■呼吸
呼吸:酸素を用いて有機物からエネルギーを取り出す過程。大きく分けて3つの反応過程よりなる。
■炭酸同化
ATPのエネルギーを使って二酸化炭素から有機物を合成するはたらき。 光 合 成:光エネルギーを利用して炭酸同化をすること。
化学合成:化学エネルギーを利用して炭酸同化をすること。
■窒素同化
<光合成全体の反応式>
6CO2+12H2O+光エネルギー→(C6H12O6)+6H2O+6O2
<細菌の光合成>
シアノバクテリア:6CO2+12H2O+光エネルギー→(C6H12O6)+6H2O+6O2 緑 色 硫 黄 細 菌:6CO2+12H2S+光エネルギー→(C6H12O6)+6H2O+12S
<化学合成>化学エネルギーを取り出す反応(酸化反応) 亜硝酸菌:2NH3+3O2→2HNO2+2H2O+化学エネルギー 硝 酸 菌:2HNO2+O2→2HNO3 +化学エネルギー 硫黄細菌:2H2S+O2→2S+2H2O +化学エネルギー
6CO2+12H2O+化学エネルギー→(C6H12O6)+6H2O+6O2
*光合成色素としてバクテリオクロロフィルを持つ。
<光合成の反応過程>
■呼吸基質と呼吸商
呼吸基質:呼吸によって分解される物質。炭水化物(糖質)のほかに,脂肪やタンパク質も呼吸基質となる。 呼 吸 商:呼吸で発生したCO2と消費されたO2の体積比(CO2/O2)。
呼吸基質により値が異なるので,この値をもとに,呼吸基質を推測することができる。
<呼吸反応経路まとめ>
■発酵と解糖
発酵:酸素を用いずに複雑な物質を分解してATPを合成する。最終分解産物は有機物。 アルコール発酵(酵母菌):C6H12O6→2C2H5OH+2CO2+2ATP 乳 酸 発 酵(乳酸菌):C6H12O6→2C3H6O3+2ATP
解糖:筋肉が酸素を用いずにグルコースを乳酸に分解する現象。乳酸発酵と同じ反応である。 炭水化物1.0 タンパク質0.8 脂肪0.7
・グルコース1分子は2分子のピルビン酸と 水素に分解される。
・発生した水素によって還元型補酵素NADH が生じる。
・グルコース1分子につき,差し引き2分子 のATP合成。
・反応の進行に酸素は不必要。
・ピルビン酸が脱炭酸酵素と脱水素酵素のはた らきにより段階的にCO2と水素に分解され る。
・発生した水素によって還元型補酵素NADHや FADH2が生じる。
・グルコース1分子あたり2分子のATP合 成。
・反応の進行に酸素は必要。
・NADHやFADH2などからH+と電子が放出 され,電子はシトクロムなどの間を次々に 伝達される。この電子の移動に伴ってエネ ルギーが蓄積される。
・内膜にあるATP合成酵素は,このエネル ギーを用いて,グルコース1分子あたり最 大34分子のATPを合成する。
・このようにしてATPを合成する反応を,酸 化的リン酸化という。
1 解 糖 系 2 クエン酸回路 3 電子伝達系
全体の反応式
C6H12O6+2NAD+→2C3H4O3+2NADH+2H++2ATP
2C3H4O3+6H2O+8NAD++2FAD→6CO2+8NADH+8H++2FADH2+2ATP 6O2+10NADH+10H++2FADH2→12H2O+10NAD++2FAD+34ATP(最大) C6H12O6+6H2O+6O2→6CO2+12H2O+38ATP(最大)
①光エネルギーの吸収
クロロフィルなどの光合成色素とタンパク質からなる光化学系
Ⅰ,Ⅱが光エネルギーを吸収し,活性化して電子を放出する。
②水の分解
光化学系Ⅱによって,水がO2とH+,電子に分解される。H+は, 光化学系Ⅰから放出された電子にひきつけられ,補酵素と結合 してNADPHとなる。O2は細胞外へ放出される。
③ATPの合成
光化学系Ⅱから放出された電子は光化学系Ⅰへと受け渡される 過程で電子伝達系を通り,そのとき放出されるエネルギーがA TP合成酵素によってATPに合成される。(光リン酸化反応)
④二酸化炭素の固定
