RA 患者さまの社会的背景からみた
医療ソーシャルワーカーの介入意義
倉敷スイートホスピタル
地域ケアセンター 井 川 弓
子
はじめに
医療ソーシャルワーカー ( MSW ) とは・・・
保健・医療分野において、社会福祉の立場 から患者や家族
の疾病に伴う心理的・経済的・社会的問題 の解決や調整を
支援
「保健・医療・福祉」 のサービスの調整、活用の支援を行
う。
心理的
経済的 社会的
患者・家族
保健
医療
福祉
MSW
活用 調整
MSW の具体的な業務
医療費・生活費などに関わる経済的問題の解決や調整の支援。 疾病やその後遺症に伴う心理・社会的問題への支援。
受診や入院・入所に関する相談。 入院・入所中に関する相談。
退院・退所時に生じる心理的・経済的・社会的問題への支援。 退院・退所後の生活問題への支援。
医師・看護師等医療関係職種とのチーム医療の推進。
患者会・家族会など各種セルフヘルプグループへの支援。
岡山県内の医療機関等でのMSWの配置状況
・ 140 医療機関(精神科HP、老健等を含む)
・岡山県医療ソーシャルワーカー協会登録数 390 名
本日の内容
RA 患者の相談内容からみる
MSW の介入内訳
医療費助成における MSW 介入方法
・当院の RA 診療の流れ
・利用している共通ツール
・社会保障の制度説明
・制度活用におけるポイント
MSW の介入意義と今後の担うべき役割
当院でのRA患者さまとの関わり
~主な相談内容~
・医療費の相談
・障害年金等の社会保障制度について
・在宅での介護相談
・福祉制度の利用について
MSW の介入
制度の情報提供、利用支援を行う
情報が少なく、活用しきれていないことが多い
平成24年 平成25年
MSW相談内訳(リウマチ患者)
医療費
(バイオ以外) について 4%
平成26年
バイオについて 49%
(バイオ以外)医療費 について
36% その他
12%
【調査対象と方法】
調査期間: 2009年4月~2014年3月
対
象
者: 外来 RA 患者のうち MSW 介入している患者 99 名
方 法: MSW面接時の Bio 導入状況を 3 群に分類
( 1 群) Bio 導入中
( 2 群) Bio 導入予定
( 3 群) Bio 導入未定
分 析:①医療費自己負担割合
② MSW 介入後の医療費助成制度の活用、理解状況
医療ソーシャルワーカー ( MSW ) の介入意義~SWEETコホートより~
第25回 日本リウマチ学会中国・四国支部学術集会より
【MSW初回面接時のBio導入状況】
(n=99)
31.3%
(n=31)
21.2%
(n=21)
47.5%
(n=47)
1 群 : 導入
3 群 : 導入未 中
定
2 群 : 導入予定
1群 Bio 導入中
(n= 31 ) 3群 Bio 導入未
(n= 47 ) 定
2群 Bio 導入予
(n= 21 ) 定
3割負担 3割負担 3割負担
71.0% 71.4% 78.7%
【結果① 】 医療費自己負担割合
19.4%
6.4% 3.2%
19.0%
4.8% 4.8%
2.1% 19.2%
【結果② 】 医療費助成制度の活用・理解状況
1 群 Bio 導入
(n= 31 ) 中
3 群 Bio 導入未
(n= 47 ) 定
2 群 Bio 導入予定
(n= 21 )
81%
19%
90%
10%
94%
6%
あり あり あり
Bio 導入へ
57.4%
1群: Bio 導入中
加入保険が変わった
介護保険サービスについて 限度額認定証の申請の仕方 高額療養費の払い戻し方法 受診回数について
1群、2群、3群の相談内容
2群: Bio 導入が決定
1ヵ月あたりの治療費の額について 医療費軽減の方法
限度額認定証の発行について 通院手段について
3群: Bio 導入未定
治療費が高額になる
長期に渡る治療になるので、継続出来るか不安 副作用で仕事や家事に影響が出ないか心配 家族に不安や負担をかけたくない
関節痛が良くなったら仕事をしたいが、生活費と医療費の支払いが出来るか不安 どのタイミングでバイオを開始したらいいのか…
⇒主治医や看護師に相談内容を伝え、治療方針を再検討する
心理的・身体的<経済的
心理的・身体的 > 経済
的
● 医療福祉制度の説明
● 社会保障制度の説明
● コスト説明 など
診療情報管理士が
登録・データ管理 バイタルチェック緊急時の確認
主治医から薬剤の情報提供
受付 診察 バイオ製剤 投与同意 投与 検査結果 説明 受付
問診表記入 関節表記入
