平成27年(行ケ)第3号
地方自治法第245条の8第3項の規定に基づく埋立承認処分取消処分取 消命令請求事件
原 告 国土交通大臣 石 井 啓 一 被 告 沖縄県知事 翁 長 雄 志
第17準備書面
平成28年1月7日
福岡高等裁判所那覇支部民事部ⅡC係 御 中
被告訴訟代理人
弁護士 竹 下 勇 夫
弁護士 加 藤 裕
弁護士 亀 山 聡
弁護士 久 保 以 明
弁護士 仲 西 孝 浩
弁護士 秀 浦 由紀子
被告指定代理人
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本書面は、原告第3準備書面の 119 頁から 201 頁(第3・5(2)ウ から第3・5(6)ウ)について、原告の主張は、議論をすり替えた欺瞞 的なものであり、不合理、不誠実きわまりない主張であることについ て述べるものである。
目次
第1 海兵隊航空(輸送ヘリ・オスプレイ部隊)基地についての日本本土 との対比における沖縄の地理的優位性の実証的根拠は示されていないこと ... 4 1 日本本土・沖縄は大陸沿岸の一連の島嶼弧を形成すること ... 4 2 南 西 諸 島 の 中 心 に 位 置 す る こ と を も っ て 海 兵 隊 輸 送 航 空 機 基 地 が 沖縄になければならないとすることの不合理性 ... 5 (1) 南西諸島のみを取り上げることの不合理性 ... 5 (2) 島 嶼 防 衛 の 必 要 性 と 海 兵 隊 航 空 基 地 が 沖 縄 に 所 在 し な け れ ばな らない必然性がなんら具体的・合理的に説明されていないこと ... 6 (3) シ ー レ ー ン 防 衛 と 沖 縄 県 内 へ の 海 兵 隊 輸 送 機 の 駐 留 の 必 然 性に ついての合理的根拠が示されていないこと ... 9 (4) 台湾海峡との関係について ... 13 3 朝 鮮 半 島 や そ の 他 の 地 域 に 関 す る 原 告 主 張 の 不 合 理 性 、 不 誠 実 性
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(1) 原告の主張 ... 24
(2) 「在日米軍・海兵隊の意義及び役割」(甲A178)・9頁について ... 24
(3) 一川防衛大臣による第 1次回答(甲A67)・5~6頁について . 26 第2 「米軍海兵隊の一体的運用の必要性について」(原告第3準備書面・ 136 頁以下)における原告主張の欺瞞性 ... 27
1 原告による被告主張のすり替えについて ... 28
(1) 原告が「被告の主張」と称する内容 ... 28
(2) 実際の被告の主張 ... 29
(3) 小括 ... 31
2 強 襲 揚 陸 ( 上 陸 ) 以 外 の 任 務 も 揚 陸 艦 に 搭 載 さ れ て 行 わ れ る こ と ... 31
(1) はじめに ... 31
(2) 海兵隊ウェブサイトや元防衛大臣の著書 ... 32
(3) 31MEUが実際に行った任務の内容 ... 33
(4) CH‐46E の行動半径から判明すること ... 35
(5) 海 兵 隊 の 根 拠 法 令 か ら も 海 軍 艦 船 に 搭 乗 し て 行 う 任 務 が 主 任務 であるといえること ... 35
(6) 小括 ... 38
3 原告の主張する事例について ... 38
(1) 平成 25 年台風 30 号によるフィリピンの台風被害への救援活動 (ダマヤン作戦)について ... 38
(2) イラクへの輸送ヘリ部隊の派遣について ... 39
第3 「抑止力」及び「矛」という主張について ... 40
1 「抑止力」という主張について ... 40
3
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第1 海兵隊航空(輸送ヘリ・オスプレイ部隊)基地についての日本本土
との対比における沖縄の地理的優位性の実証的根拠は示されていない
こと
1 日本本土・沖縄は大陸沿岸の一連の島嶼弧を形成すること
安保条約は、日本国と米国との間で締結をされているものであり、 日本国全体の問題であるが、埋立必要理由書(甲A5の2・1頁)は、 「沖縄に、高い機動力と即応性を有し、様々な緊急事態への対処を担 当する米海兵隊をはじめとする米軍が駐留していることは、わが国の 安全のみならずアジア太平洋地域の平和と安定に大きく寄与している」 として、沖縄の地理的優位性を辺野古における埋立ての根拠としてい る(原告第3準備書面・154 頁)。
しかし、沖縄を含めた広義の日本列島がアジア太平洋地域において、 大陸沿岸の一連の島嶼弧を形成しているものである。
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2 南西諸島の中心に位置することをもって海兵隊輸送航空機基地が沖
縄になければならないとすることの不合理性
(1) 南西諸島のみを取り上げることの不合理性
原告は、沖縄島が南西諸島の中心にあることを主張する。
しかし、南西諸島が重要であるとしても、日本本土の他の地域は 重要ではない、あるいは朝鮮半島は重要ではないというのであろう か。また、日本国の国境や領土問題は、南西にのみ所在するもので はない。日本国は日本海やオホーツク海にも面し、太平洋や東シナ 海に面しているのは沖縄だけではない。
日本国内における地理的優位性とは、日本国全体の安全保障の問 題として、基地を日本国内のどこに設置するかという問題であり、 沖縄に基地があることの有用性をいうだけでは意味をなさない。日 本本土では有用性がなく、沖縄であれば有用性があるということを 言わなければ、それは、日本本土に対する沖縄の地理的優位性を示 したことにはならない。
また、南西諸島の中心に所在する沖縄に米軍基地が所在しても、 日本本土や朝鮮半島、北方の国境等への対応が可能であるならば、 それは逆に、日本本土に米軍基地があっても、南西諸島や南シナ海 等を対応できることを意味するはずである。
安全保障は、南西諸島だけの問題ではなく、日本国全体の問題で あるが、日本本土との対比における沖縄の地理的優位性について、 合理的な説明は一切なされていない。原告が潜在的紛争地域として 明示している朝鮮半島との関係のみをとっても、日本国のなかで、 沖縄が近接しているものではない。
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(2) 島 嶼 防 衛 の 必 要 性 と 海 兵 隊 航 空 基 地 が 沖 縄 に 所 在 し な け れ ばな
らない必然性がなんら具体的・合理的に説明されていないこと
ア わが国の島嶼防衛の責任をおっているのは自衛隊である。
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的に実施する。必要が生じた場合、自衛隊は島嶼を奪回するため の作戦を実施する。このため、自衛隊は、着上陸侵攻を阻止し排 除するための 作戦、 水陸両 用作戦 及び迅 速な部 隊展開 を含む が、 これに限られない必要な行動をとる」とし、島嶼防衛はわが国の 責任であることが明確にされている1。
イ また、かりに、米軍、海兵隊が南西諸島の島嶼防衛をすること を前提としても、沖縄に海兵隊輸送機部隊が配備されなければな らないとする実証的な説明はなされていない。
(ア) 占領された島嶼の奪還を、米海兵隊が行うことを想定すると しても、そのような作戦を行う場合には揚陸艦が必要となる。
揚陸艦が洋上展開しているのであればその地点から向かうこ とになり、沖縄に地理的必然性はない。
また、揚陸艦が母港である長崎県・佐世保基地に停泊をして いれば、そこから回航されることになるが、地続きで佐世保基 地から乗艦できる地域との優劣はなんら明らかにされていない ものであり、日本本土との対比における沖縄の地理的優位性が 示されているということはできない。
