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素粒子に関する発見 ③
https://sites.google.com/site/hakkennorekishibutsurigaku/
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ニュートリノの発見
+
ベータ崩壊
ベータ崩壊
+
ベータ線(電子)
ニュートリノ
『弱い力』により中性子が陽子に変化する際、 電子とニュートリノを放出する過程
2002年 レイモンド・デービス、小柴昌俊 天体物理学への先駆的貢献、
特に宇宙ニュートリノの検出
2002年 レイモンド・デービス、小柴昌俊 天体物理学への先駆的貢献、
特に宇宙ニュートリノの検出
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ベータ崩壊と弱い相互作用
100年前 100年前
ベータ崩壊
+ベータ線(電子)
ベータ崩壊で放出された
電子のエネルギースペクトル ベータ崩壊で放出された
電子のエネルギースペクトル
ニュートリノでめぐる素粒子・宇宙の旅 C.サットン 著 鈴木厚人 訳 から
この実験結果が大問題を 引き起こしていた
この実験結果が大問題を 引き起こしていた
なにが問題だったのか?
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アルファ線の場合
+
アルファ線
241Am 半減期 432.2 年
241Am 半減期 432.2 年
241
Am →
237Np +α
E=5.388 MeV 1.4 % E=5.443 MeV 13.0 % E=5.486 MeV 84.5 %
E
検出数
崩壊前の質量 > 崩壊後の全質量 質量差 → アルファ線のエネルギー
アインシュタインによる『質量とエネルギーの等価原理』
E=mc 2
アルファ線のエネルギーは ある決まった値になる
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ベータ線の場合
100年前 100年前
ベータ崩壊
+ベータ線(電子)
ベータ崩壊で放出された
電子のエネルギースペクトル ベータ崩壊で放出された
電子のエネルギースペクトル
ニュートリノでめぐる素粒子・宇宙の旅 C.サットン 著 鈴木厚人 訳 から
決まったエネルギーを持たない 質量欠損 ≠ エネルギー ?
エネルギーが保存しない?
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ベーター崩壊でのスピンの問題
+
n pe −
100年前 100年前
ベータ崩壊
+ベータ線(電子)
1
2 +
1
2 +
1
スピンの値
2
スピンの足し算が成り立たない!
スピンの足し算が成り立たない!
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ベータ崩壊
エネルギー保存の問題
エネルギー保存の問題 スピン(角運動量)の問題スピン(角運動量)の問題
+
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放射線淑女紳士への手紙
チューリッヒ 1930年12月4日 親愛なる放射線淑女紳士諸君
この手紙の配達人のいうことに耳を傾けていただきたい。配達人は諸君に
「私はエネルギーと角運動量の保存則を救うための絶望的な救済法を思いついた」 と発表するだろう。この救済法とは
「スピンが1/2で電気的に中性の粒子が原子核の内部に存在する」という可能性である。
この中性の粒子の質量は電子の質量と同じくらいで、陽子の質量の1/100以上ではありえない。 ベータ崩壊の際には電子1個とニュートリノ1個が放出され、電子とニュートリノの運動エネルギ ーの和が一定であるとすれば、放出された電子の運動エネルギーの問題は理解できよう。 もしニュートリノが存在すれば、とっくに発見されているはずなので、私の救済方法が非現実的 だという点は認める。しかし「虎穴に入らずんば虎児は得られない」。
エネルギー保存の破れによる事情の深刻さは、私の前任者がブラッセルで私にいわれた言葉 によって明らかになるだろう。
「新しい税金の場合と同じように、考えないことがベストなのだ。」 そこで、すべての可能な救済法を真剣に議論すべきである。 放射性諸君、私の提案を調べて判断してほしい。
W.パウリ
ニュ ート
リノ の「
発明 」
1945年 ヴォルフガング・パウリ パウリの排他原理の発見
1945年 ヴォルフガング・パウリ パウリの排他原理の発見
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ベータ崩壊: 弱い相互作用
+
ベータ崩壊
+
ベータ線(電子)
ニュートリノ
『弱い力』により中性子が陽子に変化する際、 電子とニュートリノを放出する過程
エネルギー
電子 最大
ニュートリノ 最小 エネルギー
電子 最大
ニュートリノ 最小 エネルギー
電子 最小
