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資料シリーズNo194全文 資料シリーズNo194「諸外国における教育訓練制度―アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス―」|労働政策研究・研修機構(JILPT)

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(1)

JILPT 資料シリーズ

諸外国における教育訓練制度

―アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス―

独立行政法人 労働政策研究・研修機構

No.194 2017年3月

(2)

JILPT 資料シリーズ No.194 2017年3月

独立行政法人

労働政策研究・研修機構

The Japan Institute for Labour Policy and Training

諸外国における教育訓練制度

― アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス ―

(3)
(4)

ま え が き

本 報 告 書 は 、厚 生 労 働 省 の 要 請 を 受 け て 当 機 構 が 実 施 し た「 教 育 訓 練 制 度 の 国 際 比 較 調 査 」 の 結 果 を 取 り ま と め た も の で あ る 。 ア メ リ カ 、 イ ギ リ ス 、 ド イ ツ 、 フ ラ ン ス の4カ 国 を 対 象 に 、 各 国 の 公 的 教 育 訓 練 制 度 の 概 要 と 実 施 状 況 に つ い て 調 査 を 行 っ た 。

本 報 告 書 が 、 諸 外 国 に お け る 教 育 訓 練 制 度 の 状 況 に つ い て 理 解 を 深 め る 一 助 と な れ ば 幸 い で あ る 。

2017 3

独 立 行 政 法 人 労 働 政 策 研 究 ・研 修 機 構 理 事 長 菅 野 和 夫

(5)

執 筆 担 当 者 ( 五 十 音 順 )

※ 肩 書 き は20173月 時 点

氏 名 所 属 執 筆 章

早 川

は やか わ

佐 知 子

広 島 国 際 大 学 医 療 経 営 学 部 医 療 経 営 学 科 講 師 第1

樋 口

英 夫

労 働 政 策 研 究 ・ 研 修 機 構 主 任 調 査 員 補 佐 調 査 の 概 要 、 第2

飯 田

恵 子

労 働 政 策 研 究 ・ 研 修 機 構 主 任 調 査 員 補 佐 第3

北 澤

き たざ わ

け ん

労 働 政 策 研 究 ・ 研 修 機 構 主 任 調 査 員 補 佐 第4

(6)

諸 外 国 に お け る 教 育 訓 練 制 度

― ア メ リ カ 、 イ ギ リ ス 、 ド イ ツ 、 フ ラ ン ス ― 目 次

ま え が き

調 査 の 概 要 ··· 1

第 1 章 ア メ リ カ ··· 6

第 1 節 職 業 訓 練 制 度 を め ぐ る 状 況 ··· 6

1 . は じ め に ··· 6

2 . 労 働 市 場 の 状 況 と 特 徴 ··· 7

第 2 節 職 業 訓 練 制 度 の 体 系 ··· 10

1 .WIAま で の 職 業 訓 練 政 策 ··· 11

2 .Workforce Investment ActWIA ··· 11

3 .WIAか らWorkforce Innovation and Opportunity ActWIOA) へ ··· 14

4 . 職 業 能 力 評 価 制 度 ··· 17

第 3 節 対 象 者 別 の 職 業 訓 練 施 策 と 実 施 状 況 ··· 21

1 . 若 年 者 向 け ··· 21

2 . 失 業 者 向 け ··· 25

3 . 在 職 者 向 け ··· 26

第 4 節 各 種 の 促 進 策 ··· 27

1 . 貿 易 調 整 支 援 (TAA) に お け る 職 業 訓 練 制 度 ··· 27

2 . 貧 困 家 庭 一 時 扶 助 に お け る 職 業 訓 練 制 度 ··· 27

3 . 失 業 者 に 対 す る 州 の 職 業 能 力 開 発 制 度 ··· 27

4 . ペ ル 奨 学 金 ··· 27

第 2 章 イ ギ リ ス ··· 29

第 1 節 職 業 訓 練 制 度 を め ぐ る 状 況 ··· 29

1 . 労 働 市 場 の 状 況 と 特 徴 ··· 29

2 . 技 能 需 要 、 企 業 に お け る 訓 練 の 実 施 ··· 32

第 2 節 職 業 訓 練 制 度 の 体 系 ··· 34

1 . 教 育 訓 練 政 策 に お け る 位 置 付 け ··· 34

2 . 所 管 省 庁 、 関 係 機 関 の 役 割 ··· 37

3 . 職 業 能 力 評 価 制 度 ··· 39

(7)

第 3 節 対 象 者 別 の 職 業 訓 練 施 策 と 実 施 状 況 ··· 41

1 . 若 年 者 向 け ··· 43

2 . 失 業 者 向 け ··· 47

3 . 在 職 者 向 け ··· 48

4 . 制 度 改 革 の 状 況 ··· 48

第 4 節 各 種 の 促 進 策 ··· 49

1 . 金 銭 的 支 援 ··· 49

2 . そ の 他 の 支 援 ・ 促 進 策 ··· 51

第 3 章 ド イ ツ ··· 54

は じ め に ··· 54

第 1 節 労 働 市 場 の 状 況 と 特 徴 ··· 55

第 2 節 職 業 訓 練 制 度 の 体 系 ··· 57

1 . 教 育 訓 練 政 策 に お け る 位 置 付 け ··· 57

2 . 所 管 省 庁 、 関 係 機 関 の 役 割 ··· 62

3 . 職 業 能 力 評 価 ··· 65

第 3 節 対 象 者 別 の 職 業 訓 練 施 策 と 実 施 状 況 ··· 69

1 . 若 年 者 向 け ··· 69

2 . 失 業 者 向 け ··· 72

3 . 在 職 者 向 け ··· 74

第 4 節 各 種 の 促 進 策 ··· 75

1 . 金 銭 的 支 援 ··· 75

2 . そ の 他 - 非 公 式 な 教 育 訓 練 の 状 況 ··· 76

お わ り に ··· 76

第 4 章 フ ラ ン ス ··· 79

は じ め に ··· 79

第 1 節 職 業 訓 練 制 度 を め ぐ る 労 働 市 場 の 特 徴 ··· 80

1 . 人 口 お よ び 雇 用 失 業 状 況 ··· 80

2 . 教 育 修 了 レ ベ ル と 雇 用 ・ 失 業 ··· 83

第 2 節 職 業 教 育 訓 練 制 度 の 体 系 ··· 84

1 . 学 校 教 育 と 職 業 訓 練 ··· 84

2 . 主 な 国 家 資 格 ··· 88

3 .RNCPに 登 録 さ れ た 職 業 資 格 ··· 91

4 . 産 業 別 資 格 制 度 (CQP) の 課 題 と 問 題 点 に 関 す る 報 告 書 ··· 93

(8)

第 3 節 対 象 者 別 の 職 業 訓 練 施 策 と 実 施 状 況 ··· 94

1 . 見 習 訓 練 制 度 ··· 96

2 . 熟 練 化 契 約 ··· 98

3 . 職 業 訓 練 個 人 口 座 (CPF) ··· 99

4 .CUI-CIE及 びCUI-CAE ··· 103

5 . 認 証 制 度 に よ る 資 格 取 得 ··· 104

6 . 継 続 職 業 訓 練 を 実 施 す る 機 関 ··· 110

第 4 節 企 業 に お け る 職 業 訓 練 の 実 態 調 査 ··· 112

1 . 職 業 訓 練 の 実 施 率 及 び 参 加 率 ··· 112

2 . 職 業 訓 練 の 実 施 主 体 ··· 113

3 . 職 業 訓 練 の 内 容 ··· 114

4 . 職 業 訓 練 の 目 的 ··· 114

5 . 職 業 訓 練 費 ··· 114

6 . 職 業 訓 練 を 実 施 し な い 理 由 ··· 115

7 . 見 習 契 約 ・ 熟 練 化 契 約 に 基 づ い た 職 業 訓 練 ··· 116

8 . 教 育 係 ・ チ ュ ー タ ー 制 度 ··· 116

9 . 職 業 訓 練 に 関 す る 労 使 合 意 ··· 117

1 0 . 職 業 訓 練 に つ い て の 従 業 員 へ の 周 知 ··· 117

1 1 . 職 業 訓 練 に 関 す る 助 言 ··· 117

1 2 . 新 入 社 員 へ の 職 業 訓 練 ··· 117

(9)
(10)

