉㪈㪉. 㪏㪏. 㪉㪉. 㪈㪌㪈㪌. 㪇㪇 2003 㪟㪈㪌 㪟㪈㪌. 㪈㪋㪇 㪈㪋㪇. 2004 㪟㪈㪍 㪟㪈㪍. 2005 㪟㪈㪎 㪟㪈㪎. 内共同住宅 (棟) 全体 㪏ภ㪊᧦ 11 号 内共同住宅 ో 㪏ภ㪊᧦ ౝหቛ ో ౝหቛ. 2006 㪟㪈㪏 㪟㪈㪏. 㪈㪉㪐 㪈㪉㪐. 㪈㪉㪇 㪈㪉㪇. 㪐㪎㪐㪎 図 8 都市計画法第 34 条 11 指定区域内における農地転用許可状況(農地法第 5 条) 㪈㪇㪇 㪈㪇㪇 㪎㪐㪎㪐 㪍㪏㪍㪏 㪏㪇㪏㪇 ઙઙ 㪌㪌㪌㪌 㪋㪐㪋㪐 㪍㪇㪍㪇 㪋㪎㪋㪎 㪊㪈㪊㪈 㪈㪌㪈㪌 㪈㪉 㪈㪉 㪉㪇㪉㪇 上記のような課題はあるが,34─11 区域設定 㪏 㪏 点があるという.まず,第 1 に農地の資産価値 㪉 㪉 㪇 㪇 後,農業者からは, 「34─11 の区域を指定して の格差についてであるが,農業者は「市街化調 㪋㪇㪋㪇. 㪟㪈㪌 㪟㪈㪌. 㪟㪈㪍 㪟㪈㪍. もらったおかげで農地が売却できてよかった」. 㪟㪈㪎 㪟㪈㪎. 㪟㪈㪏 㪟㪈㪏. 整区域の自分の土地が市街化区域と同じような. という声もあり,今後,農業者の土地利用の動 評価をされ農業を継続する上での保険となって ో ో 㪏ภ㪊᧦ 㪏ภ㪊᧦ ౝหቛ ౝหቛ 向,意識調査を重ねた上で,34─11 区域内につ. いる」,「34─11 区域創設で生じたミニバブル」. いて考えていかなくてはならないという.. という感想をもっている.要するに 34─11 区域 に指定されると,税金は,農地並みの課税であ. ⑷ 農業者にとっての 34━11 の問題点. るにもかかわらず,売却する時には宅地並みの. 農家として 34─11 区域に対しては 4 つの問題. 価格を若干下回るほどの価格で売却することも.
(16) 54 (224). 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). 可能になるという.しかし,同じ 34─11 区域内. も生じている.. に農地を所有していたとしても立地条件で資産. 第 3 に農業後継者や地域のリーダーをはじめ. 価値が全く異なる.34─11 区域については,す. とする地区内での人的育成の必要性である.高. でに基盤条件が済んでいるということを条件に. 齢化による耕作放棄地や相続による不在村地主. 指定しているが,幅員 10 m,8 m 道路といっ. が今後も増えてくることが予想されているが,. た市街化区域と同様の条件の道路に面している. 「財政が逼迫する中で農政の補助金にしても環. 土地でなければ不動産業者にはなかなか売却で. 境保全だとか担い手の育成をするという目的で. きないように,同じ 34─11 区域でも資産価値が. ないと投資をすることもできない」と農政担当. 異 なって く る.こ れ は,幅員 6 m の 道路接続. 者が話すように農業をするにしてもある程度の. が 34─11 の区域指定の条件の1つになっている. 規模がないと農業所得だけはやっていけない.. 川越市と異なる点である. . 2007 年度からは 4 ha 以上の農地所有者か,地. 34─11 区域に農地が含まれていることに関し. 域での 20 ha 以上の集落営農組織でなければ補. てその農地を今後どう利用していくかは所有者. 助金が受けられなくなるが,市内の農業者から. の選択に懸かっているが,それ以前の問題とし. は,初年度にしては採択のハードルが高すぎる. て農地所有に関する不公平感がある.34─11 区. という感想が聞かれた.実際に農業者からは,. 域内に農地をもっていれば農業経営の継続への. 「戦後農政を支えてきたのは 2~3 ha の小規模. 「保険」として農地の開発も可能であるが,反. の零細農家なのに今の農政は自分達の期待する. 面,市街化区域もしくは農振農用地にしか農地. 逆方向に向かっている」 , 「国は効率的な農業し. を持っていない農業者にとっては,若干の不公. か見ておらず,抵抗を感じる」 , 「埼玉県はほと. 平感があると見受けられる.34─11 区域の農地. んどが零細農家だから,34─11 区域の指定と関. 所有者は,農地並みの課税を支払いつつ農業経. 連して今から 3 年後に農政が切り捨てた農家が. 営をして,いざ農業を辞めたくなったら宅地並. どのような土地利用で対応するかによって土地. みの価格で売却でき,自由に止めることができ. 利用の混在化が予想される」 , 「戦後の農地解放. るのに対して,市街化区域内にしか農地を持っ. が今後は集積してやりたい人に集まるような逆. ていない農業者にとっては,生産緑地で営農を. 農地解放もある」との意見が聞かれた.. 継続しなくてはならないことや宅地化農地とし. 第 4 は,農業者の不動産活用の限界について. て宅地並みの税金を支払わなくてはならないこ. である.業者は行政の計画を先取りして開発. とが挙げられる.また,農振農用地しか農地を. 制度に関して研究しており,業者の積極的な. 所有していない農業者にとっても不動産活用を. 営業等により共同住宅や建売住宅の数が増えて. することも難しく,相変わらず,開発ができな. おり,農業者自身も共同住宅,建売住宅が過剰. いまま農業を続けるしかないなど不公平な部分. 供給になりつつあることを感じているようであ. がある.. る.