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nl2005 2 最近の更新履歴 北海道都市地域学会

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第 3 0 回 北 海 道 都 市 問 題 会 議

「 経 済 的 自 立 と パ タ ー ナ リ ズ ム ~ 行 政 の 協 働 と 地 域 間 交 流 ~ 」

今 年 の 北 海 道 都 市 問 題 会 議 は 、 1 0月1 7日 に 札 幌 コ ン ベ ン シ ョ ン ・ セ ン タ ー で 開 催 さ れ た 。 上 田 文 雄 札 幌 市 長 、 淺 川 昭 一 郎 北 海 道 都 市 地 域 学 会 会 長 の 挨 拶 、 平 澤 亨 輔 企 画 委 員 長 の テ ー マ 解 説 の あ と 、 北 海 道 武 蔵 女 子 短 期 大 学 の 小 林 好 宏 学 長 に よ る 基 調 講 演 が あ っ た 。

 小 林 氏 は 、以 下 の よ う な 問 題 提 起 を 行 っ た 。 経 済 学 会 も 含 め て 現 在 の 風 潮・論 調 は 市 場 主 義 、個 人 主 権 、 自 己 責 任 を 重 視 す る 傾 向 を も つ が 、 そ れ は 効 率 性 を 重 視 す る 考 え 方 で あ る 。 こ れ が 、 三 位 一 体 改 革 な ど に 見 ら れ る よ う に 、 地 方 交 付 税 等 の 地 方 へ の 資 金 の 流 れ を 無 駄 と 見 る 姿 勢 に 繋 が っ て い る 。 し か し 地 域 を 考 え る と き 、 こ う し た 個 人 主 義 的 観 点 だ け で は 、 地 域 自 体 の あ り 方 を 十 分 に 考 慮 で き な い の で は な い か 。 パ タ ー ナ リ ズ ム と は こ う し た 考 え 方 と 対 立 す る 思 想 で あ り 、 個 人 の 主 体 的 意 思 に 対 し て 干 渉 す る 方 向 性 を も つ 。 こ れ を 市 民 と 行 政 の 関 係 に 当 て は め る と 、 行 政 が 社 会 に 必 要 だ と 判 断 し た 場 合 に は 、 リ ー ダ ー シ ッ プ を 発 揮 し て 市 民 の 支 持 が な く て も 施 策 を 行 わ な く て は い け な い 場 面 が あ る の で は な い か 。 自 己 責 任 、 自 立 は 大 事 だ が 、 そ れ と は 正 反 対 の 視 点 か ら も 物 事 を 考 え る 必 要 が あ る の で は な い か 。

続 い て 分 科 会 が 開 催 さ れ た 。 第 一 分 科 会 は 、「 タ ウ ン ブ ラ ン ド と し て の 観 光 都 市 」 と い う テ ー マ で あ っ た 。 コ ー デ ィ ネ ー タ ー の 内 田 和 男 北 大 教 授 の 簡 単 な 解 説 の 後 、 越 塚 宗 孝 札 幌 国 際 大 学 教 授 か ら ま ず 観 光 都 市 と は “ 観 光 者 に 楽 し み を 提 供 で き る ま ち ”、 ま た ブ ラ ン ド 価 値 は 感 覚 価 値 と 観 念 価 値 で あ る と い う 定 義 の 紹 介 が あ っ た 。 そ の 後 、 旭 山 動 物 園 、 知 床 の1 0 0㎡ 運 動 の 例 が 、 タ ウ ン ブ ラ ン ド を 確 立 し た 例 と し て 挙 げ ら れ た 。 次 に 観 光 に お け る 道 内 市 町 村 の 連 携 に つ い て 、 フ ー ド ラ ン ド 北 海 道 や 雪 ま つ り を 例 に と り 、今 後 、札 幌 、北 海 道 が ア ジ ア に 乗 り 出 す に は 、行 政 と の 協 働 が 重 要 で あ る と の 指 摘 が あ っ た 。

つ い で 高 野 伸 栄 北 大 助 教 授 か ら 観 光 の ネ ッ ト ワ ー ク の 面 か ら 発 言 が あ っ た 。東 北 等 と の 比 較 に お い て 、 北 海 道 は 温 泉 が 広 い 地 域 に 分 散 し て お り 低 密 度 で 競 争 が 少 な い 、 そ の 中 で 各 宿 泊 施 設 は 、 北 海 道 ブ ラ ン ド と い う も の に 依 存 し て お り 、 独 自 の ブ ラ ン ド が な い の で は な い か と 問 題 点 が 指 摘 さ れ た 。 そ こ か ら 脱 す る た め に 地 域 ブ ラ ン ド と い う 形 で 機 能 的 な 連 携 を 行 う 必 要 が あ る と い う こ と が 語 ら れ た 。