(イ) また、強襲揚陸(上陸)作戦以外の任務について、揚陸艦が 無関係ということはできない。
甲A178(在日米軍・海兵隊の意義及び役割)の 17 頁、甲A
179(在日米軍及び海兵隊の意義・役割)の 13頁の図にあると
おり、強襲揚陸(上陸)作戦以外についても、海兵隊は揚陸艦 と任務を行うことが想定されているものである。
また、MV‐22 オスプレイのキャビン寸法等は、乙D78 に 示されているとおりであり、最大幅 1.8 メートル、最大高 1.83
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メートル(貨物の最大積載可能寸法は最大幅 1.73 メートル、最 大高 1.68メートル)であるから、きわめて小型な特殊車両しか 搭載できないため、民間人の防護・救出活動(甲 179 の 14頁 の図参照)に必要な車両も搭載することはできない。
南西諸島への侵攻という事態への対応について、「強襲上陸作 戦の遂行のみが米軍海兵隊の任務ではないから、強襲揚陸艦の 母港との位置関係において、米軍海兵隊にとっての沖縄の地理 的優位性を云々することは意味がない」とする原告主張は、不 合理なものと言わざるをえない。
ウ さらに、かりに、原告の主張するとおり、揚陸艦が関係しない ものとし、オスプレイの機能を前提とするとしても、やはり沖縄 でなければならないとする実証的な説明はなされていない。 原告第3準備書面・130 頁には、「仮に、当該ヘリ部隊による陸
上部隊の輸送に当たり、MV‐22 オスプレイ(航続距離約 3,900 ㎞・行動半径約 600㎞/空中給油1回の行動半径は約 1,100㎞(乙 E第 22 号証3頁))を用いれば2、沖縄本島を中心として、北は九
州南端から南は尖閣諸島や与那国島に至るまでの広大な南西諸 島(沖縄本島を中心に約 500 ㎞の範囲(甲A第 180 号証、甲A181 号証、甲A第 65号証 22 ページ及び 34ページ))は、同機の行動 半径に含まれることになり、また、1 回の空中給油を行えば、行 動半径は朝鮮半島南部、台湾、さらにフィリピン北部にまで及ん
2 緊急事態に陸上部隊を何百㎞もの距離にわたって輸送するためにオスプ
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でおり、加えて、給油なしの航続距離は、実に 3,900㎞に及ぶ(乙 E22 号証3ページ)」とされている。
空中給油も可能であり最高速度は時速500㎞を超えるのである から(乙D75・60頁、乙E22・3頁)、飛行できる範囲は広範に なり、実際、山口県・岩国基地から沖縄へも2時間で飛来してい る。
原告の主張を前提とするならば、日本本土にMV‐22オスプレ イを配備すれば、南西諸島まで対応可能ということになる。もち ろん、南西諸島については沖縄島に配備した場合には日本本土に 配備した場合と比して飛行時間は長くなるが、他方で、朝鮮半島 との関係では飛行時間は短くなるのであるから、日本国内のどこ にオスプレイを配備するのかということについて、日本本土との 対比で沖縄島に配備しなければならない必然性は認められない ものである。
(3) シ ー レ ー ン 防 衛 と 沖 縄 県 内 へ の 海 兵 隊 輸 送 機 の 駐 留 の 必 然 性に
ついての合理的根拠が示されていないこと
ア 原告は、「シーレーンの近傍にある南西諸島の安全を確保するこ とが必要」(原告第3準備書面・155 頁)と主張する。シーレーン は南西諸島を終点とするものではなく、日本本土までの航路帯で あるが、原告 の主張 は日本 本土に ついて はなん ら触れ ていな い。 イ また、自衛隊は、概ね千海里程度を自衛することを目標として
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戒機4機、SH60哨戒ヘリ 84機などの航空機を保有し、世界屈 指の哨戒能力を有しているものである。なお、P‐3C等が対潜 哨戒機能を有することは当然であるが、それは対潜水艦という高 度な機能を有することが他の機能を有しないということを意味 するものではないことは言うまでもないことであって、洋上監視、 捜索救難、輸送等の多目的の機能を有しているものである。実際、 自衛隊のP‐3C哨戒機は、ソマリア沖・アデン湾の海賊対処任 務に従事している。
また、米軍に関していうならば、嘉手納飛行場には、哨戒機約 8 機が常駐し(乙D20・248 頁)、その他の空軍力も備えている。
もちろん、米軍には、横須賀、佐世保、グアム等を主要基地と する第7艦隊等の太平洋艦隊が洋上においてプレゼンスを示し ているものである。第 7艦隊は「1個空母打撃群を中心に構成さ れており、日本、グアムを主要拠点として、領土、国民、シーレ ーン、同盟国その他米国の重要な国益を防衛することなどを任務 とし、空母、水陸両用戦艦艇やイージス巡洋艦などを配備してい る」(平成 24年版防衛白書)とされ、シ ーレー ン防衛 につい て、 第 7 艦隊が重要な位置づけを有していることは当然である。
被告第 12準備書面においても引用したが、本訴訟における原 告主張に対する専門家(田岡俊二)の認識(乙D58)をあらため て引用しておく。
記
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強調している が、こ れは太 平洋経 由の海 上輸送 を含ん だもの だ。 東・南シナ海経由で原油の約 80%が輸入されるが、紛争があれば、 インドネシアのバリ島の東、ロンボク海峡を抜け、フィリピン東 方を回れば済む。ペルシャ湾から東京湾までの運賃は巨大タンカ ーだと㍑あたり 1 円余、片道2、3日航路が延びても10 銭程度 増えるだけだ。
安倍晋三首相も 6 月 1 日の衆院安保法制特別委員会などで、南 シナ海に機雷が敷設された場合の集団的自衛権行使を問われ、 「南シナ海ではさまざまな迂回路があり、ホルムズ海峡とは大き く違う」と答弁し、存立危機事態に当たらないとの判断を示して いる。東・南シナ海航路は日本の輸出額の 23.8%を占める中国・ 香港との通商路として重要だが、それを米海兵隊が守るわけでは ない。
現在、普天間にいるオスプレイ 24 機とヘリコプター10 余機が 「抑止力」というのも誇大広告じみている。非武装の軽輸送機オ スプレイが海上交通路の防護に役立たないのはもちろんだし、米 軍が中国に対する上陸作戦をするわけでもない。
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尖閣防衛については、今年 4月 27日に合意された「日米防衛 協力の指針」の英文で、「自衛隊は島嶼に対するものを含む陸上 攻撃を阻止し、排除するプライマリー・リスポンシビリティー(一 義的責任)を有する」と定め、「米軍は支援、補完を行う」だけ だ。この発表 前日、 米国は 「指針 は中国 に対す るもの ではな い」 と中国に内容 を説明 してい る。事 前にご 説明に 参上す るので は、 牽制にもならない。
政府が司法の裁定を求めるに当たっては極力正確で公正な事 実のみを提示すべきで、相手は素人だとみてあざとい訴状を出す のは自らの威信を傷付ける。
ウ なお、原告は、原告第3準備書面・169 頁以下において、シー レーン防衛と普天間飛行場に配備された輸送ヘリ部隊の基地と の位置関係について3、「佐世保基地の揚陸艦に搭載されて広く洋
上で任務に就くものであるから、沖縄がシーレーンに近いか否か ということは意味をなさない」との主張を引用し、これに対する 反論として、「米海兵隊は、例えば、アデン湾・ソマリア沖にお いて海賊対処に当たっており(証拠略)、米軍海兵隊はその優れ た則応力と機動性を発揮して、シーレーンの安全確保のための任 務を遂行している」(原告第3準備書面)と主張している。