調査の概要

〈調査方法〉

本 調 査 は 、 厚 生 労 働 省 の 要 請 に 基 づ き 、 ア メ リ カ 、 イ ギ リ ス 、 ド イ ツ 、 フ ラ ン ス の 4 カ 国 を 対 象 に 、 公 的 教 育 訓 練 制 度 と そ の 実 施 状 況 に つ い て 、 文 献 調 査 に よ り 情 報 収 集 を 行 っ た も の で あ る 。

〈調 査 項 目 〉

主 に 以 下 の 各 項 目 に つ い て 、 情 報 収 集 を 行 っ た 。

・ 労 働 市 場 の 状 況 と 特 徴 ( 人 口 動 向 、 社 会 動 向 、 教 育 技 能 水 準 、 技 能 需 要 な ど )

・ 教 育 訓 練 政 策 に お け る 位 置 付 け ( 教 育 制 度 と の 関 係 )

・ 所 管 省 庁 、 関 係 機 関 の 役 割 ( 実 施 ・ 監 督 機 関 、 教 育 訓 練 機 関 、 労 使 団 体 な ど )

・ 職 業 能 力 評 価 制 度

・ 対 象 者 別 の 職 業 訓 練 施 策 と 実 施 状 況 ( 若 年 者 、 失 業 者 、 在 職 者 向 け )

・ 各 種 の 促 進 策 ( 金 銭 的 支 援 、 そ の 他 )

〈 調 査 概 要 〉

各 国 に お け る 教 育 訓 練 政 策 の 状 況 か ら は 、職 業 訓 練 の 位 置 づ け の 多 様 性 が 改 め て 確 認 さ れ た 。 特 に ア メ リ カ と 欧 州 各 国 の 間 に は 、 主 な 対 象 者 や 訓 練 を 通 じ て 獲 得 さ れ る 技 能 に 関 す る 了 解 に 違 い が あ る と 考 え ら れ る 。

ア メ リ カ で は 、 制 度 の 形 成 過 程 に お い て 、 低 所 得 者 や 低 ス キ ル の 者 、 マ イ ノ リ テ ィ 、 求 職 者 と い っ た 層 へ の 支 援 策 と し て の 訓 練 の 提 供 が 主 眼 と さ れ て き た 。 近 年 は 、 対 象 層 の 拡 大 が 図 ら れ て い る も の の 、依 然 と し て こ う し た 層 の 支 援 が 優 先 課 題 に 位 置 づ け ら れ て い る 。 各 地 域 に は 、 職 業 訓 練 の み な ら ず 、 求 職 者 と 雇 用 主 の マ ッ チ ン グ や キ ャ リ ア ガ イ ダ ン ス な ど も 含 む サ ー ビ ス 提 供 の 中 心 を 担 う 公 的 な 委 員 会 組 織 が 設 置 さ れ( 過 半 数 を 企 業 か ら の 委 員 が 構 成 )、 関 係 組 織 と の パ ー ト ナ ー シ ッ プ に よ り 、 連 邦 政 府 の 予 算 で 訓 練 を 含 む 各 種 サ ー ビ ス が 実 施 さ れ る 。 訓 練 の 成 果 を 測 定 す る 指 標 は 、 雇 用 に 結 び つ い た 度 合 い に そ の 重 点 が 置 か れ る 。 ま た 、 若 年 者 に つ い て は 、 学 校 教 育 に お け る 職 業 教 育 の 役 割 が 大 き い が 、 学 校 外 で 提 供 さ れ る 職 業 訓 練 プ ロ グ ラ ム は 、 や は り 社 会 的 に 不 利 な 状 況 に あ る 者 に 対 象 が 限 定 さ れ る 。

一 方 、 欧 州 で は 、 資 格 制 度 を 基 盤 と し て 、 職 業 訓 練 を 通 じ て 獲 得 さ れ る 技 能 が 重 視 さ れ る 傾 向 に あ り 、 若 年 層 か ら 成 人 ま で 、 広 範 な 層 に よ る 参 加 が う か が え る 。 た だ し 、 こ こ で も そ の 状 況 は 各 国 で 異 な る 。

た と え ば ド イ ツ で は 、 中 世 の 徒 弟 制 度 を 起 源 と す る 職 業 訓 練 が 、 政 府 や 労 使 な ど の 関 係 者 に よ る 連 携 を 通 じ て 発 展 し て き た 。教 育 課 程 に お け る 早 期 の 段 階 で 分 岐 点 が 設 け ら

(11)

れ 、 職 業 的 な コ ー ス に 進 む 者 に は 、 い わ ゆ る 「 デ ュ ア ル シ ス テ ム 」( 実 地 訓 練 と 学 習 を 併 行 し て 行 う ) を 中 核 と し て 、 長 期 に わ た る 訓 練 が 提 供 さ れ る 。 訓 練 の 修 了 資 格 は 、 就 職 や よ り 高 度 な 職 業 訓 練 に 進 む た め の 要 件 と さ れ 、 社 会 的 な 認 知 度 は 高 い と い え る 。 全 国 あ る い は 州 レ ベ ル で 、 政 労 使 の 参 加 に よ る 委 員 会 組 織 が 、 技 能 需 要 に 即 し た 教 育 訓 練 の 内 容 や 職 種 別 の 資 格 の 更 新 を 担 っ て い る 。

フ ラ ン ス で も 、 職 業 資 格 が 技 能 に 関 す る 指 標 と し て 非 常 に 重 視 さ れ て お り 、 そ の 有 無 や 等 級 が 、 就 職 の 可 否 や 労 働 条 件 を 左 右 し う る 。 国 が 管 轄 す る 職 業 資 格 の 取 得 を 目 的 と し た 多 様 な レ ベ ル の 職 業 訓 練 課 程 が 、 義 務 教 育 修 了 後 の 各 段 階 に 対 応 す る 形 で 地 域 圏

( 自 治 体 ) に よ っ て 運 営 さ れ て お り 、 主 に 国 民 教 育 省 の 管 轄 す る 教 育 機 関 が そ の 提 供 を 担 う 。 ま た 、 主 に 学 校 を 離 れ た 在 職 者 や 失 業 者 ・ 求 職 者 に 対 し て 提 供 さ れ る 継 続 職 業 教 育 訓 練 は 、 労 使 の 設 置 す る 公 的 機 関 あ る い は 国 、 地 域 圏 が 担 い 、 企 業 や 訓 練 機 関 等 が 提 供 し て い る 。 な お 、 国 民 に は 勤 続 年 数 に 応 じ て 一 定 の 時 間 数 の 職 業 訓 練 の 受 講 が 権 利 と し て 保 証 さ れ て お り 、 そ の 蓄 積 や 利 用 の 状 況 は 、 職 業 訓 練 個 人 口 座 の 制 度 に よ っ て 管 理 さ れ て い る 。

他 方 、 イ ギ リ ス で も 従 来 は 、 資 格 制 度 を 基 盤 と し た 教 育 訓 練 政 策 が 実 施 さ れ て き た 。 低 資 格 層 を 中 心 に 、 公 的 補 助 に よ り 資 格 取 得 が 促 進 さ れ 、 ま た よ り 柔 軟 な 資 格 の 開 発 や 取 得 を 可 能 と す る 資 格 制 度 の 再 編 が 図 ら れ た 。 し か し 、 新 た な 制 度 は そ の 有 効 性 に 疑 問 符 が 付 さ れ 、 結 果 と し て 導 入 か ら わ ず か 数 年 で 廃 止 さ れ た 。 職 業 資 格 と 雇 用 主 の 技 能 需 要 の 乖 離 や 、 取 得 の た め の 制 度 の 複 雑 さ に 関 す る 批 判 は 根 強 く 、 近 年 の 制 度 改 革 に お い て は 、 む し ろ 資 格 の 位 置 付 け は 後 退 し て い る 。 雇 用 主 の 技 能 需 要 を よ り 直 接 的 に 反 映 で き る 訓 練 の 手 法 と し て 、 ア プ レ ン テ ィ ス シ ッ プ ( 企 業 に お け る 見 習 い 訓 練 ) の 拡 充 が 掲 げ ら れ 、 ま た そ の 財 源 と し て 、4 月 か ら は 負 担 金 制 度 が 導 入 さ れ る 。 頻 繁 な 制 度 改 革 に よ り 、 未 だ 試 行 錯 誤 が 続 い て い る 状 況 に あ る と い え る 。

