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「聞く」ことを意識していますか 「特技懇」誌のページ(特許庁技術懇話会 会員サイト)

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2015.5.13. no.277

「聞く」ことを意識していますか

平成27年度特許庁技術懇話会代表委員

  

須藤 康洋

「き・く【聞く・聴く】 …②人の言葉をうけいれて意義を認 識する。聞き知る。…⑥注意して耳にとめる。傾聴する。…」

(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)

 拒絶査定不服審判の審理をしていると,出願人の主張を検 討した形跡は一応見られるけれど,査定時の拒絶理由の妥当 性の検討に際し,いったん立ち止まって考えるという姿勢が おろそかになり,結果,独りよがりの判断がされているなと感 じる事案にときどき出会います。原因としては,審査処理に追 われて余裕がないということが挙げられるかもしれません。  審査は,出願された発明などについて拒絶事由の存否が調 査・検討された後,多くの場合,拒絶理由が提示され,出願 人による拒絶理由に対する意見の表明(併せて出願書類の補 正)がされ,出願についての拒絶又は特許・登録の査定がさ れるという経過をたどります。ところで,拒絶の査定という 処分は,審査官(自分)のした拒絶理由通知の内容(判断)が 正当であることを審査官自ら(多くの場合,自分)が評価す ることに他なりません。そして,判断の妥当性は客観的にみ ても合理性があることが求められますから,もし仮に,審査 官が「本件においては自分の判断は絶対に正しい」という思 い込みのワナに嵌っていたとしたら,その合理性はずいぶん と疑わしいものになってしまいます。先に述べた原因には, このようなワナの存在もあるように思うのです。

 思い込みのワナに嵌ってしまったと思われる事件に共通す ることは,出願人・請求人の主張にとりあえず耳を傾けてみ ようという姿勢が足りていない節があります。客観的合理性 のある答え(正しい着地点)と自分の判断との距離が近いか 遠いかは,何かの基準点がなければ判別しにくいはずです。 確かに適切さを欠く主張というのも時々見受けられますが, ただ漠然と意見書・請求書の主張に向き合うのではなく,ど うしてこのような主張をするのか,その主張の裏側というか

意義を認識することで,自分の判断の客観的評価における思 い込みを排除できるかもしれません。

 特許庁は,品質ポリシー1)を策定し,世界最高品質の審査

の実現に向けた努力をしています。その中では,出願人・代 理人等との関係について,意思疎通を積極的に図りつつ幅広 いニーズや期待に応えると謳っています。自分の判断を客観 視すること,そのために(直接的な意思疎通という手法では ありませんが,)出願人の意見を「聞く」という意識をさらに 高めることは,より質の高い審査の実現に寄与するように思 います。

 以上は審査についてのことですが,同様のことが,無効審 判事件での提出書面にも時々見られます(筆者の裁判所調査 官の経験からいうと,訴訟における準備書面でも珍しくあり ません。)。自分が常に正しいかの如くの主張です。

 こうなると,相手方は常に間違っていることになるので, 必然的に相手方の主張を滅却することのみに終始した主張が 繰り返されることになります。しかし,もしここで相手方の 主張に耳を傾けることができれば,相手方の主張というフィ ルターを通して自己の主張を客観視することができ,そのよ うな客観的評価を踏まえて自己の主張立証の弱点の補強がで きるかもしれません。聞く耳持たずは損といえるでしょう。

 細かいことを何を今さらと読者の皆様からお叱りを頂戴し そうな内容ですが,以上,普段感じていることを思いつくま まに書いてみました。最後に,筆者自身,「聞く」ことの意識 ができているか自問してみますと,仕事上はなんとかできて いると思うのですが,家内とのやりとりとなるとだいぶ怪し くなります。「聞く」ことの実践は難しいようです。

参照

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