続 い て ウ ィ ン ザ ー ホ テ ル ズ イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル の 窪 山 哲 雄 社 長 か ら ウ ィ ン ザ ー ホ テ ル の 戦 略 を 中 心 に 話 題提供があった。ウィンザーホテル開業時点での困難な状況の克服という話題から出発し、北海道にない、 し か し、 世 界 が 期 待 す る も の と い う こ と で 第 一 級 の 国 際 リ ゾ ー ト ホ テ ル の 構 築 を 考 え た。 ま た 関 東 地 区 の フ ァ ミ リ ー や 団 塊 の 世 代、 3 0 代 の 女 性 な ど に タ ー ゲ ッ ト を 絞 っ た こ と、 ブ ラ ン ド 戦 略 と し て 北 海 道 の 素 材を生かしたレストランを作ったこと、リピーターを増やすことを重要視していることなどが述べられた。  最 後 に 中 井 仁 実 建 築 研 究 所 の 中 井 和 子 代 表 取 締 役 か ら 景 観 と ブ ラ ン ド 形 成 の 関 係 に つ い て 話 が あ っ た。 観光にとって景観は重要である。景観に対する評価は価値観によって変わってくるが、1つの基準として、 観 光 客 の 目 線 と 地 元 住 民 の 目 線 が あ る。 地 元 の 人 も 観 光 客 の 目 線 を 考 慮 し て 景 観 を 考 え て い か な い と お か し な も の が で き て し ま う。 景 観 の 整 備 に は、 総 合 性 が 必 要 で あ る。 そ れ が ア イ デ ン テ ィ テ ィ を も っ た 地 域 形 成 へ と 繋 が っ て い く。 景 観 は 連 続 性、 公 共 性 を も っ て い る。 ま た 地 域 性 と 風 土 が し っ か り と 守 ら れ て い

200 5

北海道都市地域学会

ニュースレター

第2号

TOPICS

★第 30 回北海道都市問題会議

  「経済的自立とパターナリズム ~行政の協働と地域間交流~」

★観光商品に関する一考察 ~下関に赴任した所感から~

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る 景 観 が 重 要 で あ る。 さ ら に、 ス ラ イ ド を 用 い て 北 海 道 と ヨ ー ロ ッ パ の 景 観 を 比 較 し な が ら の 説 明 が あった。

 各 パ ネ リ ス ト の 報 告 の 後 、 内 田 氏 か ら 、 観 光 客 が リ ピ ー タ ー に な る に は 、 ま た 地 域 連 携 を も た ら す に は ど う し た ら よ い の か 等 の 点 に つ い て 質 問 が 出 さ れ た 。 こ れ に 対 し て 越 塚 氏 か ら 観 光 者 と 観 光 都 市 の 信 頼 関 係 が 重 要 で は な い か 、 高 野 氏 か ら 無 私 の 精 神 を 持 っ た リ ー ダ ー が 必 要 で は な い か 、 な ど の 意 見 が 表 明 さ れ た 。 こ の ほ か フ ロ ア ー か ら も タ ウ ン ブ ラ ン ド に 関 す る 質 問 が 出 た 。

  第 二 分 科 会 は「 食 文 化 を 支 え る 農 業 都 市 」 と い う テ ー マ で あ っ た。 コ ー デ ィ ネ ー タ ー の 淺 川 北 大 教 授 の、 昨 年 の 都 市 問 題 会 議 に お け る「 新 農 業 都 市 」 の 考 え を 土 台 に し、 今 回 は 主 に「 食 文 化 」 を 通 し て の 農 業 都 市 形 成 の 可 能 性 を 論 じ る と の 説 明 の 後、 出 村 克 彦 北 大 教 授 は、 北 海 道 に お け る グ リ ー ン ツーリズムの難しさを論じた上で、その進展に向けた、専業農家中心の形態の変革の必要性を主張した。 そのためには、新しい意識や多様な経歴を持つ新しい担い手を受け入れることが必要だとしている。   高 田 忠 尚 富 良 野 市 長 は 、 農 業 が 基 盤 の 都 市 で あ る こ と を 利 し て 、 環 境 や 安 全 に 配 慮 し た 多 様 な 農 業 展 開 に よ る ま ち づ く り を し て お り 、 そ の 際 「 官 設 民 営 」 と い う 手 法 で 行 政 と 民 間 が 協 調 し 行 う と い う 形 態 を と っ て い る 、 こ れ ら は 農 業 以 外 で 富 良 野 の 名 物 と な っ て い る 「 演 劇 」 な ど に お い て も 採 用 さ れ て い る 、 と 報 告 し た 。