しかし、アデン湾・ソマリア沖では、海兵遠征部隊(13MEU、 15MEU)を海軍艦船(強襲揚陸艦ボクサー、強襲揚陸艦ペリリ ュー等)に搭載した水陸両用即応群(ARG)により、海賊からの 商船の救出活動が行われたものである。
そもそも東アフリカ沖及び東アフリカとアラビア半島にはさま れた湾において米海兵隊が海賊対処の任務を行ったことが、日本
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本土ではなく南西諸島に位置する沖縄に海兵隊の輸送ヘリ等が 配備されなければならないことの根拠にならないことは明らか である4。
(4) 台湾海峡との関係について
ア 被告は、被告第3準備書面・307 頁において「日本本土より沖 縄が台湾海峡に近いとしても、佐世保基地の揚陸艦が到着するこ とを待たなければならないことに変わりはなく、地続きで佐世保 基地から乗艦できる地域との優劣はなんら明らかにされていな い。また、朝鮮半島と台湾海峡の双方との距離を考えても、例え ば、九州と比較して沖縄に有利性があるとは言えない。」と主張 した。
これに対して、原告は、原告第3準備書面・167頁(台湾海峡 との関係について)において、「強襲揚陸艦と米軍海兵隊とは一 体不可分の関係にあるわけではなく、強襲上陸作戦の遂行のみが 米軍海兵隊の任務ではないから、強襲揚陸艦の母港との位置関係 において、米軍海兵隊にとっての沖縄の地理的優位性を云々する ことは意味がない」と主張している5。
イ 「強襲揚陸艦の母港との位置関係において、米軍海兵隊にとっ ての沖縄の地理的優位性を云々することは意味がない」とする原 告主張は、およそ合理的なものではない。
(ア) 原告第3準備書面の当該箇所(台湾海峡との関係において) においては、まさに揚陸艦に搭載されて行う任務そのものが主 張されている。
4 なお、自衛隊は、ソマリア沖・アデン湾への海賊対処のため、護衛艦及
び哨戒機(P‐3C)を派遣している。
5 被告は、「強襲上陸作戦の遂行のみが米軍海兵隊の任務」であるなどとは
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すなわち、原告第3準備書面・168~169 頁において、「中国 の艦艇及び航空機が活動を活発化させている地域は、尖閣諸島 周辺、ひいては、南西諸島に重なる『第一列島線』のライン上 にまで及んでいるといえる。一方で、場合によっては、南西諸 島のいずれかの我が国の島嶼防衛のため、米軍海兵隊の優れた 上陸作戦能力が必要となり、また、艦船に対して海上阻止活動 を行い、あるいは、民間人の救助活動等を行う必要が生じる可 能性も十分にある」としたうえで、「南西諸島地域にある島嶼へ の侵攻が発生した場合等には、これに対応するのは海軍・空軍 のみであるということはできず、また、米軍海兵隊の即応性・ 機動性を有する能力が必要にならないなどということもできな いから、被告の上記主張にも理由がないことは明らかである」 とされ、強襲揚陸(上陸)作戦の必要性が主張されているもの である。
強襲上陸 作戦の 遂行の みが米 軍海兵 隊の任 務では ないか ら、 強襲揚陸艦の母港との位置関係において、米軍海兵隊にとって の沖縄の地理的優位性を云々することは意味がない」と主張し ながら 、米海 兵隊の 任務の 内容と してま さに強 襲揚陸 (上陸 ) 作戦そのものを主張しているものであり、そもそも原告の当該 主張には論理矛盾があるものと言うべきである。
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をもって海兵隊輸送航空機基地が沖縄になければならないとす ることの不合理性)において前述したとおりである。
3 朝鮮半島やその他の地域に関する原告主張の不合理性、不誠実性
(1) 朝 鮮 半 島 有 事 と 沖 縄 の 地 理 的 優 位 性 に つ い て 何 ら 合 理 的 な 説明
がなされていないこと
ア 被告は、朝鮮半島有事に対する海兵隊の役割との関係において、 日本本土に対する沖縄の地理的優位性は認められないことを主 張した。すなわち、被告第3準備書面・305 頁以下において、「沖 縄に駐留することは、朝鮮半島との距離は日本本土よりも遠ざか ることになる。例えば、沖縄―ソウル間は約 1260 キロメートル であるのに対し、福岡―ソウル間は約 534キロメートル、熊本― ソウル間は約620キロメートルである…第7艦隊の主力が母港と しているのは、日本本土の神奈川県・横須賀基地と長崎県・佐世 保基地であり、沖縄の海兵隊との関係でいうならば、海兵隊を搭 載する揚陸艦の母港は、長崎県・佐世保基地である。したがって、 第7艦隊の母港との距離は、日本国内において沖縄に海兵隊基地 を置くことの必然性を示すものではなく、逆に、沖縄に海兵隊基 地を集中させることの不合理性を示すものである…朝鮮半島有 事への対応は、日本本土と沖縄との対比において、沖縄に地理的 優位性があることの根拠にはならないものである。」と主張した。 この被告の主張について、原告第3準備書面 162頁以下におい
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イ 「国は、たんに朝鮮半島との関係で、沖縄本島の地理的優位性 を主張しているのではない」との主張は、具体的内容はなにもな い。
南西諸島、シーレーンについては長々と主張しているのに対し て、朝鮮半島有事については、そもそも安全保障上重要性がある のか否かについてすら一切述べられていない。
しかし、朝鮮半島有事への対応が在日海兵隊の最も主要な任務 であることはあまりにも明らかであり、そのことにも触れようと しない原告の主張がまったくの誤魔化しであることは明らかで ある。
沖縄戦後、海兵隊は沖縄にも日本本土にも駐留せず、米国に戻 ったものであったが、日本に駐留するようになったのは、朝鮮半 島に展開する部隊の支援等のためであり、朝鮮半島こそが海兵隊 の主要な対象地であることは当然である。これが違うというので あれば、原告はそのことを明示すべきである。
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北朝鮮の弾道ミサイル開発は、累次にわたるミサイルの発射によ る技術の進展により、新たな段階に入ったと考えられるほか、昨 今は弾道ミサイルの研究開発だけでなく、奇襲攻撃を含む運用能 力の向上を企図した動きも活発化している。また、北朝鮮による 核開発については、朝鮮半島の非核化を目標とする六者会合が 08
(平成 20)年末以降中断している。北朝鮮は、国際社会からの自
制要求を顧みず、核実験を実施しており、核兵器の小型化・弾頭 化の実現に至っている可能性も排除できず、時間の経過とともに、 わが国が射程内に入る核弾頭搭載弾道ミサイルが配備されるリ スクが増大していくものと考えられる。また、高濃縮ウランを用 いた核兵器開発も推進している可能性がある。さらに、北朝鮮は、 わが国を含む関係国に対する挑発的言動を繰り返し、特に 13(同 25)年には、わが国の具体的な都市名をあげて弾道ミサイルの打 撃圏内にあることなどを強調した。このような北朝鮮の軍事動向 は、わが国はもとより、地域・国際社会の安全保障にとっても重 大な不安定要因となっており、わが国として今後も強い関心を持 って注視していく必要がある。」とされている。
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イ そして、朝鮮半島に対する関係では、海兵隊の輸送航空機の配 備について、日本本土と比較して沖縄の地理的優位性が認められ ないことは明らかである。
朝鮮半島との距離は、日本本土(西日本)と比較すれば沖縄は 明らかに遠いものである。
しかも、ただ、日本本土よりも遠いわけではない。