次 表 に 、 各 国 の 公 的 職 業 訓 練 制 度 の 概 要 を 示 す 。 便 宜 上 、 対 象 者 別 の 整 理 と し て い る が 、 表 中 に も 記 載 の と お り 、 各 国 と も 対 象 者 を 必 ず し も 限 定 し て い な い 施 策 が 多 い 点 に 留 意 頂 き た い 。

ま た 、 若 者 を 対 象 に 含 む ( も し く は 主 な 提 供 対 象 と さ れ て い る ) 施 策 に つ い て は 、 外 形 上 の 類 似 性 か ら 、 以 下 の 区 分 を 設 け て い る 。 ひ と つ は 、 教 育 訓 練 機 関 で の 訓 練 が 中 心 と な る も の で 、 中 等 教 育 機 関 や 訓 練 プ ロ バ イ ダ な ど が 提 供 す る 、 座 学 を 中 心 と し た 訓 練 や 、施 設 内 の 訓 練 セ ン タ ー 等 に 留 ま る 教 育 訓 練 を 想 定 し て い る 。次 に 、養 成 訓 練 と し て 、 企 業 で の 就 業 を 通 じ た 訓 練 に 重 点 を 置 き つ つ 、座 学 に よ る 理 論 的 な 学 習 を 組 み 合 わ せ た 教 育 訓 練 を 区 分 し た 。 さ ら に 、 そ う し た フ ォ ー マ ル な 枠 組 み か ら 外 れ た 者 、 あ る い は 何 ら か の 困 難 な 状 況 か ら 就 職 が 難 し い 者 を 主 な 対 象 と す る 訓 練 ・ 支 援 策 を 、 別 途 分 類 し て い る 。 こ こ で も 、 想 定 さ れ る 対 象 層 や 目 的 ・ 内 容 、 あ る い は 教 育 訓 練 制 度 に お け る 位 置

(12)

づ け な ど 、 各 国 で 相 当 の 違 い が あ る と 思 わ れ る が 、 そ う し た 差 異 を 表 中 で 示 す こ と は で き な か っ た 。 詳 細 は 、 本 文 で ご 確 認 頂 き た い 。

(13)

- 4 - 図 表 各 国 に お け る 公 的 職 業 訓 練 の 概 要

* 各 制 度 ・ プ ロ グ ラ ム は 、 複 数 の 対 象 層 ( 例 え ば 若 者 と 在 職 者 、 な ど ) に ま た が っ て 適 用 さ れ る 場 合 が あ る 。 詳 細 は 本 文 を 参 照 の こ と 。

** 労 使 に よ る 自 主 的 な 訓 練 に 関 す る 基 準 を 定 め 、認 証 し た プ ロ グ ラ ム を 登 録 す る 制 度 。政 府 等 に よ る 訓 練 実 施 へ の 関 与 は な い た め 、 本 文 で は 取 り 上 げ な い 。

- 4 - 図 表 各 国 に お け る 公 的 職 業 訓 練 の 概 要

* 各 制 度 ・ プ ロ グ ラ ム は 、 複 数 の 対 象 層 ( 例 え ば 若 者 と 在 職 者 、 な ど ) に ま た が っ て 適 用 さ れ る 場 合 が あ る 。 詳 細 は 本 文 を 参 照 の こ と 。

** 労 使 に よ る 自 主 的 な 訓 練 に 関 す る 基 準 を 定 め 、認 証 し た プ ロ グ ラ ム を 登 録 す る 制 度 。政 府 等 に よ る 訓 練 実 施 へ の 関 与 は な い た め 、 本 文 で は 取 り 上 げ な い 。

図 表 各 国 に お け る 公 的 職 業 訓 練 の 概 要

* 各 制 度 ・ プ ロ グ ラ ム は 、 複 数 の 対 象 層 ( 例 え ば 若 者 と 在 職 者 、 な ど ) に ま た が っ て 適 用 さ れ る 場 合 が あ る 。 詳 細 は 本 文 を 参 照 の こ と 。

** 労 使 に よ る 自 主 的 な 訓 練 に 関 す る 基 準 を 定 め 、認 証 し た プ ロ グ ラ ム を 登 録 す る 制 度 。政 府 等 に よ る 訓 練 実 施 へ の 関 与 は な い た め 、 本 文 で は 取 り 上 げ な い 。

若者 失業者 在職者 若者 失業者 在職者

能助成庁

技能助成庁、 ジョブセンター・ プラス

技能助成庁

実施 普通教育機関

(ハイスクー ル)、訓練プロバ イダ、企業

継続教育カレッ ジ、企業(アプレ ンティスシップ 等)

継続教育カレッ ジ、訓練プロバイ

継続教育カレッ ジ、訓練プロバイ ダ、企業(アプレ ンティスシップ 等)

若者

-教育訓練機関中心

-養成訓練

( 職 場 で の 訓 練 と 、 教 育 訓 練 機 関 で の 座 学 の 組 み合わせによる)

-低技能・就職困難者

失業者

在職者

その他全般 金銭的

非金銭的

・ジョブコア

 社会的に不利な状況にある16~24歳層に、宿泊型 訓練施設(ジョブコアセンター)での座学・実習、職場 実践型の授業等を提供、期間は1~2年。

(参加者数:年間約5万人)

・若年プログラム

 社会的に不利な状況にある16~24歳(在学中の場 合は14~21歳)層に、学力・スキルのアセスメント、教 育訓練の計画作成、中等教育修了・中等後教育受験 資格の取得や進学のサポート、就職のための支援等 を実施。

(参加者数:約21万人(2013年))

(・登録養成訓練制度)**

・普通教育機関(ハイスクール)による職業教育  (職場学習等含む)

教育省

イギリス 教育省(若者)

労働省(成人・失業者) アメリカ

コミュニティカレッジ、訓練プロバイ ダ、企業

州・地域の労働力開発委員会 教育省(若者)

*

キャリアガイダンス、訓練休暇

訓練費用の補助(資格の種類・受講者の年齢・失業 者(給付受給)かどうかで条件が異なる)

・継続教育(上掲)

・アプレンティスシップ(〃)

・失業者・就労困難者向け訓練(継続教育)  失業者・就労困難者向け社会保障給付の受給者に 対して、就職支援等の短期の訓練を提供。

(参加者数:95万人(2014年度))

・トレイニーシップ

 16~24歳の低技能層で就職が困難な者(プロバイ ダ・雇用主が選定)、最長6カ月の就業体験等を実 施。

(参加者数:1.9万人(2014年度))

・アプレンティスシップ

 16歳以上の学卒者に対して、企業での就労・職場 内訓練と、継続教育カレッジ等での座学を提供、典型 的には資格取得を目的とした訓練を含む。訓練期間 は1~4年程度で、難易度に応じた標準・上級・高度・ 学位レベルの区分あり。

(参加者数:90万人(2015年度)、うち19歳未満20万 人、19~24歳31万人、25歳以上39万人)

・継続教育

 若者から失業者、在職者までを対象に、主として資 格取得のための教育訓練を提供。

(参加者数:359万人(2014年度)、うち19歳未満97万 人、19歳以上262万人)

ワンストップ・センターによるスキル・能力の測定、 キャリアガイダンス、求職のためのワークショップ等 無料での訓練の提供(公的予算による)

 

・成人向けプログラム、非自発的離職者のためのプ ログラム

 18歳以上の失業者を対象に、ワンストップ・センター 等の地域の機関が、スキルアセスメントや情報提供、 職業訓練を提供。訓練内容や補助額は、対象者の状 況や地域のニーズ等を勘案。

(参加者数:成人向け 全体で約600万人(うち訓練受 講者15万人)、非自発的 全体で56万人(うち訓練受 講者10万人))

(14)

若者 失業者 在職者 若者 失業者 在職者 中央・州政府、労

使、会議所、職業 教育訓練研究機 構、連邦雇用エー ジェンシー

連邦雇用エージェ ンシー

多種多様(必要に 応じて規制、モニタ リング、認定制度 あり)。

地域圏 国(一部地域圏) 労使運営の公的機

学校/企業、職業 学校等

普通リセ(技術教 育課程)、職業リ セ、大学付属機 関、企業、見習訓 練センター(CFA)、

企業、全国成人教 育訓練協会、Greta

(地域毎の学校グ ループ)、国立工芸 院等

企業、Greta、国立 工芸院等

・初期職業教育(デュアルシステム)