 ス ロ ー フ ー ド 運 動 を 進 め て い る フ リ ー キ ャ ス タ ー の 林 美 香 子 氏 は 、「 食 文 化 」 を 通 し た 農 業 都 市 の 展 開 に お け る ス ロ ー フ ー ド の 重 要 性 を 指 摘 し 、 こ の 食 文 化 の 保 護 を 目 的 と し た 運 動 は 、 食 と い う 要 素 か ら 地 域 の 文 化 特 性 を 顕 在 化 さ せ る も の で あ り 、 地 域 の 住 民 だ け の 参 加 で は な く 、 離 れ た 都 市 の 消 費 者 を も 巻 き 込 む 広 い 効 果 を も つ と 説 明 し た 。

 「 帯 広 屋 台 村 」 を 企 画 し た 坂 本 和 昭 氏 は 、 ス ロ ー フ ー ド あ る い は 地 産 地 消 を ビ ジ ネ ス で 実 践 し 成 功 し た こ と の 背 景 に は 、「 屋 台 」の 性 質 を 調 べ 上 げ た 上 で 、屋 台 を 通 し て 十 勝 の 農 産 物 を 地 元 民 に 紹 介 し 、 地 元 の 食 材 に 対 す る 関 心 を 持 た せ た こ と が あ る と 説 明 し た 。 ま た 、 地 産 地 消 を 成 功 さ せ る た め に は 、 生 産 者 と 消 費 者 の 交 流 の 場 が 設 け ら れ る こ と が 必 要 な の だ と 説 い た 。

 第 三 分 科 会 は 、「 持 続 可 能 な 環 境 文 化 都 市 」 が テ ー マ で あ っ た 。 コ ー デ ィ ネ ー タ ー の 小 林 英 嗣 北 大 教 授 か ら 、 テ ー マ に つ い て の 簡 潔 な 説 明 が あ っ た 後 、 太 田 清 澄 札 幌 学 院 大 学 教 授 は 、 こ れ か ら の 都 市 は 、 経 済 ・ 環 境 ・ 歴 史 文 化 と い っ た 総 合 的 な 観 点 か ら 評 価 す べ き で あ る こ と 、 ま た 公 共 空 間 の 創 造 そ し て 官 と 民 の 的 確 な 役 割 分 担 に よ る 協 働 が 必 要 で あ る と 述 べ た 。 さ ら に 、 ヨ ー ロ ッ パ の 都 市 に お け る 市 民 参 加 モ デ ル を 紹 介 し た 。

 次 い で 杉 岡 直 人 北 星 学 園 大 学 教 授 は 、 環 境 文 化 都 市 は 、 都 市 政 策 の 最 後 の 段 階 、 都 市 の 成 長 の ゴ ー ル か と 問 い か け 、 市 民 参 加 の 必 要 性 と そ れ を 可 能 と す る 「 し か け 」 に つ い て 論 述 し た 。 そ し て 、 小 さ な コ ミ ュ ニ テ ィ で 近 隣 関 係 を 創 出 で き る 環 境 作 り が 必 要 で あ る と 説 い た 。

 國 松 明 日 香 札 幌 市 立 高 等 専 門 学 校 教 授 は 、 社 会 に お け る 彫 刻 ( 芸 術 ) の 意 義 に つ い て 論 じ 、 彫 刻 や 芸 術 品 の メ イ ン テ ナ ン ス に 関 し て 、 行 政 の 果 た す 役 割 の 大 き さ を 指 摘 し た 。 ま た デ ザ イ ン に 際 し て は 、 他 者 の こ と を も 考 慮 に 入 れ る 必 要 性 が あ る と 述 べ た 。

