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健康福祉局 健康部 平成18年3月30日 堺市監査委員公表 第15号 堺市

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(1)

127 Ⅲ 健康福祉局 健康部

1 堺市医師会立介護老人保健施設いずみの郷運営資金貸付金

(1)制度の概要

高齢社会に対応した保健医療体制の充実に資するため、「介護老人保健施設いずみ

の郷」(以下「いずみの郷」という。)を運営する社団法人堺市医師会に対し、「いずみ

の郷」の平成 12 年度における運営に要する資金を貸し付けたものである。この制度で

は、担保設定及び連帯保証人をたてる必要はなく、無利子である。

平成 3 年の大阪府医療審議会において、市立堺病院の増床計画に対して老人保健施 設の整備を図るといった付帯意見があり、平成 5 年の堺市高齢者保健福祉計画におい

て、1, 100 床の老人保健施設整備目標が定められ、全体量の一部を公的施設の整備を

もって充てることとされた。平成 9 年には堺市老人保健施設の整備に関して、社団法 人堺市医師会が老人保健施設の建設及び運営の主体となり、市が当該施設の建設用地 を無償貸付けすることで合意し、平成 12 年 7 月に「いずみの郷」を開設した。しかし ながら、介護保険報酬が翌々月入金であることもあり、開設当初は支出額が収入額を 上回るため、平成 12 年度(平成 12 年 7 月から平成 13 年 3 月まで)の支出超過額に見 合う額を平成 13 年 3 月に社団法人堺市医師会に貸し付けている。

貸付実績は以下のとおりであり、平成 16 年度においては、債権管理業務のみ行われ

ている。

貸付けの相手先 社団法人堺市医師会

貸付額 82,000千円

融資日 平成13年3月30日

償還方法 平成15年7月31日を第1回とし、平成29年7月31日まで 毎年5,500千円(最終回のみ5,000千円)を分割返済

(2)根拠法令等

堺市「介護老人保健施設いずみの郷」運営資金貸付要綱

(3)所管部署

(2)

128 (4)貸付金の全般的状況

【表Ⅲ−1】直近 3 年間の状況 (単位:千円)

新規貸付 期末残高

年度 期首残高

件数 金額

回収

件数 金額

平成14年度 82,000 − − − 1 82,000

平成15年度 82,000 − − 5,500 1 76,500

平成16年度 76,500 − − 5,500 1 71,000

【表Ⅲ−2】直近 3 年間の回収状況 (単位:千円)

年度 調定額 収入済額 収入未済額 回収率

平成14年度 − − − −%

平成15年度 5,500 5,500 − 100.0% 平成16年度 5,500 5,500 − 100.0%

(5)実施した監査の手続

① 貸付要綱の制定に関する決裁書類を閲覧し、制定に関して市長の決裁があるかを検 証した。

② 貸付実行業務については、貸付申請書、決定通知書等関係書類を閲覧及び照合し、 堺市「介護老人保健施設いずみの郷」運営資金貸付要綱に準拠して貸付決定が行われ ているかを検討した。

また、貸付金借用書、支出命令書、領収書等関係書類を閲覧及び照合し、適切に貸 付けが実行されたことを検証した。

③ 債権管理業務については、平成 16 年度における回収額 5, 500 千円について収入金調

定伺書及び領収済通知書及び貸付金償還表を閲覧及び照合し、約定どおりに回収され、

適切に記帳されていることを検証した。

また、貸付金償還台帳を閲覧し、債権管理状況及び延滞債権の有無を確かめるとと

もに、平成 16 年度の社団法人堺市医師会の決算報告書を閲覧し、今後の回収可能性に

疑義がないかを検討した。

(6)監査の結果及び意見

① 事業者の選定過程について

(3)

129

合意しているが、社団法人堺市医師会が選定されるに至る検討過程が必ずしも十分 ではなかったと考えられる。

業者選定については、まず、市が独自で事業をする場合と民間事業者等に要請す る場合を比較検討することが必要である。また、民間事業者等に要請することを決 定した場合においても数社の同業者と様々な点において比較検討したうえで、決定 されるべきものである。市は事業者の選定等、市が整備を進める老人保健施設の基 礎となる事項について検討を行った「堺市老人保健施設整備にかかる調査報告書」 を作成しているが、公的老人保健施設のコンセプトの前提があるとはいえ、コスト 等の数値的具体的な比較なく社団法人堺市医師会に要請を決め、他の介護事業者と の比較なく一事業者に決定している。老人保健施設の整備は公共性が高く、業者選 定にあたっては、選定過程を明確に記録しておくべきであったと考えられる。

また、市は、社団法人堺市医師会が「いずみの郷」の建設事業経費として金融機関

から借入れた資金の元金(1, 265, 700 千円を限度)及びその利子の償還額を老人保

健施設償還金補助金という形で毎年交付しており、結果として老人保健施設の建設

費のほぼ全額を交付している。この点に関しても、「堺市老人保健施設整備にかか

る調査報告書」において、施設の建設から運営までの手法をケース別に検討してい るが、コスト等の数値的具体的な比較は行われておらず、補助事業方式により老人 保健施設の整備をするに至る過程並びに建設費のほぼ全額を補助金として交付す ることの妥当性の検討が十分でなかったと考えられる。

② 貸付額及び貸付条件について

堺市「介護老人保健施設いずみの郷」運営資金貸付要綱においては、平成 12 年

度における運営に要する資金を貸し付けるとしており、具体的には平成 12 年度の

収支予算における支出超過額 82, 000 千円を貸付額として決定し、平成 13 年 3 月 30 日に貸付けを実行している。市から施設の建設及び運営について要請したとはいえ、

「いずみの郷」初年度の運営資金の支出超過額をすべて市が無利子で、償還期間 16

年 4 ヶ月という貸付条件で貸付けを実行したことは、不公平感は否めないものであ ったと考えられる。

③ 回収可能性について

平成 16 年度の社団法人堺市医師会の決算報告書を閲覧する限り、直ちに回収に

問題が生じる状態ではない。なお、堺市医師会決算報告書における介護老人保健施 設いずみの郷の特別会計収支計算書においては毎期当期損失金が計上されている が、減価償却費等の非資金費用を控除すれば収入が上回っていること及び社団法人 堺市医師会の財政状態より、現時点において回収可能性に問題はないと判断する。

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