宇宙における元素合成
元素の存在比は宇宙全体でほぼ同じ
→ 同じ起源によるもの
「一家に一枚元素表」より Subatomic physics より
元素の存在比
元素の存在比: Abundance
・ 質量数の増加に従い、桁違いに少なくなる
・ Li, Be, B は HeやCに比べて極端に少ない
・ 質量数の増加に従い、桁違いに少なくなる
・ Li, Be, B は HeやCに比べて極端に少ない
・ 重量比:
水素 71%, He 27%、残り 2%
・ 重量比:
水素 71%, He 27%、残り 2%
・ A ~ 56 (Fe) のあたりに「山」
・ A ~ 56 (Fe) のあたりに「山」
宇宙の進化
宇宙における元素合成:二段階過程
I. ビッグバンから数分後までに起きた、 軽い元素の合成過程
I.
II.
II. ビッグバンから数億年程度経ってからの、 星の中での元素合成による重い元素の合成
ビッグバンと元素合成
宇宙背景放射 2.7 K 光子の密度
水素:光子 = 1:109 150億年前にビッグバン
→ 宇宙の膨張&冷却
粒子・反粒子の生成・消滅:熱平衡
宇宙が高温 → 宇宙を満たしている光子のエネルギーが高い ボルツマン係数 k 8.617 × 10-5 eV K-1
k T eV=
8.6×10−5T
eV 宇宙の温度 光子のエネルギー1012 K 108 eV= 100 MeV π中間子対、ミューオン対生成停止 1010 K 106 eV= 1 MeV (反)ニュートリノが熱平衡から外れる
陽子↔中間子の熱平衡が破れる
→ 陽子:中性子 = 7:1 109 K 105 eV= 100 keV
電子・陽電子対生成 停止 宇宙の温度 光子のエネルギー
1012 K 108 eV= 100 MeV π中間子対、ミューオン対生成停止 1010 K 106 eV= 1 MeV (反)ニュートリノが熱平衡から外れる
陽子↔中間子の熱平衡が破れる
→ 陽子:中性子 = 7:1 109 K 105 eV= 100 keV
電子・陽電子対生成 停止
陽子・中性子の存在比
陽子・中性子の熱・化学平衡
n + ν ↔ p + e
-n + e
+↔ p + ν
n ↔ p + e
-+ ν
N
nT
N
pT =exp −
m c
2kT
Δ m c2=mn−m p=1.29 MeV
T kT N
n
/N
p10
12~100MeV ~1
10
11~10 MeV ~0.9
10
10~1 MeV ~0.3
7×10
9660 keV 1/7
ビッグバンでの元素合成
p n d2.22 MeV
宇宙の温度が 2.22 MeV ~ 2.6×1010 K より
十分低くないと、光子によって重陽子は分解される 陽子と中性子が出来た後…
ビッグバンでの元素合成
ビッグバンより 約225秒後
宇宙温度は 100 keV以下に → 重陽子ができはじめると
p +d →
23He +γ+ 5.49MeV
n d t 6.29 MeV
①
t p 19.1 MeV
2
3
He n 20.58 MeV
t d n17.59 MeV
d d 23.85MeV
②
t
37Li 2.47 MeV
質量数 5, 8 の安定原子核がない ビッグバンでの元素合成が止まる
わずかながら Li が生成
ビッグバンでの元素合成
p +d →
23He +γ+ 5.49MeV
n d t 6.29 MeV
①
t p 19.1 MeV
2
3
He n 20.58 MeV
t d n17.59 MeV
d d 23.85MeV
②
ビッグバンより約30分
宇宙温度は 3×108 K (~ 30 keV) → 元素合成はほぼ終了
中性子はほぼ4Heの生成に利用
4Heの生成比は
2 Nn / (Np + Nn) ~ 0.25 N : N = 7 : 1
中性子はほぼ4Heの生成に利用
4Heの生成比は
2 Nn / (Np + Nn) ~ 0.25 N : N = 7 : 1
p n d 2.22 MeV
星の進化と元素生成
重力収縮 → 内部温度の上昇
> 0.1 M
中心温度 107 K (~ 1 keV) で、”水素燃焼”
→ α粒子生成
> 0.25 M
中心温度 108 K (~ 10 keV) で、”ヘリウム燃焼”
→ C原子核の生成
> 4 M
中心温度 6 ×108 K (50 keV) で、”炭素燃焼”
→ 酸素燃焼 → ネオン燃焼 → ケイ素燃焼
→ マグネシウム燃焼
> 10 M
鉄のコアが形成
3×109 K (250 keV) で 鉄 → ヘリウムへ分解
→ 超新星爆発
水素燃焼
pd23He5.49 MeV
2
3He23Hepp12.86 MeV ee− 1.02 MeV
2
3He 47Be1.59 MeV
4
7Bee− 37Lie0.861 MeV
3
7Lip 17.35 MeV
4
7Bep 58B 0.135 MeV
5
8B 48Be∗ee14.02 MeV
4
8Be∗3.03 MeV
星の温度 107 K 以上、密度 約 5 g/cm3 に達する頃
> 0.1 M
pp dee0.42 MeV 弱い相互作用
非常に小さな断面積 ニュートリノによる
エネルギーの持ち出し 平均0.52 MeV エネルギー生産量 26.20 MeV
CNOサイクル
p612C 713N1.94 MeV
7
13N 613Cee1.20 MeV p613C 714N7.55 MeV
p714N 815O7.29 MeV
8
15O715Nee1.74 MeV p715N 612C4.96 MeV
太陽よりずっと重い星、いったん星で作られた重い原子核(C、N、O)が 超新星爆発などで星間にばらまかれる
→ 水素燃焼で「触媒」の役割を果たす
→ OCNサイクル
裳華房「原子核物理入門」
ヘリウム燃焼
> 0.25 M星の温度 108 K 以上、密度 105 g/cm3 程度
48Be−0.09 MeV
48Be 612C2 7.37 MeV
8Beは10-16秒で2個のαに崩壊
8Beはα 1個に対して10-9個のみ存在
612C 816O7.16 MeV
※ 12Cの励起状態に”α+α+α”のような状態がある。
この励起状態は二段階のガンマ崩壊で12Cの基底状態へと崩壊。
より重い元素の合成
Subatomic Physics より
6
12C126 C 23Nap2.23 MeV
6
12C126 C 20Ne4.6 MeV
6
12C126 C 23Mgn
8
16O816O 31Pp
8
16C816 C 31Sn
8
16C816C 28Si
星の温度 109 K、密度 2×105 g/cm3 程度
→ 炭素燃焼
星の温度 ~ 4×109 K → 酸素燃焼
星の温度 さらに上昇
→ ネオン燃焼、ケイ素燃焼
→ 鉄のコアを形成
鉄より重い元素は 「中性子捕獲反応」により生成