多数の酵素が関係するカルビン・ベンソン回路において,取り 込まれたCO2はNADPHとATPによって還元され,有機 物(グルコース)が合成される。
代謝 要点とまとめ
<植物の窒素同化>
土壌中のNH4+やNO3-のなど無機窒素化合物などをアミノ酸・タンパク質 などの有機窒素化合物に合成する作用。
<動物の窒素同化>
外界から有機窒素化合物を摂取 し,生体の構成に必要な有機窒素 化合物につくりかえる作用。
<窒素固定>
生物が大気中のN2をNH4+に 変える作用。
窒 素 固 定 生 物 : ネ ン ジ ュ モ , アゾトバクター,クロストリジウ ム,根粒菌など
<脱窒>
土壌中のNO2-やNO3-が細菌 の働きによりN2となり大気中に 放出される作用。
■呼吸
呼吸:酸素を用いて有機物からエネルギーを取り出す過程。大きく分けて3つの反応過程よりなる。
光 合 成:光エネルギーを利用して炭酸同化をすること。 化学合成:化学エネルギーを利用して炭酸同化をすること。
■窒素同化
<光合成全体の反応式>
6CO2+12H2O+光エネルギー→(C6H12O6)+6H2O+6O2
<細菌の光合成>
シアノバクテリア:6CO2+12H2O+光エネルギー→(C6H12O6)+6H2O+6O2 緑 色 硫 黄 細 菌:6CO2+12H2S+光エネルギー→(C6H12O6)+6H2O+12S
<化学合成>化学エネルギーを取り出す反応(酸化反応) 亜硝酸菌:2NH3+3O2→2HNO2+2H2O+化学エネルギー 硝 酸 菌:2HNO2+O2→2HNO3 +化学エネルギー 硫黄細菌:2H2S+O2→2S+2H2O +化学エネルギー
6CO2+12H2O+化学エネルギー→(C6H12O6)+6H2O+6O2
*光合成色素としてバクテリオクロロフィルを持つ。
<光合成の反応過程>
■呼吸基質と呼吸商
呼吸基質:呼吸によって分解される物質。炭水化物(糖質)のほかに,脂肪やタンパク質も呼吸基質となる。 呼 吸 商:呼吸で発生したCO2と消費されたO2の体積比(CO2/O2)。
呼吸基質により値が異なるので,この値をもとに,呼吸基質を推測することができる。
<呼吸反応経路まとめ>
■発酵と解糖
発酵:酸素を用いずに複雑な物質を分解してATPを合成する。最終分解産物は有機物。 アルコール発酵(酵母菌):C6H12O6→2C2H5OH+2CO2+2ATP 乳 酸 発 酵(乳酸菌):C6H12O6→2C3H6O3+2ATP
解糖:筋肉が酸素を用いずにグルコースを乳酸に分解する現象。乳酸発酵と同じ反応である。 炭水化物1.0 タンパク質0.8 脂肪0.7
・グルコース1分子は2分子のピルビン酸と 水素に分解される。
・発生した水素によって還元型補酵素NADH が生じる。
・グルコース1分子につき,差し引き2分子 のATP合成。
・反応の進行に酸素は不必要。
・ピルビン酸が脱炭酸酵素と脱水素酵素のはた らきにより段階的にCO2と水素に分解され る。
・発生した水素によって還元型補酵素NADHや FADH2が生じる。
・グルコース1分子あたり2分子のATP合 成。
・反応の進行に酸素は必要。
・NADHやFADH2などからH+と電子が放出 され,電子はシトクロムなどの間を次々に 伝達される。この電子の移動に伴ってエネ ルギーが蓄積される。
・内膜にあるATP合成酵素は,このエネル ギーを用いて,グルコース1分子あたり最 大34分子のATPを合成する。
・このようにしてATPを合成する反応を,酸 化的リン酸化という。
1 解 糖 系 2 クエン酸回路 3 電子伝達系
全体の反応式
C6H12O6+2NAD+→2C3H4O3+2NADH+2H++2ATP
2C3H4O3+6H2O+8NAD++2FAD→6CO2+8NADH+8H++2FADH2+2ATP 6O2+10NADH+10H++2FADH2→12H2O+10NAD++2FAD+34ATP(最大) C6H12O6+6H2O+6O2→6CO2+12H2O+38ATP(最大)
