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日本のパラリンピック選手強化の

現状と課題

12/6 (土)

公開シンポジウム

アダプテッド・スポーツのこれから∼多様性とそのつながり∼

第35回医療体育研究会

第18回日本アダプテッド体育・スポーツ学会

第16回合同大会 

共催: (公財)ヤマハ発動機スポーツ振興財団

一般公開 入場無料・申込不要

会場: 神戸女学院大学 講堂

13:00∼15:00

〈後援〉(公財)日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会 (公財)兵庫県障害者スポーツ協会 

兵庫県 神戸市 神戸市教育委員会 神戸市社会福祉協議会 西宮市 西宮市教育委員会 西宮市社会福祉協議会

司会・コーディネーター  藤田 紀昭(同志社大学大学院)

調査結果報告 海老原 修 (横浜国立大学大学院)

日本代表コーチの立場から 岩渕 典仁 (国立障害者リハビリテーションセンター)

パラリンピック独自種目競技団体の立場から 奥田 邦晴 (大阪府立大学大学院・日本ボッチャ協会)

大学の研究者という立場から 齊藤 まゆみ (筑波大学体育系)

水泳競技団体の立場から 櫻井 誠一 (日本身体障害者水泳連盟)

競技選手の立場から 山本 篤 (スズキ浜松AC・大阪体育大学大学院)

写真:MA SPORTS/吉村もと

 パラ陸上の現状は、選手強化の中心は国内合宿を 行っています。月に1回程度ナショナルトレーニングセ ンター(赤羽)で行い、強化選手が参加することができ ます。年に数回、強化選手以外も参加できる合宿を 行っています。強化選手になるための基準は、パラリン ピック入賞者、世界選手権メダリスト、パラ陸上が設 定する標準記録です。その中で、ランクがSABと分か れており、ランクによって合宿の参加費が変わってき ます。SABのランク以外にも育成枠があり、若手や陸

上経験、障害歴が浅い選手が選ばれます。

 国内合宿が中心の強化ですので、底上げにはなっ ています。しかし、トップ選手がより高い目標を目指す ときは、個人で海外合宿や海外遠征を行わなければ なりません。個人に強化費がついているわけではない ため、各個人で遠征費を賄わければいけないことが 現状です。

 海外遠征が少ない選手には、遠征に行って経験す ることが大切です。日本で普通であることが海外では 普通でないことがあるため、海外の試合に出場し経験 することでしか得ることができないことがあります。積 極的に海外遠征に行ける環境作りが課題です。競技 用義足、レーサーに多くの資金がかかります。この問 題も解決しなければいけない課題です。

スズキ浜松AC 

山本 篤

大阪体育大学大学院 

走幅跳北京パラリンピック銀メダル

競技選手の立場から

 「100人の自分に勝つ!!」

 この言葉は、アテネPara競泳チームのスローガン です。これは、その当時の五輪代表が日本水泳連盟登 録94000人の中から20人しか選ばれていないのに対 して、パラリンピックでは、身体障害者水泳連盟登録 約900人から24名が選ばていることについて、「五輪 と同じように評価されるには、自分自身と同じ障害を もって、記録も同じくらいの選手100人がいると考えな ければ、甘えていることになる」との戒めから生まれた ものです。このように、五輪と同様の競技は、良い意味 でのベンチマークがあり、常にその良いとこを参考に してきた経緯があります。

 国際的に障がい者のスポーツが、より競技性を帯 びてくるのは、1989年の国際パラリンピック委員会

(IPC)の設立以降ですが、メダルの価値が五輪と同 様に評価されるのは2008年北京大会からです。パラ 競泳に関して言えば、競技という視点で活動を始めた のは偶然にも1989年のフェスピック神戸大会に関連 して選手強化を担った「神戸楽泳会」のボランティア 指導者と選手達で、日本のメダル獲得に寄与しまし た。しかし、2008年以降、メダルを狙う選手は、プロと して企業契約や指導者が経済的に成り立つ東京が

櫻井 誠一

日本身体障害者水泳連盟 常務理事

水泳競技団体の立場から

ニーズを把握する段階に留まっている。また、指導者 養成についてもコーチングの専門性を学ぶシステム が確立されていない。国内の各競技団体は、組織とし ての基盤の脆弱さを抱えており、研究機関と有機的 な連携をもちながら競技力向上を実現することに具 体的なイメージを持てていない。そこで、すぐにも実践 可能なこととして、オリンピックサポートにおいて培っ たノウハウをパラリンピックサポートに活かすことがあ る。まずは、具体的なサポート事例を提示しながら現 場のニーズに合わせてアダプトすること、同時にパラリ ンピック独自の視点で研究・開発が必要なこと、つま りニーズを的確に把握することが急がれる。パラリン ピックもマルチサポートの対象となったので、今後研

究・開発は急速に進むものと思われる。

中心になってきています。一方、五輪と比較してガバナ ンスを始め基盤が弱い障がい者競技団体は様々な 課題に直面しており、組織としての選手強化も困難に なりつつあります。

(2)

1.組織・環境

 競技団体の事務局は、役員の自宅に設置して、無 償で事業を実施している。専用事務局、事務職員を配 置することで安定的に強化事業の企画・運営が行え る。選手の練習環境は、駐車場、冷暖房、トイレなどの 環境設備が必要である(宿泊場所も同様)。計画的に 利用できる強化拠点の確保・整備が必要である。 2.アスリート強化・支援