バイタルチェック 体重測定握力測定
自己注射指導 薬剤管理・手技指導
当院の外来リウマチ診療の流れ
不安に
寄り添う支援
~MSWの介入~
RA 患者さまにおける
MSW介入依頼書
外来看護師記載欄
MSW記載欄
・相談の中心となる内容
・患者様の Bio 製剤についての理解度
・受診時間の短縮化を図るための工夫
現在、持たれている医療保険情報を 把握することによって、医療費の助成 の可否が見えてくる
細かい制度説明が
必要な方は
MSWが対応。
外来にて医療費の説明
薬剤別:投与スケジュール説明リーフレット
薬剤別:医療費負担 説明リーフレット
55,190/
回 55,190/回 55,190/回
55,190
円 55,190円 18,400/
回 18,400/回 18,400/回
30,280円
都道府県により多少違いあり
フローチャート
(岡山県版)
介護(ホームヘルパー
や電動ベッド等)など、
日常生活の支援が
知りたい
公的助成制度 保険・年金・手当 介護保険・障害など
医療費の
支払いに不安
病気による収入減や
経済基盤が心配
高額療養費
自立支援医療
難病疾患治療研究事業
後期高齢者医療費助成
障害年金
傷病手当金
労災保険
介護保険制度
障害者自立支援法
日常生活用具の支給
有料介護・家事支援
障害者控除
サービス 重度心身障害者医療受給制度1.後期高齢者医療保険制度について
◆ 医療費・・ 1 割負担 (一定以上所得者 3 割負担 )
◆ 対象者・・ 〔1〕75歳以上の方
〔2〕65歳~75歳未満で以下の障害がある方
①身体障害者手帳の1~3級、4級の一部
②療育手帳の重度障害(A)
③精神障害者保健福祉手帳
所得区分 外来(個人ご
と) 外来+入院(世帯単位)
一定以上所得者
( 市町村民税課税所得 145 万円以 上 )
44 ,400円
80 ,100円+1%
高額療養費多数該当(年4回目以降)の 場合44 ,400円
一 般
12 ,000円 44 ,400円低所得者Ⅱ
(住民税非課税) 8 ,000円 24 ,600円低所得者Ⅰ
(住民税非課税、
年金収入80万円以下等)
8 ,000円 15 ,000円
◆ 対象者
・身体障害者手帳の1、2級
・療育手帳 A
・身体障害者手帳3級かつ、
療育手帳 B の両方を持っている方
◆ 医療費・・・原則 1 割負担 ( 所得制限あり )
所得区分 外 来 外来+入院
一定以上の所得者 44,400 円 / 29,600 円 80,100 円+1% / 53,400 円 一 般 12,000円 / 8,000 円 44,400 円 / 29,600 円 低所得2 2 ,000円 12,000 円 / 8,000 円 低所得1 1 ,000円 6,000 円 / 4,000 円
※都道府県、市町村によって異なる
3 .難病疾患治療研究事業 H27.1 ~改正
現行の月額自己負担限度 額
(平成26年12月31 日まで)
算定の対象者 生計中心者一人 三体対象の税金 所得税
入院・外来の区分 入院・外来別
自己負担限度額 0円~23 ,100円(月 額)
入院時の食費 上記の自己負担限度額に 含まれる
院外薬局における薬代 自己負担なし 訪問看護費 自己負担なし
重症患者 自己負担なし
市町村民税非課税者 自己負担なし
高額かつ長期 -
人工呼吸器等装着者 - 生活保護受給者 -
新しい月額自己負担限度額
(平成27年1月1日~) 医療保険上の世帯員全員
市町村民税(所得割) 入院・外来の区別なし
0円~30 ,000円(月額) 全額自己負担
(経過措置の3年間は2分の1) 月額自己負担上限額に含まれる 月額自己負担上限額に含まれる 自己負担あり
(経過措置3年間を過ぎると、 重症という区分がなくなる) 自己負担あり
所得に応じた減額措置
0円~20 ,000円(月額) 月額自己負担上限額 1 ,000 円
月額自己負担上限額 0円
※ 「高額かつ長期」とは、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある 者(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回 以上)
高額療養費制度
医療機関へ受診し、1ヶ月の自己負担金が一定以上かかった
場合、超えた金額が高額療養費として返ってくる制度。
※個室料、食事代、電気代、診断書料、おむつ代等は自己負担額に
含まれません。
計算方法 ※ 次のすべてを満たす必要がありま
す!