ニュートリノ 最大 エネルギー
電子 最小
ニュートリノ 最大
ニュートリノ(スピン ½)により解決
+ +
エネルギー
電子 半
ニュートリノ 半 エネルギー
電子 半
ニュートリノ 半
スピンの問題 スピンの問題
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C. サットン著
「ニュートリノでめぐる素粒子・宇宙の旅」より
ニュートリノ検出実験計画(1964) ニュートリノ検出実験計画(1964) 1995年 フレデリック・ライネス
レプトン物理学の先駆的実験(ニュートリノの検出) 1995年 フレデリック・ライネス
レプトン物理学の先駆的実験(ニュートリノの検出)
検出器:
液体シンチレータ+光電子増倍管 検出器:
液体シンチレータ+光電子増倍管
ニュートリノをとらえる
この実験は実行されず
この実験は実行されず
ベータ崩壊が 起きる
ベータ崩壊が 起きる
ニュートリノ発生 ニュートリノ発生
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ニュートリノ検出装置 ニュートリノ検出装置
原子炉運転中は反応が
1時間あたり36±4個多く起こる事を確認 原子炉運転中は反応が
1時間あたり36±4個多く起こる事を確認
世界最初のニュートリノ検出
R. Reines & C. L. Cowan et. al., Phys. Rev. 117 (1960) 160
ニュートリノの検出
̄ν e + p → n + e +
p → n+e + + ν e
β+崩壊
̄ν e
原子炉からのニュートリノ 原子炉からのニュートリノ
1995年 フレデリック・ライネス レプトン物理学の先駆的実験
(ニュートリノの検出)
1995年 フレデリック・ライネス レプトン物理学の先駆的実験
(ニュートリノの検出)
中性子と陽電子を検出
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レプトンは何種類?
ベータ崩壊 電子と電子ニュートリノの対
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1937年 カール・アンダーソン、ネッダー・メイヤー ミュー粒子の発見
宇宙線を霧箱で観測中に、
電子より約200倍重い粒子が含まれていることを発見。
国内では仁科芳雄も独立に発見
ミュー粒子(ミューオンの発見)
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1988年 レオン・レーダーマン、メルヴィン・シュワルツ、ジャック・シュタインバーガー
ニュートリノビーム法、および
ミューニュートリノの発見によるレプトンの二重構造の実証
1988年 レオン・レーダーマン、メルヴィン・シュワルツ、ジャック・シュタインバーガー
ニュートリノビーム法、および
ミューニュートリノの発見によるレプトンの二重構造の実証
原子炉からのニュートリノや、ましてや
原子爆弾からのニュートリノを検出するのではなく、
『加速器を利用してニュートリノビームを作り』
『ニュートリノを検出する』
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ミューニュートリノの発見
http://www.bnl.gov/bnlweb/history/nobel/images/Schwartz-335px.jpg
M.シュウォーツ ブルックヘブン国立研究所
ブルックヘブン国立研究所
パイ中間子 パイ中間子
ミュー粒子 ニュートリノ ミュー粒子 ニュートリノ
鉄鉄 陽子ビーム
陽子ビーム
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μ −
ミューニュートリノの発見
ν μ +n → μ − + p
ν μ
スパークチェンバーで記録された飛跡 スパークチェンバーで記録された飛跡
なにもない所からミュー粒子が発生 なにもない所からミュー粒子が発生
1988年 レオン・レーダーマン、メルヴィン・シュワルツ、ジャック・シュタインバーガー
ニュートリノビーム法、および
ミューニュートリノの発見によるレプトンの二重構造の実証
1988年 レオン・レーダーマン、メルヴィン・シュワルツ、ジャック・シュタインバーガー
ニュートリノビーム法、および
ミューニュートリノの発見によるレプトンの二重構造の実証
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長基線ニュートリノ実験: K2K & T2K
K2K K2K to Kamiokande T2K Tokai to Kamiokande ノーベル物理学賞候補。
ニュートリノに質量があることを
「ニュートリノ振動現象」によって明らかにした ただし....
K2K K2K to Kamiokande T2K Tokai to Kamiokande ノーベル物理学賞候補。
ニュートリノに質量があることを
「ニュートリノ振動現象」によって明らかにした ただし....
