カジノリゾート誘致による沖縄経済振興
金融システム研究室 指導教員 飯島高雄 08175005 安座間大師
1.はじめに
沖縄県は完全失業率が全国で最も高く、県民 所得が最も低いという問題を以前から抱えてい る。さらに主力産業の1つである観光業は、近年 横ばい状態が続き、国外観光客数のも割合も少 ない。他方、近年カジノリゾートを導入し、経済 復興に成功した国が多く見られる。そこで本論 文では、沖縄でカジノが解禁されたと仮定して 議論を進め、カジノリゾートを導入することで 沖縄経済の抱える諸問題をどのように解決する かを考察することにした。
2.沖縄経済の問題点と課題
2-1.では、県民所得の低さについて述べた。土 地柄や戦後アメリカに占領されていたことが原 因で高度経済成長期に工業化が図れず、工業化 に必要な産業や人材が育たなかった。それが1 つの原因となり沖縄県と他県の県民所得には格 差があるということが分かった。
2-2.では、失業率の高さについて述べた。これ まで高い失業率の背景は県民の県内志向の強さ にあるとされてきた。しかし、県外で就職をした 人たちが不景気で失業して、仕事がないことを 理由に沖縄に帰省するために、県内の失業者数 がさらに増え、有効求人倍率が下がるという悪 循環を起こしていることが分かった。
2-3.では、外国人観光客の伸び悩みについて 述べた。近年、沖縄県における入域観光客数は横 ばい状態が続いていることが分かった。さらに 国外からの観光客の割合が全体の4.2%にしか 満たないことも分かった。
3.沖縄カジノ計画
3-1.では、沖縄県におけるカジノリゾート導 入への経緯を調べた。1996年に県が公営カジ ノを提案したのをきっかけにカジノ・エンター テイメント検討委員会を設置し、さらにはカジ ノリゾート導入に賛成派の仲井眞弘多氏が沖縄 県知事に就任したことで、カジノリゾート導入 への動きが加速した。
3-2.では、カジノリゾートの概要について述 べた。カジノリゾートは、さまざまな施設の集ま
りであり、周辺の観光と組み合わせることで、さ らに広い範囲まで効果を及ぼすことができる。 また、カジノ自体はカジノリゾートの中で全体
の5%に過ぎず、カジノを作れば経済振興がど
うにかなるというものではないことが分かった。 3-3.では、海外の事例について述べている。海 外では現在120カ国以上の国々でカジノリゾー トが導入され、その目的も経済の活性化や観光
促進、税収の確保と様々であることが分かった。
4.経済効果
4-1.では、雇用と所得の増加について述べて いる。カジノリゾートを導入するとなると、施設 の建設人員や、カジノリゾートの従業員の雇用 が発生する。その結果、失業が減るとともに所得 も上がり、高失業率・低所得の問題が解決でき るという結果になった。
4-2.では、観光業の成長及び観光客の増加に ついて述べている。カジノリゾートは、観光の通 過点ではなく目的地になるので、ある程度の滞 在期間が期待できる。滞在型の観光を強化する ことは、リピーターの獲得にも直結する。こうい った滞在の核になる場所があれば、周辺地域の オプショナルツアーに出掛けるという需要も生 まれ、世界中から人を呼ぶこともできる集客力 をもつという結果に繋がった。
4-3.では、海外におけるカジノリゾートによ る経済効果を述べている。ニュージーランドで は、カジノリゾート導入によって全体で2.9% の失業率の低下に繋がっている。また、シンガポ ールはGDP を年間約955 億円向上させ、観光 業関 連 収入 を現 在の 3 倍 に し 、 さ ら に は 35,000 人の直接雇用をもたらしている。よっ て沖縄にカジノリゾートを導入した場合も効果 をもたらすという結果に繋がった。
5.おわりに
カジノリゾートの導入は、従業員等の雇用の ほか、周辺産業の雇用および所得も増える。また 観光面では、様々な施設があることから長期滞
在やリピーターも期待できる。その結果、現在沖