平成29年度 入学試験問題
西大和学園高等学校
( 5 0 分)
理
科
〔 注 意 〕
① 問題は1~4まであります。
② 解答用紙はこの問題用紙の間にはさんであります。 ③ 解答用紙には受験番号、氏名を必ず記入のこと。 ④ 各問題とも解答は解答用紙の所定のところへ記入
のこと。
地層と堆積岩のでき方について述べた以下の文を読み、後の問いに答えよ。
地表に出ている岩石は、雨や風、温度の変化などによってもろくなる。このような現象を という。
によってもろくなった岩石は、風や流水などによって少しずつ削られていく。このよ うな風や流水のはたらきを侵食という。日本の山地は傾斜が急なため、川の上流では侵食作用 が強く、 という深い谷が見られる。
山地で削られた土砂は、流水によって運搬される間に、角がとれて丸く小さくなっていく。 そして、平地に出たところで流れがゆるやかになるため、堆積して という地形をつ くる。河口まで運ばれてきた土砂は、堆積して という地形をつくる。一度堆積した土 砂も大雨が降るとさらに流され、沖の海底にも堆積していく。
このようにして、流水のはたらきによってくりかえし運ばれて堆積した土砂は、長い年月の 間に厚い地層となる。一般に、地層ができるときには、土砂がほぼ水平に堆積し、順に上に積 み重なっていくため、A地層は上にある層ほど新しい。
長い年月の間に堆積した地層は、自身の重さや上から堆積してくる土砂の重さで圧縮され、 押し固められて、かたい岩石になっていく。このようにしてできる種類の岩石を堆積岩とい う。B生物の遺骸が堆積してできる堆積岩を生物岩といい、火山灰の地層からできる堆積岩を
という。
⑴ ~ に適する語句を答えよ。
⑵ 河川の流域で、ある粒径 ( 泥・砂・れきの大きさ ) の粒子が、どのくらいの流速で侵食・ 運搬・堆積を行うかを表した図をユルストローム図という。これを見て、後の問いに答え よ。
ユルストローム図
1
あ あ
あ い
う え
お
お
1000
100
10
1
0.1
cm/秒
0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000
流
速
粒径 mm
堆積していたものが侵食され、 運搬される領域
運搬されていたものが
(ⅰ) 泥、砂、れきのそれぞれが1000cm/秒の流速で運搬されているとき、少しずつ流速 を遅くしていった場合に、最初に堆積を始めるものは泥、砂、れきのどれか答えよ。 (ⅱ) 泥、砂、れきのそれぞれがすでに堆積しているとき、0.1cm/秒から少しずつ流速を 速くしていった場合に、最初に動き出すのは泥、砂、れきのどれか答えよ。
(ⅲ) 堆積している粒子が侵食される際、正しいものを次の中から1つ選び、記号で答えよ。 ア.れきの粒子も泥の粒子も、粒径が大きいほど侵食されやすい。
イ.れきの粒子も泥の粒子も、粒径が小さいほど侵食されやすい。
ウ.れきの粒子は粒径が大きいほど、泥の粒子は粒径が小さいほど侵食されやすい。 エ.れきの粒子は粒径が小さいほど、泥の粒子は粒径が大きいほど侵食されやすい。
⑶ ・ の地形にはそれぞれ堆積しやすい粒径の粒子があることで、土地の性質が異 なっている。日本において は、よく果樹園に用いられるが、 は水田に用いられる ことが多い。これを踏まえ、以下の文の X、Y に適するものを後の選択肢から1つずつ選 び、記号で答えよ。
u は e に比べて ( X ) が堆積しやすく、水はけが ( Y )。
X の選択肢 ア.細かな泥 イ.大きなれき Y の選択肢 ア.良い イ.悪い
⑷ 下線部 A について、地層に力が加わることにより地層の上下が逆転してしまうことがあ り、その場合には地層の断面の堆積構造から堆積時の上下を判定する。下図の構造では、堆 積時の上位に当たる方向はア~エのどれか答えよ。
⑸ 下線部 B について、石灰岩とチャートは共に、生物の遺骸が堆積してできる堆積岩であ る。見た目の様子以外で石灰岩とチャートを区別するには、どのようにすればよいか。中学 校の実験室で可能な範囲で、実験方法と結果を答えよ。
う
う
う え
え
え
ア
イ エ
被子植物において、花がつぼみのとき、やくの中では減数分裂によって多数の花粉が生じ る。この花粉が につくことを受粉という。
