• 検索結果がありません。

マクロ経済学講義ノートpp8 11pdf

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "マクロ経済学講義ノートpp8 11pdf"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

3 市場と価格

3.1 市場価格の決定

完全競争市場 完全競争市場とは以下の条件を満たす市場である。 1. その市場で取引される財は同質。

2. 売り手、買い手が多数存在し、各売り手、買い手の取引量が市場全体の取引量と比べ て少ない。

3. 売り手も買い手も財の価格や性質について正確な情報を持っている。 4. 取引費用が存在しない。(再販も取引費用無しで可能。)

5. 企業の市場への参入退出は自由である。

以上の条件の下では各消費者、企業は価格の決定権を持たず、市場で決まる価格を所与として 行動する。このような経済主体をプライス・テイカーと呼ぶ。

市場 出荷額のトップ 10 社のシェア 段ボール 37.3%

水産缶詰 24.9%

3.1: 1970年、公正取引委員会のデータ

需要: 経済主体が実際に求める財の量。市場経済では、その価格のもとで購入したいと思う量。 例 3.1 本当はフェラーリ10台とポルシェ5台が欲しいが、実際にはカローラを1台求めた とする。この場合、フェラーリとポルシェに対する需要はそれぞれ0 、カローラに対する需要 は1台。

人々は安いとたくさん買い、高いとあまり買わない。→ 価格が上昇すると需要は減る。 需要曲線: 財の価格と需要量との間の関係を表す曲線。需要関数とも呼ばれる。

Y = D(p)Y(> 0): 需要量, p(> 0): 価格

需要曲線は右下 がり。

例 3.2 Y = 2000 − 4pとする。p= 450のときの需要量は200 である。 注意 縦軸と横軸が通常の関数と逆。

供給: 経済主体が実際に提供したい財の量。市場経済では、その価格のもとで販売したいと思 う量。計画経済では、計画者によって決められる。

8

(2)

3.1 市場価格の決定

例 3.3 本当は働きたくないが、時給が高いので5時間だけアルバイトをしようと思ったと する。この場合、労働供給量は5時間。

企業は高いとたくさん売りたい、逆に安いとそれほど売りたくない。→ 価格が上昇すると供給 は増える。

供給曲線: 財の価格と供給量との間の関係を表す曲線。供給関数とも呼ばれる。 YS = S(p)YS (> 0): 供給量

供給曲線は右上がり。

例 3.4 YS = 2p − 400p= 280のときの供給量は160である。 超過供給: 供給が需要を上回る状態。図3.1参照。

超過供給が起こっている場合、その財は店頭や倉庫に山積みになっているが、人々にとって それは十分足りているため全然売れない、ということがおこる。このような状況では、その財 は「余っている」といえる。

超過需要: 需要が供給を上回る状態。図3.2参照。

超過需要が起こっている場合、その財を提供する店の前には、それを求める人々の長蛇の列 が出来るが、実際にはその人々全てに行き渡るだけそれがない、ということがおこる。このよ うな状況では、その財は「不足している」といえる。

YS, YD

p

E p

¯ p

S(p) D(p)

S

D

3.1: p1 > p

YS, YD

p

E p

ˆ p

D(p) S(p)

D

S

3.2: p

2 < p

競争均衡: 需要と供給が一致している状態。 均衡価格: 競争均衡における価格。

均衡取引量: 競争均衡における取引量(=競争均衡における需要=競争均衡における供給)。 競争均衡は需要曲線と供給曲線の交点として捉えることが出来る。例えば図3.1では、pが 均衡価格である。

9

(3)

3.2 価格と資源の希少性に関する情報の伝達

例題 3.1 需要関数と供給関数がそれぞれYD = 2000 − 4p, YS = 2p − 400 で与えられているも のとする。

1. 価格が300であるときの需要量と供給量を求めよ。 2. 価格が500であるときの需要量と供給量を求めよ。 3. 均衡価格と均衡取引量を求めよ。

3.1においてp = ¯p > pのとき市場供給量はY¯S、市場需要量はY¯DY¯S > ¯YDであるか ら、 ¯YS− ¯YDの売れ残りが生ずる。この売れ残る分を、売り手はもっと安い価格で売ろうとし、 買い手はもっと安い価格であれば買ってもよいと思っている。従って価格は下がる方向に動く。