ニュートリノビームを入射する ニュートリノビームを入射する
KEK@筑波 KEK@筑波
J-PARC@東海 J-PARC@東海
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電子 陽電子
1974年 スタンフォード線形加速器研究所
電子と陽電子を衝突させ、タウ粒子と反タウ粒子の対生成に成功
電子の約3500倍の質量 陽子の約2倍
ミュー粒子の約18倍 1995年 マーチン・パール
レプトン物理学の先駆的実験(タウ粒子の発見) 1995年 マーチン・パール
レプトン物理学の先駆的実験(タウ粒子の発見)
タウ粒子の発見
http://www.slac.stanford.edu/history/images/MarkIdet.jpg
生成される粒子を検出 生成される粒子を検出
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1999年 DONUT実験
・ FNAL-テバトロン加速器
→ タウニュートリノを発生させる
→ 標的中でタウ粒子を生成させる
→ タウ粒子を検出
1999年 DONUT実験
・ FNAL-テバトロン加速器
→ タウニュートリノを発生させる
→ 標的中でタウ粒子を生成させる
→ タウ粒子を検出
タウニュートリノの発見
名古屋大学が中心になって実験を成功に導いた 名古屋大学が中心になって実験を成功に導いた
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弱い相互作用に関する発見
原子核のベータ崩壊を 引き起こす力
原子核のベータ崩壊を 引き起こす力
エンリコ・フェルミ
『フェルミ相互作用』
1938年 エンリコ・フェルミ
中性子衝撃による新放射性元素の発見と 熱中性子による原子核反応の発見
1938年 エンリコ・フェルミ
中性子衝撃による新放射性元素の発見と 熱中性子による原子核反応の発見
W、Z 粒子による力
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弱い相互作用に関する発見
1984年 カルロ・ルビア、シモン・ファンデメール
弱い相互作用を媒介する場の粒子(ウィークボゾン)の発見を導いた 巨大プロジェクトへの貢献
1984年 カルロ・ルビア、シモン・ファンデメール
弱い相互作用を媒介する場の粒子(ウィークボゾン)の発見を導いた 巨大プロジェクトへの貢献
1979年 シェルドン・グラショー、アドゥス・サラム、スティーブン・ワインバーグ 電磁相互作用と弱い相互作用の統一理論への貢献、特に中性カレントの予想
1979年 シェルドン・グラショー、アドゥス・サラム、スティーブン・ワインバーグ 電磁相互作用と弱い相互作用の統一理論への貢献、特に中性カレントの予想
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Phys. Lett. 46B (1973) 121
http://www.symmetrymagazine.org/images/200908/logbook_image.jpg
e−
Z 0
e−
中性 カレントの発見: CERN, 1973
Gargamelle 泡箱検出器 Gargamelle 泡箱検出器
http://wwwlapp.in2p3.fr/neutrinos/neutimg/nhistory/gargamelle.jpg
e
−
e
−YAMAGATA UNIVERSITY
CERN SppS
陽子(270 GeV)-反陽子(270 GeV) 衝突実験 陽子中のクォークと、反陽子中の反クォークの対消滅
→ 荷電ボソン (W+,-ボソン)
→ 中性ボソン (Z0ボソン)を生成 ud W ee,
ud W− e−e , −
MW=80.4 GeV /c2 CERN-UA1CERN-UA1
http://wwwlapp.in2p3.fr/neutrinos/neutimg/nhistory/ua1.jpg
uu Z0ee− , −
1984年 カルロ・ルビア、シモン・ファンデメール 弱い相互作用を媒介する場の粒子
(ウィークボゾン)の発見を導いた 巨大プロジェクトへの貢献
1984年 カルロ・ルビア、シモン・ファンデメール 弱い相互作用を媒介する場の粒子
(ウィークボゾン)の発見を導いた 巨大プロジェクトへの貢献
ウィークボゾンの発見
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力の統一
電弱対称性
電磁気 弱い相互作用
自発的対称性の破れ
ゲージボソン
W+, W-, W0, B0(質量0)
ゲージボソン
γ0 (質量0)
ゲージボソン
W+, W- 80.4 GeV Z0 91.2 GeV
2008年 南部陽一郎、小林誠、益川敏英
クォーク3世代を予言した、「対称性の破れ」の起源の発見 2008年 南部陽一郎、小林誠、益川敏英
クォーク3世代を予言した、「対称性の破れ」の起源の発見
エネルギー
結合の強さ
弱い力
電磁気力
力の統一
1979年 シェルドン・グラショー、アドゥス・サラム、スティーブン・ワインバーグ 電磁相互作用と弱い相互作用の統一理論への貢献、特に中性カレントの予想