受粉した花粉からは下図の①にあたる が伸び、さらにその中を②である が 移動を始める。めしべの基部では、⑤の に包まれた④の と呼ばれる構造物の 中に、③である と⑥である中央細胞が含まれている。2つの のうちの一方は と、もう一方は中央細胞と受精する。受精すると、 は将来 となり、中央細胞は 将来胚乳となる。胚乳に貯められたエネルギーは、発芽後 が大きくなり、自らエネル ギーを獲得できるようになるまで用いられる。
このように、1回の受粉で2回の受精が行われることを重複受精といい、裸子植物にはない 被子植物の特徴である。
一方、裸子植物は被子植物と異なり受精の有無にかかわらず胚乳が形成される。
⑴ ~ に適する語句を、下の語群より選び、記号で答えよ。
A.おしべ B.柱頭 C.やく D.がく E.輸卵管 F.花粉管 G.子房壁 H.精子 I. 卵子 J.胞子 K.精細胞 L.卵細胞 M.助細胞 N.子葉 O.本葉 P.胚珠 Q.胚のう R.胚
2
あ
い う
え お
き く か
あ く
か う
か
① ②
③ ④
⑥
⑵ 図の⑦の部分は子葉と呼ばれる部分であり、図の植物は双子葉植物であることがわかる。 以下の問いに答えよ。
(ⅰ) 単子葉植物と双子葉植物について述べた以下の文のうち、最も適切なものを1つ選 び、記号で答えよ。
ア.双子葉植物は主に太陽の良く当たる明るい場所を好み、日陰には生えない。
イ.単子葉植物の葉脈は平行脈で、根はひげ根である。
ウ.双子葉植物の花は合弁花、単子葉植物の花は離弁花である。
エ.単子葉植物の代表例の1つにアサガオがある。
オ.単子葉植物は子葉 が1枚しかなく、発 芽したての時に栄養不足になりやすいた め、絶滅危惧種となっているものが多い。
(ⅱ) 下図は、被子植物の茎または根の断面図である。図について述べた以下の文のう ち、最も適切なものを1つ選び、記号で答えよ。
ア.Aは単子葉植物の根の断面図であり、単子葉植物の茎の断面図が載っていない。
イ.B は双子葉植物の根の断面図であり、双子葉植物の茎の断面図が載っていない。
ウ.C は単子葉植物の根の断面図であり、双子葉植物の茎の断面図が載っていない。
エ.Aは単子葉植物の茎の断面図であり、単子葉植物の根の断面図が B である。
オ.C は単子葉植物の茎の断面図であり、双子葉植物の根の断面図が A である。
⑶ 胚乳を残したまま越冬する種子を有胚乳種子と呼び、胚乳の栄養分を子葉にため込み、胚 が発芽する直前まで成長した状態になってから越冬する種子を無胚乳種子と呼ぶ。有胚乳種 子も、春先には胚が胚乳を吸収して成長し、無胚乳種子と同じような状態になってから発 芽する。無胚乳種子と比べて有胚乳種子が有利となる事象として最も適切なものを1つ選 び、記号で答えよ。
ア.春先の芽生えが早いため、受光競争に強い。 イ.寒さに強い。
ウ.種子の状態での生存期間が長い。
エ.栄養分を多く持つので、子孫を残しやすい。 オ.絶滅しにくい。
⑷ 同一植物個体内で受粉しても、花粉からほとんど が伸びず受精に至らない性質を自 家不和合性と呼ぶ。自家不和合性について述べた文のうち、最も適切なものを1つ選び、 記号で答えよ。
ア.すべての植物が自家不和合性を持つ。
イ.自家不和合性を持たなければ、その植物は突然変異が起こせない。
ウ.自家不和合性を持つことで、多様な遺伝子の組み合わせを持った子孫を残すことが できる。
エ.自家不和合性を持たなければ、遺伝的に純系な個体を人工的に作成するのが難し い。
オ.自家不和合性を持つことで、虫や風、水の力を借りなくても受精ができる。
⑸ 下線部において、重複受精を行うことで得られるメリットを述べた以下の文の ・ に適する言葉を入れて、文を完成させよ。
裸子植物は、受精しなくても自然に るため、受精しなかった場合は が無駄となるが、被子植物は受精しない限り ないことから、 の無駄が少ない。
X
X Y
Y
X Y
3
身近な金属である鉄に関する酸化と還元について、以下の文を読み、後の問いに答えよ。鉄は酸化されると酸化鉄という別の物質に変わる。スチールウールをガスバーナーで熱する と「燃焼」が起こり、また、鉄をそのまま空気中に放置しても「さび」が起こる。
