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報告書本文 文化コミュニティ施設あり方等検討協議会報告書 東京都府中市ホームページ

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(1)

はじめに

府中市文化コミュニティ施設等あり方検討協議会は、平成15年7月、 府中市市民会館、府中グリーンプラザ、文化センターなどの文化コミュニ ティ施設のこれからのあり方を検討するために設けられました。

昭和41年3月の府中市市民会館の開館以来、30数年にわたって市民 の文化コミュニティ活動を支えてきたこれらの施設ですが、建物の老朽化 に伴い、建物の耐久性や耐震性の問題、さらには、設置当初の目的が果た された反面、新しいニーズへの対応が難しくなってきているという問題が 指摘されるようになっています。

市民のコミュニティ活動は、生活に密着しているものだけに、時代を追 って内容が変化していくものであり、その活動の場である施設は常に新た な動きに対応できるものでなければなりません。

当協議会は、このことを踏まえ、6回にわたる集中審議の中で各施設の 維持管理にかかる問題から、そこで実施される事業の運営の問題まで慎重 に調査し、協議を重ねました。

ここに、府中市における市民の文化コミュニティ活動がさらに新たな発 展を遂げることを願い、報告書を提出します。

本論

Ⅰ 文化コミュニティ施設について

1 府中市市民会館について ( 1) 現状

府中市市民会館(以下「市民会館」といいます。)のあり方につ いては、現場視察を行った後、多くの資料を参照して、次のとおり 分野別に検討しました。現状の分析については、資料として提出さ れた平成14年度事務事業市民評価協議会の報告にあった分析は 妥当であり、当協議会としても同様の認識です。よって、ここでは、 事務事業市民評価協議会で報告されていなかった現状について分 析します。

ア あすかホールについて

(2)

委託料支出が年間約2400万円かかるなど、維持するだけで高 額な経費がかかっています。

あすかホールは市内に6施設あるホールのうち唯一の100 0人規模のホールであり、その点においては貴重です。しかし、 1事業あたりの平均利用人数は、400人強に過ぎず、満席に近 い事業が実施されることはわずかです。また、市民以外の企業等 の利用が多く、利用数の4件に1件は舞台操作の専門学校の実習 に使われている状況で、実際はそういう団体が稼働率を支えてい ます。

【別表1】市民会館と芸術劇場各ホールの稼働率の変遷 (単位:%)

施 設

あすかホール

(市民会館)

定員 1, 023 名

どりーむホール

(芸術劇場)

定員 2, 027 名

ウィーンホール

(芸術劇場)

定員 522 名

ふるさとホール

(芸術劇場)

定員 520 名

S61 年度 73. 0

S62 年度 70. 0

S63 年度 70. 2

H1 年度 75. 8

H2 年度 73. 9

H3 年度 69. 7 59. 3 55. 7 40. 1

H4 年度 65. 4 61. 6 74. 1 48. 0

H5 年度 65. 2 55. 1 77. 2 48. 0

H6 年度 61. 7 58. 8 73. 8 55. 5

H7 年度 66. 7 58. 4 72. 9 49. 3

H8 年度 62. 3 63. 2 84. 5 61. 6

H9 年度 63. 2 54. 8 72. 1 52. 6

H10 年度 59. 6 68. 3 69. 4 53. 3

H11 年度 57. 2 64. 0 80. 6 54. 1

H12 年度 51. 1 70. 1 79. 0 63. 0

H13 年度 57. 6 60. 4 80. 8 57. 2

H14 年度 56. 3 62. 6 76. 3 50. 0

芸術劇場開館後あすかホールの稼働率は70%を切り 50%台で推移している。ふるさとホール等の稼働

率から見て、その分の利用ニーズを吸収する余地はある。

イ 会議室について

(3)

の利用が多く、高い稼働率を維持しています。これは、市の中心 部にあることと、十分な駐車場が確保されているためアクセスが 良いことが原因と考えられます。

ウ 結婚式場(宴会場)について

挙式の件数は最高時の20分の1にまで低下し公共施設とし て維持していくべき水準をはるかに下回っています。(別表2)