1979年 シェルドン・グラショー、アドゥス・サラム、スティーブン・ワインバーグ 電磁相互作用と弱い相互作用の統一理論への貢献、特に中性カレントの予想
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エネルギーの基準
事 象 の 起こ り 易 さ
電磁相互作用 弱い相互作用
『電磁相互作用』と『弱い相互作用』の統一
電磁相互作用と
弱い相互作用は違う 電磁相互作用と
弱い相互作用は違う
電磁相互作用と
弱い相互作用が同じ 電磁相互作用と
弱い相互作用が同じ
宇宙の進化 宇宙の進化
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宇宙の進化と力の分離
『電磁相互作用』と
『弱い相互作用に分離』
『電磁相互作用』と
『弱い相互作用に分離』 電弱相互作用
電弱相互作用
『電弱相互作用』
『強い相互作用』
『重力相互作用』 の統一
『電弱相互作用』
『強い相互作用』
『重力相互作用』 の統一
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『自発的対称性の破れ』
2008年 南部陽一郎、小林誠、益川敏英
クォーク3世代を予言した、「対称性の破れ」の起源の発見 2008年 南部陽一郎、小林誠、益川敏英
クォーク3世代を予言した、「対称性の破れ」の起源の発見 円卓にスープが配膳
→ 対称
スプーンが配膳
→ 対称
スプーンに手を伸ばす
→ 対称性が『破れる』
『右利き』と『左利き』で ストレスが違う
エネルギー準位が違う
→ 対称性を破る相互作用
→ あらたなルールが生まれた
超伝導の発生メカニズム等とも関係 超伝導の発生メカニズム等とも関係
いただきま~す
おいしそう こっちか はらへった~ とりにくい
よいしょっ
たのしみ
なにかな~
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神の粒子(ヒッグス粒子)の発見
http://www.youtube.com/watch?v=RIg1Vh7uPyw http://www.youtube.com/watch?v=RIg1Vh7uPyw
ヒッグス粒子って?
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素粒子物理学の発展
1935年 ジェームズ・チャドウィック 中性子の発見
1936年
ビクター・ヘス 宇宙線の発見
カール・デイヴィット・アンダーソン 陽電子の発見 1950年 セシル・パウエル
写真による原子核崩壊過程の研究方法の開発および諸中間子の発見 1959年 エミリオ・セグレ、オーウェン・チェンバレン
反陽子の発見
1976年 バートン・リヒター、サミュエル・ティン ジェイプサイ中間子の発見
1984年 カルロ・ルビア、シモン・ファンデメール
弱い相互作用を媒介する場の粒子(ウィークボゾン)の発見を導いた巨大プロジェクトへの貢献 1988年 レオン・レーダーマン、メルヴィン・シュワルツ、ジャック・シュタインバーガー ニュートリノビーム法、およびミューニュートリノの発見によるレプトンの二重構造の実証 1995年
マーチン・パール レプトン物理学の先駆的実験(タウ粒子の発見) フレデリック・ライネス レプトン物理学の先駆的実験(ニュートリノの検出)
1933年 エルヴィン・シュレディンガー 、ポール・ディラック 新形式の原子理論の発見
1927年 チャールズ・ウィルソン
蒸気の凝縮により荷電粒子の飛跡を観察できるようにする方法(霧箱)の研究
1949年 湯川秀樹
核力の理論的研究による中間子の存在の予言
1969年 マレー・ゲルマン
素粒子の分類およびその相互作用に関する発見
1990年 ジェローム・アイザック・フリードマン、ヘンリー・ケンドール、リチャード・E・テイラー 素粒子物理学におけるクォーク模型の決定的重要性をもった、
陽子および中性子標的による電子の深非弾性散乱に関する先駆的研究
2004年 デヴィッド・グロス、H・デヴィッド・ポリツァー、フランク・ウィルチェック 強い相互作用の理論における漸近的自由性の発見
1970年 シェルドン・グラショー、アドゥス・サラム、スティーブン・ワインバーグ 電磁相互作用と弱い相互作用の統一理論への貢献、特に中性カレントの予想
YAMAGATA UNIVERSITY
2008年 南部陽一郎、小林誠、益川敏英
クォーク3世代を予言した、「対称性の破れ」の起源の発見 1999年 ヘラルド・トフーフト、マルティヌス・フェルトマン
電弱相互作用の量子構造の解明
1980年 ジェムス・クローニン、ヴァル・フィッチ
中性K中間子崩壊におけるCP対称性の破れの発見
1970年 シェルドン・グラショー、アドゥス・サラム、スティーブン・ワインバーグ 電磁相互作用と弱い相互作用の統一理論への貢献、特に中性カレントの予想 1963年 ユージン・ウィグナー
原子核および素粒子に関する理論への貢献、時に対称性の基本原理の発見とその応用
1957年 ヤン・チェンニン、リー・ツンダオ
『パリティ対称性の破れ』の研究