①光エネルギーの吸収
クロロフィルなどの光合成色素とタンパク質からなる光化学系
Ⅰ,Ⅱが光エネルギーを吸収し,活性化して電子を放出する。
②水の分解
光化学系Ⅱによって,水がO2とH+,電子に分解される。H+は, 光化学系Ⅰから放出された電子にひきつけられ,補酵素と結合 してNADPHとなる。O2は細胞外へ放出される。
③ATPの合成
光化学系Ⅱから放出された電子は光化学系Ⅰへと受け渡される 過程で電子伝達系を通り,そのとき放出されるエネルギーがA TP合成酵素によってATPに合成される。(光リン酸化反応)
④二酸化炭素の固定
多数の酵素が関係するカルビン・ベンソン回路において,取り 込まれたCO2はNADPHとATPによって還元され,有機 物(グルコース)が合成される。
代謝 要点とまとめ
<植物の窒素同化>
土壌中のNH4+やNO3-のなど無機窒素化合物などをアミノ酸・タンパク質 などの有機窒素化合物に合成する作用。
<動物の窒素同化>
外界から有機窒素化合物を摂取 し,生体の構成に必要な有機窒素 化合物につくりかえる作用。
<窒素固定>
生物が大気中のN2をNH4+に 変える作用。
窒 素 固 定 生 物 : ネ ン ジ ュ モ , アゾトバクター,クロストリジウ ム,根粒菌など
<脱窒>
土壌中のNO2-やNO3-が細菌 の働きによりN2となり大気中に 放出される作用。
ウォーミングアップ
ウォーミングアップ
代 謝
⑴ 代謝には,エネルギーを用いて物質を合成する( )と,
物質を分解してエネルギーを取り出す( )がある。
⑵ 代謝におけるエネルギーの仲立ちをしている物質は主に( )
であり,様々な生命活動を行うエネルギー源として用いられている。
⑶ 有機物からATPを合成する過程には,酸素を用いる( )
と,酸素を用いない( )や( )がある。
⑷ 発酵には,酵母菌が行う( )や,乳酸菌が行う( )
がある。
⑸ 呼吸の過程には,細胞質基質で行われる( )と,ミトコ
ンドリアで行われる( )および( )がある。
⑹ ミトコンドリアの内膜にある電子伝達系を通じて,蓄積したエネル
ギーを利用してATPを合成する反応は( )とよばれる。
⑺ 植物のチラコイド膜上には,色素タンパク質複合体が多数集まってで
きた( ), ( )とよばれる2種類の反応系がある。
⑻ 光エネルギーによってクロロフィルが活性化され,( )
を放出する反応を( )という。
⑼ 光化学系Ⅱで水の分解によって生じた( )は,光化学系
Ⅰで放出された電子とともにNADP
+と結合し,NADPHとなる。
⑽ 光化学系Ⅱで水の分解によって生じた電子が,( )を経
て光化学系Ⅰに渡される過程でATPを合成する反応を( )
という。
⑾ 光化学系Ⅰ・Ⅱで生産された( )と( )は,
葉緑体のストロマで( )を固定する炭酸同化に用いられる。
⑿ 光合成をする細菌は( )とよばれ,光合成色素として
( )を持つ。
⒀ 化学合成を行う細菌を( )とよび,無機物を酸化すると
きに得られる化学エネルギーを用いて炭酸同化を行う。
⒁ 生物が外界から取り入れた窒素をもとにして生体に必要な有機窒素化
合物を合成するはたらきを( )という。
⒂ 生物が大気中の窒素をNH
4+に変えるはたらきを( )と
いい,このNH
4+
は窒素同化に利用される。
30生命現象と物質
22. (代謝)次の文中の( )内に語群より適語を選んで記入せよ。
緑色植物は,光エネルギーを用いて,吸収した(
1)と
(
2)からグルコースを合成し,さらにこの一部から他の有
機物を合成している。動物は,他の生物を食べ,消化産物を必要な有機
物に再合成する。このように(
3)や簡単な(
4)
から複雑な⑷を合成する働きを(
5)といい,エネルギーを
(
6)する反応である。
すべての生物は,生命活動に必要なエネルギーを取り出すために⑷
を分解している。この働きを(