 主に16歳以上の若者を対象とした、企業における実地訓 練(3分の2)と、職業学校での学習(3分の1)を並行して実 施する。約350職種の公認訓練職種等の資格取得を目指 す。訓練期間は通常2~3年半(2012年10月~2013年9月末 の新規訓練契約件数:53万件)。マイスター制度の手工業 を中心とした徒弟訓練は、デュアルシステムの中に溶け込 んでいる。

フランス 連邦教育研究省

連邦経済技術省(当該訓練職種を管轄する場合) 連邦労働社会省(失業者・求職者)

ドイツ

・普通リセ(技術教育課程)、職業リセ、大学附属機関等に よる職業訓練

・全日制職業学校、専門大学等

国民教育省(25歳までの若者全般) 高等教育省(若者、在職者、失業者・求職者) 労働省(在職者、失業者・求職者)

学校/企業、職業学校、職業学校、コ ミュニティ成人教育センター、(専門)大 学、会議所、専門団体などの訓練プロ バイダ

職業経験等認証制度(VAE)(約2万5000件(2015年)) 雇用エージェンシーによる訓練希望者への職業適性相談

や仲介などの支援など。

見習い税徴収機関(OCTA: Organismes Collecteurs de la Taxe d’Apprentissage)や資格取得目的訓練助成機関

(OPCA:Organisme paritaire collecteur agréé)等が企業か ら職業訓練に関する税や出資等を受け、その資金が職業 訓練実施のために配分される。

訓練関連の助成は、対象によって異なる。

・職業訓練個人口座

 16歳以上の全ての労働者に適用、勤続期間により時間単 位で付与される訓練受講の権利を管理。

・「就業口座(Erwerbstätigenkonto)」の創設を検討中(主に 若者を対象に訓練と就業に関する支援と記録管理を行う)。

・継続職業訓練(上掲)

・見習訓練制度(上掲)

・熟練化契約(〃)

・雇用主導契約、職業指導契約

 就職困難者が対象、雇用主の元で働きながら訓練を受講 する。

 雇用主導契約(9万1590人(2015年))、職業指導契約(28 万2040人(2015年))

・初期職業教育(デュアルシステム)(上掲)

・継続職業訓練(失業者から企業幹部まで広範な層に対し て訓練を提供。目的、内容、期間とも多様)。

・積極的職業統合措置(参加者数は月当たり14万4,399人

(2012年))

・熟練化契約

 学業を終え、資格取得を目指す16~25歳層、および26歳 以上の求職者が対象。雇用主との労働契約を前提に、別 途訓練機関と締結する訓練協定により、就業期間の15~ 25%(150時間以上)を訓練に割り当てるもの。

(参加者数:18万人、うち26歳以上4万人(2015年))

・就職前職業訓練(BVJ)、基礎職業訓練(BGJ)

・「初期職業訓練資格付与(EQ)」は、連邦雇用エージェン シー(BA)が管理運営するプログラムで、初期職業訓練へ の参加が困難な若者の企業による受け入れ(基礎的な訓 練の実施)に、訓練助成金を支給。(助成対象者数は、1万 1,024人(2014年の月当たり))

・見習訓練制度

 主に16~25歳層の低資格層を対象に、企業での就労・職 場内訓練と、CFA等の訓練施設での座学を提供、資格取得 を目的とする。

(参加者数:約40万人(2014年))

(15)

第 1 章 ア メ リ カ

第 1 節 職 業 訓 練 制 度 を め ぐ る 状 況 1 . は じ め に

ア メ リ カ の 職 業 訓 練 の 歴 史 は 、 欧 州 諸 国 と 比 べ る と 短 い 。 建 国 か ら 現 在 に 至 る ま で の 国 家 の 成 立 過 程 の 特 殊 性 が 、 教 育 訓 練 に も 色 濃 く 反 映 さ れ 、 独 自 の 形 を 生 み 出 し た と 言 え る 。 ア メ リ カ と い う 国 の 社 会 的 ・ 経 済 的 な 背 景 と と も に 、 そ の 教 育 訓 練 の 特 徴 を 端 的 に 述 べ る と し た ら 、 以 下 の よ う に 指 摘 す る こ と が で き る だ ろ う 。

第 一 に 、 職 業 訓 練 政 策 の ベ ー ス に あ る の は 、 教 育 が 十 分 に 行 き 届 い て お ら ず 、 経 済 的 に も 恵 ま れ な い 移 民 た ち へ の 対 策 と い う 価 値 観 で あ る 。と り わ け 、19世 紀 末 に 増 加 し た「 新 移 民 」 の 青 年 た ち を 、 い か に 健 全 な 形 で ア メ リ カ 社 会 に 吸 収 す る か と い う 課 題 を 解 決 す る た め の 議 論 か ら 、 職 業 訓 練 政 策 は ス タ ー ト し て い る 。 現 在 で も 、 社 会 的 ・ 経 済 的 に 不 利 な 条 件 を 背 負 っ て い る 移 民 は 多 い 。 ア メ リ カ の 職 業 訓 練 政 策 を 考 え る 上 で は 、 常 に タ ー ゲ ッ ト と し て こ れ ら の 移 民 層 が 念 頭 に 置 か れ て き た と 言 っ て よ い1。ア メ リ カ は 、先 進 国 の 中 で は 最 も 格 差 が 大 き い2。企 業 か ら 教 育 訓 練 を 提 供 さ れ て い る 割 合 も 、高 学 歴 者 の 方 が 高 い 。し か し 同 時 に 、底 辺 層 が そ こ か ら 抜 け 出 す た め の 制 度 も 、 検 討 さ れ 続 け て き た 。

第 二 に 、 転 職 率 が 高 く 、 流 動 的 な 労 働 市 場 が 形 成 さ れ て い る と い う こ と で あ る 。 そ れ だ け に 、 ス キ ル ア ッ プ や 資 格 取 得 へ の 需 要 は 高 く 、 そ の た め の 教 育 訓 練 機 関 は 公 民 と も に 充 実 し て い る と 言 え る 。 社 会 人 や 主 婦 、 高 齢 者 や 移 民 な ど 、 伝 統 的 な 学 部 学 生 と は 異 な る 層 も 多 く 通 う 、 コ ミ ュ ニ テ ィ カ レ ッ ジ は 、 そ の 一 つ の 代 表 で あ る 。

第 三 に 、 学 校 教 育 に お け る 職 業 教 育 の 果 た す 役 割 が 大 き い と い う こ と で あ る 。 早 い 段 階 か ら 将 来 の 職 業 を 意 識 し た コ ー ス が 敷 か れ 、分 岐 し て ゆ く 欧 州 諸 国 の 制 度 、そ し て OJTを 中 心 と し た 企 業 内 教 育 が 大 き な 比 重 を 占 め る 日 本 の 制 度 と 、 異 な る 点 で あ ろ う 。 そ し て 、 若 年 層 で あ れ ば ハ イ ス ク ー ル 、 そ れ 以 降 で あ れ ば コ ミ ュ ニ テ ィ カ レ ッ ジ な ど 、 公 的 な 教 育 機 関 の 存 在 感 が 大 き い こ と も 特 徴 と 言 え る で あ ろ う 。 こ の こ と を 可 能 に し て い る の は 、 連 邦 政 府 か ら の 各 種 補 助 制 度 で あ る3

第 四 に 、 地 方 分 権 的 な 性 質 を 持 つ と い う こ と で あ る 。 他 の 制 度 と 同 様 、 連 邦 政 府 は 職 業 訓 練 政 策 に 対 し て 補 助 金 を 出 す 役 割 が 主 で あ り 、 そ の 実 行 は 州 政 府 や 各 種 委 員 会 に 委 ね ら れ 、 裁 量 が 与 え ら れ て い る 。

本 章 で は 、 こ の よ う な 背 景 を 持 つ 国 の 中 で 、 現 在 の ア メ リ カ の 教 育 訓 練 制 度 を 概 観 す る 。 は じ め に 、 前 提 と し て の 労 働 市 場 の 状 況 に つ い て 述 べ た い 。

1 横 尾 (2013) 参 照 。

2 2013年 の ア メ リ カ の ジ ニ 係 数 は0.396と 高 い 数 値 と な っ て い る 。OECD Income inequality参 照 。

https://data.oecd.org/inequality/income-inequality.htm

3 横 尾 (2013pp.4-7参 照 。

(16)