酸化鉄には主に 3 つの種類がある。赤熱した鉄に高温の水蒸気を吹き付けると生じるものは 黒さびとよばれ、これを酸化鉄 X とする。また、鉄が湿った空気中で酸化されて生じるもの は赤さびとよばれ、これを酸化鉄 Y とする。酸化鉄 Y は化学式 Fe2O3で表される。もう 1 つ の酸化鉄 Z は化学式 FeO で表されるが、これは天然には存在せず、①酸化鉄 Y を約 300℃で
水素還元すると生成する。
工業的には鉄は、②鉄鉱石(主成分は酸化鉄)を一酸化炭素やコークス(炭素)で還元して 得られる。こうして得られる鉄には不純物として炭素などが含まれるので、酸素を吹き込んで 炭素の割合を減らすことで強度の大きい「鋼こう」が得られる。鋼ははがねともよばれ、機械部品 や建築材料に使われているが、さらに特性を加えるために他の金属を添加し③合金として用い
られることも多い。
⑴ 「燃焼」と「さび」はともに酸化反応であるが、「さび」と異なる「燃焼」の反応としての 特徴を 1 行以内で述べよ。
⑵ 鉄が燃焼して酸化鉄 Y となる反応について、解答用紙の( )に係数を入れて化学反 応式を完成させよ。
⑶ 下の図 1 のように、砂を入れて酸素で満たした丸底フラスコの中にスチールウールを入れ、 全体の質量をはかった。その後、電流を流してスチールウールを燃焼させ、図 2 のように全 体の質量をはかった。続いて図 3 のようにせんをとってフラスコのふちに置き、全体の質量 をはかった。図 2 と図 3 のとき、はかりの示す数値は図 1 と比べてそれぞれどのようになるか、 正しいものを次の中から1つずつ選び、記号で答えよ。
ア.図 1 よりも質量は小さくなる。 イ.図 1 よりも質量は大きくなる。 ウ.図 1 と質量は同じである。
図3
図1 図2
鉄
砂 酸素
酸化鉄
鉄原子1個と銅原子1個の質量比は7:8、銅原子1個と酸素原子1個の質量比は4:1、 酸素原子1個と炭素原子1個の質量比は4:3である。
⑷ 鉄原子1個と酸素原子1個の質量比はいくらか。最も簡単な整数比で答えよ。
⑸ 酸化鉄 X には、鉄と酸素が質量比21:8で含まれている。酸化鉄 X の化学式を答えよ。
⑹ 酸化銅[化学式 CuO]22.5g に含まれる酸素と同じ質量の酸素を十分な量の鉄[化学式 Fe]と反応させると、酸化鉄 Y[化学式 Fe2O3]が〔 a 〕g できた。
( ⅰ) 〔 a 〕に当てはまる数値を、小数第1位を四捨五入して、整数値で答えよ。 ( ⅱ ) ある体積の鉄がすべて酸化されて酸化鉄 Y になったとき、体積は何倍になるか。
小数第2位を四捨五入して、小数第1位まで答えよ。ただし、鉄の密度は7.87g/cm3、 酸化鉄 Y の密度は5.24g/cm3である。
⑺ 酸化鉄 Z[化学式 FeO]について、以下の問いに答えよ。 ( ⅰ) 文中の下線部①の反応を化学反応式で表せ。
( ⅱ ) 酸化鉄 Z は低温では不安定で、ゆっくり冷却すると鉄と酸化鉄 X に分解される。 この反応を化学反応式で表せ。
⑻ 下線部②について、酸化鉄 Y[化学式 Fe2O3]と炭素[化学式 C]を反応させた。その 結果、酸化鉄 Y はすべて還元され、炭素を含んだ、純度98%の鉄200g が得られた。ただ し、これ以外に固体は得られず、外部にも気体以外は出なかったものとする。
( ⅰ ) 酸化鉄 Y に含まれていた酸素がすべて一酸化炭素になったとしたとき、発生した 一酸化炭素は何 g か。
( ⅱ ) 使用した炭素は何 g か。
⑼ 工業的に鉄を製造するときには、酸化鉄 X、Y、Z が徐々に還元されて、鉄が生成する。 還元されていく順として正しいものを次の中から1つ選び、記号で答えよ。
ア.X→Y→Z→鉄 イ.X→Z→Y→鉄
ウ.Y→X→Z→鉄 エ.Y→Z→X→鉄
オ.Z→X→Y→鉄 カ.Z→Y→X→鉄
後の問いに答えよ。ただし、問題中に出てくる「ひも」「動滑車」「定滑車」の質量は0と し、滑車とひもの間の摩擦と物体にはたらく空気抵抗は無視できるものとする。
【Ⅰ】
⑴ 図1のように重さが10N のおもりを静かに0.2m 持ち上げるときに必要な仕事は何 J か 答えよ。
⑵ 図2のように動滑車と天井に取り付けられた定滑車を用いて重さが10Nのおもりを静か に持ち上げる。図2のひもの(あ)の部分を何 N で引っ張ればよいか答えよ。また、おも りを0.2m 引き上げるとき、(あ)の部分は何 m 引き下げる必要があるか答えよ。
