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第1回 戦艦大和の切手 「特技懇」誌のページ(特許庁技術懇話会 会員サイト)

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tokugikon

2008.11.12. no.251

連載

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戦艦大和の切手

特許審査第四部長 

櫻井 孝

なんかすごい秘密を聞いてしまったような気がして、 もし入手できるようなら何とか入手してください、と お願いしておいた。

 本当に切手に重大な瑕疵があって政府の金庫から出 せないものだとすると、それはいくらお願いしても入 手できるものではないだろう。しかも、元々出所不明 の噂話である。だから、まぁ無理だろうなと思って最 初からあまり期待はしていなかった。機会を得てブー タンにビジネスで入っている別の日本人の方にも何か 情報があればとお願いしてみたのだが、しばらくして 「まったく情報なし」のお手紙をいただいた。噂はや はり噂でしかないのだろうか。そのうち、日々の仕事 に追われる中でいつしかそのことをすっかり忘れてし まっていた。

 ところが、1年ほどあとのことだったろうか、なん とその調整員さんがその戦艦大和の切手を自分のとこ ろに届けてくれたのである。受け取った封筒には一緒 にタイタニック号の切手も入っていた。いずれもブー タン発行の切手だ。ただ、残念なことには、自分は人 づてにその封筒を受け取っただけで、その調整員さん とお話しする機会はなかったため、噂の真相は何だっ たのか、またこれらの切手を誰からどうやって入手し たのかはとうとう伺う機会を逸してしまった。当時は まだインターネットや電子メールなどという便利なも のは普及していない時代だったから、その後にそれを 確認することもできなかった。大きなナゾと2枚の切 手を残して、調整員さんは去ったのである。

 で、問題の戦艦大和の切手であるが、小型シートで、 図柄には戦艦大和が白い航跡を引きながらどこかの海

を航行している絵が使われている。「YAMATO 1944」

との書き込みもある。たしかに戦艦大和の特徴を捉え  最近、戦艦武蔵のプラモデルを買った。大和もあっ

たが、敢えて武蔵にしたのは、大和が改装後の対空機 銃でハリネズミみたいになった状態をモデル化してい たのに対し、武蔵の方は15.5センチ連装副砲が4基備え られた建造当初の状態をモデル化していたからだ。映 画などで目にする大和や武蔵は改装後のものばかりだ から、何か別の戦艦のように新鮮に思えてしまった。 この大和や武蔵に搭載された15.5センチ連装副砲はリ

サイクル品と読んだことがある。「最上」型の軽巡洋艦

をロンドン海軍軍縮条約脱退後に重巡洋艦に改装する 際、取り外された主砲が大和、武蔵の副砲に使われた そうだ。

 そんなことをあれこれ考えていたら、その昔、イン ド在勤時代に、戦艦大和の切手にまつわる不思議な経 験をしたことを思い出した。

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で、これらは話に聞いたように本当にエラー切手であ るのか、エラーであればいったい何がエラーなのか、 を伺ってみた。

 しばらくして郵趣協会で本件を担当された方からお 返事をいただいたところ、その回答要旨は次のような ものであった。

◇ これらの切手はエラー切手というような類のもので はない。事実、日本の切手商でも普通に売られてい る。

◇ ただ、これらの切手がブータン国内からもたらされ たものであることをうれしく思う。よく小国におい ては、自国内ではまったく使用していないような切 手を単に外貨獲得のために国外の切手商ルートで販 売するケースがあるところ、少なくともこれらの切 手はブータン国内でも扱われたことが事実であり、 そういうケースに該当するものではないことを知っ て収集家としてはうれしい。

 ということで、あっけなくエラー切手の夢は消え 果てた。消え果てたが、ではいったい最初に耳にし た噂は何であったのか。火のないところに煙は立た ないとの喩えどおり、何もないところにそのような 噂が伝わるとも思えない。いまだにブータンの切手 とか戦艦大和とか聞くと、あの当時の何かすごい秘 密に触れたみたいな何とも言えぬ胸の高まりを思い 出すのである。

ており、どこかエラーと思わせるようなミスは見あた らない。タイタニック号の方も小型シートで、まさに 沈みつつあるところが描かれている。打ち上げられた 信号弾のようなものも描かれており、それによって闇 夜の中に浮かび上がった船体を描いたというものらし い。なお、船が沈みつつあって船体が前後に傾いてい るのに4本の煙突はまっすぐ上を向いているというの はおかしな気がしたが、その後、それとまったく同じ 絵を題材にした別の国の切手を見かけたから、とにか く絵に問題があるというわけではなさそうだ。  結局何がエラーなのかわからないまま、自分はそれ らの切手を持って帰国した。帰国した後、いろんな切 手屋さんを覗いてみたりしたが、日本でそれらブータ ンの戦艦大和の切手やタイタニック号の切手を見かけ ることは一度もなかった。だから、ひょっとしたらこ れらは日本に一枚しかない切手なんじゃなかろうか、 自分はとんでもないお宝をその秘密と一緒に抱えてい るのではないか、との期待に胸は大きくふくらんだ。 ふっふっふ♪、というところである。

 ここで話が終われば、なんとも秘密の話めいていて、 夢もあるのだが…… 

 そのうちに、(財)日本郵趣協会の会員向けサービス で、切手にまつわるいろいろな質問に答えてくれるこ とを知った。さっそく戦艦大和とタイタニック号の切 手のコピーを撮り、以上のような経緯を書き添えた上

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