全体の利用状況としては、他自治体の公立結婚式場と比べ、高 い水準を保っています。これは、市内に50∼200人規模で飲 食を伴う集会ができる施設が少なく、市民会館の披露宴室がそれ に当てられていることが多いためと考えられます。

【別表2】府中市立結婚式場の利用件数の推移

0 200 400 600 800 1000 1200

昭和 4

5 年度

昭 和4

7 年

昭 和

4 9

年 度

昭 和5

1 年

昭 和5

3 年

昭 和5

5 年

昭 和5

7 年

昭和 5

9 年度

昭 和6

1 年

昭 和

6 3

年 度

平成2 年度

平成4 年度

平 成6

年度 平成8

年度

平成 1

0年 度

平 成1

2年 度

平 成

1 4年度

結婚式利 用 小計

その他 宴会利用

結婚式場 利用合計

結婚式は今ではほとんど行われない。

( 2) 現状に対する考え方 ア あすかホールについて

市民会館全体の耐震性が確保できないかぎり、公共施設として の安全性を確保できる保証はなく、市の財政状況を考慮すると、 改修を行ってまで継続させることは正しい選択とは言えません。 芸術劇場のどりーむホール(2000人規模)や、その他の5 00人規模のホールで十分代替は可能と思われ、これ以上継続し ていく必要はないと言えます。

イ 会議室について

(4)

等だけではまかないきれないニーズがあります。このアクセスの よい好立地に会議室があるということの必要性は高く、コミュニ ティ活動の振興はもとよりその他の市民活動の振興、企業活動の 活性化という意味からも配慮すべき問題といえます。

ウ 結婚式場について

結婚式場については、今後利用が増えることは見込めません。 利用件数を見ても他市の状況を見ても公立の結婚式場の社会的 な使命は終わったと考えられ、これ以上継続していく必要はあり ません。ただ、これまで披露宴室によってまかなわれていた飲食 を伴う集会の需要を満たす代替施設については配慮すべき問題 です。

( 3) 提言

市民会館は昭和41年に開館し、長く府中市の文化行政の中心を 担う施設として、また、府中市のシンボル的な建物として広く市民 に利用されてきた施設です。

しかしながら、コミュニティ施設としては各地域の文化センター が整備されたこと、昭和55年に府中グリーンプラザ(以下「グリ ーンプラザ」といいます。)が開館したこと、芸術文化施設として 平成3年に芸術劇場が開館したこと、郷土の森博物館に庭園つきの 茶室が整備されたことなどから、相対的に市民会館の一部施設では 稼働率が低下し、市民会館の必要性は残念ながら希薄なものとなり ました。

また、老朽化に伴い建築設備や舞台設備更新等の改修工事が必要 となっていますが、市民会館利用ニーズに対する投資効果を考える と、府中市においては、他市と比較しても多数の文化施設を有して いますので、現在の建物に今後多額の修繕費をかけても、十分な投 資効果が見込めないと思われます。また、市民会館の主な利用ニー ズは、他の施設で十分吸収できると考えられます。したがって、長 期的な視野から見れば、市の財政政策上これらの改修工事は実施す べきではありません。

さらに、耐震性の確保が必要ですが、財政的にも困難な状態で、 直ちに危険につながるというわけではありませんが、施設管理上も 危機管理面からも問題があります。

これらのことから、建築物としての市民会館は現状のまま存続す るべきではないという結論が導かれました。

(5)

要性も高いものですので、今後とも存続するような配慮が必要であ ることを提言として記したいと思います。

2 府中グリーンプラザについて ( 1) 現状

耐震性は確保されていませんが、市の文化施設としては比較的新 しい施設です。駐車場、駐輪場設備がありませんが、立地条件がよ く、高い稼働率を維持しています。しかし、府中文化振興財団(以 下「文化振興財団」といいます。)に管理運営が委託されているた め、市のコミュニティ行政の中で、文化センターとの補完関係が希 薄で、市民にとってコミュニティ施設であるという認識も薄いよう です。

