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2. 生体腎移植ドナーの心理に関する研究(第29回群馬移植研究会学術講演会)

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Academic year: 2021

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第29回群馬移植研究会学術講演会

日 時:平成 19 年 3月 22日 (木) 午後 6時半∼ 会 場:群馬大学医学部保 学科 ミレニアムホール 会 長:森下 靖雄 (群馬大学医学部附属病院長) 当番世話人:田村 遵一 (群馬大・医・附属病院・ 合診療部)

一般演題>

座長:川田悦夫(群馬大・医・附属病院・ 合診療部) 1.臍帯血移植を施行し寛解を継続している子宮原発 granulocytic sarcoma(GS) 清水 啓明,斉藤 貴之,関上 智美 入澤 寛之,横濱 章彦,内海 英貴 半田 寛, 島 孝文,塚本 憲 野島 美久(群馬大院・医・生体統御内科) 山根 有人,唐沢 正光 (群馬大医・附・輸血部) 半田 寛,村上 博和 (群馬大・医・保 学科) 星野 匠臣,神保貴宏 ( 立藤岡 合病院 血液内科) 症例は 45歳女性. 2005年 3月, 不正出血と子宮頸部に 腫瘤を指摘された. 生検で MPO陽性の腫瘍細胞浸潤を 認めた. 末梢血, 骨髄は正常で, 子宮原発 nonleukemic granulocytic sarcoma (GS) と診断した. IDR Ara-C に より寛解を得たが, 地固め療法 2コース後に子宮頸部に 再発した. 再寛解導入療法と局所への照射 (30Gy) 後, 2006年 4月, 第 2寛解の状態で TBI VP-16を前処置と して臍帯血移植後, 9ヶ月間寛解を維持している. Non-leukemic GS は,AML の約 1%に認める稀な疾患で多く は骨に認められる. 子宮原発 GSも少数の報告があるが, しばしば悪性リンパ腫と診断され不十 な治療による再 発が問題となる. 今回, 我々は, 初発時より AML タイプ の治療を行った子宮原発 GS が早期に再発した症例に対 し, 臍帯血移植を施行し良好な経過を得ている症例を経 験したので報告する. 2.生体腎移植ドナーの心理に関する研究 橋場 明穂,小林あずさ,林 幸恵 中林つかさ,諸田 了子,羽鳥 基明 鈴木 和浩 (群馬大医・附・南7階病棟) 【はじめに】 生体腎移植が増加傾向にある中, 当院でも 年間 4∼ 5例の生体腎移植が行われている. 腎移植医療 においては術後管理が重要となり, 医療者・家族とも関 心がレシピエントに集中しがちとなる. 今回ドナーに対 する看護介入を行っていく中で, 「こんなに痛いならや めておけばよかった.」「私も大変なのに○○ばかり心配 してもらってる.」などの言動が聞かれた. 看護介入とし て, レシピエントの心理状況の把握は積極的に行われて いるが, ドナーに対しては精神的な問題の把握と援助が 十 に行えていないのではないかと えた. 生体腎移植 のドナーには術前から退院後も不安があり, それはレシ ピエントに対するもの, ドナーに対するものである. 特 にドナー自身の 康上の不安は高い傾向にあると示され ている. 今回ドナーにインタビューを行い, 時間の経過 に った気持ちの変化を明らかにし, 今後の看護援助へ の示唆が得られたので報告する. 【方 法】 平成 18年 に当院泌尿器科で腎移植を行ったドナー 3名を対象にし た. 腎提供を行ったドナーに対し, 腎提供前から現在に 至るまでの気持ちの変化を想起してもらう半構成的面接 法で行った. 対象者には承諾を得て, カセットテープに 録音を行った. 面接回数は 1回で, 面接時間は対象者が 疲れないことを 慮して, 30 ∼60 程度とした. 【結 果】 今回, 時間の経過に ったドナーの心理的変化を 知るために, 手術決定前から現在に至る時期を 5つに けてインタビュー・ 析した. 第 1期は手術の決定前ま で. 第 2期は手術の決定から入院まで. 第 3期は入院か ら手術まで. 第 4期は手術から退院まで. 第 5期は退院 から現在までとした. 【第1期】『移植へのあせる気持 ち』『ドナーに決定するまでの不安』から 移植が決定す るまでの不安> 不安/親としての責任感>というサブカ テゴリー,《移植が決定するまでの不安》というカテゴ リーが抽出できた.『 親が相談相手だった』『他に頼り 259 Kitakanto Med J 2007;57:259∼261