沖縄は本格的な海軍基地の建設には適していないため、日本本 土にしか本格的な海軍基地は存在しないものであり、沖縄には揚 陸艦の母港が存しない6。そのため、朝鮮半島有事の際に、沖縄本
島から輸送ヘリやその任務の支援にあたるヘリ等が出撃するた めには、一旦、長崎県・佐世保基地から沖縄島まで揚陸艦が回航 し、これに搭載されてから朝鮮半島に向かうことになるものであ るから、朝鮮半島有事に対する即応性という点では、日本本土と の対比において地理的優位性を欠くことは明らかというべきで ある。
ウ また、原告第3準備書面・163~165 頁は、平成 23 年 12月 19 日付一川保夫防衛大臣の回答(甲 A67、以下「第1次回答」とい
う。)の 22~23 頁の内容を引用している。
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第1次回答の内容は、「○仮に、海兵隊が、九州や本州に駐留し た場合、沖縄と比較し、確かに朝鮮半島に近くなる場合がある一 方で、それだけ台湾、東南アジアといった地域から遠ざかること になる。・例えば、沖縄から比較的近い九州に所在する米海軍佐 世保基地であっても、沖縄北東約 800 ㎞に位置しており、当該基 地から我が国最西端に所在する与那国島までは約1200㎞の距離、 時間にすれば、艦船(20㏏)で約 32 時間、回転翼機(120 ㏏) で約5時間半を要することとなる。・他方で、沖縄から与那国島 までは約 500 ㎞の距離であり、同様に換算すれば、艦船で約 13 時間半、回転翼機で約2時間となり、米軍佐世保基地との比較に おいて、艦船、航空機のいずれの場合においても半分以下の時間 で展開が可能であることを意味する。」というものである。
この内容自体は、まったく無内容というほかはない。「例えば」 以下で延々と述べている内容は、長崎県の佐世保と沖縄県の与那 国島の間の距 離と、 沖縄島 と与那 国島の 間の距 離を比 較すれ ば、 佐世保よりも沖縄島の方が与那国島に近いということであり、当 たり前の話である7。
7 なお、原告第3準備書面・164 頁に引用されている防衛大臣の回答(第
1次回答)は、欺瞞と言うべきものであった。当時、中核的な機種はCH
46‐Eである。パンフレットでは、CH46‐Eの航続距離 680 ㎞としてこ
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比較をするならば、少なくとも、同時に朝鮮半島有事に対応す る場合に、佐世保から朝鮮半島までの時間と佐世保から沖縄に回 航しさらに朝鮮半島まで達するまでの時間を比較しなければ、な んの意味もなさない。
エ 原告の海兵隊(輸送ヘリ・オスプレイ部隊)基地について沖縄 に地理的優位性があるという主張は、朝鮮半島に関する合理的な 疑問について一切答えていないものである8。
答当時の中核機CH46‐Eの行動半径は沖縄島周辺にとどまり与那国島 には及んでいないのであり、「航空機…の場合においても半分以下の時間で 展開が可能である」とすることは、欺瞞的としか言いようのないものであ った。
8 この点については、「4『我が国周辺のそれぞれの潜在的紛争地域との関
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(2) ロシアなどについて一切触れないという恣意性
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原告は、原告第3準備書面・182 頁において、中国機に対する自 衛隊機の緊急発進(スクランブル)について縷々述べているが、平 成 26 年度に外国機に対する自衛隊機の緊急発進(スクランブル) の回数が最も多かったのは、中国機に対するものではなく、ロシア 機に対するものである。
日本の安全保障は、南西だけの問題ではない。
平成 27 年版防衛白書においては、原告第3準備書面の「我が国 を取り巻く国際情勢」がロシアについて一切触れていないのと対照 的に、第1部「我が国を取り巻く安全保障環境」第2節「アジア太 平洋地域の安全保障環境」は、朝鮮半島、中国とともに、ロシアを 取り上げている。
すなわち、 ロシア に ついて、「新た な経 済力・文明 力・軍 事 力の 配置を背景に、影響力ある大国になることを重視しており、これま での経済発展を背景に、軍の即応態勢の強化や新型装備の開発・導 入を推進すると同時に、核戦力を引き続き重視している。昨今、ロ シアは、自らの勢力圏とみなすウクライナをめぐり欧米諸国などと の対立を深めているほか…引き続き国防費を増大させ、軍の近代化 を継続しているほか、最近では、アジア太平洋地域のみならず、北 極圏、欧州、米本土周辺などにおいても軍の活動を活発化させ、そ の活動領域を拡大する傾向がみられる。極東においては、ロシア軍 による大規模な演習も行われている。また、ロシアは、ウクライナ 領内において、国家による武力攻撃と明確には認定し難い『ハイブ リッド戦』を展開し、力を背景とした現状変更を試みており、アジ アを含めた国際社会全体に影響を及ぼし得るグローバルな問題と認 識されている。」とし、ロシアを大きく取り上げている。
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とながら東側、北側にも国境があり、また、ロシア太平洋艦隊の本 部 は 日 本 海 に 面 し た ウ ラ ジ オ ス ト ク に 置 か れ て い る ( 上 記 図 表 Ⅰ -1-4-2(日本列島は地図の右下)参照)。
南西諸島についてのみ強調し、ロシアに至っては殊更に触れもし ないで、沖縄の地理的優位性を主張することは、不合理である。
4 「我が国周辺のそれぞれの潜在的紛争地域との関係で相対的に近い
(近すぎない)位置にある」との主張について
(1) 原告の主張
「沖縄本島は、いずれの方面の潜在的紛争地域に向かっても、比 較的短時間で迅速な軍事的対応が可能な地域にありながらも、それ ら の 地 域 か ら 一 定 の 距 離 を 保 っ て い る 」( 原 告 第 3 準 備 書 面 ・157 頁)と主張している。また、前述したとおり、原告第3準備書面の 「朝鮮半島有事との関係について」の項目において、「沖縄本島の地 理的優位性は、我が国の潜在的紛争地域のいずれとの関係でも相対 的に近い(近すぎない)位置にあって、いずれの方面にも、比較的 短 時 間 で 、 迅 速 な 軍 事 対 応 が 可 能 な 場 所 に あ る こ と に あ る 」(165 頁)と主張している。
これは、基本的に、パンフレット及び第1次回答と同じものであ るが、日本本土との対比における沖縄の地理的優位性についてなん らの合理的根拠は示されていないものである。
(2) 「在日米軍・海兵隊の意義及び役割」(甲A178)・9頁について
潜在的紛争地域について、パンフレット・9頁は、朝鮮半島と台 湾海峡を具体的に挙げ9、「距離的近接性による対応の迅速性確保は
軍事上極めて重要となります」とし、「沖縄―ソウル 距離:1260
93(2)において述べたとおり、ロシアが示されていないことは、恣意的と
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㎞」「沖縄-台北 距離:約 630 ㎞」と距離を示している。
朝鮮半島と台湾海峡との地理関係でいえば、日本本土についても、 その双方について 1200 キロメートル程度、600 キロメートル程度 の位置に所在する地域は存在する。例えば、熊本を例にとって地理 的関係を見ると、熊本からソウルは 630 キロメートル、熊本から台 北は 1240 キロメートルである。
加えて、沖縄から海兵隊が朝鮮半島に向かう場合には、日本本土 (長崎県・佐世保基地)から揚陸艦が一旦回航され、これに乗船し てから朝鮮半島に向かうのであるから、朝鮮半島有事に対宇する「距 離の近接性による迅速性確保」という点においては劣っていること になる。