 アスリートは、障害の特性を理解した上、科学的な 根拠のある専門的なトレーニング方法、練習方法の 基での練習が必要である。職業(雇用)面では、世界 で戦える明確な選手像・選手発掘ルートの開拓とと もに、選手が競技に専念できるアスリート雇用の支援 が必要である。

3.指導者(コーチ)育成

現在、指導者(コーチ)は、報酬を受けていない(他ス タッフ含む)。また、海外遠征帯同に必要な長期休暇 も取得することが容易ではない。指導者は、競技別指 導者養成システムの確立など、専門性と質の高い コーチを育成し、将来的にはプロコーチの配置が望 ましい。また、海外の優秀なコーチを招聘して強豪国 から知識・技術を吸収する機会も必要である。 4.広報・経済

 ウィルチェアーラグビーは知名度が低いため、HP や機関誌などで情報発信、国内で国際大会を実施す ることが必要である。また、強化事業は行政機関の助 成金が中心であるが、(財)日本ラグビーフットボール 協会との連携や、協賛金の獲得や企業等の働きかけ で資金確保が必要である。

周知のように国内の障がい者スポーツを取り巻く環境は、2011年にスポーツ基本法の施

行や2020東京パラリンピック開催決定などにより、大きな転換期を迎えております。

そして、パラリンピック選手強化及びその環境の整備は2020年のパラリンピック東京大会

開催に向けて焦眉の課題と言えます。日本パラリンピック委員会(JPC)は2020年東京パラリ

ンピックでの金メダル獲得目標を世界7位、22個、総数では世界5位が見込める92個を狙

い、全競技への参加も目指す、としています。

本シンポジウムの目的は、アカデミックな「知」を選手強化にどう生かしていくことができる

のか、また、多くの学会会員が所属している大学や医療機関が選手強化にどう貢献できるの

かということについて考えることです。近年、選手、コーチ、競技団体、大学等を対象とした実

態調査報告が出されています。これらの調査結果をもとにパラリンピック選手強化の現状を

把握し、今後パラリンピック選手強化を行っていくうえでの課題について「日本のパラリンピッ

ク選手強化の現状と課題」というテーマで有意義な議論ができればと考えております。なお、

本シンポジウムは一般公開とし、学会会員以外の方にもご聴講していただく予定です。また、

本シンポジウムは(公財)ヤマハ発動機スポーツ振興財団との共催となります。

「日本のパラリンピック選手強化の現状と課題」

司会・コーディネーター

藤田 紀昭(同志社大学大学院)

■調査結果報告者 海老原修(横浜国立大学大学院)

■シンポジスト 岩渕典仁(国立障害者リハビリテーションセンター・元ウィルチェアーラグビー日本代表監督) 奥田邦晴(大阪府立大学大学院・日本ボッチャ協会理事長)

齊藤まゆみ(筑波大学体育系)

櫻井誠一(日本身体障がい者水泳連盟常務理事)

山本 篤(スズキ浜松AC 大阪体育大学大学院 走り幅跳び北京パラリンピック銀メダル)

 ボッチャは脳性麻痺をはじめとする四肢・体幹に重度

奥田 邦晴

大阪府立大学大学院総合 リハビリテーション学研究科 日本ボッチャ協会理事長

パラリンピック独自種目

競技団体の立場から

岩渕 典仁

国立障害者リハビリテーションセンター 元ウィルチェアーラグビー日本代表監督

日本代表コーチの立場から

 体育系という大学組織に属する我々のミッションと して、教育、研究、競技、社会貢献にかかわる9つの使 命がある。なかでも競技に関しては、「研究・実践・指 導者養成が三位一体となった高度競技力強化拠点」 としての機能が必要であることを強調する。オリンピッ ク競技に関しては、競技力向上に関する研究、その研 究成果を生かした競技実践・指導実践、そして指導 者養成が行われている。しかし、パラリンピック・パラ リンピアンに関しては、用具の開発やトレーニング方 法について一部の試行的な取り組みがはじまったも のの、知の蓄積や情報の共有が不十分であり、現場の

齊藤 まゆみ

筑波大学体育系

大学の研究者という立場から

の機能障がいがある選手を対象にした、パラリンピッ クの正式競技である。白のジャックボールに赤・青のカ ラーボールを投じて、いかに近づけるかを競い合う。こ れまでの研究で投球可能距離が競技力に影響してい ることが明らかとなっている。しかしながら、選手は繰り 返しボールを投げるような練習を中心に行っているこ とが多く、日常的なトレーニングに時間をかけるという 概念が余りないのが現状である。また、全国のボッチャ 競技人口は少なく、2020年東京パラリンピックでのメ ダル獲得を見据えた際、より一層裾野を広げるととも に頂点を高めることが必須となる。そのために全国的 な普及活動と若手選手の発掘・育成が大きなカギとな り、特別支援学校等の対抗戦や全国障がい者スポー ツ大会の正式競技化に向けて普及活動を行ってい る。

 現在は「ADL能力が向上すれば競技力もあがる」と いう仮説のもと、寝返りや起き上がりといった基本的 な動作を素早く反復させるといったフィットネストレー ニングを中心に選手強化を図る計画を進めている。心 拍数を上昇させる運動の繰り返しは、自律神経機能の 賦活にも効果的であることが報告されており、ターゲッ トスポーツであるボッチャでは障がいの程度に関係な く、このようなトレーニングが有効であると考えている。 また、科学的根拠を蓄積すべくバイオメカニクス的な サポートも含め、選手強化に努めている。

参照

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