平成18年1月
三
条
市
『まちづくり活動』
の推進戦略
~市民が自発的かつ主体的に取り
目
次
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まちづくり活動を推進する背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(1)市民ニーズの多様化・高度化と行政サービスの限界
(2)定年退職による団塊世代の地域への活用
(3)7.13水害の教訓を活かして
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これまでの行政支援の経過と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(1)支援対象団体
①地域コミュニティの定義と現状
②市民活動団体(NPO、NPO法人含む)の定義と現状
(2)支援制度と実績
①地域コミュニティ事業補助金
②地域ビジョン策定及び実現推進事業補助金
③地域まちづくり計画策定支援
④まちづくり推進事業助成金制度
⑤市民活動推進事業補助金
⑥その他の支援
(3)現制度の検証・課題
①活動への財政支援
②場の支援
③人材養成の支援
④情報の支援
3
まちづくり活動推進の方向性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
(1)目的
(2)方針
(3)まちづくり活動の発展過程と行政の関わり
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支援の具体策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
(1)活動への財政支援
(2)場の支援
(3)人材養成の支援
(4)情報の支援
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『まちづくり活動』の推進戦略
~
市民が自発的かつ主体的に取り組む公益的活動支援プラン~1
まちづくり活動を推進する背景
(1)市民ニーズの多様化・高度化と行政サービスの限界
社会経済情勢や価値観の変化に伴い、市民が公共サービスに求めるもの(市民ニーズ) も多様化・高度化しているが、「行政のみ」がこれに対応していくことには質的にも量的に も限界がある。市民ニーズには、様々なレベルのものがあり、行政でなければ対応しがた いものから、市民や自治会、地域コミュニティ、市民活動団体、民間企業などでも十分対 応しうるものまで存在すると考えられる。
(2)定年退職による団塊世代の地域への活用
今後、団塊の世代のサラリーマンが定年退職し、都市から地方に、職場から地域に戻っ てくる。彼らが社会で身につけた様々なスキルを活かすことで新たな公共の担い手として 期待しうる。
(3)7.13 水害の教訓を活かして
7.13 新潟豪雨災害を経験し、「尊い命や財産を守り、安全に安心してくらしたい」とい う市民の思いはさらに強くなっている。それには、自助・共助・公助の役割を認識し、日 頃から人と人とのつながりを大切にした中で、「自分たちの地域は自分たちで守る」という 主体的な活動が不可欠である。いざというときに備え支えあう仕組みが機能できるよう、 多様な主体による持続的な活動を推進していく必要がある。
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これまでの行政支援の経過と課題
(1)支援対象団体
①地域コミュニティの定義と現状
旧三条市では、総務省のモデル・コミュニティの考え方を基準としながら、「おおむ ね小学校区の住民によって組織され、住民相互の連帯感を育みながら住民自治のまち づくり活動を行う団体」を「地域コミュニティ」として設定して、「自治会組織」と区 別して推進してきた。現在、旧三条市の制度により3団体が組織され、継続して活動 を行っている。(うち1団体は、以前の支援制度に基づくため、小学校区より狭域)
また、行政が早期に地域コミュニティを権限と財源の移譲の受け皿として期待した ため、重圧感から組織化に弾みがつかない状況にある。
三条市の地域活動においては、各自治会区域、小学校区域とも、範囲、世帯数規模 など大きな差があり、活動のレベル(質、量)も様々である。