しかし,実際に 34─11 区域内で土地を売却. 第 2 に川越市同様,住宅開発による排水問題. しないで,なおかつ利益を上げ,農業に代わる. が挙げられている.用排水が分離されていれば. 収入源にしようと考えた場合には,34─11 区域. よいが,用排水併用である場合は,水質汚染が. では,工場や倉庫の建設ができないため,農業. 生じており,水田経営する農業者にとっては将. 者が選択できる選択肢は技術も専門知識もない. 来的に懸念される事項である.また,新住民が. ため,建売住宅か共同住宅しかない.アパート. 農地周辺の建売住宅に引っ越してくると用水や. が建設されて入居者が一時期埋まっても,新し. 農地にゴミの投棄をされ,農作業全般を行うこ. いアパートが近くに建設されればすぐに入居者. とも困難になるなど徐々に新住民とのトラブル. は移ってしまうので,一度入居者が退去してし.
(17) 市街化調整区域における都市的土地利用と農業的土地利用の調整メカニズム(小嶋) (225). 55. まうと次の入居者までかなりの時間を要する.. ま た,市内 を JR 川越線,西武秩父線 の 2 路. 一方共同住宅がうまくいかない場合は,社員寮. 線が走っているが,3 つの旧村が合併してでき. として企業に借り取ってもらうというケースが. た市であったため,中心市街地も分散しており,. 多いが,会社側が優位に立ち,家賃を会社側が. 交通アクセスは周辺自治体に比較して悪く,同. 設定するため,どうしても農業者側は受け身に. 規模でかつ同時期に市に昇格した日高市の北に. ならざるを得ない.そこまでしても先祖伝来の. 隣接する鶴ヶ島市と比較して,現在では人口数. 土地を手放さずに守らなくてはならないと考え. で 2 万人以上の差が生じてしまい,人口増を目. ている.. 的とした地域活性化を図ることが急務となって いた.. 3.埼玉県日高市の条例施行事例. その地域活性化の手法として利用されたの. ⑴ 日高市の概要. が,前述の 2 市と同様に 34─11 の区域指定によ. 日高市 は,埼玉県 の 南西部 に 位置 し,首都. る 手法 で あった.市街化調整区域 が 8 割 を 占. 50 km 圏内に位置し,東西約 11.1 km,南北約. める日高市で当時最も危惧されていたことは,. 6 km でほぼ矩形をなし,東は川越市,南東は. 2000 年 の 都市計画法改正 に よって 既存宅地制. 狭山市,南は飯能市,北は,坂戸市,鶴ヶ島市,. 度が廃止されたことにより今後は市街化調整区. 毛呂山町に接している.東部はなだらかな台地. 域内の開発が難しくなるということであった.. で武蔵野の面影が色濃く残る市街地となってお. 若い世帯は都内へ転出するなど若年層の市外流. り,西部は秩父山地と高麗丘陵で,標高 200~. 出が確実になってきた中で,過疎化が一層進ん. 16). 300 m の丘陵・山岳地帯となっている .. でしまうという危機感があった.埼玉県内では. 日高市の農業は,畑作が中心であり,農協を. 市街化調整区域内の地区計画の前例がなく,そ. 中心に直売所が充実しているほかにも,自社牧. の実施に対しては,日高市としても抵抗感が. 場産の原料を使ったハム・ソーセージの加工,. あった.そのため,市街化調整区域内に農地と. 販売部門を有するサイボクハム,栗,ウドなど. 住宅の混在した地域が多いという日高市の特徴. の観光農業の経営など都市近郊の消費者と密接. を生かしつつ,今後の地域活性化を図るために. なつながりがある.直売所を中心とした経営は. 34─11 を有効活用していくことになった.. 比較的良好であり,県内でも若い年齢層の農業. ⑶ 都市計画部局としての 34━11 の問題点. 後継者 に 比較的恵 ま れ て い る.日高市 の 都市. 地域の活性化を図るということが目的で 34─. 計画区域は 4750 ha,うち市街化区域が 640 ha. 11 の区域設定をする点は,羽生市と同様であっ. (17.4%) ,市街化調整区域が,4,110 ha(86.53%). たが,日高市は 34─11 区域を設定した当時,羽. を占めている.農振農用地と白地の割合は,農. 生市のように 34─11 の区域指定の前に地区計画. 振地域が 2440 ha,農振農用地が 950 ha,農振. の導入を進めて準備していたわけではなかった. 白地 1490 ha である.. ことや後述するが農振農用地の扱いについての. ⑵ 34━11 の導入経過. 違いから,同じ既存集落の活性化を目的とした. 34─11 の区域指定前に生じていた課題は,い. 34─11 の区域指定であったものの,結果として. かに地域活性化するかであった.日高市は,畑. 羽生市と日高市の現在の土地利用の運用に関し. 作を中心とした都市近郊農業の盛んな地域であ. て相違がでてくることとなった.. り,農業を中心に発展してきた自治体である.. 実際の 34─11 区域の指定は,前例と同様,日. しかし,現在では農業者の高齢化,後継者不足. 高市も関係部局によって調整がおこなわれた.. から耕作放棄地や不在村地主等による不耕作地. そして図面上,農振農用地も 34─11 区域に含ま. が増えている.. れているという点では,羽生市同様である.し.