 池田捨成札幌市市民まちづくり局理事は、札幌市立大学設立の意義を説き、創造都市、安全都市とし て 札 幌 を ブ ラ ン ド 化 す る 必 要 性 を 語 り、 同 時 に 持 続 可 能 な 都 市 づ く り を 意 識 す べ き で あ る こ と を 指 摘 した。また、健康でゆとりのある生活に高い価値がおかれる時代になりつつあるのではないかと述べた。   今 回 の 会 議 で は 、 パ タ ー ナ リ ズ ム ・ 観 光 都 市 ・ 農 業 都 市 ・ 環 境 文 化 都 市 と い う 概 念 が 提 案 さ れ 、 そ れ に つ い て 文 字 通 り 活 発 な 議 論 が 展 開 さ れ た 。 も ち ろ ん 、 こ れ ら の テ ー マ に つ い て 限 ら れ た 時 間 で 議 論 が 完 結 す る は ず は な く 、 今 後 も 引 き 続 き 何 ら か の 形 で 取 り 組 み が 継 続 さ れ て い く こ と と な ろ う が 、 こ の 会 議 に お い て 考 察 検 討 対 象 へ の 視 点 を 絞 り 込 む こ と で 問 題 を よ り 深 く 掘 り 下 げ る こ と が で き た の は 、 十 分 な 収 穫 と 見 な す こ と が で き る 。

(北海道都市地域学会 企画委員会・編集広報委員会)

(3)

観 光 商 品 に 関 す る 一 考 察 ~ 下 関 に 赴 任 し た 所 感 か ら ~

森 邦 恵 (下 関 市 立 大 学 経 済 学 部 助 教 授 )

 最近,観光について経済学の立場から理論的・実証的に検証する研究が増えて いる。その中でも経済理論に基づき,観光商品の質の貨幣価値を測定する手法の 一つとして,ヘドニック・アプローチを利用するということが考えられる。

ヘドニック・アプローチとは,多種多様な製品やサービスがもつ品質に注目し, 市場を通じてその品質がどのように評価されているかを計測する手法である。 消費者物価指数の品質調整に利用されているのをはじめ,近年では地球環境

問題の重要性から,環境の貨幣的価値を測定する評価手法の一つとしても知られるようになった。ヘ ドニック・アプローチは,家電製品や乗用車などのいわゆる差別化された財を分析対象とするときに有 効である。したがって,ホテル・旅館などが提供する宿泊商品の価格は,サービス要素(ルームサービ スや駐車場,バー・レストランなどの有無など)や固定的要素(立地条件,部屋数,階数,ホテルブラ ンドなど)から成り立っていると想定すれば,観光商品においても適用することが可能である

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。  ここで,分析上留意すべきことは「価格に反映している(と消費者が判断する)要素は何か」という 点である。観光商品は複合的なうえ,現代の消費者のニーズは多種多様である。そのような消費者の主 観的な価値観を,客観的なデータの中に適切に反映させるためには詳細な検証を要する。

一般的に,観光商品を構成しているのは観光資源,観光施設,観光サービスという 3 つの要素である。 そこで,下関市を一例とした説明を行いながら,そもそも観光商品とはどのようなものであるか,とい う視点で一考察を試みたい。

観光資源は,一般的に,自ずと形成した自然・地理的な環境である自然観光資源と,人間が発明,創 造した物質的・精神的富の集合を基にした人文(社会)観光資源の2つに分類することができる

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。下 関市でいえば,前者は,関門海峡をはじめとした山陰,山陽方面に続く海岸線が形成する景観

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,後者は 関門橋をはじめ,最近の大河ドラマにも登場した壇ノ浦や巌流島,日清講和条約が締結された割烹旅館「春 帆楼」などの歴史的景勝地・建造物などである。

 観光施設は,交通施設・宿泊施設・その他サービス施設(例えば遊園地,観光案内所,博物館等)な どの観光(サービス)施設と,交通(鉄道,道路等)系統・供給(電力,ガス等)系統・治安系統など に代表される観光インフラストラクチュアに分類される

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。関門海峡を一望できる海峡ゆめタワーや火の 山公園,豊富な海産物に関連した唐戸市場などの施設がこれにあたる。交通インフラ面では,新幹線や 山陽,九州方面への高速道路が整備されており,更に航路は国内だけではなく中国,韓国への直通便が あるなど,地理的特徴が生かされ比較的充実しているといえよう