材確保が困難、財政力・資金力の不足、集会所の確保の困難、などの課題が挙げられ ている。地域コミュニティについては、三条地区では必要性を認識しながらも、地域 をまとめるリーダー不在(自治会の維持だけで手一杯)、小学校区との区割りの不一致、 財政力・資金力の不足等により組織化が難しい、自治会単位で既に取り組んでいて広 域的な組織づくりに取り組む意義が見出せないとの意見もあるが、まずは話を聞いて みたい、関心がある、取り組んでみたいというところもある。
一方、現在組織化されている地域コミュニティからは、公民館との関係、事務局と なる人材の確保、コミュニティ事務所の確保、コミュニティバス等具体事業の実現に 向けた財政力の不足等が課題として挙げられている。
②市民活動団体(NPO、NPO法人含む)の定義と現状
三条市では、市民活動団体とは、「市民が自発的かつ主体的に取り組む公益的な活動 (ただし、政治活動、宗教活動又は営利を目的とした活動は除くものとする)を行う 団体」であり、法人格の有無を問わず、広くNPO(非営利組織)を包括するものと して、支援してきた。市民活動団体相互の交流を促進し、団体活動の活発化を図るこ とを目的に作成した「三条市市民活動団体一覧」には、現在、136団体(H17年 12月末現在)が登録しているが、各団体の規模や活動内容などには、大きな格差が ある。(NPO法人は平成17年12月末現在10団体)
なお、平成14年度に旧三条市で実施した「市民活動団体アンケート調査」では、 人材確保・育成が困難、財政力・資金力の不足、情報受発信力の不足、交流機会・場 の不足などの課題が挙げられている。
(2)支援制度と実績
①地域コミュニティ事業補助金
(旧三条市の継続事業)【制度概要】
地域コミュニティの組織づくり・活動に対する支援制度
事業 区分
事業内容 補助率 限度額
補助 限度
はじめの 一歩
お お む ね 小 学校 区 を 単位 と す る2 人 以 上の 団 体 が 準 備 会と し て 地域 コ ミ ュニ テ ィ を結 成しようとする事業
100% 10万円 1回
活動推進
小学校区の地域コミュニティが、計画書を作 成し、それに基づいて活動を実践する事業
80% 20万円 3年間
フォロー アップ
活動推進事業を終えた後に、地域コミュニテ ィが引き続き活動を実践する事業
50% 10万円 2年間
【実 績】
現在まで3地区による取り組みがあり、それぞれ「はじめの一歩事業」、「活動 推進」、「フォローアップ事業」とステップしながら支援を行ってきた。
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* H14~17 年度 上林小学校区の「上林ひまわりコミュニティ21」 * H16~17 年度 本成寺中学校区の「ほんじょうじほなみコミュニティ」
②地域ビジョン策定及び実現推進事業補助金
(旧下田村の継続事業)【制度概要】
地縁的なつながりを持った複数の集落を単位とした地域の総合的な将来計画の 策定と実現を促進し、中山間地域の活性化を目的とした「新潟県緑の山里・いき いき夢プラン事業」を活用した支援制度
事業区分 事業内容 県補助
市町村 補助等
地元 負担
事業 期間 地域
支援
10万円 1万円 1万円
地域ビジョン 策定 (H14~15)
地区及び市町村が一体 となって地域ビジョンを 策定する事業
市町村 支援
10万円
村負担 1万円
-
1年
地域ビジョン 実現 (H15~18)
地区及び市町村が一体 となって地域ビジョンを 実現する事業
地域 支援
25万円 20万円 5万円 3年
【実 績】
現在まで2地区による取り組みがあり、それぞれ「地域ビジョン策定事業」の 支援を終了し、「地域ビジョン実現事業」に支援を継続中
* H14~17 年度 五百川地区地域ビジョン運営委員会 * H15~18 年度 牛野尾谷地区地域ビジョン運営委員会
③地域まちづくり計画策定支援
(旧三条市の事業、H16 年度のみ実施)【制度概要】
活力ある自治とまちづくりの進展に資するため、地域まちづくり計画を策定し ようとする地域コミュニティに対し支援する。
・補助金(計画作成に関する経費、限度額 200 万円、1回限り) ・まちづくりアドバイザーの派遣、地域まちづくり講座の開催 ・出張トークの実施、視察及び研修の情報提供、職員派遣