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になる人がいた』から 周囲のサポートがあった> とい うサブカテゴリー,《心の支え》というカテゴリーが抽出 できた.『子供のために何かできないか』『自 にできる ことはしてあげたい』『自 があげるんだという強い意 志』『息子に良くなってほしい』などから 子供を思う気 持ち> 親としての気持ち> 家族,息子のために> 家族, 息子のために>というサブカテゴリー,《親が子供を思う 気持ち》が抽出できた.『今しかないという思い』『CAPD に限界を感じる』『少しでも早く手術ができるように準備 していた』から 移植決定の要因> 移植に対する心構え> というサブカテゴリー,《移植に対する気持ち》というカ テゴリーが抽出できた. 【第2期】『腎臓を提供すると いう気持ち』から 子供を助けたい> というサブカテゴ リー,《親が子供を思う気持ち》というカテゴリーが抽出 できた.『今までと同じ生活ができなくなるという不安』 『家をあけることへの不安』から 術後の不安> 残る家 族への不安> というサブカテゴリー,《入院・手術に対す る 不 安》と い う カ テ ゴ リーが 抽 出 で き た. 【第 3 期】 『自 の持病が移植に影響しないだろうかという心配』 『最悪の事態も覚悟している』『自 の持病で手術が中断 しないかという心配』から 手術に対する不安> 手術中 止の不安>というサブカテゴリー,《手術に対する不安》 というカテゴリーが抽出できた. 『任せて大 夫かな』 『娘が良くなることへの期待』から 期待感> というサ ブカテゴリー,《期待感》というカテゴリーが抽出できた. 『妻の手術経験を聞いて頑張れた』『仕事上の経験から得 た知識の支え』から 心の支え> というサブカテゴリー, 《心の支え》というカテゴリーが抽出できた.『娘に早く 渡してあげたい』『子供へ何かできないか』『自 の持病 が移植に影響しないかという思い』『子供のためにと思っ て頑張れた』などから, 子供を思う気持ち> 命感,親 としての気持ち> 親としての気持ち>というサブカテゴ リー,《親が子供を思う気持ち》というカテゴリーが抽出 できた. 【第4期】『痛みでトイレに行けない』『退院す る時も痛みがあった』『痛みが辛くて, 退院に不安があ る』『入院しているという安心感からの心配』『体の辛さ に伴う不安』などから 痛みによる回復への不安> 退院 への不安> 術後の体調の不安> 退院後の不安> 今後へ の不安> というサブカテゴリー,《移植後の不安》という カテゴリーが抽出できた.『3日経って頑張って娘に会え た』『手術が無事済んで順調に進んでるんだ』から 相手 を思う気持ち> 相手を心配する気持ち>というサブカテ ゴリー,《相手を思う気持ち》というカテゴリーが抽出で きた.『手術が終わってほっとしている』『予想より痛み が少なかった』『回復しているという実感』から 安 感> 安心感> というサブカテゴリー,《安心》というカテゴ リーが抽出された.『そろそろ退院だから頑張らないと』 から 退院への意欲> というサブカテゴリー,《意欲》と いうカテゴリーが抽出できた.『看護師に期待する気持 ち』『ドナーなのにという思い』から 期待はずれ>とい うサブカテゴリー,《不満》というカテゴリーが抽出でき た. 【第5期】『血圧が高くて心配』『残腎が気がかり』 『痛みが永遠に続くかもしれないと気になる』『退院後に 感じた不安』などから 痛みによる不安> 移植後の体調 の不安> というサブカテゴリー,《移植後の不安》という カテゴリーが抽出できた.『退院後の診察に対する不満』 『退院に対して早すぎるのでないかという気持ち』『今後 の体調が気になる』などから 今後への不安> 退院への 不安> 不満・不安> というサブカテゴリー,《不満》とい うカテゴリーが抽出できた.『社会貢献できた』『子供に いい腎臓が渡せて良かった』『60になって移植ができた』 『二人で一緒に元気になれたという喜び』から 満足感> 誇らしい気持ち> 喜ばしい気持ち>というサブカテゴ リー,《満足感》というカテゴリーが抽出できた.『娘を気 遣う気持ち』『常に責任感を感じていた』『腎臓をあげて よかった』から, 子供を思う気持ち> 親としての責任 感> 希望> というサブカテゴリー,《親が子供を思う気 持ち》というカテゴリーが抽出できた.『手術前より息子 が優しくなった気がする』『仕事は手術前と変わらない』 『山に行ったり旅行に行ったりしている』『現在の体調は 手術前と変わりない』から, 移植による変化> 手術後の 仕事> 手術後の生活> 手術後の体調> というサブカテ ゴリー,《手術後の生活》というカテゴリーが抽出できた. 【 察】 第 1期では, 親として子供を助けたい思いが 強くあり, その思いが移植のドナーになると意思決定さ せる要因になっている. 第 2期ではドナーとして手術を 受けることが決定したため, 手術に対する不安が表出し てくる. 第 3期では, 第 2期と同様に, 手術に対する具体 的な不安が出現し, 子供を助けたいという強い気持ちと, 康なのに自 が手術を受けるという複雑な思いが混在 している. 第 4期について B氏は「あげなければよかっ たと思うくらいだるかった.」と話し, A 氏は手術後のレ シピエントとの面会時, やっと娘に会えた」と喜んだ. 自 の辛い時期に順調に経過している娘に会えた事で, 安心感を得られ, 自 も頑張らなくてはと, 励みになっ たようである. ドナーは手術による身体的な苦痛が強い 時期にもかかわらず, レシピエントを心配する気持ちが 強いことがわかり, 看護師は十 な関わりを持ち双方を つなげる役割として, それぞれの情報を伝えるなど安心 感を得られるように援助することが大切である. また, B 氏の「ドナーの人には親切ですよと言われたのに, 何? と思ってしまった.」との発言より, 康体であった自 が手術したことに対し, 医療者に配慮してほしいという 期待があったが, 医療者側がその期待にそえなかったこ 第 29 回群馬移植研究会学術講演会 260