7)といい,エネルギーを
(
8)する反応である。
このように生物は,体外から物質を取り込んで体構成物質を合成する
⑸と,体構成物質の一部を分解して⑶にする⑺を行っているが,この⑸
と⑺をあわせて(
9)といい,エネルギー移動の面からは
エネルギー代謝という。
語群 有機物 異化 無機物 同化 水 酸素
二酸化炭素 リン酸 代謝 吸収 放出
23. (ATPの構造と働き)図を参考にして,次の文中の( )内に
語群より適語を選んで記入せよ。
呼吸によって取り出された(
1)は,いった
ん(
2)という物質に貯えられる。⑵はアデノ
シンに(
3)が3個結合したものである。⑶どう
しの結合は,切れるときに多くのエネルギーを放出するた
め,(
4)結合と呼ばれる。⑵の末端の⑶が1
個離されると(
5)になるが,そのときに多量
の⑴が放出され,さまざまな(
6)に使われる。
ATPとADPのあいだの可逆反応は次のように表される。
ATP ADP + リン酸 + エネルギー
語群 エネルギー ADP(アデノシン二リン酸) リン酸
生命活動 二酸化炭素 ATP(アデノシン三リン酸)
酸素 高エネルギーリン酸 水素
アデニン リボース リン酸
アデノシン二リン酸(ADP) アデノシン三リン酸(ATP)
■燃焼と呼吸
呼吸の反応式はC
6H
12O
6+6O
2+6H
2O→6CO
2+12H
2Oで表されます。これは呼吸がグ
ルコースの燃焼反応と本質的には同じものであることを示しています。このことは化学
の教科書にも出てくるフランスのラボアジェが1777年に明らかにしました。
グルコース1分子が燃焼される際に発生する熱量に対し,呼吸でグルコース1分子か
らつくられるATPから発生する熱量のエネルギー効率は,40%程度となります。ガソ
リンを燃焼させて自動車を走らせる際に使われるエネルギー効率が約30%であることを
考えると,生体内のエネルギー効率は非常に高いと言えます。
24. (異化)次の文中の( )内に語群より適語を選んで記入せよ。
生 物 が 酸 素 を 用 い て 有 機 物 を 分 解 し, 発 生 す る エ ネ ル ギ ー で
(
1)を合成することを(
2)という。
⑵は有機物を完全に分解し,多量の⑴を合成する反応である。⑵には,
細胞質基質で行われる(
3)と,ミトコンドリアで行われる
(
4),(
5)の3つの反応系がある。
一方,微生物が酸素を用いずに有機物を簡単な有機物に分解する反応
を(
6)といい,合成する⑴は少ない。例えば,酵母菌に
よる(
7)や乳酸菌による(
8)が挙げられる。
筋肉ではグリコーゲンがグルコースに変えられ,これが分解されて乳酸
を生じる(
9)が行われている。
語群 ATP 解糖 クエン酸回路 電子伝達系 解糖系
呼吸 発酵 アルコール発酵 乳酸発酵
25. (呼吸の経路)呼吸の経路を模式的に示した図に関して,下の問い
に答えよ。
反応系Ⅰ 反応系Ⅲ
グルコース ADP
ATP
CO2
O2
CO2
H2O
H2O
H2O
C3
〔H〕
〔H〕
〔H〕
〔H〕 C2
C4 C6
反応系Ⅱ
ADP ATP
ADP
ATP
⑴ 次の文中の( )内に語群より適語を選んで記入せよ。
グルコースを呼吸基質とする呼吸の過程には3つの段階がある。反応
系Ⅰは(
a)を必要としない反応系で,発酵とも共通している。
⒜があると反応はさらに反応系ⅡからⅢへと進み,グルコースは
完 全 に 分 解 さ れ て(
b) と(
c) に な る。
これらのうちの,反応系Ⅰは細胞内の(
d)で,反応系
Ⅱ と Ⅲ は(
e) で 行 わ れ る。 A T P の 合 成 量 は 反 応 系
(
f)によるものが他よりはるかに多い。
語群 窒素 二酸化炭素 ゴルジ体 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 水
酸素 細胞質基質 ミトコンドリア
32
生命現象と物質