最近では、コミュニティ活動ばかりではなく、芸術文化活動や、 NPO団体、企業等の利用が多くなってきています。特に、立地の よさから企業のセミナーや、採用試験、会議などが行われています が、設備の更新や備品の購入が行き届かないため、IT化が立ち遅 れています。

また、7階部分はセブンフロア協議会という組織に加入している 市民団体に無料で開放されていますが、他の階の有料施設よりも稼 働率が低くなっているのが実情です。(別表3)

【別表3】 (単位:%)

施 設 名 14年度 13年度 12年度 11年度

大 会 議 室 61.6 55.9 60.5 64.5

第 1 会 議 室 79.0 79.7 79.4 77.5

第 2 会 議 室 77.3 76.0 72.3 73.0

第 3 会 議 室 75.1 72.6 74.1 73.0

第 4 会 議 室 83.3 82.2 77.3 78.1

第 5 会 議 室 69.1 60.9 63.7 51.2

講 習 室 69.0 69.5 68.2 66.0

集 会 室 61.0 63.4 62.9 52.7

以下は、セブンフロア協議会加盟団体がのみ使用している施設

グ ル ー プ 活 動 室 68.1 67.0 64.7 63.1

総 合 事 務 室 55.0 48.6 50.8 51.6

(6)

( 2) 現状に対する考え方

グリーンプラザは立地のよさから稼働率も高く、継続していくべ き施設と考えます。コミュニティ施設の中心的な役割を担うべきで あり、文化振興財団の自主事業と文化センターで行う事業との連携 をとりながら事業展開を図っていく必要があります。また、グリー ンプラザが、市のコミュニティ施設であるという性格を市民にわか りやすいものにしていくことが大切ですが、コミュニティ活動以外 のニーズにも応えられる設備と制度を備えることが必要です。さら に、セブンフロア協議会加入団体に無料開放されている7階の施設 は、他の団体も利用できるよう有料化も視野に入れて検討するべき と考えます。

( 3) 提言

グリーンプラザは、昭和55年に開館したのち、平成8年には京 王線高架下に分館も開館し、現在に至っています。昭和55年当時、 文化センターは片町文化センターをのぞきすべて開館しており、グ リーンプラザは、全市的な文化活動、コミュニティ活動のための施 設として位置付けられています。

立地のよさから稼働率は高い水準を維持しており、耐震性の問題、 諸設備の老朽化の問題等がありますが、存続していくべき施設であ ると考えます。現在、耐震化の計画がない状態ですが、速やかに耐 震調査の実施と改修計画の策定を行う必要があります。

また、市民会館と同様に、建築物としての規模が大きいため維持 管理経費も大きくなっています。現状のまま市の財政を圧迫し閉館 を余儀なくされるよりは、展示ホールと分館ギャラリーの施設内競 合の解消による稼働率の向上、受益者負担の適正化、7階の無料施 設の有効活用などにより、グリーンプラザ単館では、文化振興財団 による独立採算を目指すことも視野に入れて収支を改善していく 必要があります。

同時に、市民活動の活発化や企業利用ニーズに応えるべく、会議 用設備の更新、IT対応を進めるとともに、安全面、危機管理面を 考慮し、速やかに耐震化計画を立て改修工事を実施することにより、 文化コミュニティの中心にふさわしい施設となることが求められ ます。

(7)

市民に周知されていないことが、原因として考えられ、これらの問 題を解決し、立地のよさを活かして名実ともにコミュニティ行政の 中心的な役割を果たすことが求められます。

3 文化センターについて ( 1) 現状

市役所の出張所的な性格を有し、ほかにも児童館、高齢者福祉館、 公民館、地区図書館という多くの機能を有しており、市民にとって 一番身近な市の施設です。最近は、コミュニティ活動の振興という 目的のほか、その他の市民活動の振興、企業活動の活性化という役 割を担うようになってきていますが、稼働率は地理的な条件でばら つきがあります。