2 . 労 働 市 場 の 状 況 と 特 徴

( 1 ) 概 観

2008年 の リ ー マ ン シ ョ ッ ク の 後 、 失 業 率 は 大 き く 跳 ね 上 が り 、 雇 用 労 働 者 数 も 減 少 し た 。 そ の 後 、 徐 々 に 失 業 率 は 低 下 し つ つ あ る が 、 未 だ 以 前 の 水 準 に は 戻 ら ず 、 景 気 後 退 に よ り 雇 用 創 出 は 思 う に 任 せ な い 状 況 が 続 い て い る 。 農 業 労 働 者 を も 含 め た 失 業 率 の 推 移 を 他 国 と 比 べ て み る と 、 以 下 の 図 表1-1 の 通 り と な る 。 そ し て 、 非 農 業 部 門 の 雇 用 者 数 の 推 移 は 、 図 表 1-2 の 通 り で あ る 。 い ず れ も 、 リ ー マ ン シ ョ ッ ク の 影 響 を 非 常 に 大 き く 受 け て い る こ と が 表 れ て い る 。

図 表1-1 農 業 部 門 を 含 む 失 業 率 の 推 移 ( 2000年 −)

出 所 :OECD harmonised unemployment rate (HUR)よ り 筆 者 作 成

図 表1-2 非 農 業 部 門 総 労 働 者 数 の 推 移 ( 2006年 −、 単 位 : 千 人 )

出 所 :BLS Current Employment Surveyよ り 筆 者 作 成 0.00%

2.00% 4.00% 6.00% 8.00% 10.00% 12.00%

US OECD平均

124,000 126,000 128,000 130,000 132,000 134,000 136,000 138,000 140,000 142,000

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(17)

ア メ リ カ の 場 合 、 失 業 率 に は 人 種 、 年 齢 、 学 歴 、 産 業 に よ り 、 違 い が あ る こ と が 特 徴 で あ る 。 そ し て 、 高 い 失 業 率 が 続 い て い る 背 景 に は 、 産 業 構 造 の 転 換 も 挙 げ ら れ る だ ろ う 。 リ ー マ ン シ ョ ッ ク の 影 響 の 大 き か っ た 建 設 業 、 製 造 業 と い っ た 産 業 の 労 働 者 た ち は 、 景 気 の 影 響 を 被 る こ と が 少 な く 、 現 在 で も 需 要 の 高 い 医 療 ・ 介 護 と い っ た 産 業 へ 移 る こ と を 忌 避 す る 傾 向 に あ る4

非 農 業 労 働 者 の み で み る と 、201610 月 現 在 で は 、 全 体 の 失 業 率 は 4.6% と 、 同 様 に 減 少 傾 向 に あ る 。 た だ し 、10 代 の 失 業 率 は 15.2% と 、 若 年 層 の 雇 用 状 況 は 依 然 と し て 悪 い 。 ま た 、 人 種 に つ い て も 、 白 人 は 4.2% 、 ア ジ ア 系 は 3.0% と 平 均 を 下 回 る の に 対 し 、 黒 人 は 8.1% 、 ヒ ス パ ニ ッ ク 系 は 5.7% と 高 い 。 ま た 、 長 期 の 失 業 者 (27 週 以 上 ) は 失 業 者 全 体 の 24.8% を 占 め る が 、 そ の 数 も 減 少 し つ つ あ る 。

( 2 ) 学 歴 と の 関 係

図 表1-3は 、201610月 現 在 に お け る 、25歳 以 上 の 学 歴 別 の 失 業 率( 季 節 調 整 済 み )で あ る 。 明 ら か に 、 学 歴 が 高 い ほ ど 失 業 率 は 低 く な る 。

図 表1-3 学 歴 別 失 業 率

学 歴 失 業 率()

高 校 未 卒 業 7.9

高 校 卒 業 4.9

カ レ ッ ジ 卒 業 3.9

大 学 卒 業 以 上 2.3

出 所 :BLS Current Employment Survey 2016よ り 筆 者 作 成

( 3 ) 産 業 別 の 需 要 と 失 業 率

図 表1-4は 、2006年 か ら2015年 ま で の10年 間 に お け る 、産 業 別 雇 用 者 数 の 推 移 で あ る 。 産 業 別 で 見 た 場 合 、近 年 最 も 需 要 が 伸 び て い る の が 、「 教 育 、医 療・福 祉 」で あ る 。ま た 、他 の 産 業 が リ ー マ ン シ ョ ッ ク 後 に 軒 並 み そ の 雇 用 者 数 を 減 少 さ せ て い る 中 に あ っ て 、 唯 一 、 減 少 を 経 験 し て い な い 産 業 で も あ る 。さ ら に 、2015年 1 年 間 で 実 に 701,000の 雇 用 が 増 加 し て い る 。 う ち 、472,000 が 医 療 ・ 福 祉 の 分 野 で あ り 、 特 に リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 施 設 と 病 院 で の 雇 用 増 が 大 き い 。次 に 増 加 率 が 高 い の が 、「 専 門 的 サ ー ビ ス 」の 分 野 で あ り 、中 で も コ ン ピ ュ ー タ ー シ ス テ ム 関 係 の 雇 用 が 増 え て い る 。 リ ー マ ン シ ョ ッ ク の 直 後 に 大 き な 打 撃 を 受 け た「 レ ジ ャ ー・ホ ス ピ タ リ テ ィ 産 業 」「 建 設 業 」は 、そ の 後 雇 用 者 数 で は 回 復 を 見 せ た も の の 、 雇 用 の 安 定 性 を 欠 く た め に 、 失 業 率 は 高 い 。

図 表1-5は 、201610月 現 在 に お け る 、16歳 以 上 の 労 働 者 の 産 業 別 失 業 率 で あ る 。こ れ に よ る と 、 最 も 失 業 率 が 高 い の が 「 農 業 部 門 」、 次 い で 、「 レ ジ ャ ー ・ ホ ス ピ タ リ テ ィ 産 業 」、

4 OECD2014pp.18-19参 照 。

(18)

「 建 設 業 」 と 続 く 。 こ こ で も 、 最 終 学 歴 が 高 く な い 労 働 者 の 割 合 が 高 い と 思 わ れ る 産 業 の 失 業 率 が 高 い こ と が わ か る 。 一 方 、 失 業 率 が 最 も 低 い 産 業 は 「 公 務 部 門 」 で あ り 、「 金 融 」「 教 育 ,医 療・福 祉 」「 運 輸 ,電 気・ガ ス・水 道 」が 続 く 。こ ち ら も 、高 い 最 終 学 歴 の 労 働 者 の 割 合 が 高 い と 思 わ れ る 産 業 が 多 い 。 ま た 、 景 気 動 向 に 左 右 さ れ に く い 産 業 で あ る こ と も 、 一 つ の 共 通 点 と な る で あ ろ う 。

図 表 1-4 産 業 別 雇 用 者 数 の 推 移 ( 単 位 : 千 人 )

出 所 :BLS Current Employment Surveyよ り 筆 者 作 成 ( ▲ は 前 年 度 比 マ イ ナ ス )

図 表1-5 産 業 別 失 業 率 お よ び 就 業 者 数 と 平 均 時 給

産 業 区 分 失 業 率 ( % ) 就 業 者 数 ( 人 ) 平 均 時 給 ($

鉱 山 、 採 石 、 石 油 、 ガ ス 採 取 4.7 682,000 31.76

建 設 5.7 6,704,000 38.28

製 造 業 ( 耐 久 ) 3.4 7,656,000 27.43

製 造 業 ( 非 耐 久 ) 4.7 4,604,000 24.06

商 業 ・ 小 売 4.4 21,926,300 23.86

運 輸 、 電 気 ・ ガ ス ・ 水 道 3.2 4,932,900 30.95

情 報 4.2 2,768,000 37.27

金 融 2.8 8,355,000 32.70

専 門 的 サ ー ビ ス 4.5 20,492,000 31.12

教 育 、 医 療 ・ 福 祉 3.1 22,869,000 25.87

レ ジ ャ ー ・ ホ ス ピ タ リ テ ィ 7.1 15,600,000 15.06

そ の 他 サ ー ビ ス 業 3.8 5,722,000 23.12

農 業 9.6

公 務 部 門 2.1 22,245

自 営 ・ 家 族 従 業 者 3.8

出 所 :BLS Current Employment Surveyよ り 筆 者 作 成

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 鉱 業 656 706 746 761 667

736 839 852 873 890

建 設 7,601 7,725 7,476 6,567 5,580 5,427 5,626 5,741 5,999 6,351 製 造 ( 耐 久 ) 8,982 8,890 8,693 7,832 6,989 7,168 7,396 7,515 7,591 7,764 製 造( 非 耐 久 ) 5,228 5,118 5,032 4,729 4,471 4,453 4,440 4,465 4,503 4,547 商 業 ・ 運 輸 ・