⑵ 反応系Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの名称を答えよ。
Ⅰ( ) Ⅱ( ) Ⅲ( )
⑶ 次の反応を触媒する酵素の名称を答えよ。
① 基質から水素を切り離す。 ( )
② 基質から二酸化炭素を切り離す。 ( )
⑷ 図の[H]で表されている水素を受容する補酵素の名称を2つ答えよ。
( , )
⑸ グルコース1分子が分解されたとき,反応系Ⅰ,Ⅱ,Ⅲのそれぞれで
できるATPの分子数を答えよ。
Ⅰ( 分子) Ⅱ( 分子) Ⅲ(最大 分子)
⑹ 反応系Ⅰ~Ⅲのうち,酸素が存在しないと進行しない反応系はどれか。
( )
26. (酸化的リン酸化)次の図は,ミトコンドリアで行われている電子
伝達系の反応を模式的に示したものである。
マトリックス
FADH₂
NAD+ ADP
FAD
細胞質基質 膜間腔 H+
H+
H+ H+
H+ H+ H+
H+ H+
H+ H+
H+
H+ H+ H+ H+ 2 +1/2O₂H+
H+
e-
⑴
⑵
⑹
⑶
⑷
⑸
⑴ 図中の( )に語群より適語を選び記入せよ。
(
1)(
2)(
3)
(
4)(
5)(
6)
語群 H
2O NADH 外膜 内膜
ATP合成酵素 ATP
⑵ このようにNADHなどの物質が酸化される過程でATPを合成する
反応を何というか。 ( )
⑶ 光合成でも呼吸でもH
+の濃度勾配によってATPが合成される。光
合成では光エネルギーによってその濃度勾配が作られる(光リン酸化,
34番を参照)。呼吸でその役割を行う物質は何か。
( , )
— 6 — すぎると,植物細胞を高張液に入れた状態となり膨 圧が減少するので,植物はしおれたようになってし まう。
原形質分離を起こした植物細胞も,蒸留水に入れ ると細胞内に水が入り,膨圧が生じる。このように 原形質分離の状態から,細胞膜と細胞壁が再び接す る現象を原形質復帰という。
20.(細胞分画法)
⑴ 細胞分画法
⑵ 酵素による化学反応を抑えるため
⑶ 核(A) 細胞質基質(S₃) 葉緑体(B) ミトコンドリア(C)
⑷ DNA(A) クロロフィル(B)
<解説>
細胞分画法とは,細胞を破砕して液状にしたものを, 遠心力を作用させることによって細胞小器官や構成成 分に分離する方法である。
その際,細胞小器官が破裂しないように等張のス クロース溶液を加えて細胞を破砕する。また,化学 変化を抑えるために,氷などで低温にしておくこと が必要である。
そうしてできた破砕液に遠心力を作用させると, 大きくて高密度の構造物ほど,小さい遠心力(低い 回転速度)で沈殿するので,遠心力の大きさを変え ることで,細胞内構造物をいくつかに分離すること ができる。
21.(タンパク質と酵素)
⑴ ア ペプチド結合 イ 触媒 ウ 基質 エ 基質特異性 オ 活性部位(活性中心) カ 酵素基質複合体
2
1
0
0 10 20 30 40
0.5 反応生成物量(相対値) 1.5
反応時間(分)
破線は実験 1 の結果
⑵
⑶ GAKVFSTRSEAGWSKVD
⑵ 酵素の濃度が2倍になったので,分解の速度は 2倍になる。しかし,反応生成物の量は変わらな い。よって,半分の時間で反応生成物量1になる ようなグラフを描けばよい。
⑶ 生 成 物 1(SEAGWSK) と 生 成 物 5
(STRSEAGW)を比較すると, SEAGW が共通 していることから,分解前はSTR SEAGW SKで あったことがわかる。同様にトリプシンとキモト リプシンで切断された各反応生成物を比較しても とのポリペプチドBの配列を決めることができる。 ポリペプチドB(GAKVFSTRSEAGWSKVD)は, トリプシンによって
GAK / VFSTR / SEAGWSK / VD キモトリプシンによって
GAKVF / STRSEAGW / SKVD に分解されたことがわかる。
《代謝》
ウォーミングアップ
⑴ 同化,異化 ⑵ ATP