しかし、施設の老朽化が進み、耐震性が確保されていない文化セ ンターが多いこと、原則無料の施設であるため、収益性を改善する ことができないこと、社会教育関係団体等の無料団体以外のニーズ には即応できていないことなどの問題点が存在しています。 ( 2) 現状に対する考え方

高齢者福祉館、児童館の利用者である、高齢者、児童の無料利用 は維持していくべきですが、将来的には、公民館利用者から受益者 負担を求めることが必要となることが考えられます。同時に現在の 無料団体の枠組みも、社会教育や福祉関係の団体に限らず多様な市 民団体の活動をより活発にするため考え直す必要があります。この ほか、施設を安定的に維持していくため、文化振興財団や民間に文 化センター管理の部分的な委託をすすめることなどを、検討する必 要があると考えます。

( 3) 提言

文化センターは、地域コミュニティの中核をなす施設として、市 民に親しまれています。文化コミュニティ行政の基礎的な施設とし て最重要視すべき施設であり、必要性の高い施設です。しかし、ほ とんどの文化センターが昭和50年前後に建築された施設で、老朽 化が進んでいることや災害時の2次避難所であることを考えます と、安全管理上なるべく早い時期に耐震改修を行う必要があります。

(8)

あわせて、施設の利用制度の改正も必要となってきます。現在の 無料団体の枠組みを拡大して、社会教育や福祉の要件を備えなくと も、人数要件を満たす団体には無料団体として登録できるよう制度 改定をして、いっそうの市民活動の活性化を図る必要があります。

さらに、将来的には部屋利用については有料化し、一定の受益者 負担を求めていくこともやむをえません。この受益者負担は収益の 増加を意図するというより、公民館としての趣旨から外れることな く、多くの団体が文化センターを利用できるよう、いたずらに文化 センターの施設を予約することを抑制する意味であり、小額であっ ても負担を求めて、有料化することは政策的にも意味のあることと 考えます。

文化センターの稼働率は地域によって相当のばらつきがあり、鉄 道の駅付近にある文化センターとそうではない文化センターでは 違いがあります。駐車・駐輪設備の充実や、コミュニティバスの路 線の便宜を図ることなどによるアクセスの向上と、受付件数と圏域 人口に応じ、出張所である文化センターの配置を旧町村の枠にとら われず検討する必要があります。

4 急がれる耐震化

文化コミュニティ施設について検討を進める中で、多くの場面で話 題になったのが建物の耐震性の問題でした。公共施設の安全性の確保 は最も重要な課題の一つであり、特に一項を設けて言及することとし ました。

平成7年1月に阪神・淡路大地震が起き、阪神・淡路地区は甚大な 被害を受けました。全国的に震災に備える動きが高まり、同年3月に 既存建築物は、耐震性向上のための改修を促進するよう国から指導が ありました。対象となる建築物は、現行の耐震基準である昭和56年 改正の建築基準法の施行前に建てられたもので、該当するものは全て、 耐震性能を調査のうえ不足があれば耐震改修を行うことが内容とな っています。府中市においてもほとんどの公共施設が対象となり、既 に耐震化の方針は決定され、順次実施されているところですが、厳し い財政状況とあいまって、計画どおり進んでいないのが現状です。(対 象施設については別表4参照)

(9)

【別表4】文化コミュニティ施設の耐震基準適応状況(着工年月順)

施 設 名 着 工 年 月 耐震化の進捗状況 府 中 市 市 民 会 館 昭和 40 年1月 計画なし

中 央 文 化 セ ン タ ー 昭和 43 年2月 計画あり

白糸台文化センター 昭和 45 年9月 9年度改修済み

西 府 文 化 セ ン タ ー 昭和 46 年11月 13 年度改修済み 武蔵台文化センター 昭和 48 年3月 15 年度改修中

新 町 文 化 セ ン タ ー 昭和 48 年8月 16 年度改修予定

住 吉 文 化 セ ン タ ー 昭和 48 年8月 17 年度改修予定

是 政 文 化 セ ン タ ー 昭和 48 年12月 計画あり 紅葉丘文化センター 昭和 49 年9月 計画あり

押 立 文 化 セ ン タ ー 昭和 52 年9月 計画あり(増築部分は適合)