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観光サービスは,通常,観光資源や観光施設に付随して存在する。サービスの質・量共に観光客にと って魅力的なものであれば,観光資源や観光施設の不十分な箇所を補完するという性質を持つ。消費者 が望むサービスには主観的な価値判断が入るため,以下は私見として記したい。下関市内を見渡してみ ると,歴史的景勝地・建造物,観光施設は地域住民の生活の一部あるいはレクリエーション機能を担っ ており,同時に観光客にも提供されている。よって,観光客と地域住民の線引きは,物理的にも精神的 にもあまり感じることはなかった。また,行政が関与する観光サービスの一例として,「フクフクマーク」 という下関を代表する魚「フク」を親しみやすくデザインしたマークがあり,申請を行えば誰でも利用 可 能 で あ る。 赴 任 時, 乗 車 し た バ ス の シ ー ト 一 面 が こ の マ ー ク だ っ た こ と に 驚 い た り も し た が, 企 業, 市民がそれぞれの立場で気軽に「フクの街下関」をアピールできる制度は面白い試みだと感じた(因みに, 市職員である私の名刺にもこのマークが入っており,配布先には好評である)。このように,観光客と地 域住民が共存する空間が多々あり,地域の特徴を理解している市民自ら楽しみながら観光サービスに寄

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与している環境は,観光客には一種の独自性のあるサービスとして認識されているようである。

 以上,観光商品を構成する 3 つの要素について概観を見てきた。同一消費者であっても,訪問する観光地 の地域によって希望する観光商品の内容が異なることはよく知られている。ヘドニック・アプローチはこの 地域特有の要素を検出する能力に長けている面もあるが,前述のように採用されるデータが分析結果に与え る影響は大きい。宿泊商品に関して,供給者である宿泊施設は地域特性を含めた様々な要素を消費者にどの 程度正確に情報提供しているか,また分析者も直接見えない地域特性についてどのようにデータ上で表現す るか,を今後の分析におけるポイントとして挙げておきたい。

今回,故郷の北海道を離れ下関市に赴任したことにより,国内における各地域固有の観光商品に求められ る品質について,認識を新たにする機会が得られた。地域研究を行う一人として,また職住を持つ一市民と して,この街への興味関心はしばらく尽きることがなさそうである。

参考文献

Aguiló,E. et al.(2003) “Examining the market structure of the German and UK tour operating industries through an analysis of package holiday prices”, Tourism Economics,9(3),255-278.

Espinet, J.M. et al.(2003) “Effect on prices of the attributes of holiday hotels: a hedonic prices approach”, Tourism Economics,9(2),165-177.

河村誠治(2004)『観光経済学の原理と応用』,九州大学出版会.

神頭広好 (2002)「ヘドニック・プライスモデルのホテル立地への応用」『観光の空間経済分析』第 5 章,愛知大学経 営総合科学研究所.

(Footnotes)

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例えば,Aguiló et al.(2003)Espinet et al.(2003),国内では神頭(2002)の分析例がある。

2観光資源,観光施設,観光サービスの内容については河村(2004)を参照した。

3平成1310月に下関市,北九州市の2つの自治体共同で「関門景観条例」が制定された。複数の自治体が行政区 域を越え,景観に関して同一の条例を制定するのは全国初であり注目されている。

4これらは,本来地域住民の生活基盤であり観光客の専用施設ではないが,その質や量によって観光産業に影響を与

えうるものである。詳細な議論は河村(2004)参照。

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ただし,この交通インフラの充足が下関市に「通過型」観光地の側面を与えていることも否めない。例えば,新幹線「ひ かり」が新下関駅に停車する時刻を見ると,関西方面からの日帰り観光客を想定した設定になっている。また,下関 市内における大衆観光向けのホテルは(川棚温泉を除けば)あまり目にすることがない。

北海道都市地域学会の事業計画などについて お知らせします。

1. 「都市学研究43」 研究論文投稿のご案内

現在、「都市学研究43」の研究論文の投稿を受け付けております。会員の皆様からの活発な投稿をお願い します。詳しくはホームページをご覧下さい。

2.学会事務局連絡先

 〒060-8589 札幌市北区北9条西9丁目

            北海道大学 大学院農学研究科 園芸緑地学講座内            北海道都市地域学会事務局   (庶務担当理事 愛甲哲也)            TEL & FAX 011-706-2452

   (2006 年から事務局が交代予定です。 次回の案内時に正式にアナウンスします)

参照

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