(18) 横浜国際社会科学研究 第 13 巻第 3 号(2008 年 9 月). 56 (226). 㪉㪌㪇 㪉㪇㪇. 㪈 㪌 㪐 ว⸘. 㪈㪌㪇 㪈㪇㪇 㪌㪇 㪇 㪈 㪌 㪐 ว⸘. 2001 㪈㪊ᐕᐲ. 2002 㪈㪋ᐕᐲ. 2003 㪈㪌ᐕᐲ. 2004 㪈㪍ᐕᐲ. 2005 㪈㪎ᐕᐲ. 2006 㪈㪏ᐕᐲ. 㪈㪇 ─. 㪈㪊 ─. 㪈㪉 ─. 㪊㪋 㪌㪌. 㪊㪊 㪋㪐. 㪌㪏 㪈㪉㪋. 㪈㪎 㪉㪎. 㪈㪈 㪉㪋. 㪊㪐 㪌㪈. 㪋㪋 㪈㪊㪊. 㪋㪊 㪈㪉㪌. 㪉㪋 㪉㪇㪍. 図 9 日高市農振農用地転用件数(日高市資料より作成). かし,図面上は含まれていても,農振除外を許. る区域」となってしまうからである.また 34─. 可しなかった羽生市に対して,本来除外すべき. 11 区域の農振農用地の除外に対して抵抗がな. である農振農用地も含む市街化調整区域全域が. く,転用が実施されたことに対しては,埼玉県. 34─11 の区域として指定された農振農用地が農. が農振法に基づく農振農用地を指定した当時に. 振除外を経て農地転用許可が下りれば,宅地に. 県内地域によっては,介在農地や集団性のない. 転用できてしまったという点が大きな違いであ. 農地も農振農用地として「ベタ農振指定」をし. り,日高市の土地利用を大きく混乱させること. ていたことも関係していると思われる.. になった.. このような 34─11 の区域内の農振農用地が農. つまり, 「圏央道の周辺開発を進める県と市. 振除外され,農地転用がされたことで農地価格. 17) が都市計画法改正を拡大解釈し」 たことや日. が急騰することになった.農地が宅地化され. 高市の強い開発意向が背景にあると考えられ. ることによりこれまで 3.3 ㎡ あたり 2 万円だっ. る.このように市街化調整区域内に 34─11 区域. た農地が,宅地として同 5 万から 7 万円で売却. が農振農用地を含む全域が指定されてしまった. されるようになり,「畑約 8,000 ㎡を計約 1 億. 理由として,県条例では「その土地が市街化区. 5,000 万円で売り,売却代は不動産業者に融資. 域に隣接または近接していて市街化区域と一体. した」などというミニバブルが発生し,畑や林. の生活圏を構成している地域内のおおむね 50. の真ん中が急速に造成され,住宅が建設される. 以上の建築物が連坦している区域であり,なお. 虫食い開発が市内あちこちで見られるように. かつ公共施設が整備された地域であれば,スプ. なった18).. ロール対策上も支障がないとして市街化調整区. さらに 34─11 区域は,基盤整備が済んでいる. 域でありながら開発可能区域として面的に指定. 地域を対象とするが,日高市は,34─11 の区域. できる」と記載されており,条文通りに解釈す. 指定と基盤整備の関連について,合併浄化槽が. ると,調整区域内で農地と住宅の混在化してい. あれば 34─11 区域に含める形で区域指定を進め. る日高市の場合は,農振農用地を含む市街化調. ていた.つまり,公共下水に排水可能な合流先. 整区域全域が「50 以上の建築物が連坦してい. の有無によって判断してきたが,過度の開発に.
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