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(3) 一川防衛大臣による第 1次回答(甲A67)・5~6頁について
ア 第1次回答の5~6頁は、「潜在的紛争地域との位置関係」につ いて、「○軍事 作戦 における時 間的な 早 さ遅さは、 作戦の 態 様、 規模などによって異なるが、緊急事態における一日あるいは数時 間の遅延は、軍事作戦上、致命的な遅延となり得ると認識してい る。○例えば、米海兵隊岩国航空基地は沖縄北東 1000 ㎞、米海 軍横須賀基地は同約 1500 ㎞に位置しており、沖縄と比較し、そ れだけ台湾 、東南 ア ジアといっ た地域 か ら遠ざかる ことに な る。 ○ … 種 々 の 緊 急 事 態 に 対 応 す る 初 動 部 隊 と し て の 海 兵 隊 の 役 割 などを勘案すれば、国内の他の都道府県に駐留した場合、距離的 近接性を活かした迅速な対応を確保できず、種々の事態への対処 に遅れが生ずることが、大きな問題点であると認識している」と している。
しかし 、「台 湾、 東 南アジア 」か ら遠ざ かるとい うこ とは、 逆 にいえば、他の地域には近づくことになるのであるから、朝鮮半 島 や 北 東 の 国 境 は 安 全 保 障 上 意 味 を 持 た な い と い う こ と を 同 時 に論証しなければ、意味をなさない。
例えば、朝鮮半島有事について第 1 次回答・5頁の論法を当て はめるならば、沖縄県に駐留した場合、朝鮮半島との距離的近接 性がないことから、朝鮮半島有事について迅速な対応を確保でき ず、種々の事態への対処に遅れが生ずることが、大きな問題点と なるということになる。
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イ なお、紛争は段階的に拡大していくものであるが、そもそも海 兵隊が投入されるのは紛争が拡大した後の段階である。上陸作戦 は、海兵隊の機動性・即応性を示すものであるが、それは数時間 といった単位での「即応性」という意味ではない。海兵隊の「即 応性」は、 空軍の 航 空機の緊急 発進の よ うな意味で の「即 応 性」 とは意味が異なるものである。
また、米国が海兵隊を投入するためには、米国内の手続が必要 となる10。原告は、原告第3準備書面・168 頁(「台湾海峡につい
て」の項目)において中国の艦艇及び航空機の活動が活発化して いることを強調し、同書面・169 頁において「南西諸島地域にあ る島嶼への侵攻が発生した場合には…米軍海兵隊の即応性・機動 性を有する能力が必要にならないなどということもできない」と 主張している。
南西諸島の侵攻が生じた事態は、米国にとっては自国への侵攻 ではなく、外国の紛争であり、その紛争に介入するか否かは、高 度な政治的判断が必要であり、米国内の手続も必要となり(乙D 98「米国における軍隊投入の権限」)、一定の時間を有することに なる。
海 兵 隊 が 南 西 諸 島 の 侵 攻 と い っ た 事 態 に 対 応 を す る こ と を 想 定するとし ても 、「 緊急事態に おける 一 日あるいは 数時間 の 遅延 は、軍事作戦上、致命的な遅延となり得る」とするような「即応 性」が問題となるものではない。
第2 「米軍海兵隊の一体的運用の必要性について」(原告第3準備書面・
10 紛争は段階的に拡大していくものであり、そもそも海兵隊が投入される
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136 頁以下)における原告主張の欺瞞性
1 原告による被告主張のすり替えについて
(1) 原告が「被告の主張」と称する内容
原告は、「強襲上陸作戦とは、待ち構える敵を強襲し、強行突破 的に上陸する作戦である」(原告第3準備書面・138 頁)とした上で、 被告が、強襲上陸(揚陸)作戦のみが海兵隊、31MEUの任務であ ると主張しているとする。
ア 原告第3準備書面・138 頁
「必ずしも、被告の主張するように、ARGによる強襲揚陸作 戦のみが、第 31海兵遠征部隊(31ST MEU)の任務ではな い」(138 頁)
イ 原告第3準備書面・142 頁
「強襲揚陸に関する事情を根拠として、普天間飛行場の航空部 隊を沖縄県外に移設しても米軍海兵隊の一体性が損なわれるこ とがないとする被告の主張は、結局のところ、米軍海兵隊の任務 の一部のみを捉え」
ウ 原告第3準備書面・144 頁
「強襲揚陸作戦に係る事情を根拠として、『沖縄から海兵隊航 空基地を移設すれば、機動力・即応性が失われるとすることには、 客観的・実証的根拠は認めえない』とし、普天間飛行場の航空部 隊を県外・国外においても米軍海兵隊の一体性が損なわれること にはならない、とする被告の主張には全く理由がない。」
エ 原告第3準備書面・167 頁11
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「強襲上陸作戦のみが米軍海兵隊の任務ではないから、強襲揚 陸艦の母港との位置関係において、米軍海兵隊にとっての沖縄本 島の地理的優位性を云々することには意味がない」
(2) 実際の被告の主張
しかし、上記は、被告主張のねつ造・すり替えと言わざるを得な いものである。
実際の被告主張は、次のようなものであり、強襲上陸(揚陸)作 戦のみが海兵隊、31MEUの任務であるなどとの主張はしていない。 ア 被告第3準備書面・275~276 頁
「海兵隊の機能等については、『抑止力等の議論を脇において、 海兵隊の機能 あるい は効能 を考え てみる と、言 葉は悪 いです が、 便利屋という ことに なりま す。何 か困っ たとき に、き め細か く、 規模も大きいのから小さいの、軍事力を直接行使する一種乱暴な ものから、ソフトなものまで、いろんなことをやれるということ が、直接的な効能としてあります』12、『沖縄の海兵隊の主力部隊
(歩兵、砲兵、航空)は六ヵ月のローテーションで米本国から派 遣されています。二カ月ほど訓練したあとに長崎県佐世保にある 船に乗り、オーストラリア、タイ、フィリピンなどアジア太平洋 地域の国ぐにをめぐり、その国ぐにの軍隊と共同訓練し、互いの 信頼関係を高めていきます。これら同盟国のチームワークが強い ほど、敵対す る国は 手出し がしに くいだ ろうと 考えら れてお り、 これも抑止効果を向上させる大切な作業だといわれています… 太平洋地域をぐるぐると巡回し、ときには中東にも出かけていき ます。というわけで、海兵隊のホームグランドはアジア太平洋な
12 柳澤協二ほか「抑止力を問う 元防衛高官と防衛スペシャリスト達との
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のです…同盟国との共同訓練、人道支援、災害救援をしっかりと 担っていくことで、アジアに安全保障の網を張りめぐらすような 活動をおこなっているわけです』13などとされている。
そこで、以下、海兵隊、普天間飛行場に配備された航空部隊の 実態に即して、普天間飛行場の県外移設等によって機能が損なわ れるものではないこと及び普天間飛行場に駐留している部隊が 沖縄以外に移駐的な意図する地理的必然性が認められないこと について、具体的に述べることとする。
イ 被告第3準備書面・278~279 頁
「沖縄に配備されている第 31 海兵遠征部隊(31MEU)は、上 記の各部隊から、歩兵、砲兵、工兵隊、兵站、航空部隊を集結し、
15日間の作戦行動にあたる。展開手段としては、長崎・佐世保に 駐留する強襲揚陸艦が沖縄に来てその部隊を搭載し、目的地へ派 遣される。1,500 ~ 3,000 人規模の MEUは、民族・宗教紛争や テロリストの鎮圧といった小規模紛争、自然災害などの救援支援、 各国との共同訓練など、多岐にわたる任務を遂行する。たとえば、 海兵ヘリ中隊が半年以上イラクに派遣されたり、韓国、フィリピ ン、タイ、オーストラリアで合同訓練を行ったり、台風被災の支 援活動のために台湾へ派遣されたりしている[U.S. Marine