イ ン フ ラ

26,165 26,499 26,714 25,480 24,538 24,799 25,343 25,678 26,147 26,698

卸 売 5,840 5,969 6,035 5,762 5,455 5,481 5,620 5,714 5,780 5,853 小 売 15,354 15,450 15,570 14,783 14,388 14,535 14,816 14,941 15,258 15,510 情 報 3,053 3,030 3,026 2,891 2,738 2,676 2,663 2,661 2,721 2,734 金 融 8,307 8,389 8,277 8,018 7,733 7,680 7,735 7,837 7,915 8,061 専 門 サ ー ビ ス 17,297 17,834 18,037 17,065 16,520 17,056 17,694 18,212 18,770 19,370 教 育 、 医 療 ・

福 祉

17,946 18,415 18,979 19,481 19,820 20,153 20,571 20,943 21,220 21,731

レ ジ ャ ー ・ ホ ス ピ タ リ テ ィ

12,945 13,338 13,542 13,222 12,932 13,149 13,598 14,032 14,494 14,924

そ の 他 サ ー ビ

5,425 5,467 5,522 5,428 5,323 5,327 5,415 5,459 5,534 5,599

政 府 関 係 21,847 22,095 22,388 22,579 22,491 22,258 22,945 22,871 22,807 21,954

(19)

第 2 節 職 業 訓 練 制 度 の 体 系

図 表 1-6 ア メ リ カ の 教 育 訓 練 制 度 体 系

資 料 出 所 : 文 部 科 学 省 (2016.11「 平 成28年 版 諸 外 国 の 教 育 統 計 」

就 学 前 教 育 : 幼 稚 園 の ほ か 保 育 学 校 等 で 行 わ れ 、 通 常35歳 児 を 対 象 と す る 。

義 務 教 育:就 学 義 務 に 関 す る 規 定 は 州 に よ り 異 な る 。就 学 義 務 開 始 年 齢 を7歳 と す る 州 も あ る が 、実 際 に は6 か ら の 就 学 が 認 め ら れ て お り 、6歳 児 の 大 半 が 就 学 し て い る 。義 務 教 育 年 限 は912年 で あ る が 、10年 と す る 州 が 最 も 多 い 。

初 等 中 等 教 育 : 合 計12年 で あ る が 、 そ の 形 態 は6-3(2)-3(4)年 制 、8-4年 制 及 び6-6年 制 、5-3-4年 制 、4-4-4 制 な ど 多 様 で あ る 。 沿 革 的 に は 、 今 世 紀 初 め に は 8-4 年 制 が 殆 ど で あ っ た が 、 そ の 後 6-6 年 制 、 次 い で 6-3(2)-3(4)年 制 が 増 加 し 、 最 近 は ミ ド ル ス ク ー ル の 増 加 に と も な い 、5-3-4 年 制 が 一 般 的 で あ る 。 こ の ほ か 、 初 等 ・ 中 等 双 方 の 段 階 に ま た が る 学 校 も あ る 。

2012年 の 公 立 初 等 学 校 に お け る 形 態 別 割 合 を み る と 、3年 制 又 は4年 制 小 学 校7.0% 、5年 制 小 学 校34.6% 、 6年 制 小 学 校 14.2% 、8年 制 小 学 校 8.8% 、 ミ ド ル ス ク ー ル 17.9% 、 初 等 ・ 中 等 双 方 の 段 階 に ま た が る 学 校 8.7% 、 そ の 他8.8% で あ り 、 公 立 中 等 学 校 の 形 態 別 の 割 合 を み る と 、 下 級 ハ イ ス ク ー ル (3年 又 は2年 制 ) 9.2% 、上 級 ハ イ ス ク ー ル(3年 制 )2.2% 、4年 制 ハ イ ス ク ー ル52.2% 、上 級・下 級 併 設 ハ イ ス ク ー ル( 通 常 6年 )10.1% 、初 等・中 等 双 方 の 段 階 に ま た が る 学 校20.8% 、そ の 他5.6% と な っ て い る 。な お 、初 等・中 等 双 方 の 段 階 に ま た が る 学 校 は 初 等 学 校 、 中 等 学 校 そ れ ぞ れ に 含 め 、 比 率 を 算 出 し て い る 。

高 等 教 育 :総 合 大 学 、リ ベ ラ ル ア ー ツ カ レ ッ ジ を は じ め と す る 総 合 大 学 以 外 の4年 制 大 学 、2年 制 大 学 に 大 別 さ れ る 。 総 合 大 学 は 、 教 養 学 部 、 専 門 職 大 学 院 ( 学 部 レ ベ ル の プ ロ グ ラ ム を 提 供 し て い る 場 合 も あ る ) 及 び 大 学 院 に よ り 構 成 さ れ る 。 専 門 職 大 学 院 ( 学 部 ) は 、 医 学 ・ 工 学 ・ 法 学 な ど の 職 業 専 門 教 育 を 行 う も の で 独 立 の 機 関 と し て 存 在 す る 場 合 ( 専 門 大 学 、 専 門 職 大 学 院 大 学 ) も あ る 。

専 門 職 大 学 院 ( 学 部 ) へ 進 学 す る た め に は 、 通 常 、 総 合 大 学 又 は リ ベ ラ ル ア ー ツ カ レ ッ ジ に お い て 一 般 教 育 を 受 け( 年 限 は 専 攻 に よ り 異 な る )、さ ら に 試 験 ・ 面 接 を 受 け る 必 要 が あ る 。2年 制 大 学 に は 、ジ ュ ニ ア カ レ ッ ジ 、 コ ミ ュ ニ テ ィ カ レ ッ ジ 、 テ ク ニ カ ル カ レ ッ ジ が あ る 。 州 立 の2年 制 大 学 は 主 と し て コ ミ ュ ニ テ ィ カ レ ッ ジ あ る い は テ ク ニ カ ル カ レ ッ ジ で あ る 。

(20)

1 .WIAま で の 職 業 訓 練 政 策

冒 頭 で 述 べ た よ う な 特 徴 を 持 つ ア メ リ カ の 教 育 訓 練 制 度 の 成 立 過 程 の 出 発 点 は 、1906年 か ら 始 ま る 職 業 教 育 運 動 (Vocational education movement) で あ る 。 こ こ か ら 、1917年 に 、 初 め て の 職 業 教 育 連 邦 補 助 法 で あ る ス ミ ス・ヒ ュ ー ズ 法5へ と つ な が っ た 。こ の よ う な 運 動 が 起 こ っ た 背 景 は 、1880年 代 以 降 、東 欧・南 欧 か ら の い わ ゆ る「 新 移 民 」が 増 加 し た こ と で あ る 。 公 立 学 校 に 入 学 し た こ れ ら の 子 供 た ち は 、 言 語 や 宗 教 、 習 慣 な ど の 点 で 違 い が 大 き か っ た こ と も あ り 、 進 級 遅 滞 が 問 題 視 さ れ て い た 。 ま た 、 義 務 教 育 期 間 を 終 え た と し て も 、 彼 ら は 、 不 熟 練 ・ 低 熟 練 の 職 に 就 く こ と し か で き ず 、 生 涯 、 社 会 階 層 を 乗 り 越 え る こ と が 困 難 に な り 、 ひ い て は 国 力 の 低 下 に つ な が る 可 能 性 が あ る と い う 問 題 も 存 在 し て い た 。 こ の よ う な 事 情 か ら 、 公 的 な 職 業 教 育 制 度 の 確 立 が 議 論 さ れ る よ う に な っ た の で あ る6