⑶ 呼吸,発酵,解糖
⑷ アルコール発酵,乳酸発酵
⑸ 解糖系,クエン酸回路,電子伝達系
⑹ 酸化的リン酸化
⑺ 光化学系Ⅰ,光化学系Ⅱ
⑻ 電子,光化学反応
⑼ H+ ⑽ 電子伝達系,光リン酸化
⑾ ATP,NADPH,二酸化炭素
⑿ 光合成細菌,バクテリオクロロフィル
⒀ 化学合成細菌 ⒁ 窒素同化
⒂ 窒素固定
基 本 問 題
22.(代謝)
1,2 水,二酸化炭素 3 無機物 4 有機物 5 同化 6 吸収 7 異化 8 放出 9 代謝
23.(ATPの構造と働き)
1 エネルギー 2 ATP(アデノシン三リン酸)
— 7 —
とH+がはずされて,オキサロ酢酸に戻る。H+は NAD+やFADと結合して電子伝達系に運ばれ る。また,クエン酸回路では,1分子のグルコー ス当たり2分子のATPがつくられる。
クエン酸回路:
2C₃H₄O₃+6H₂O+8NAD++2FAD →6CO₂+8NADH+8H++2FADH₂
+2ATP
解糖系・クエン酸回路で生じたNADHやFA DH₂は,ミトコンドリアの内膜にある電子伝達 系に運ばれ,高エネルギーの電子(e-)を放出 する。e-が電子伝達系を移動するときにエネル ギーが遊離し,このエネルギーでATPがつくら れる。e-は最終的にH+と酸素と結合して水を生 じる。電子伝達系では,1分子のグルコース当た り最大34分子のATPがつくられる。
電子伝達系:
6O₂+10NADH+10H++2FADH₂ →12H₂O+10NAD++2FAD+34ATP(最
大)
3つの反応系をまとめると次のようになる。 C₆H₁₂O₆+6H₂O+6O₂→6CO₂+12H₂O
+38ATP(最大)
⑹ 呼吸の過程で酸素を直接消費するのは電子伝達 系である。しかし酸素がないとクエン酸回路も進 行できない。
クエン酸回路での脱水素反応が起こるには,補 酵素NAD+やFADが必要で,これが還元され すべてNADHやFADH₂となった時点で反応 は止まってしまう。酸素がある時にはNADHや FADH₂中の水素を酸素と結合させる(電子伝 達系)ことでNAD+やFADに戻るので,呼吸 の全反応が継続できる。
では,解糖系の脱水素反応で生じるNADHは どうか。発酵や解糖を行うことのできる細胞であ れば,NADH中の水素を他の有機物(ピルビン 酸やアセトアルデヒドなど)に与えることでNAD+ に戻すことができるため,反応が継続する。従っ て,発酵や解糖に酸素は必要ない。
すべての生物で,ATPが代謝に伴うエネルギー の受け渡しを行っている。光合成では,光エネルギー を利用してATPが合成され,ATPに含まれるエ ネルギーを用いて有機物を合成している。呼吸では 有機物の分解で放出されたエネルギーを用いて,A TPが合成される。ATPはあるゆる生命活動のエ ネルギー源となっており,体内におけるエネルギー 通貨の役割を果たしている。
24.(異化)
1 ATP 2 呼吸 3 解糖系 4,5 クエン酸回路,電子伝達系 6 発酵 7 アルコール発酵 8 乳酸発酵 9 解糖
25.(呼吸の経路)
⑴ a 酸素 b,c 二酸化炭素,水 d 細胞質基質 e ミトコンドリア f Ⅲ
⑵ Ⅰ 解糖系 Ⅱ クエン酸回路
Ⅲ 電子伝達系
⑶ ① 脱水素酵素 ② 脱炭酸酵素
⑷ NAD+,FAD
⑸ Ⅰ 2分子 Ⅱ 2分子 Ⅲ 34分子
⑹ 反応系ⅡとⅢ
<解説>
⑴~⑸ 呼吸によるグルコースの分解は,まず,細 胞質基質の解糖系でグルコースが酸素を使わずに ピルビン酸(C₃)まで分解される。解糖系では, 脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)の働きでH+が はずされ,H+はNAD+と結合して電子伝達系に 運ばれる。また,1分子のグルコースが解糖系で 分解されるときに,2分子のATPが消費され, 4分子のATPがつくられるため,解糖系全体で は差し引き2分子のATPがつくられる。 解糖系:C₆H₁₂O₆+2NAD+→2C₃H₄O₃