Corps 2010: 258 ─ 260, 宜野湾市基地渉外課2010]。沖縄へ常
時駐留しているというより、アジア太平洋地域あるいは中東を含 む広範な地域を移動対象とし、積極的に活動している」14もので
ある。
13 屋良朝博「誤解だらけの沖縄・米軍基地」(乙D48)76頁。
14 波照間陽「日本政府による海兵隊抑止力議論の展開と沖縄」早稲田大学
31 ウ 被告第3準備書面・283 頁
「森本敏元防衛大臣の大臣退任後の著書『オスプレイの謎。そ の真実』77頁にも『普天間基地に配備されるオスプレイを装備し た2個飛行隊(VMM)の主任務は、強襲揚陸艦に搭載されて空 母機動部隊とともに行動し、強襲着上陸・捜索救難・人道支援・ 在外民間人救出活動・災害救援などに従事する第 31MEU(海兵 機動展開隊)に対する航空支援である』とされている。」
(3) 小括
以上のとおり、被告は強襲上陸(揚陸)作戦のみが海兵隊、31M EUの任務であるとの主張はしていないものであり、「被告の主張す るように、ARGによる強襲揚陸(上陸)作戦のみが、第 31 海兵 遠征部隊(31ST MEU)の任務ではない」という原告の主張は、 被告主張をねつ造してすり替え、これを批判しているにすぎず、お よそ反論にはなりえていない。
また、海兵隊の任務が強襲揚陸(上陸)作戦だけでないとしても、 それが海兵隊の任務であることは明らかであるが、強襲揚陸艦が長 崎県・佐世保に配備されていることや、洋上展開して即応体制をし ていることについては、なんらの反論もない。強襲揚陸(上陸)作 戦に関して、揚陸艦の母港が沖縄には存在しないということに対し ては、反論をなしえていないものである。
原告の主張は、被告主張のすり替えによって誤魔化しているだけ であり、その不合理性、不誠実性には顕著なものがあると言わなけ ればならない。
2 強襲揚陸(上陸)以外の任務も揚陸艦に搭載されて行われること
(1) はじめに
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作戦のみが海兵隊、31MEUの任務であるとすり替えた上で、「在 沖海兵隊の任務は強襲上陸作戦のみではなく、常に強襲揚陸艦と一 体となって任務を運用しているわけでもないから、強襲揚陸艦の母 港がないことをもって、沖縄本島に海兵隊を配備する理由がないと いうことはできない」(原告第3準備書面・171 頁)としている。
しかし、強襲上陸作戦のみが海兵隊の任務ではないというだけで は、揚陸艦の母港が沖縄に存しないという指摘に対する反論にはな らない。強襲上陸(揚陸)作戦以外の任務は揚陸艦に搭載されて行 われるものではないことまで示さなければ、反論にはなりえないも のである。
そして、被告は、海兵隊、31MEUの任務として強襲上陸(揚陸) 作戦を強調しているものではなく、むしろ「同盟国との共同訓練、 人道支援、災害救援をしっかりと担っていくことで、アジアに安全 保障の網を張りめぐらすような活動をおこなっている」ことが海兵 隊の主要な任務であるとした上で、その任務が基本的に揚陸艦に搭 載されて行われることを主張しているものである。
(2) 海兵隊ウェブサイトや元防衛大臣の著書
先に引用したとおり、森本敏元防衛大臣の大臣退任後の著書「オ スプレイの謎。その真実」(乙 D74)にも「普天間基地に配備され るオスプレイを装備した2個飛行隊(VMM)の主任務は、強襲揚 陸艦に搭載されて空母機動部隊とともに行動し、強襲着上陸・捜索 救難・人道支援・在外民間人救出活動・災害救援などに従事する第
31MEU(海兵機動展開隊)に対する航空支援である」(77 頁)とさ
れている。
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れる揚陸即応群の艦船に定期的に乗船し、この海軍・海兵隊共同チ ームは、アジア太平洋地域での有事の際には、まず最初に選ばれる 初期対応組織です。常に訓練に励み、上陸急襲や上陸強襲、略奪さ れた船への接近・乗船・捜索・押収、墜落した航空機や人員の戦術 的回収など海上特殊任務を含む急な任務にも早急に対応できる機能 を備えています。さらに、人道支援や災害救助に対応できるように 常時訓練し、要請があれば一般市民の避難活動も行うことが可能で す。この部隊の機能には、中型・大型航空輸送、陸上輸送、医療・ 歯科衛生業務、物資配給、電力や水の生産、重機や建設作業などが あり、2009 年に 3 回、2010 年に 1 回、そして 2011 年にはトモダ チ作戦にも参加しました」(甲A177 の7)とされている。
以上のとおり、共同訓練、人道支援、災害救援については揚陸艦 に搭乗して行われる任務として紹介されているものである。。
(3) 31MEUが実際に行った任務の内容
中矢潤「我 が国に 必 要な水陸両 用作戦 と その運用上 の課題 」(乙 D73)は、31MEU の人道支援・災害救助活動(HR/DR ハーダ ー)15について、「2009 年1月から 2012 年5月までの3年間で、6
つの HR/DR に従事している」「2009 年は、8月7日から8日に発
生 し た 台 湾 で の HR/DR、 9 月 26 日 に 発 生 し た フ ィ リ ピ ン で の
HR/DR、9月 30日から 10月 1 日に発生した、インドネシアにおけ
る HR/DR、2010年には、9月 26 日に発生したフィリピンにおける
HR/DR、2011年は、3月 11 日の東日本大震災でのHR/DR、11月
25 日から 30 日に発生したタイにおける HR/DR に従事している」 としている。
平成 21 年から平成 23年の第 31海兵機動展開隊(31MEU)の活
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動をみると、平成 21年は1月 27 日~2月まで大平洋訓練、2月4 日~2月17日までタイ訓練、3月25日~3月31日まで韓国訓練、 4月 16 日~4月 30 日までフィリピン訓練、7月6日~7月 26 日 オーストラリア訓練、8月台風被災の支援活動(台湾)、10 月 14 日~10 月 20 日フィリピン訓練、10 月 14 日~10 月 20 日自然災害 の支援活動(インドネシア・フィリピン)、11月韓国訓練となって おり、平成22 年は2月 1日から2月 11日タイ訓練、3月9日~3 月 19日フィリピン訓練、9月 12日~9月 21日グアム訓練、10月 14日~10月22日フィリピン訓練及び台風メーギーによる人的支援、 10 月 30 日シンガポール地域交流イベント、11 月 16 日~11 月 19 日地域交流イベント、12月3日~12月10日自衛隊と日米共同演習、 12月 8 日~12 月 15日霧島研修となっており、平成 23 年は2月7 日~2月19 日タイ訓練、2月 27 日~3月2日カンボジア訓練、3 月 12 日~4月7日トモダチ作戦(東北)、7月 11 日~7月 29 日 オーストラリア作戦、10月9日~10月 16日能力検証訓練(フィリ ピン)、10 月 17 日から 10 月 28 日フィリピン訓練となっており、 1年のうちの大半の期間は揚陸艦に搭載されて活動しているもので ある。
以上のとおり、海兵隊が現に行っている主要な任務は、水陸両用
戦隊(PHIBRON)乗艦中の MAGTAF(MEU)、すなわち、水陸両
用即応群(ARG)によって、多国籍訓練と HR/DR を主とした実任 務を行い、練度を維持するとともに、他国との信頼関係を醸成する というものであることは明らかである。
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兵隊輸送航空機基地の地理的優位性について意味をなさないとする 原告主張の誤りは明らかである。