図1
0.2m
図2 おもり
10N
4
定滑車
動滑車
おもり 10N
⑶ 図3 のような斜面にそって重さが20N のおもりをh= 0.2m の高さだけ静かに引き上げ
る。このときおもりは斜面にそってL=0.5m 移動した。図3のひもの(い)の部分に何 N
の力を加えればよいか答えよ。
⑷ 図4(ⅰ) の振り子を図4(ⅱ) のように最下点よりh= 0.1m の高さまで持ち上げ、静止さ
せたのち、静かに手をはなす実験をする。以下の量のうち、地上で実験した結果と、月面上 で実験した結果が同じになると考えられるものをすべて選び、記号で答えよ。
ア.最下点より0.1m の高さまで持ち上げるときに必要な仕事。 イ.最下点通過時の速さ。
ウ.手をはなしたあと、反対側で静止したときの最下点からの高さ。 エ.手をはなしてから、もとの位置にもどってくるまでの時間。
おもり 20N
(い)
L
h
h
図4(ⅰ) 図4(ⅱ)
【Ⅱ】
三種類の物体 A,B,C と平坦で長さが2m の板 X,Y がある。これらを用い以下の6つの 実験をおこなった。ただし、A,B,C の大きさは、板の長さや幅に対して十分小さいものと する。
実験 1 板 X を水平に固定し、物体 A,B,C をそれぞれ板の片方の端より2m/秒ですべら せた。すると、いずれの物体も2m/秒の速さのまま反対側の端に達した。
実験 2 板 Y を水平に固定し、物体 A,B,C をそれぞれ板の片方の端より、初めの速さを 2m/秒ですべらせはじめた。すると、A は反対側の端に達したが、B,C は初めの端よ りそれぞれ1m と0.6m の位置で静止した。
実験 3 板 X を水平面に対してある角度だけ斜めに傾けて固定し、物体 A,B,C を下の端よ り斜面にそって上向きに、それぞれ初めの速さを2m/秒ですべらせはじめたところ、 いずれの物体も同じ位置で速さが一度0になり、その後斜面にそって下向きにすべり降 りてきた。
実験 4 板 Y を水平面に対してある角度だけ斜めに傾けて固定し、物体 A,B,C を下の端よ り斜面にそって上向きに、それぞれ初めの速さを2m/秒ですべらせはじめたところ、 A は速さが一度0になったあと、斜面にそって下向きにすべり降りてきた。B,C は速 さが一度0になった位置で静止し続けた。B が静止した位置は下の端より斜面にそって 0.5m の位置であった。
実験 5 実験 4と同じように板 Y を固定し、物体 A,B,C をそれぞれ上の端より斜面にそっ て下向きに初めの速さを2m/秒ですべらせはじめたところ、C は2m/秒のまますべり おりた。
実験 6 動滑車と天井に取り付けた定滑車とひもを用い、図5のようにつるすと、A,B,C は静止した。
図5
⑸ 以下の2つの力のうち力のつりあいの関係にあるものをすべて選び、記号で答えよ。 ア.実験 1における板 X が物体 A を押す力と物体 A にはたらく重力。
イ.実験 2における板 Y が物体 B に及ぼす摩擦力と物体 B が進む推進力。 ウ.実験 3における板 X が物体 B を垂直に押す力と物体 B にはたらく重力。
エ .実験 4において物体 B が静止したあと、板 Y が物体 B に与えるすべての力と物体 B に はたらく重力。
オ.実験 5において板 Y が物体 C に与えるすべての力と物体 C にはたらく重力。
⑹ 実験 6の結果より物体 A,B,C の質量の比を最も簡単な整数比で答えよ。
⑺ 実験 3において、物体 A,B,C がすべりおり、下の端に戻ってきたときの A,B,C の 速さの大小関係はどうなっているか。例にならって等号、不等号を用いて表せ。
例) A と B が同じ速さ、C が B より遅い場合 解答( A = B > C )
⑻ 実験 4において、物体 C が静止した位置はどこになるか。最も適当なものを次の中から 1つ選び、記号で答えよ。
ア.下の端から斜面にそって上向きに0.3m より下側の位置。
イ.下の端から斜面にそって上向きに0.3m の位置。
ウ.下の端から斜面にそって上向きに0.3m から0.5mの間の位置。
エ.下の端から斜面にそって上向きに0.5m の位置。
オ.下の端から斜面にそって上向きに0.5m より上側の位置。