68
……… 第46回関東理科教育研究発表会
1 はじめに
2011年(平成23年)3月11日14時46分18.1秒に起こった東北地方太平洋沖地震は, その地震動とその後に起こった災害の規模から,日本史上最大級のものである.ま た,東日本全体で発生した災害の情報が多くの人々に早くから伝わった災害でも あった.特に,地震発生直後に発生した津波の映像が,公共放送を通じて,日本全 国に配信されたことは,日本史上,類のないことである.それだけでなく,情報機 器の発達は,我々の身近で起こるために,なかなか映像資料として保存することが できない地盤の液状化を,関東地方各地で捉えることができ,地盤の液状化によっ て起こる災害がどのようなものであるか我々が知ることができた(Figure 1).液 状化の研究は,1964年に起こった2つの大きな地震であるアラスカ地震と新潟地震 における液状化被害(Seed et al;1967,吉見吉昭;1974) から日米双方で研究が始ま り,Lowe,D.R.(1975)では,地震動により,砂粒子の支持を失った砂層が液状化
することが報告された.この研究では,新潟県東頸城丘陵における第三系魚沼層群有倉山層の蛇行河川流路 堆積物中の液状化の様子を報告し,顕微鏡下における砂層の観察を報告し,考察する.
2 地層中での液状化の様子
東頸城丘陵の新潟県十日町市海老において,第三系鮮新統魚沼層群有倉山層の砂岩層露頭スケッチを行っ た(Figure 2).この砂岩層は,粗粒砂から細粒砂で構成され,一部にシルトの薄層を挟在している.斜交 葉理の連続性からユニットに分かれており,ユニットごとに上方細粒化が見られる.このユニットはデュー ンの前進によって形成した葉理の集合体であ り,同時性が強いユニットであると考えられる. これは,Miall(1977)で示された第2オーダー の境界を持つ堆積ユニットであると考えられ る.つまり,各ユニット間の境界は,同時間面 であり,河川流路の地形を示している.堆積の 中心が,同一の単層で側方に徐々に移動する側 方付加によって形成されたと考えられ,蛇行河 川堆積物であると推定した.
この堆積物内には,斜交葉理の変形や,堆積 物が下位から上位に突き抜けた構造が見られ,一部には,葉理が完全に破壊され,観察できない部分もあり, 堆積後,地層内で変形が起こったと考えられる.
3 顕微鏡下での特徴
砂岩の鏡下での観察と孔隙率の測定のため,試料の採取,薄片の作成,孔隙率の測定を行った.鏡下で孔 隙率を測定したため,葉理ごとの測定が可能である.河川成砂岩は,主に石英,長石,岩片などの粒子で構 成されている.鏡下では,特に火山ガラス(軽石)の面同士が接合し粒子間の孔隙を埋めているのが観察で きる(Figure 3).この研究では火山ガラス(軽石)に注目して検討した.全面積に対する火山ガラス(軽石) が占める面積を横軸に,孔隙率を縦軸にとりそれぞれグラフを作成した(Figure 4).24試料から各5枚の
地層にみられる液状化について
―構成粒子の特徴との比較-
山梨県立韮崎高等学校
中澤 仁
69 ………
千葉大会
写真を撮って検討した120ポイントについて同一のグラフを作成した.火山ガラス(軽石)の割合が多いと きに対して孔隙率は小さく,火山ガラス(軽石)の割 合が少ないとき孔隙率は高くなる.火山ガラス(軽石) が少なくなる場合の孔隙率を検討した.火山ガラス(軽 石)が占める割合が10%以下の場合において,粒子の 大きさに比例して孔隙率が増加している.これらのこ とから,孔隙の特徴は,葉理ごとの粒子の特徴に影響 を受け,液状化した際,葉理ごとに間隙水圧に差が生 じる可能性が考えられる.そのため,液状化がおこる と,大きな噴砂が起き,地層全体の構造が破壊される ことはもちろんのこと,地層全体の構造が破壊されな くても,葉理間において粒子の移動が起き,葉理が破 壊されることが考えられる.
4 まとめ
今回の研究において,明らかになったことを以下にまとめる.
・地層中の砂岩中に,噴砂状構造や葉理の変形が見られた.これらは液状化によって堆積後起こった. ・葉理ごとに粒子の特徴があり,孔隙の様子が異なる.そのため,液状化の際に間隙水圧の差が生じ,粒
子の移動が起こり,葉理が破壊された.
5 参照文献
Lowe,D.R. (1975);Sedimentology, Vol.22, 157-204.
Miall,A.D., (1977), A review of braided-river depositional environment: Earthscience reviews, 13,p,1-62. Seed,H.B. and Wilson,S.D. (1967);ASCE, Vol.93. SM4, 320-353.
吉見吉昭 (1974);砂地盤の液状化,技報堂出版, 6-8.
Figure 3 河川流路埋積物中の砂岩-オープンニコル
Figure 4 河川流路埋積物中の砂岩の孔隙率と軽石の割合