2017/11/16 入門物理学 B
入門物理学 B
第 8 回 (11/16) 光速について・相対性理論 (1)
・光の粒子説と波動説
・光速の測定
・相対性理論の登場 (エーテルの風、マイケルソン・モーリーの実験) 次回 (11/23) 相対性理論 (2)
・アインシュタインの相対性原理
・ローレンツ変換
・ニュートン力学の変更 (E=mc2)
法政大学 市ヶ谷リベラルアーツセンター兼任講師 福川 賢治 (https://sites.google.com/site/kfukukawa00/hosei2017)
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入門物理学 B 2017/11/16
光の粒子説
ニュートンが主著である「プリンキピア」や「光学」で唱える。 ホイヘンスによる波動説(1690 年) ほぼ同年代
以降、両者は 100 年以上対立。
18 世紀は光の粒子説が主流だったが、
1801 年ヤングの実験により波動説が復活した。
光の粒子モデルは、光の持つ幾つかの性質をうまく説明出来る。
・光の直進
光の粒子は非常に速く飛ぶので、ほぼ重力の影響を受けずに直進できる。
・光と光が相互作用しないこと
光の粒子が非常に小さいと考えることで、光同士の衝突は確率的に ほとんど起こりえないと考えることができる。
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・光の吸収と加熱
粒子が反射もせず、透過もしないとすると、粒子は静止する。
→ 摩擦により、熱が発生。
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入射角 反射角
床
光の粒子説 (2)
・粒子説による光の反射
ボールと床の衝突では、よくボールが弾む (弾性的な)場合、ボールの反射角と入射角 はほぼ等しくなる。
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・粒子説による光の屈折
急な崖 (境界面) 入射角 i
屈折角 r 空気
(屈折率 1)速さ v1
物質 (屈折率 n > 1) 速さvn
粒子が急な崖に差し掛かることで、
境界面に垂直な面に加速されることにより、 屈折が起きる。したがって、
(物質中での速さ vn) > (空気中での速さ v1)
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境界面
空気
(屈折率 1) 速さ v1
波長λ
波長λ =λ/n 物質 (n=屈折率 > 1)
波動説による光の屈折
空気から他の物質に入る時、 波の速度が遅くなると、
(物質中で波長が短くなることによる) 屈折が起こる。
v1/vn = sin i/sin r = n したがって、vn = v1/n
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物質中での光速は空気中より速い (粒子説)か遅い (波動説)か? 水中での光速の測定が必要。
1850 年 フーコーにより水中での光速が空気中より遅くなることが実証 (光の波動説の確立)
1864 年 Maxwell が電磁気学の基本方程式を発表 (Maxwell 方程式)。 電磁場が光速で真空中を伝わることを示し、光が電磁波であることを示唆。
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光速の測定
1. 真空中での光速 c (= 29.9792458 万 km/秒 = 地球 7 周半)は 物理の基本定数の一つ。
2. 光 (電磁波)や、重力波 (2016 年 2 月発見) は光速 c で真空中を伝わる
・現在ではレーザーを用いて、波長λと周波数 f を精密に測ることにより、 c=fλからより精密に測定できるようになっている。
・その結果、現在の光速は単位 m [メートル]を定義するのに用いられる。 (1975年 第15回国際度量衡総会 (CGPM) の決議2,
1983年 第17回国際度量衡総会の決議1)
1 m = (光が 1/299792458 秒間に進む距離) と定義されている。
・光速が有限かどうかは、17世紀中頃には答えが得られていなかった。 ケプラーやデカルトなどは光速が無限であると主張していた。
次回、光速の測定について、幾つかの歴史的に重要な実験を述べる。
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レーマー
(デンマーク、1644-1710)による光速測定
(1676 年)木星の衛星イオが木星に隠れる周期の変化を発見
木星の軌道
木星
太陽 地球 衛星イオ
半年後
木星地球 太陽
衛星イオ
当時知られていた値
D = 2 億 8300万km から
c = D/t = 21.4 万km/秒 を算出。
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距離 L 直径 D
(上図)
地球がずっと止まっているとすると、 木星はそれほど速く動かないので、 地球から、衛星イオが木星の周りを 回る公転周期はほぼ一定に見える はずである。
距離 L+D
(下図)
実際には、地球は公転しているので、 木星イオの公転周期は、半年後には
地球の周回軌道の直径 D の分ずれる。 そのズレは t = D/c = 約 22 分
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ブラッドリーによる光速測定
(1728年)光行差現象:
観測者の移動によって、天体の位置が移動方向にずれて見える現象
例え. 雨が降る中を走ると、雨が前から降ってくるように感じられる。
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天体 (光源)
地球 (速度 v)
光の経路
天体から見た 光と地球の運動
地球から見た 天体と光の運動
地上の人にとって、あたかも天体は B にあったかのように見える。 AB : BC = c : v なので、sinθ=BC/AB = v/c となり、
θと v を測れば、c が求まる。
光は、地球 - 太陽間を 8分12秒間 (現代の値は 8分19秒)で動くと推定 地球
天体
A C B
θ 光の経路
画像はWiipedia より引用
James Bradley (英、1693-1762) グリニッジ天文台長
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フィゾーによる地上初の光速測定
(1849年)画像はWikimedia commons から引用し改変, (16th March 2007), CC-BY-SA 3.0 ライセンス