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とによる不満が存在したことがわかる. 退院が近くなる と, ドナーは退院後の生活に対する不安を抱きはじめ, 順調な経過を受け入れることができず, 退院することに 対して早すぎるのではないかという不安が大きくなり, 必要以上に退院に嫌悪感を抱いていることが かった. このことは退院時に「何で僕が退院するの?という感じ の痛さだった.」と A 氏が振り返っていることより明ら かである. これらの不安に対し, 退院指導をより充実さ せ, 適した時期に指導を行うことが大切であり, また外 来との連携が重要であることが再認識できた. 退院後の 外来受診だけでなく, 異常を感じた際にいつでも対応で きる体制など, いざというときに頼れる存在であること がドナーにとっての安心につながると えられ, 退院後 の外来での看護援助が重要となってくる. 第 5期になる と, 退院直後では体調の不安が強いが, 時間が経つにつ れて, 退院前に予測していた身体面・精神面の不安が 徐々に解決し, 以前とほぼ変わらない生活に戻ることが できている. この時期では, A 氏からは「社会貢献でき た.」,B氏からは「娘と二人で元気になれて良かった.」,C 氏からは「ドナーになったことは息子のために良かった と思っている.」という言葉が聞かれ, ドナーになったこ とへの満足感や誇らしい気持ちを感じていることがわ かった. このように時間の経過に って不安が出現し, 気持ちの変化がみられることが明らかとなった. 3.術前 ARDS となったが,生体肝移植施行し軽快退院 となった1例 荒川 和久,須納瀬 豊,浜田 邦弘 吉成 大介,戸谷 裕之,川手 進 竹吉 泉 (群馬大院・医・臓器病態外科学) 症例は 69 歳, 女性. C 型の非代償性肝 変と肝細胞癌 の診断にて移植目的に当科入院. 状態は肝性昏睡 I∼II 度,コントロール不可の胸・腹水あり,併せて 1500ml/日 の排液があった. Child-Pugh 類 : C (14点), MELD score: 30. 移植準備中にカテーテル感染から ARDS と なり, 挿管・人工呼吸器装着,ICU 管理となった.痰・血 液培養からは細菌は証明されなかったが, 全身状態不良 のため移植施行の判断に迷ったが, 家族の意志により生 体肝移植施行した. 術後 3日目に抜管・人工呼吸器離脱, 術後は拒絶反応を含めて大きな合併症はなく経過し, 軽 快退院となった. 4.移植手術患者に対する歯科口腔領域の感染巣対策に ついて 春山美菜子,宮久保満之,石北 朋宏 根岸 明秀,茂木 司 (群馬大院・医・顎口腔科学) 臓器移植などの移植医療では術後に免疫抑制療法が行 われるため感染巣の存在が問題となる. 歯科・口腔領域 においては, とくに歯とそれに関連して生じる感染巣が 存在することから, 術前にその対策を要請されることが 多い. 今回, 当科において歯科的管理を行った移植患者 について検討したので報告する. 【対 象】 2006年 1 月から 1年間に当科を受診した骨髄移植予定患者 10例, 腎 移 植 予 定 患 者 4例. 【方 法】 カ ル テ, X 線 写 真. 【結 果】 原疾患の内訳は白血病 6例, 悪性リンパ腫 3 例, 多発性骨髄腫 1例, 慢性腎不全 4例であった. 歯周疾 患に対する管理・指導が口腔ケアを含め全例に行われた. 根尖病巣除去のため 1例に抜歯を行ったが, これは本来, 根管治療が適応の所, 治療期間短縮上, やむなく抜歯を 選択した症例であった.

特別講演>

座長:田村 遵一(群馬大医・附・ 合診療部) 心臓移植における donorプール拡大のための工夫 森下 靖雄 (群馬大医・附・病院長) 261

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