( ¯YS− ¯YD = S(¯p) − D(¯p)を超過供給量と呼ぶ。)

3.2においてp = ˆp < pのとき市場供給量はYˆS、市場需要量はYˆDYˆS < ˆYDであるか ら、 ˆYD − ˆYSのぶんだけ財が足りない。売り手はもっと高い価格であればもっと売ってもよい と思うし、買い手はもっと高い価格で買ってもよいと思っている。従って価格は上がる方向に 動く。( ˆYD− ˆYS = D(ˆp) − S(ˆp)を超過需要量と呼ぶ。)

そして最終的にはp = pに達するものと考えられる。このように価格が調整されていく過 程をワルラス 的価格調整過程と呼ぶ。もし、市場価格が素早く動くならば、市場では競争均 衡が常に達成されているものとみなすことができる。

人々は価格を見て、財の需要量や供給量を決め、取引が行われる。逆に価格は、市場におけ る人々のこのような取引によって決定されるのである。

市場が常に競争均衡状態にあるか否かについては学派により意見が分かれる。 注意 価格が変動していることをもって市場均衡が達成されていないとはいえない。

3.2 価格と資源の 希少 性に関する情報の伝達

資源制約の状況を伝える 東京23区内に住みたいと思う全ての人がそこに住めないのは、そ の価格が高いせいではない。価格が高いということは、希少性を伝えているだけ。価格がなかっ たとしても、東京23区に住める人間の数は限られている。価格がなくても何らかの方法で住 む人間を決める必要があるという事実は変わらない。

資源制約の変化を伝える コンピュータ技術の発達により、これまでと同量の資源を用いてよ り高性能の製品をより多く生産できるようになったとする。すると、価格は低下する。私達は これを見て、コンピュータを買うか否かの判断をする。私達のほとんどは、コンピュータ技術 の発達というものがどういうものか実際には全く分からないが、価格を見ればそれがお買い得 になったことが分かるのである。供給曲線の変化

例 3.5 鉄鋼脈の発見と鉄製品価格の低下

10

(4)

3.3 まとめ

消費者の好みやその変化を伝える 企業が、全ての消費者の好みを完全に知ることは不可能で ある。しかし、価格を見ればそれが必要とされているのかそうでもないのかの見当がつく。(後 でも述べるが、)市場経済の企業は価格を参考に、何をどれだけ生産するか考える。(事前に市 場調査をしていたとしても、発売後に消費者の好みが変わるかもしれない。価格はそれを伝え る。)計画経済下の企業は消費者が何を欲しがっているかを考慮することはない。生産計画は、 全て計画者によって決定される。(理論的には、計画者が全ての消費者の好みを完全に知った上 で、これを決定しているという理屈)需要曲線の変化

3.3 まとめ

• 「(他の条件一定)価格が上昇 ⇒ 需要減」=需要曲線は右 下り

• 「(他の条件一定)価格が上昇 ⇒ 供給増」=供給曲線は右 上り

• (他の条件一定)供給増 ⇒ 供給曲線が右または下にシフト ⇒ 均衡価格低下、均衡 取引量増加

• (他の条件一定)需要増 ⇒ 需要曲線が右または上にシフト ⇒ 均衡価格上昇、均衡 取引量増加

• 競争市場における自由な取引は、価格を通じて効率的な資源配分をもたらす。

• 価格の変化は、資源の希少性が変化したという事実を伝えている。(誰かの強欲のせいで はない。)

11

参照

関連したドキュメント

経済学類 エコノミクスコース (仮称)  / グローバル・マネジメントコース (仮称)!.

講義の目標.

奥村 綱雄 教授 金融論、マクロ経済学、計量経済学 木崎 翠 教授 中国経済、中国企業システム、政府と市場 佐藤 清隆 教授 為替レート、国際金融の実証研究.

分配関数に関する古典統計力学の近似 注: ややまどろっこしいが、基本的な考え方は、q-p 空間において、 ①エネルギー En を取る量子状態

  中川翔太 (経済学科 4 年生) ・昼間雅貴 (経済学科 4 年生) ・鈴木友香 (経済 学科 4 年生) ・野口佳純 (経済学科 4 年生)

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

「AI 活用データサイエンス実践演習」 「AI

社会学文献講読・文献研究(英) A・B 社会心理学文献講義/研究(英) A・B 文化人類学・民俗学文献講義/研究(英)