(4) CH‐46E の行動半径から判明すること
辺野古への新基地建設は、オスプレイを前提として決定されたも のではなく、オスプレイの配備によって、海兵隊の任務の在り方が 基本的に変わったものではない。甲 87の2にも、「CH‐46 飛行 隊をMV‐22飛行隊に改編」することについて、「この部隊レベル の更新は、日本における米国のプレゼンスを大きく変更するもので はない」とされている。
長い間、CH‐46Eが海兵隊航空輸送部隊の中核であったもので あり、甲A65~68、甲A178 は、CH‐46Eを前提としていたもの である。そして、CH‐46Eの作戦行動半径は12 名搭乗時で約140 キロメートルであり(乙E22・3頁、乙D25・101 頁)、沖縄島を 起点とすると宮古島ですら作戦行動半径外ということになり、この ことからも、航空輸送部隊の任務が主に揚陸艦に搭載されて行われ るものであることは明らかである。
(5) 海 兵 隊 の 根 拠 法 令 か ら も 海 軍 艦 船 に 搭 乗 し て 行 う 任 務 が 主 任務
であるといえること
防衛省「在日米軍及び海兵隊の意義・役割について」(甲A179) は、海兵隊の任務について「①艦隊とともに勤務し前方の海軍基地 を確保又は防衛するため、あるいは海軍の作戦遂行に不可欠な地上 作戦を実施するため、支援航空部隊とともに諸兵科連合の艦隊海兵 隊を提供 ②海軍の艦船に分遣隊及び支援組織を提供 ③海軍基地 及び政府施設に保安分遣隊を提供16 ④大統領の命じるその他の作
16 例えば、在日米大使館にも、十数名の海兵隊員から成る警備分遣隊が
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戦の遂行 ⑤他の軍種と協同で、水陸両用作戦で上陸部隊が使用す る教義、戦術、技術及び装備を開発すること ⑥総動員計画に従い、 戦時の需要に対処するため、平時編制の拡張(予備役)を準備する こと」(14 頁)としている。
すなわち、海兵隊の主要な任務は、海軍の艦隊への海兵隊の提供、 すなわち、そもそも海兵隊の主たる任務は海軍の艦隊に搭載されて 行われるということである17。
この海兵隊 の任務 は 、合衆国法 典に規 定 されている もので あ る。 すなわち、合衆国法典第5063 条⒜⒝⒞(U.S. Code § 5063 - United States Marine Corps: composition; functions)は、「(a) The Marine Corps, within the Department of the Navy, shall be so organized as to include not less than three combat divisions and three air wings, and such other land combat, aviation, and other services as may be organic therein. The Marine Corps shall be organized, trained, and equipped to provide fleet marine forces of combined arms, together with supporting air components, for service with the fleet in the seizure or defense of advanced naval bases and for the conduct of such land operations as may be essential to the prosecution of a naval campaign. In addition, the Marine Corps shall provide detachments and organizations for service on armed vessels of the Navy, shall provide security detachments for the protection of naval property at naval stations and bases, and shall perform such other duties as the President may direct. However, these additional duties may not detract from or interfere with the operations for which the Marine Corps is
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primarily organized.(b) The Marine Corps shall develop, in coordination with the Army and the Air Force, those phases of amphibious operations that pertain to the tactics, technique, and equipment used by landing forces.(c) The Marine Corps is responsible, in accordance with integrated joint mobilization plans, for the expansion of peacetime components of the Marine
Corps to meet the needs of war.(訳 (a) 海兵隊は、海軍省の下に
あって、三個を下回らない戦闘師団及び三個を下回らない航空団並 びにその他の地上戦闘部隊、航空部隊及びその他の部隊を含むよう に組織されるものであり、それゆえ、系統的である。海兵隊は、海 軍前進基地の奪還あるいは防衛における艦隊兵力のために、又は海 軍の作戦遂行に不可欠となる場合における地上作戦の実施のために、 支援航空部隊とともに諸科連合の艦隊海兵軍を提供すべく、組織さ れ、訓練され、及び装備されるものとする。これに加えて、海兵隊 は、海軍の武装船への役務のために分遣隊と組織を提供し、海軍の 施設及び基地における海軍資産の保護のために保安分遣隊を提供し、 又は大統領の命令によりその他の任務を実行する。但し、これらの 追加的な任務は、海兵隊が組織された元来の作戦を妨げ、又は損な わないものとする。(b) 海兵隊は、陸軍と空軍との調整の下、上陸 部隊が用いる戦術、技術及び装備に関する水陸両用作戦の各段階を 開発する。(c) 海兵隊は、統合合同動員計画に従い、戦時の需要を 満たすため、平時の海兵隊構成部隊を拡張させる責任を負う。)と定 めているものである。
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(6) 小括
以上のとおり、海兵隊の主要な任務は、海軍艦船に搭乗して行わ れるものである。
そして、揚陸艦の母港は沖縄からは地理的に離れた日本本土(長 崎県・佐世保)に所在するものであり、また、揚陸艦に搭載されて 洋上展開をしているときには、その洋上展開している地点から任務 の目的地に向かうものであるから、沖縄に海兵隊(輸送ヘリ・オス プレイ部隊)が所在しなければならない必然性は認められないもの である。
3 原告の主張する事例について
原告は、平成 25 年 11 月8日に発生した台風 30 号によるフィリピ ンの台風被害に対する救援作戦(ダマヤン作戦)においてMV‐22オ スプレイが普天間飛行場からフィリピンに飛行したこと及びイラクに おけるCH‐46Eの活動を挙げているが、これらの例は、いずれも、 沖縄の地理的優位性を基礎づけるものではない。