ス ミ ス ・ ヒ ュ ー ズ 法 で は 、 全 米 の 州 に 職 業 教 育 の た め の 連 邦 補 助 金 が 支 出 さ れ る こ と が 規 定 さ れ て い る 。 そ れ だ け に 、 公 共 性 と い う 点 が 強 く 強 調 さ れ た 。 例 え ば 、 連 邦 補 助 は 公 立 の 機 関 に 限 ら れ る こ と 、「 新 移 民 」に 限 ら ず 、広 く ア メ リ カ 国 民 全 体 が 教 育 機 会 を 得 ら れ る こ と な ど で あ る 。 そ の た め 、 若 年 層 の み な ら ず 、 す で に 職 業 に 就 い て い る 成 人 や 職 を 失 っ て い る 成 人 に も 開 放 さ れ な け れ ば な ら な い と い う 理 念 を 持 つ7。 こ の よ う な 価 値 観 が 、1960 年 代 以 降 に 急 増 し た コ ミ ュ ニ テ ィ カ レ ッ ジ 等 に も 反 映 さ れ 、 現 在 の 形 を 作 っ て い る と 言 っ て よ い で あ ろ う 。

そ の 後 、 ニ ュ ー デ ィ ー ル 期 に 、 ワ グ ナ ー ・ ペ イ ザ ー 法 や 社 会 保 障 法 に お い て 、 さ ま ざ ま な 機 関 や プ ロ グ ラ ム が 生 み 出 さ れ た が 、 こ こ で は 、 あ く ま で 低 所 得 者 や 失 業 者 が 対 象 と な っ て お り 、普 遍 性 を 欠 い て い た 。そ の 後 、1961年 の 地 域 再 開 発 法 に よ っ て 、初 め て 連 邦 レ ベ ル で の 職 業 訓 練 計 画 が 定 め ら れ た 。こ の 時 期 は 、公 民 権 運 動 と も 相 ま っ て 、1962年 に は 、最 初 の 職 業 訓 練 基 本 法 で あ る 労 働 力 開 発 訓 練 法 、1963年 の 職 業 教 育 法 な ど 、ケ ネ デ ィ 政 権 に よ っ て 次 々 と 関 連 法 案 が 作 ら れ 、 拡 大 し て い っ た 時 期 で あ っ た8。 そ の 後 も 、 ア メ リ カ で は 約10年 か ら 15 年 の 周 期 で 職 業 訓 練 に 関 す る 新 し い 法 制 度 が 生 み 出 さ れ て い る 。1980 年 代 に な り 、 経 済 の サ ー ビ ス 化 や ソ フ ト 化 と い う 構 造 変 化 に 対 応 し 、 停 滞 し た 景 気 か ら 脱 却 す る た め に 、 労 働 力 の 付 加 価 値 を 高 め る た め の 職 業 教 育 訓 練 が 真 剣 に 議 論 さ れ る よ う に な っ た 。 自 前 で 充 実 し た 企 業 内 教 育 訓 練 プ ロ グ ラ ム を 用 意 で き る 余 裕 の な い 企 業 に と っ て は 、 さ ま ざ ま な 公 的 な 援 助 を 利 用 で き る こ と は 、 非 常 に 重 要 で あ る 。

2 .Workforce Investment ActWIA

こ の よ う な 中 か ら 、 ク リ ン ト ン 政 権 時 代 に 、 ワ グ ナ ー ・ ペ イ ザ ー 法 を 修 正 し た Workforce

5 ス ミ ス ・ ヒ ュ ー ズ 法 で は 、 中 等 段 階 の 職 業 教 育 に お け る 担 当 教 員 の 給 与 、 養 成 課 程 、 ま た 、 関 連 の 調 査 ・ 研 究 に 対 し て 、 連 邦 政 府 か ら 補 助 金 が 与 え ら れ る こ と が 定 め ら れ て い る 。 横 尾 (2013p.8参 照 。

6 横 尾 (2013p.131参 照 。 7 横 尾 (2013pp.424-425参 照 。 8 斎 藤 (1991p.180参 照 。

(21)

Investment Act of 1998、通 称WIAが 制 定 さ れ る に 至 っ た 。低 所 得 者 や マ イ ノ リ テ ィ へ の 援 助 中 心 と い う 、 ス ミ ス ・ ヒ ュ ー ズ 法 以 来 の 価 値 観 か ら 前 進 し 、 よ り 広 い 対 象 者 を 範 疇 に し た 点 で 、画 期 的 な 法 律 で あ る と 言 え る9。そ し て 、求 職 者 に 対 す る 金 銭 的 な 援 助 よ り も 、仕 事 の 斡 旋 、 キ ャ リ ア 形 成 に 関 す る 相 談 、 教 育 訓 練 の 提 供 と い っ た 、 求 職 者 を 実 行 へ 移 す た め の サ ポ ー ト に 重 点 が 置 か れ た こ と が 、 一 つ の 大 き な 特 徴 で あ る 。

理 念 と し て 掲 げ て い る の は 、 連 邦 政 府 ・ 州 政 府 ・ 地 域 の パ ー ト ナ ー シ ッ プ 、 サ ー ビ ス の デ ザ イ ン と 提 供 の 中 心 を 担 う の は 各 地 域 の 労 働 力 投 資 委 員 会 (WIB: Workforce Investment Boards)で あ り 、こ れ ら が パ ー ト ナ ー シ ッ プ の 締 結 の 仲 介 者 と な る こ と 等 で あ る 。さ ま ざ ま な 主 体 の 仲 介 を 行 う こ と が 強 調 さ れ て い る よ う に 、WIAは 、求 職 者 、雇 用 者 双 方 を サ ポ ー ト す る も の で あ る 。 求 職 者 に は 、 ス キ ル レ ベ ル ・ 能 力 の 測 定 、 キ ャ リ ア ガ イ ダ ン ス の 実 施 、 求 職 の た め の ワ ー ク シ ョ ッ プ 、 そ の 他 の 訓 練 な ど を 提 供 す る 。 雇 用 者 に 対 し て は 、 求 職 者 の 経 歴 、 ス キ ル や 能 力 を 鑑 み た マ ッ チ ン グ を 行 い 、 埋 め に く い ポ ス ト を 分 析 す る サ ポ ー ト 、 そ し て 、 職 務 の 再 構 成 や レ イ オ フ の 手 助 け な ど も 行 っ て い る 。

こ れ ら を 実 施 す る 中 心 と な る の が 、 ワ ン ス ト ッ プ ・ セ ン タ ー で あ り 、 コ ア サ ー ビ ス は こ こ で 受 け る こ と が で き る 。 そ の 成 り 立 ち は 、 ウ ィ ス コ ン シ ン 州 な ど 、 い く つ か の 州 で 試 験 的 に 行 わ れ た 取 り 組 み を 、1998WIAで 連 邦 政 府 の 施 策 と し て 取 り 入 れ た も の で あ る 。連 邦 労 働 省 、連 邦 教 育 省 、連 邦 保 健 福 祉 省 、連 邦 住 宅 都 市 開 発 省 が 関 わ る た め 、根 拠 法 は 、WIOA、 ワ グ ナ ー・ペ イ ザ ー 法 、1973年 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 法 、社 会 保 障 法 、1965年 高 齢 者 法 、2006 年 カ ー ル ・D. パ ー キ ン ス 職 業 ・ 応 用 技 術 教 育 法 (Carl D. Perkins Vocational and Applied Technology Act of 20061974年 通 商 法 、合 衆 国 法 典38、第41章(38 U.S.C. Chapter 41 退 役 軍 人 に 関 す る 教 育 訓 練 )、地 域 共 同 体 サ ー ビ ス 包 括 補 助 金 法(Community Services Block Grant Actと 複 数 に ま た が る 。ま た 、貧 困 家 族 一 時 扶 助(TANF= Temporary Assistance for Needy Families) の 受 給 者 向 け プ ロ グ ラ ム 、1990 年 国 家 及 び コ ミ ュ ニ テ ィ ・ サ ー ビ ス 法

(National and Community Service Act)で 認 可 さ れ た プ ロ グ ラ ム 、そ の 他 の 適 切 な 政 府 も し く は 民 間 セ ク タ ー の プ ロ グ ラ ム も 実 施 し て い る 。

WIAに は 、こ れ ら の 義 務 付 け ら れ た プ ロ グ ラ ム を 実 施 す る 方 法 、つ ま り 、サ ー ビ ス を 提 供 す る パ ー ト ナ ー の 選 考 に つ い て フ レ キ シ ビ リ テ ィ が 与 え ら れ て お り 、 デ ー タ の 共 有 や 紹 介 も 許 可 さ れ て い る 。 パ ー ト ナ ー と な っ た 者 に は 、 ワ ン ス ト ッ プ ・ セ ン タ ー の 発 展 や 運 営 の た め の コ ス ト を 共 に 担 う こ と が 期 待 さ れ る 。 こ の パ ー ト ナ ー の 他 に 、 ワ ン ス ト ッ プ ・ セ ン タ ー は そ の エ リ ア の 必 要 に 応 じ て 、 追 加 的 な パ ー ト ナ ー を 選 ぶ 自 由 も 与 え ら れ て い る 。

