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原発性アルドステロン症における病態と原因解明

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Academic year: 2021

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原発性アルドステロン症における病態と原因解明

中島 康代

1 群馬県前橋市昭和町3-39-15 群馬大学医学部附属病院医療人能力開発センター はじめに この数年の世界の多くの疫学的研究により, これまで本 態性高血圧症とされてきた症例の約 10%は, 副腎皮質から のアルドステロン産生の増加した原発性アルドステロン症 (PA) であることが明らかとなった. PA の原因はまったく 解明されていなかったが, 2011年にアルドステロン産生腺 腫 (APA) の約 30%に K チャネルの KCNJ5 (Kir 3.4, GIRK4) の体細胞変異があることが報告された. その後世 界中で APA における KCNJ5遺伝子変異の頻度などが検 討されているが, 本邦では検討されていない. そこで今回 我々は, 本邦における APA の KCNJ5遺伝子変異の頻度 と変異例における特徴を検討した. 方法 ① 2007年から 2012年までに群馬大学医学部附属病院に 入院し, 手術を行った APA 32例 (男性 16例, 女性 16例, 平 年齢 52歳) を対象とした. さらにコルチゾール産生腫 瘍 (5例), 褐色細胞腫 (10例) の検討も行った. ②腫瘍検体 よ り cDNA を 作 成 し, ダ イ レ ク ト シーク エ ン ス に て KCNJ5遺伝子変異の有無を検討した. ③各腫瘍における KCNJ5mRNA 発現量をリアルタイム PCR にて測定し, さ らに免疫組織学的検討により KCNJ5発現を検討した. 結果 32例の APA 症例で, 21例 (65.6%) に KCNJ5遺伝子変 異を認めた (c. 451G>A, p. G151R 11例, c. 451G>C, p. G151R 5例,c.503T>G,p.L168R 5例).この中で新たな変 異 p. G151R, c. 451G>C を発見した. 一方, コルチゾール 産生腫瘍や褐色細胞腫には KCNJ5遺伝子変異は認めらな かった. また, KCNJ5遺伝子に変異を有する APA では, KCNJ5 mRNA 発現量が有意に高く (図 1) 免疫組織学的 検討でも KCNJ5の高発現を認めた (図 1). さらにコルチ ゾール 産 生 腫 瘍 や 褐 色 細 胞 腫 と 比 較 し APA の KCNJ5mRNA 量は有意に高値であった. APA の KCNJ5 変異症例は, 野生型と比較して有意に若年で (47vs. 58歳, p<0.05), 血漿アルドステロンが高値であり (42.4 vs. 27.3 ng/dl, p<0.05), 血中 K 低値 (2.4 vs. 3.8 mEq/l, p<0.01), 拡張期血圧高値 (84 vs. 76 mmHg, p<0.05) であった. 察 欧米では PA の約 70%が副腎の両側性の過形成による 特発性アルドステロン症 (IHA)であり,約 30%が APA に よるものである. ところが本邦ではこの頻度が逆転してお り, APA が約 70%で IHA が約 30%という特徴がある. 今 回 の 検 討 で も 65.6%と 欧 米 に お け る 2倍 以 上 の 確 率 で KCNJ5遺伝子変異を認め, さらに新たな変異 p. G151R, c. ―121― 文献情報 投稿履歴: 受付 平成26年11月25日 採択 平成26年12月4日 論文別刷請求先: 中島康代 〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-15 群馬大学医学部附属病院医療人能力開発セン ター

北関東医学会奨励賞

2015;65:121∼122

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451G>C を発見した. また KCNJ5変異症例は欧米の報告 と同様に, 若年で, アルドステロン高値などの傾向を認め たが, 欧米で認められるような女性に多い傾向は認められ なかった. また, KCNJ5変異症例では KCNJ5mRNA や蛋 白発現の増加を認めており, KCNJ5高発現が高アルドス テロン血症を引き起こしている可能性も えられた. 今後 なる症例の蓄積を行い, 本邦における APA に特徴を検 討する必要があると えられた. 謝辞 平成 26年度北関東医学会奨励賞を頂くにあたり, これ まで長らくご指導賜りました群馬大学大学院医学系研究科 病態制御内科学 山田正信教授をはじめ, 教室員の皆様, さらに群馬大学大学院医学系研究科臓器病態外科学 竹吉 泉教授はじめ教室員の皆様, 群馬大学大学院医学系研究科 病理診断学 小山徹也教授はじめ教室員の皆様に深く感謝 申し上げます. 文献

1. Choi M,Scholl U.I,Yue P,et.al.P.K+ channel mutations in adrenal aldosterone-producing adenomas and hereditary hypertension, Science 2011;331:768-772.

2. Taguchi R,Yamada M,Nakajima Y,et,al. Expression and mutations of KCNJ5 mRNA in Japanese patients with aldosterone-producing adenomas. J Clin Endocrinol Metab 2012;97:1311-1319. 原発性アルドステロン症における病態と原因解明 図1 アルドステロン産生腺腫における KCNJ5mRNA 発現量および免疫染色 A:KCNJ5mRNA 発現量, B:アルドステロン産生腺腫における KCNJ5免疫染色 WT:KCNJ5遺伝子野生型, MUT:KCNJ5遺伝子変異型 矢印で示した症例はにおける免疫染色施行例 ―122―

参照

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