距離 L
歯車 G
反射鏡 M
光源からの光が、ハーフミラー(半透明の鏡) から歯車 G (歯の数 n) の 間を通り、
反射鏡 M で反射され、
歯車の歯に当たって暗くなる時を調べる。 歯車は光が距離 L を往復する間に
1/2n 回転すれば、
光を妨げることができる。
歯車の 1 秒間の回転数を f とすると、 かかる時間は 1/(2nf) 秒である。
これは光が GM を往復する時間 2L/c に等しい。 したがって、1/(2nf)=2L/c
c = 4nLf と求められる。
フィゾーは f =12.6 Hz, n = 720 個, L = 8633 m から c = 31.3 万km/秒 を得た。
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Hippolyte Fizeau (仏、1819-1896)
画像はWiipedia より引用
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フーコーによる光速測定
(1850 年, 1862 年)9
Leon Foucault (仏、1819 - 1868) フーコーの振り子 (1851 年) で有名
画像はWikipedia より引用
(左図) 平面鏡 R は静止している。
S から出た光は R の平面鏡及び球面鏡 Mで反射し、光は Sに戻る。
(右図) 平面鏡は R は回転している。R→M→R を走る時間 2h/c の間に鏡 R が θ回転すると、反射光の角度は 2θずれる。
この角度を測定し、光速を計算する。
RM 間を水の管で満たせば、水中での光速が測定できる。
水中での光速は空気中の約 3/4 倍 であることを測定 (1850 年)。
原理
画像はWikimedia Commons から引用、Photo by
Stigmatelda aurantiaca, (1st August 2015), CC-BY-SA 4.0 ライセンス
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相対性理論 (1)
相対論以前の (そして、おそらく大部分の人の) 常識
静止
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1. 2つの座標系で、時刻は同じになる。 (絶対時間、古典力学における仮定) 2. 速度 v で運動する箱の中で、
さらに速度 v で運動する物体は、 静止している人からは、
速度 V = v +v で運動するように見える (速度の足し算)
v
速度 v で運動する箱
箱の中で速度 v で運動する物体は • • • •
静止している人からは 速度 V = v + v で運動するように見える。
v
3. 等速度で運動する全ての人にとって、加速度 (速度の時間変化)は同じ。 力学の基本法則であるニュートンの運動方程式
F = ma「(力)=(質量) (加速度)」
はどのような等速度で運動する人にとっても成り立つ。 (ガリレオの相対性原理)
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エーテルの風
[エーテルに対する地球の運動]19世紀の物理学者達は、地球は光を伝える媒質である「エーテル」 の中を運動していると考えていた。
光の進行方向が地球の進行方向と一致するか逆向きかで、光速 c が 変わるのではないか?と考えた (エーテルの風)。
※ 有線LAN の規格である Ethernet の語源は Ether (エーテル) である。
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地球から見た光速は c-v ? • • • • • • • • (地球は光と同方向に
[エーテルの追い風の中を] 運動) 地球から見た光速は c+v ? • • • • • • • •
(地球は光と逆方向で
[エーテルの向かい風の中を]運動)
地球 速度 v
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マックスウェル
(及び19世紀物理学者)の苦悩
マックスウェルは自身の電磁気学の基本方程式 (Maxwell 方程式)から、 電磁波が光速 c で伝わることを導き出し、電磁波は光であると考えた。 c というのは何か物理で基本的な量であるように思える。
しかし、地球がエーテルに対して運動すると光の速度が変わる。 Maxwell 方程式は厳密には成り立たないのだろうか?
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マイケルソン・モーリーの実験
(1887年)マイケルソンは光速 c に対する地球の速さ v の比 (v/c)
を検出できるような装置 (マイケルソン干渉計、次頁)を考え (1881年)、 地球がエーテルを突き抜け走っているかどうか調べられると考えた。
1887 年に装置を改良し、モーリーと共に十分な精度で実験を行った。
James Clerk Maxwell (英、1831- 1879)
電磁気学、熱・統計力学に業績
Albert A. Michelson (米、1852 - 1931)
1907 年ノーベル物理学賞 (科学部門では米国初)
画像はともに Wikipedia より
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画像はWikipedia Michelson-Morley experiment (英語版) から改変、Picture by Stigmatella aurantiaca
(4th November 2013), CC-BY-SA 3.0 ライセンス
左の図: エーテルに対し静止
半メッキ鏡 a から ab と
ac に進む光は、鏡 b と c で それぞれ反射し、
2 光線 baとca は d で同位相で 干渉する。
右の図: エーテルに対し運動 (等速度 v) a→c→a と移動する距離は、 a→b→a と移動する距離より、 わずかに長い。
(距離の差 は Dv2/c2 となる)。 従って、光の干渉による縞模様 が移動して現れるはず。
d a
b
c c
b
a
d 実験の原理図
ac = ab = ad = D
実際には、縞模様は移動しなかった。
1. エーテルの影響は検出できなかった。 2. 光の速さは動いている人から見ても 一定の光速 c
(速度の素朴な足し算 [10ページ] が成り立たない)
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