WIAの 実 施 に 当 た っ て は 、 全 米 を 約600の 地 域 (Local Workforce Investment Area) に 区 分 し 、 約 3,000 の ワ ン ス ト ッ プ ・ セ ン タ ー が 設 置 さ れ て い る 。 こ れ ら は 地 域 の WIB に よ っ て 管 理 さ れ 、そ の 地 域 特 有 の 需 要 に 応 え る こ と が 求 め ら れ る 。WIBは 、連 邦 政 府 の ガ イ ド

9 沼 田 (2001pp.176-180参 照 。

(22)

ラ イ ン や 規 則 に 基 づ い て 作 成 さ れ た 各 プ ロ グ ラ ム を 管 理 す る 。WIBは 、地 域 の 計 画 を 発 展 さ せ 、 州 知 事 に 提 出 す る 義 務 を 負 い 、 各 地 の ワ ン ス ト ッ プ ・ セ ン タ ー の 運 営 者 を 指 名 し 、 サ ー ビ ス を 提 供 す る 権 利 を 持 つ 組 織 を 選 定 す る 。 各 地 の 委 員 会 は 地 域 の 行 政 単 位 、 主 と し て カ ウ ン テ ィ 政 府 の 拡 張 機 関 と し て 位 置 付 け ら れ る 。

地 域 の WIB は 、 企 業 や 市 民 の リ ー ダ ー か ら 構 成 さ れ 、 社 会 的 サ ー ビ ス の 組 織 、 教 育 機 関 や 労 働 者 団 体 に も 広 が る 。 雇 用 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン し た り 提 供 し た り す る 際 に 、 企 業 の ニ ー ズ を 考 慮 に 入 れ る こ と が 必 要 で あ る た め 、WIAWIBの メ ン バ ー の 少 な く と も51% が 企 業 の リ ー ダ ー で あ る こ と を 求 め た 。 主 た る 契 約 の も と で 、 連 邦 と 州 か ら の WIA プ ロ グ ラ ム に 対 す る 資 金 は 、 カ ウ ン テ ィ や 地 域 の WIB に 支 給 さ れ る 。 実 際 の サ ー ビ ス の 提 供 は 、 そ の 他 の 公 的 な 機 関 ( 行 政 組 織 や 教 育 機 関 な ど ) や 民 間 の 組 織 ( 営 利 ・ 非 営 利 ) を 含 む 仲 介 者 に よ っ て 請 け 負 わ れ る 。 委 員 会 が 直 接 サ ー ビ ス 提 供 を 行 う こ と は な い 。

ほ と ん ど の 資 金 は 連 邦 政 府 か ら 出 資 さ れ 、 州 政 府 を 通 じ て 、 地 域 の 行 政 主 体 へ と 降 り て く る 。 各 地 域 の 委 員 会 は 、 資 金 提 供 者 と な る 地 域 の 行 政 主 体 と 、 プ ロ グ ラ ム を 管 理 す る た め の 主 契 約 を 結 ぶ 。 地 域 の 行 政 主 体 は パ ー ト ナ ー シ ッ プ を 形 成 す る 。 地 域 の 委 員 会 は 、 民 間 や NPOの よ う な こ れ ら の 受 託 組 織 と 求 職 の 援 助 や 教 育 訓 練 を 提 供 す る た め の 契 約 を 結 ぶ 。

WIAと パ ー ト ナ ー シ ッ プ を 結 ぶ 者 は 、適 格 者 審 査 を 経 な け れ ば な ら な い 。そ の プ ロ セ ス は

さまざまだが、WIAオリエンテーションやスクリーニングから始まることが多い。ここでは、候

補者がワンストップ・センターでサービスの提供を行う能力があるかどうか、目的やミッション を描き出せるかを審査する。これを経てから、正式な契約と認証が行われるシステムである。

図 表1-7 地 域 委 員 会 と の パ ー ト ナ ー シ ッ プ 関 係

出 所 :OECD2014p.23よ り 引 用

(23)

3 .WIAか らWorkforce Innovation and Opportunity ActWIOA) へ

こ の よ う な WIA に よ る 職 業 訓 練 ・ 斡 旋 の た め の シ ス テ ム が 始 ま っ て 16 年 の の ち 、2014 年 に WIA を 修 正 す る 形 で 生 ま れ た の が 労 働 力 革 新 機 会 法 (Workforce Innovation and Opportunity Act通 称WIOAで あ る 。WIOATitleⅠ か ら Ⅴ ま で 、5つ の 章 に 分 か れ る 。 TitleⅠ で は 、労 働 力 の 能 力 開 発 の た め の 活 動 に つ い て 、TitleⅡ で は 成 人 の 教 育 と リ テ ラ シ ー に つ い て 、TitleⅢ で は ワ グ ナ ー・ペ イ ヤ ー 法 の 修 正 条 項 に つ い て 、TitleⅣ で は 社 会 復 帰 法 の 修 正 条 項 に つ い て 、TitleⅤ で は 一 般 規 定 、 と り わ け WIA か ら の 移 行 規 定 に つ い て 、 そ れ ぞ れ 定 め ら れ て い る 。

TitleⅠ の プ ロ グ ラ ム は 、ア メ リ カ 労 働 省 、特 に 教 育 訓 練 局 の 監 督 の も と に 置 か れ る 。こ れ ら の 2015年 度 の 予 算 は 48億 ド ル で あ り 、WIOA の も と で 行 わ れ る プ ロ グ ラ ム 全 体 の 53% を 占 め る 最 も 大 き な も の で あ る 。TitleⅠ に 与 え ら れ た 予 算 は 図 表1-8の 通 り で あ る 。

図 表1-8 2015年 度 か ら2020年 度 ま で のTitleⅠ の 予 算 ( 単 位 : 千 ド ル )

出 所 :Bradley2015p.38よ り 引 用

WIOA で 強 調 さ れ て い る の は 、「 統 合 さ れ た 、 仕 事 が 引 き 起 こ す シ ス テ ム 」 と い う こ と で あ る 。 具 体 的 に は 、 以 下 の よ う な ポ リ シ ー と な っ て 表 れ る 。

・ サ ー ビ ス 提 供 の 最 前 線 と 、 地 方 政 府 の 管 理 と の 調 整 。

・ 国 民 誰 も が ア ク セ ス で き る こ と 。 た だ し 、 最 優 先 さ れ る の は 、 低 所 得 者 や 低 ス キ ル の 労 働 者 で あ る 。

・ 自 由 に 訓 練 を 選 べ る 個 人 の 訓 練 勘 定 。

・ 産 業 界 と の パ ー ト ナ ー シ ッ プ に よ っ て 援 助 を 受 け て 作 ら れ る 、 キ ャ リ ア パ ス の た め の 戦 略 。 例 え ば 、

- 教 育 訓 練 の 入 り 口 と 出 口 は さ ま ざ ま で あ っ て よ い 。

図 表 1-2  非 農 業 部 門   総 労 働 者 数 の 推 移 ( 2006 年 −、 単 位 : 千 人 )
図 表 1-5  産 業 別 失 業 率 お よ び 就 業 者 数 と 平 均 時 給   産 業 区 分 失 業 率 ( % ) 就 業 者 数 ( 人 ) 平 均 時 給 ( $ ) 鉱 山 、 採 石 、 石 油 、 ガ ス 採 取 4.7 682,000 31.76  建 設 5.7 6,704,000 38.28  製 造 業 ( 耐 久 ) 3.4 7,656,000 27.43  製 造 業 ( 非 耐 久 ) 4.7 4,604,000 24.06  商 業 ・ 小 売 4.4 21,92
図 表 1-10  教 育 水 準 ご と の 資 格 取 得 割 合 ( 18 歳 以 上 )   Regular  education  level  No alternative credential  Professional  certification, license  Educational certificate
図 表 1-11  属 性 に よ る 資 格 ・ 認 証 取 得 率 の 比 較   Characteristic Total No  alternative  credential Professional  certification, license  Educational certificate  Sex   Male   Female
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参照

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