四 谷 文 化 セ ン タ ー 昭和 52 年9月 計画あり(増築部分は適合)

府中グリーンプラザ 昭和 54 年1月 計画なし

片 町 文 化 セ ン タ ー 昭和 61 年10月 耐震基準に適合

Ⅱ 文化コミュニティ事業のあり方について

1 全市的文化コミュニティ事業について ( 1) 現状

各文化センター圏域コミュニティ協議会(以下「コミ協」といい ます。)が協力し、協議会、実行委員会を組織して行う全市的コミ ュニティ事業には高齢者福祉館事業として「新春ふれあい演芸大 会」、児童館事業として「ちびっ子文化祭」、公民館事業として「コ ミュニティ文化祭」、コミュニティ振興及び観光事業として「府中 市民桜まつり」があります。また、文化振興財団では、独自事業と して「歌謡クリニック」などの全市的コミュニティ事業を実施して います。

実行委員会等による事業は、年中行事の一つとして定着していま すが、個々の文化センター単位で発表する形のものが多く、残念な がら、全市的規模の事業としてのまとまりに乏しいところも見受け られます。また、内容的にも、各文化センターで行っている事業と 重複するところがあり、必要性が薄くなっている部分があります。 ( 2) 現状に対する考え方

(10)

のが望ましいと考えます。桜まつりについては観光事業という意味 合いもあり、多くの人手を要する事業でもあることから市直営方式 を維持するべきと考えます。

( 3) 提言

文化振興財団が図るコミュニティ振興は府中市全体を一つのコ ミュニティとして事業を実施しています。一方、文化センターで行 うコミュニティ振興はより地域に根ざしており、文化センター圏域 をコミュニティの単位として実施しているものです。

全市的文化コミュニティ事業は、長年、市主催で行われてきてい ますが、このことから考えると「桜まつり」については、現状では 他の官公庁や市の各組織との調整が必要なこともあり、移管しない 方がよいといえます。しかし、「新春ふれあい演芸大会」、「ちびっ 子文化祭」、「コミュニティ文化祭」の3事業は全市的事業としての 意義を高め、より効果的に実施するため文化振興財団に事務移管し、 その技術、知識を活用することが適当と考えられます。ただし、移 管した場合も、実行委員会組織をつくり、市民参加の形で行うべき で、今まで尽力していた役員や文化センター職員の協力も当分の間 は、不可欠です。

事業の内容については、文化センターで行ったことの繰り返しに なることを避ける意味や、関係者だけのイベントとなっている面が あるため、より多くの市民が参加できるように事業ごとに内容をも う一度精査し、見直しを図る必要があります。

2 地域コミュニティの振興について ( 1) 現状

文化センターで行われている事業は、文化センター圏域ごとに地 域住民で組織したコミ協と協働することで行われており、コミ協は、 コミュニティ振興に欠かせない存在となっています。

しかし、自主グループ等文化センター利用団体の中には、コミ協 で行う事業に参加したくないという団体があることや、地域コミュ ニティそのものに入ってこない住民や団体が増えてきていること などから、連携の輪が広がっていかず、コミュニティ振興の限界と なっており、コミ協の組織の硬直化の一因となっています。

(11)

携して青少年健全育成の役割を果たすことが期待されていますが、 現状では十分対応できているとは言えません。

( 2) 現状に対する考え方

グリーンプラザで、全市的なコミュニティ事業を統括するべきで あるということとあわせて、文化センターは地域のコミュニティ振 興に特化した事業展開を行い、グリーンプラザとの住みわけを図る べきです。それには、グリーンプラザと、各文化センターの事業の 調整を図る機関を創設し、地域のボランティアの交流が促進される 方策を考える必要があります。