【実 績】
* H16 年度「上林ひまわりコミュニティ21」を支援 * 補助金交付額 1,968,286 円
④まちづくり推進事業助成金制度
(旧栄町の事業、H16 年度で終了)【制度概要】
町民自らが行うまちづくり推進事業(自然、文化、産業、地域の特性を生かし た地域づくりに資する事業)に要する経費に対し、予算の範囲内で助成金を交付 する。
交付年度と交付実績
年度 団体名 事業 補助金交付額
11 12 13 14
さかえ塾 町おこし推進事業 150,000 円
148,000 円 100,000 円 22,000 円
12 美里 美里「集落の木」記念植樹事業 50,000 円
14 帯織 帯織「集落の木」植樹事業 60,000 円
14 高安寺 高安寺「集落の木」植樹事業 45,000 円
15 ますがたクラブ ますがたクラブ活動事業 50,000 円
15 栄町然酒会 越乃しらさぎ発売 10 周年記念事業 50,000 円
15 16
県消費者協会栄支部 千葉県栄町女性団体交流事業 50,000 円
50,000 円 15
16
栄町ブナの会 荒川区立立尾久宮前小学校
ブナ植林交流事業
50,000 円 50,000 円
16 鬼木新田 バス停修繕事業 105,000 円
⑤市民活動推進事業補助金
【制度概要】
広く市民に人材養成や学習機会を提供することなどを目的とする公益的な事業 で、市民活動団体が企画し、市内で実施するシンポジウム、講演会、研修会など の費用に対しに補助金を交付する。 *補助金額 上限5万円
【実 績】
補助事業申請実績
年度 件数 補助金交付総額 備考
14 3件 119,800 円
15 4件 158,400 円
16 4件 200,000 円
17 6件 275,000 円 12 月末現在
⑥その他の支援
・まちづくり遊YOU講座~地域コミュニティや市民活動を進める人材の養成 ・地域通貨「らて」~市民活動、ボランティア活動の促進
・情報提供(まちづくり情報ミニらいぶらりー設置、ホームページ掲載) ・「三条市市民活動団体一覧」の作成
(3)現制度の検証・課題
①活動への財政支援
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ため、組織化そのものが困難と考える地域には活用されず、動機付けとしては弱く、 地域まちづくり計画を策定した地域においても、実行段階での財政支援制度がない。
市民活動推進事業補助金については、対象事業が限られることや、上限が5万円と 低額であるため、申請団体に偏りが見られ、市民活動団体を広く対象としているとは いえない。一方、補助率の設定がないため、事業によっては、自主財源の比率が低い など、自発的かつ主体的な活動を旨とする市民活動団体に対する支援としては、必ず しも望ましい形となっていない。
②場の支援
広域を活動区域とする地域コミュニティの継続的な活動の拠点設置について、支援 が確立されていない。
自治会活動においては、集会所の有無が大きく影響しており、自治会への支援とし て集会施設等建設費補助金や公民館等の使用に際して減免措置により支援している。
市民活動団体においては、団体の種別や施設の形態により減免措置等の支援が一定 でない。
③人材養成の支援
地域コミュニティや市民活動の担い手となる人材の養成を目的として、旧三条市で 平成14年から開催しているまちづくり遊YOU講座を引き続き開催し、参加者から は好評を得ている。特に地域活動を行う人のまちづくりに対する意識の変化が顕著に 見られる。
ただし、参加者が少なく、活動のキーとなる事務局を担う人材に直結していない。
④情報の支援
様々な手法で情報発信等を行っているものの、膨大な情報の中から、多種多様な活 動を行う団体に対し的確な情報を提供し続けることは、行政では限界がある。
また、団体の情報発信は、チラシ等紙媒体が多数を占めるが、印刷機等の利用の支 援を行っておらず、印刷機使用支援を望む団体は、団体の種類を問わず多い。
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まちづくり活動推進の方向性
(1)目的