(1) 平成 25 年台風 30 号によるフィリピンの台風被害への救援活動
(ダマヤン作戦)について
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プレイよりC‐130 の方が回数、飛行時間は多い。三沢基地配備の P ‐ 3 、 普 天 間 飛 行 場 配 備 の K C ‐130、 横 田 基 地 配 備 の C ‐130 がダマヤン作戦には参加しているものであり、日本本土の中で、沖 縄に輸送航空機部隊がなければならないという必然性がないことを 示したものとも言えるものである。
また、11 月 12 日に長崎県・佐世保基地の揚陸艦アシュランドと 揚陸艦ジャーマンタウンの増派が決定され、11 月 14 日に佐世保基 地を出港した2隻の揚陸艦は11 月 15日にホワイト・ビーチに到着 し、ホワイト・ビーチで約 2000 名の海兵隊員や車両、物資等を搭 載した後、11 月 18日にホワイト・ビーチを出港して被災地に向か い、同月 20 日に被災地に到着して活動を開始したものであり、水 陸両用戦隊(PHIBRON)乗艦中の MAGTAF(MEU)、すなわち、 水陸両用即応群(ARG)として、活動をしたものである。なお、米 軍の艦船で、最初に被災地に到着したのは、神奈川県・横須賀基地 に配備されていた空母ジョージ・ワシントンであり、定期パトロー ル航海で寄港中の香港から被災地に向かって11月 14日に到着して 活動を開始し、2隻の揚陸艦が到着するまで救援活動を行っている。
ダマヤン作戦をもって、沖縄の地理的優位性の根拠とすることも、 また、海兵隊の活動が揚陸艦と関係がないとすることの根拠とする こともできないものである。
(2) イラクへの輸送ヘリ部隊の派遣について
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間、イラクに派遣をされても、我が国の安全保障になんらの問題は 生じていないのであり、沖縄駐留の必然性がないことを示したもの である。また、イラクに派遣される部隊が、沖縄に配備される必然 性も認めえない。
原告が主張するイラク派遣の事実は、沖縄に海兵隊輸送航空機部 隊が配備される必然性がないことをこそ示したものというべきであ る。
第3 「抑止力」及び「矛」という主張について
1 「抑止力」という主張について
(1) 原告の主張
原告は 、「抑止 力と は、侵略を 行えば 耐 え難い損害 を被る こ とを 明白に認識させることにより、侵略を思いとどまらせるという機能 を果たすもの」(原告第3準備書面 179、186 頁)であると抑止力の 概念を定義し、「その意味内容は明確」(同書面 187 頁)であると主 張する。
そして 、「在沖 米軍 海兵隊が沖 縄県に 駐 留すること は、抑 止 力を 維持し、安全 保障体 制を確保する ために 必要であるこ とは明 らか」 (同 192 頁)と主張し、また、訴状・67 頁においても「沖縄県に ある普天間飛行場の代替施設を同じ沖縄県に建設することにより抑 止力の維持が図られるといえ、本件埋立事業を実施する公益は大き い」としており、「抑止力」を本件埋立事業の公益の根拠とする18。
(2) 海兵隊の機能への影響についての原告主張に根拠のないこと
しかし、第1及び第2において述べたとおり、そもそも海兵隊航
18 原告の主張する抑止力は、いわゆる懲罰的抑止であり、海兵隊がその
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空(輸送ヘリ・オスプレイ部隊)基地が沖縄になければ海兵隊の機 能が許容できない程度に低下するとの実証的根拠は存しないもので あるから、「抑止力の維持」という主張に根拠は認められない。
(3) 原告は強襲揚陸(上陸)作戦以外の任務を主張していること
被告は、海兵隊輸送ヘリ・オスプレイ部隊の主要な任務は揚陸艦 に搭乗して行われるものであるが、揚陸艦の母港は沖縄にはないの であるから、揚陸艦の母港に近接した地域との比較において、海兵 隊輸送ヘリ・オスプレイ部隊の基地の地理的優位性は認められない 旨を主張した。
これに対し、原告は、揚陸艦に搭載されて行う主任務について揚 陸艦の母港と離れている沖縄に地理的優位性が認められないという 点については反論していない。
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地理的優位性を云々することに意味はない。」と同旨の主張がなされ ている。
そして、原告は、隠密裏に遂行する敵地での偵察・監視活動、海 賊対処、人質の奪還、危機発生時の民間人の救出活動から自然災害 発生時における捜索救難活動や物資輸送、平時における人道支援に 至るまで、広範な任務を挙げている。
しかし、これらの任務は、明らかに、「侵略を行えば耐え難い損害 を被ることを 明白に認識させることにより、侵略を思いとどまら せるという機能」とは異質なものである。
したがって、原告の主張は、そもそも「抑止力」の論拠とはない りえないものである。
2 「矛」という主張について
(1) 原告の主張
原告は、「様々な島嶼からなる我が国においては、島嶼防衛の要請 が高いことから、優れた上陸作戦能力を有する米軍海兵隊は、我が 国の防衛に資する。さらに言えば、自衛隊と米軍の関係は、いわば 『盾』と『矛』の関係であり、我が国の防衛にあたっては、自衛隊 が防衛作戦を担当し、米国が攻勢作戦を担当することで、我が国の 抑止力が担保されるのであって、即応性・機動性を有する米軍海兵 隊はこの『矛』の極めて重要な部分を占めることになる」(原告第3 準備書面・191 頁)と主張している。
(2) 原告は強襲揚陸(上陸)作戦以外の任務を主張していること
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隊(31ST MEU)の任務ではない」(同書面・138 頁。)と主張 し、「米軍海兵隊の広範なその他の任務内容につき看過している点に おいて、被告の主張は、そもそも失当である。したがって、強襲上 陸作戦に係る事情を根拠として、『沖縄から海兵隊航空基地を移設す れば、機動力・即応性が失われるとすることには、客観的・実証的 な根拠を認めえない』とし、普天間飛行場の航空部隊を県外・国外 においても米軍海兵隊の一体性が損なわれることにはならない、と する被告の主張には全く理由がない」(同書面 144 頁)と結論付け、 また、同書面 167 頁においても、「強襲上陸作戦の遂行のみが米軍 海兵隊の任務ではないから、強襲揚陸艦の母港との位置関係におい て、米軍海兵隊にとっての沖縄本島の地理的優位性を云々すること に意味はない。」とした上で、隠密裏に遂行する敵地での偵察・監視 活動、海賊対処、人質の奪還、危機発生時の民間人の救出活動から 自然災害発生時における捜索救難活動や物資輸送、平時における人 道支援などを主張しているのである。
強襲揚陸(上陸)作戦以外のこれらの任務が、「攻勢作戦」、「矛」 であるとの原告の主張は、およそ理解しえないものと言わねばなら ない。
3 小括
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施する公益は大きい」と主張しているものである。
しかし、原告は、「強襲上陸作戦といった大規模で本格的な軍事行 動を行うことのみが、米軍海兵隊の任務ではない」(原告第3準備書 面・143 頁)、「強襲上陸作戦の遂行のみが米軍海兵隊の任務ではな いから、強襲揚陸艦の母港との位置関係において、米軍海兵隊にと っての沖縄本島の地理的優位性を云々することに意味はない」と主 張し、強襲揚陸(上陸)作戦について強襲揚陸艦の母港が沖縄から 離れた日本本土にあるとの被告の指摘自体には、具体的、実証的な 反論をしていない。