また、有機的な事業展開を図るため、事業を文化センター単館で 行うことにとらわれず、文化センターごとの地域的な連携をして、 事業規模を拡大したり、児童向けばかりでなく、青少年向けの事業 を拡充したりする必要があります。

( 3) 提言

文化センターでは、コミ協との協働により、地域コミュニティ振 興について一定の成果をあげています。このことは、評価したいと 思いますが、府中市全体の都市化や高齢化などコミュニティを取り 巻く状況の変化に一部対応できていない点が出てきています。これ に対応していくには当面なお市職員の調整が必要ですが、一方、コ ミ協の自立を促進していくことも必要です。現在ほとんどのコミ協 で事務局機能を市職員が担当している状況があり、地域の行事が市 職員主導になっているケースがあります。これをコミ協主導で事業 展開ができるよう啓発、研修、意識改善等を行い、それを市職員、 文化振興財団が支援するのが本来のあり方です。

文化センターまつりなど、全文化センター圏域で同様の事業を行 うことがよい場合もありますが、どんど焼きなど地域色を押し出し た事業展開や、青少年向けの新事業を立ち上げるなど、地域の人材 を活かした多様な事業を行える環境作りが必要です。具体的には、 コミ協に委託する事業費の執行の制約を外していくことや、事業企 画に対し、行政が公金の支出をするかどうかのルール作り、複数の 文化センターで予算を共同執行すること、現在の構成団体以外の団 体のコミ協への加入や、コミ協と他団体の協働など、市も協力して コミ協組織の活性化を進めることが求められています。

(12)

3 芸術文化振興について ( 1) 現状

市民の芸術文化活動を支援するために、市では、「府中市民芸術 文化祭」の主催、府中に伝わる伝統芸能の普及伝承の援助、文化団 体に対する事業援助(事業費の補助金交付)等を行っています。

市民の芸術文化振興は、長年、府中市文化団体連絡協議会(以下 「文化連」といいます。)加盟団体の自主的な活動が支えてきまし たが、文化連の事務局機能は現在、一部市職員が担当しています。

一方、文化振興財団においては、芸術劇場を中心として、音楽、 ミュージカル、演劇、バレエ、映画、伝統芸能等プロの公演を開催 し、高いレベルの芸術文化に触れる機会を創出し、芸術文化の振興 を図っています。

( 2) 現状に対する考え方

芸術文化振興については、市の文化コミュニティ課で行っている ものは、原則として文化振興財団に移管し、その技術や知識を活用 するとともに市民に分かりやすいものにするべきです。また、文化 振興財団と文化連の一層緊密な連携も必要です。

( 3) 提言

芸術文化振興については、芸術文化の殿堂として建築された府中 の森芸術劇場に、原則として窓口を一本化することが効率的で効果 的と考えます。事業予算の予算化等の事務を除き、市役所で行う必 要はとくにありません。

また、文化施設の管理者である文化振興財団と代表的な利用者で ある文化連が、現在よりも一層連携を深めて事業展開をすることで 更なる芸術文化振興が図られると考えます。

Ⅲ その他の意見

以上のような検討協議を進める中で、今後の施設運営に係る次のよう な意見が出されました。

市民会館の受け皿に芸術劇場がなりうると考えられますが、本来の目 的である高度の芸術文化振興のための施設であることを十分に考えた 上で利用していくべきです。

(13)

て利用しやすい施設とは言いがたく、意識改善や使用料等の制度改正な ど、一定の配慮が必要と思います。

市民会館に限らず、府中市の文化施設は他の自治体に比べ利用料が低 額と思われます。あまり高額であることも問題ですが、なんでも公共サ ービスは無料がよいという時代は終わりました。適正な負担を求め、永 続的に施設を維持していける使用料体系を作る必要があり、公共施設で あろうとある程度の採算性を考える必要があります。

