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……… 第46回関東理科教育研究発表会
1 緒 言
高校生が自然現象を数理的に解析することには,困難が伴う。その理由は,微分方程式が現行の教育課程 から外れているなど,様々考えられる。自然現象を微分方程式で仮に記述できたとしても,それらの多くは 一般的に非線形であるので,解を求めることは非常に困難である。そのため,微分方程式を用いて現象の予 測などをするには差分化・数値計算の技術などを要し,さらなる困難に見舞われる。なかんずく,流体現象 の解析においては,支配方程式であるNavier-Stokes方程式が非線形の偏微分方程式であり,定量的な解 析はかなり難しい。加えて,流体現象は瞬間的に起こるなど,定性的な考察をすることも難しい。
しかし,筆者は,数学の教員として,生徒が自然現象を数理モデル化して解析する経験が大切であると考 えている1)。そして,流体現象は複雑であるが,高校生にとっても魅力的な現象とも考えている。本報は課
題研究として生徒が取り組んでいる流体解析の現状の報告である。
2 目 的
本報における課題研究において,筆者は高校生が行う非線形現象の研究の指導を目的とした。特に,高価 な専門機器が用いられることが多い流体の解析を,一般的に手に入る民生用機器を用いて高校生ができるか どうかに焦点を当てた。
3 解析の対象
液面に液滴を滴下すると,王冠状のものが観察される。ミルククラ ウンが有名である。滴下する条件によっては,王冠状のものがドーム 状になる(fig.1)。クラウンがドーム状になる様子を,ハイスピード カメラで撮影し,その形状の時間経過による変化を定量的に解析した。
4 実 験
牛乳をビュレットから滴下し,液滴が液面 に衝突する様子をカメラ(CASIO 製 EXILIM EX-100)の1000fpsモードで撮影した。撮影し た動画の1フレーム毎に,ドームの高さ,およ び半径(ドームの高さ10グリッド毎)をフリー ソフト lenaraf 220を用いて記録した。
5 結果および考察
fig.2 にドームの半径の測定結果を示す。回 帰分析の結果,ドームの経過時間による半径の 変化は,べき乗則に従うことが示唆された。 また,fig.3 はドームの高さの測定結果であ る。ドームの高さは,ロジスティック方程式に 従うことが示唆されたが,直線回帰を行ったと ころ,良い相関が得られた。
民生用撮影機を用いた流体現象の解析について
茨城県立緑岡高等学校
渡邉 洋美
(a) (b)
fig.1(a)浅水系におけるクラウンと (b)深水系におけるドームの様子
fig.2 時刻変化による半径の変化
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千葉大会
ドームの高さにおける回帰分析は, Excelの機能を考えても,指数近似に よる回帰が適当であることが考えら れる。しかし,生徒実験であることを 考慮して,微分方程式の差分化によ る解析手法を習得してほしいという 意図から,直線による回帰を行った。
6 結 論
ロジスティック方程式に従うこと を 想 定 し て 始 め た 課 題 研 究 で は な かったが,高校生でも流体現象を微 分方程式によって解析できることが
示せた。様々な要件はあるだろうが,高校生にできるだろうかというようなことは考えず,非線形現象でも チャレンジしてくれる高校生が増えてくれれば幸甚である。
7 参考文献
1) 山口悟,渡邉洋美,『コンピュータシミュレーションにより再現されたブラウン運動からのアボガドロ定
数の算出実験』(化学と教育,2014)