+2NADH+2H++2ATP
解糖系で生じたピルビン酸は,ミトコンドリア のマトリックスに運ばれる。ここで,ピルビン酸 から,脱炭酸酵素(デカルボキシラーゼ)と脱水 素酵素の働きで,二酸化炭素とH+がはずされ, さらにCoAと結合してアセチルCoA(C₂)に
— 8 —
2CO₂
⑴ 反応式から,呼吸で消費される酸素の体積と発 生する二酸化炭素の体積は等しい。したがって実 験アでは,アルコール発酵で発生する二酸化炭素 の分だけ装置内の気体の体積が増加し,液面Dが 上昇する。
⑵ イ 酸素がないため酵母菌は呼吸を行わず,ア ルコール発酵のみを行い,発生した二酸化炭 素の分だけ液面Dは上昇する。
ウ 呼吸とアルコール発酵が同時に行われ,発 生した二酸化炭素はすべて水酸化カリウムに 吸収されるので,酵母菌が呼吸のために吸収 した酸素の分だけ液面Dは下降する。 エ アルコール発酵だけが行われ,発生した二
酸化炭素はすべて水酸化カリウムに吸収され るので,液面Dは変化しない。
29.(呼吸と発酵-3)
⑴ 180mg ⑵ 176mg ⑶ 360mg
<解説>
⑴ 呼吸のみに酸素が必要なので,酵母菌は1時間 で吸収した192mgの酸素はすべて呼吸で使われて いる。したがって,1時間で分解されたグルコー スをxとすると,酸素とグルコースの間に次の関 係が成り立つ。
192(g):180(g)=192(mg):x(mg) x=180(mg)
⑵ 問題文より,180mgのグルコースが呼吸で分解 されると二酸化炭素は264mg発生することがわか る。したがって,アルコール発酵で発生する二酸 化炭素は,酵母菌が排出した440mgから264mgを 差し引いた値となる。
440(mg)-264(mg)=176(mg)
⑶⑵ より,アルコール発酵で発生した二酸化炭素 は176mgである。したがって,1時間で分解され たグルコースをxとすると,二酸化炭素とグル コースの間に次の関係が成り立つ。
88(g):180(g)=176(mg):x(mg) x=360(mg)
30.(炭水化物・脂肪・タンパク質の分解)
⑴ a アミノ酸 b グルコース
c アセチルCoA(活性酢酸) d グリセリン
⑴ 1 内膜 2 NADH 3 H₂O 4 ATP 5 ATP合成酵素 6 外膜
⑵ 酸化的リン酸化
⑶ NADH,FADH₂
<解説>
光合成と同様に呼吸でもATPを合成するが,光 合成では光エネルギーによって,H+の濃度勾配が 生じ,その濃度勾配のもつエネルギーによってAT Pが生成される。一方,呼吸では,呼吸基質の分解 によって生成するNADHやFADH₂が酸化され るときに,H+の濃度勾配が生じる。H+は,濃度の 高い膜間腔から濃度の低いマトリックスに流れ込も うとする。このH+流入のエネルギーを利用してA TPが合成される。
両者の共通点,及び相違点を理解しておこう。
27.(呼吸と発酵-1)
⑴ ① 呼吸 ② 乳酸発酵・解糖
③ アルコール発酵
⑵ ① A・D ② A・B ③ A・C
⑶ ① 乳酸菌 ② 酵母菌
⑷ B
<解説>
グルコースからピルビン酸に分解される過程A は,呼吸と発酵に共通する過程である。呼吸ではピ ルビン酸がクエン酸回路・電子伝達系(過程B)を 経て,二酸化炭素と水に完全に分解される。乳酸発 酵と解糖では,ピルビン酸から乳酸が生成され(過 程C),アルコール発酵では,ピルビン酸から二酸 化炭素とエタノールが生成される(過程D)。
28.(呼吸と発酵-2)
⑴ 1 酸素 2 アルコール発酵 3 等しい 4 二酸化炭素 5 上昇
⑵ イ a ウ b エ c
<解説>
酵母菌は酸素があるときは呼吸とアルコール発酵 を同時に行うが,酸素がないときはアルコール発酵 だけを行う。グルコースを呼吸基質とした場合のそ れぞれの反応式はつぎの通り。
呼吸:C₆H₁₂O₆+6O₂+6H₂O→6CO₂+ 12H₂O