いわゆるハコモノを作るときに、文化施設、福祉施設、教育施設等の 枠組みを超えて、類似施設や、競合施設があるかといった検討が不足し ているのではないかと思われます。そうした検討が十分でないために、 経済動向などの影響を受けて、施設の廃止を含めた論議等をしなければ ならなくなります。スクラップアンドビルドで新しいものを作るばかり ではなく、古いものを大切にし、使うという意識も大事にするべきです。

グリーンプラザ7階のセブンフロア協議会加盟団体の利用する無料 施設は、利用されていない時間帯の一般利用を有料で認めることや、施 設自体の有料化を将来的には検討するべきです。ただ、社会教育関係団 体の範疇に入らない団体の救済措置という性格があるので、これらの団 体の活動を振興する意味で、できれば、予約上の優遇措置がとられるの が望ましいと考えます。

現在、美術館は、教育委員会の所属になっていますが、芸術文化の枠 組みで文化振興財団が管理してもよいのではないでしょうか。行政の組 織に応じて施設があるのは無駄ですし、市民の目から見て分かりづらい ものになっています。

文化センターの職員は、一部は、市のOB等を活用してもよいのでは ないでしょうか。市の出張所的な役割を持っているので、戸籍等の個人 情報をいきなり市の職員でないものに扱わせるのには抵抗を感じます。 財団への施設管理の委託化の前段階としてもそのような方法で、段階的 に移行していくほうが住民として安心感があるのではないでしょうか。

(14)

むすびに

このたび、私たちは、文化コミュニティ施設等あり方検討協議会で、府 中市の文化コミュニティ行政のあり方について長期的な視野にたち文化 コミュニティ行政のみならず、市政全般に踏み込んで包括的に検討してき ました。

この報告で、市民会館の閉館を提言として出しました。この結論に至っ た理由の一つは、市民会館が時代の変遷とともにその役割を終えたと考え られるところにありますが、同時に、今日の厳しい社会経済情勢の中でこ れまでに建設してきた多数の文化コミュニティ施設の中から、改めて中核 となる施設の取捨選択を行う必要があったという背景もありました。

そこで市の財政状況を考慮した上で、芸術劇場を含めて市民会館とグリ ーンプラザという3施設もの全市的な文化施設が必要なのかというとこ ろまで踏み込んで協議をしています。

また、受益者負担の適正化ということも検討しました。現在府中市では、 建築コスト、管理コスト、占有面積から一律の基準で使用料を算出してい ますが、価格は本来、需要と供給のバランスによって決定されます。需要 の高いところからある程度多く使用料を取ることを検討したほうが、公正 な負担を求め、施設を永続的に運営することができると考えます。経済的 弱者に配慮が必要であることは当然ですが、こうしたことも考慮して適切 な料金体系を構築し、公金による負担額を低減していくことが望まれてい ます。

さらに、報告の中で、文化振興財団への事務移管という提言をした部分 が多岐にわたりますが、事務量の増大とともに、文化振興財団の組織がい たずらに肥大化するのは、われわれの望むところではありません。適正な 規模を維持しつつ、民間の論理、活力を活用して、市財政の改善を図ると ともに、一層の文化コミュニティ振興がなされることの一手段として行わ れることを望みます。

(15)

府中市文化コミュニティ施設等あり方検討協議会配布資料一覧

1 府中市文化コミュニティ施設等あり方検討協議会委員、事務局名簿

2 府中市文化コミュニティ施設等あり方検討協議会設置要綱

3 平成13年度事務事業評価表(平成12年度決算ベース)

4 平成14年度府中市事務事業市民評価協議会報告書

5 府中市附属機関等の会議の公開に関する規則

6 平成14年度コミュニティの記録

7 今後のスケジュールについて

8 関係法令・条例・規則

9 関連施設稼働率等資料

10 府中市の文化コミュニティ施設の建設状況

11 府中市と周辺他市のホール等の比較対照表

12 府中の森芸術劇場開館の経緯

13 グリーンプラザ・文化センターの施設管理に関する収支

参照

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