① 1ヵ月は、暦歴(1日~末日まで)で計算する
② ひとつの医療機関ごとに計算する(総合病院外来は診療科ご
と)
③ 医科・歯科は別々に計算する
④ 入院・通院は別々に計算する
⑤ 通院などの薬剤負担金は、その診療費に合算可能(同じ月)
⑥ 診療を受けた月の翌月から2年以内であれば請求できる
H 27 年1月1日より変更
■ 70 歳未満の方
H27.1.1 ~改正
所得
区分 条件 1 か月あたりの上限
1 年の間に該当月が 4 回あった人の 4 回目以降の上限
上位 所得者
社保:標準報酬月額 83 万円以上(区分ア)
国保:総所得金額等 901 万円超 252,600円+ 1 % 140,100円 社保:標準報酬月額 53 ~ 79 万円(区分
イ)
国保:総所得金額等 600 ~ 901 万円以下
167,400円+ 1 % 93,000円
一般
社保:標準報酬月額 28 ~ 50 万円(区分 ウ)
国保:総所得金額等 210 ~ 600 万円以下
80,100 円+ 1 %
44,400円
社保:標準報酬月額 26 万円以下(区分エ)
国保:総所得金額等 210 万円以下 57,600 円+ 1 % 非課
税 市区町村民税非課税世帯(区分オ) 35,400円 24,600円
条 件 一ヶ月あたりの上限 多数該当
一定以上所得者
(標準報酬月額 53 万円以上 )
150 ,000円+
(医療費 -500,000 円) ×1%
83 ,400円
一般世帯 (医療費 -267,000 円)1%80 ,100円+44 ,400円
非課税世帯
35 ,400円 24 ,600円
所得区分 外来(個人ごと) 外来 + 入院(世帯単位) 一定以上所得者
(住民税課税所得が 145 万円以上の
70~75歳未満がいる場合 ) 44 ,400円
80 ,100円+
(医療費 -267,000 円) ×1%
多数該当(年4回目以降)の場合 44,400円
一 般 12 ,000円 多数該当(年4回目以降)の場合 44 ,400円 44 ,400円
低所得者Ⅱ
8 ,000円 24 ,600円
低所得者Ⅰ 15 ,000円
改正された 70 ~ 74 歳の方の医療費の窓口負
平成 26 年 4 月 2 日以降に 70 歳の誕生日を迎える方 担
70 歳の誕生月の翌月から医療費の窓口負担が 2 割
へ
平成 26 年 4 月 1 日までに 70 歳の誕生日を迎えた方
平成 26 年 4 月以降も、現行のまま窓口負担は 1 割の
まま変わらない
~12ヵ月間に4回以上高額療養費の支給を受ける場合~
3回目までの限度額
4回目以降の限度額
過去12ヵ月
同一世帯内での自己負担金 高額療養費として支給 70歳未満の方 [ 一般世帯 ]
80 ,100円+ (医療費 -267.000 円 )× 1%
80 ,100円+
( 医療費 -267,000 円 )× 1%
44 ,400円
標準負担額・限度額適用認定証 申請方法について
保険種類 窓口 申請方法
国民健康保険 お住まいの 役所窓口 保険証、印鑑を持参し窓口へ。
社会保険
(協会けんぽ) 管轄の協会 けんぽ
郵送での申請が可能。
申請書を記入し、管轄の協会けんぽへ郵送する
。 (申請書はインターネットでもダウンロード可)
後期高齢者
医療保険 お住まいの 役所窓口 保険証、印鑑を持参し窓口へ。
各組合・共済保険 会社等の 担当窓口 各担当窓口にておたずねください。
医療機関に提示することにより、窓口での支払いが、
高額療養費制度の自己負担限度額までとなります。
入院・外来どちらでも使用できるようになっています。
即効性が ある
RA 患者様の思いは…
治療費が高額、
長期に渡る治療が必要
バイオ製剤
心理的・身体的
不安
経済的不安
通院回数 の軽減
一方で・・・
社会保障制度の申請や活用方法は、
個々によって異なるので、複雑・・・。
円滑に制度利用をしていくためには !!
個人に状況に合った情報提供をする
⇒欲しい情報を適宜、提供する
有効な情報をどこで入手できるかアンテナを立てる
⇒行政担当窓口( 連絡先、担当者等 )を把握する
いつでも、どこでも、何度でも相談できる
信頼関係の構築
⇒関わる方、一人ひとりが社会資源
身体的
心理的 経済的
患者様
リハビリスタッフ
看護師
MSW
診療情報管理士
医師
薬剤師
チームの中での MSW の役割
臨床検査技師
放射線技師
医 療
在宅生活
管理栄養士
MSW
リウマチ教室 リウマチ通信