市民が自発的かつ主体的に取り組む公益的な活動を「まちづくり活動」として支援す ることにより、地域の資源、人材を活かした豊かで活力のある地域社会の実現と市民と 行政との協働のまちづくりを推進し、新しい公共空間を創出することを目的とする。
(2)方針
①まちづくり活動支援
む公益的な活動を「まちづくり活動」として支援する。
なお、従来支援してきた地域コミュニティの中で「地域的なつながりを持つ複数自 治会区域でまちづくりを行う団体」の活動については、引き続きまちづくり活動とし て支援する。
②総合型地域コミュニティ活動支援
総合型地域コミュニティとは、おおむね小学校区を区域として地域の課題に総合的 に取り組む地域コミュニティである。
小学校区は、地域に住む人の顔が歩いて見え、将来を託す子どもたちを真ん中にお いて、地域のことをいっしょに考えていける大きさである。総合型地域コミュニティ は、小学校を中心に各種地域団体(自治会、PTA、子ども会、老人会など)を構成 員として地域住民の意見を集約する仕組みを持ち、地域の身近な課題の解決を目的に 持続的に活動を行うことから、新しい公共空間の担い手、また、市との協働のパート ナーとして期待できるため、まちづくり活動の中でも重点分野と位置付け、積極的な 支援を行っていく。
(3)まちづくり活動の発展過程と行政の関わり
【種まき、発芽期】(現在~3 年後)
市民の自発性、主体性を引き出し、多種多様なまちづくり活動が始まったり、活 発に行われたりするよう“きっかけづくり”を行政が支援していく。
【成長、開花期】(3~5 年後)
活動の拡充や、まちづくり団体の組織体制の確立、団体間のネットワーク化など が図られるよう環境整備として、基本的に中間支援体制により支援していく。 【結実期】(5~10 年後)
組織体制を確立したまちづくり団体や、コミュニティビジネスを模索する団体な ど成熟段階にある団体とともに、行政サービスについて、該当団体(新たな公共の 担い手)との役割分担の再整理を行う。
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支援の具体策
(1)活動への財政支援
従来の地域コミュニティ事業補助金及び市民活動推進事業補助金の制度を廃止し、平 成18年度より新たに「まちづくりサポート交付金」制度を創設する。(別紙1のとおり)
なお、当面の財政支援は、行政の支援とするが、将来的には、ファンドや公益信託制 度の導入も含めて、支援機能を果たす中間支援体制等に移管していくことを検討課題と する。
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の公開を通じて、結果を自ら評価できる。なお、ファンドの運営形態には、 運用益運用型のほか、原資取り崩し型、市民と行政の同額出資型等がある。 *公益信託制度・・・信託銀行等に信託金を委託し、市民の運営委員会等によって助成先を決
定する。
(2)場の支援
①総合型地域コミュニティの事務所支援
総合型地域コミュニティに対しては、公民館(中央・嵐南・栄・下田公民館を除 く)の指定管理者の担い手として施設を提供していくとともに、施設の一部使用許 可についても、引き続き支援を行っていく。
②まちづくり活動の活動拠点の支援
各まちづくり団体事務所、ミーティングスペース等の場の支援については、市民 活動支援センターの設置を含めた中間支援体制の中で検討する。
(3)人材養成の支援
まちづくり活動への積極的な参加を促し、さらには、その活動の担い手となる人材を 養成するため、市民自らがまちづくりを行うときに必要な知識や技術をわかりやすく学 び交流を促進する機会を提供する場として、引き続き「まちづくり遊YOU講座」を開 催する。
(4)情報の支援
引き続き、以下の支援を行っていく。 ・パンフレット、チラシ等の作成 ・広報掲載、ホームページ等の充実 ・まちづくり情報ミニらいぶらりー
・「三条市市民活動団体一覧」、交付金の新制度に伴う公開発表会等による事例の紹介
(5)市民活動支援検討委員会の設置
中間支援体制のあり方を検討していくため、平成18年度に市民活動支援検討委員会 を設置し、同年度中に結論を得る。
なお、検討に際しては、以下の機能を中間支援体制に付与する方向で検討を行うこと とし、財政支援機能についても、将来的な機能付与を視野に入れ、併せて検討すること とする。
<想定される中間支援体制の主な機能>