2. 6
仮想現実空間における立体音響システムの開発と数値シミュレーションモデ
ルへの適用
田村祐一 陰山聡 佐』黍哲也
t amur a@もoki もheor y. ni f s kage@ni f s
Sa力0@t oki
もheor y. ni f s
One of t he mos t pr act i cal obj ect i ves t o us e vi r t ual r eal i t y s ys t em i n s ci ence i s t o make i t eas y t o i nt ui t i vel y per cept compl ex phys i cal phenomena. A vi r t ual r eal i t y s ys t em, ca11ed Compl excope, 、vas pr opos ed. Thi s vi r t ual r eal i t y s ys t em can r epr es ent " r ear 3D vi 、 Sual and audi t or y envi r onment . s i nce at t r act i ve phys i cal phenomena becomes mor e and mor e compl ex, i t becomes unavoi dabl e r ecogni z e by us i ng " r ear 3D r epr es ent abl e t ool s s uch a vi r t ual r eal i t y t o01. But i t i s i ns uf 命Ci ent t o r ecogni z e s uch compl ex phe、 nomena by onl y us i ng vi s ual s ens e, SO 、ve wer e devel oped vi r t ual r eal i t y s ys t em wi t h 3D s ound. xve pr es ent an exampl e pr oduced by t hi s s ys t em
ac . J P ac . J P ac 、 J P
2. 6. 1
核融合科学研究所
核融合科学専攻・核融合科学研究所 核融合科学専攻・核融合科学研究所
近年コンピュータ技術の発展とともに、コンピュータシミュレーションも大規模かっ複雑なものに なってきている。これまで数値シミュレーション結果の表現方法として、 2次元グラフ等による表 現手法が用いられてきたが、2次元的な表現手法のみでは、複雑な物理現象を充分に把握すること が難しくなってきたため、3次元モデルの可視化ソフトの活用が進んでぃる。
さらに最近の数値シミュレーションでは、モデルの複雄性がますます高まり、3次元可視化ソフ トの使用のみでは、物理現象の把握が難しいまでになっている。核融合プラズマの数値シミュレー シヨンに見られるような非線型、多次元かっ時冏発展問題などは、典型的な一例であるHⅡ21。そ こで、このような複雑かつ大規模な数値シミュレーション結果を表現するため、バーチャルリアリ ティーシステムの利用が進みつつある。バーチャルリアリティ空間では、表現された物理モデルに 没入し、様々な角度からシミュレーション結果を検討することが可能であるため、現象の把握が従 来の3次元ビジュアリゼーションソフトと比較して容易であることが特徴であり、大きな効果を上 げている。
現在核融合科学研究所でも、バーチャルリアリティーシステムを数値シミュレーション結果の 可視化に利用しているが、物理現象の詳細な把握には大局的な現象把握と局所的な現象把握を同時 に行うことが重要であることも少なくない。しかしながら、バーチャルリアリティの利点である没 入感が逆に大局的な情報を失わせる原因にもなっている。つまり、詳細部分を表示しその部分に没 入した場合、大局的な認識が難しくなるということがしばしばおこる。そこで今回視覚情報以外に 聴覚情報を加えることにより、局所的な現象を見ているにも関わらず大局的な現象も同時に認識可
能な立体音響仮想現実システム( compl excope) の研究を行った。そのシステム構成および本シ
ステムを利用し、核融合実験装置の数値シミュレーション結果をバーチャルリアリティ空間内に表 現したアプリケーションについて述べる。
はじめに
34
図 1: バーチャルリアリティーシステム外観
2. 6. 2 Compl exc opeシステム概要
2. 6. 2. ノ仮想現実システム構成
今回開発したバーチャルリアリティーシステムはUni ver s i t y of 1Ⅱi noi s at chi cag0のEl ect r oni c Vi s ual i z at i onLabor at or y( EVL) で開発されたCAVEシステムB1を基礎としている。 4面のスクリーン ( 約3m X3m 床面、正面、左面、右面) と4台のプロジェクター( El ect r ohomeMARQUEE950OLC、
3D) 、視点および入カデバイスの位置・角度をトラツキングするシステム( As cens i onTechn010gy,
Fl ockof Bi r ds ) とステレオ画像の生成および佑噺卸を行うグラフィックワークステーション( SGI OnyX2; 8 X R1200O CPU, 4 × 1n兵ni t e Real i t y 2) から構成されている。ステレオ画像は、正面 左右スクリーンについては、後方より投影され、床面に関しては上方より投影される。図2に Compl excopeシステムの構成を示す。^
f
^
^
'
02. 秩序/ 無秩序の科学
ー. 、、
ケ
滅
゛コ
] D S011nd DCVI CC
' ____i l _, ・' _' 1. '
^● ・Υ '
じ_ 1 11- ・ーーーーに'
f 面画
, κ^
翫
Pl oj t ct or
ーフP _ 「
図 2: compl excopeシステム構成
ステレオ画像の記述にはOpenGLもしくはSGl per f or mer を通じてVRMLをはじめとする様々 な3Dデータが使用可能となっている。このべースシステムに後述する立体音響システムをりンク し、立体音響仮想現実空問を実現している。
Pr oj ccl or Cr apbに
Wor k51且Ⅱon
G鬼Phに
、vor k51且1」on 丁「3Ckmg
Sys l om
Pr oj ccl oT
Pl oj ecl or Vl dUきI Hこコ111V
Spoc e Pr oj ecl or
3D s ouod Devl c e T口Ckl ng s ys l em
簿
ー﹁、゛、
、.、キ
、t剛 C八
罵謡拶
織理
2. 62. 2 立体音響システム構成
立体音響に関する研究は古くから行われ q41、151等) 、実用化されている分野も少なくない。ま た数値シミュレーシヨン結果の音を使った表現法にっいては、161, 171のような研究が行われ、音を インタラクティブにコントロールする研究も181のように行われている。しかしながら、観測者の 頭の位置がりアルタイムで変化したり、空間の画像がりアルタイムで書き換えられるバーチャルリ アリティ空問における立体音響技術については、まだまだ不充分な部分が多い。
バーチャルリアリティ空間におけるステレオイメージはトラッキングシステムから得られる観 測者の頭の位置、角度、さらには観測者が仮想、現実システムに与えるアクション等により逐次更新 される。この観測者の頭の位置および角度情報をトラッキングシステムからワークステーション上 に取り込み、ワークステーシヨン上でりアルタイムに計算された音源位置データとの相対位置関係 を求める。その相対位置データを使いスピーカーから出る音を制御し、立体音響空間を実現する。
立体音響システムは主に5台の音源モジュール( Rol and AR2000× 2, Rol andJ P、8080X 2, Rol andJ V・2080 内1台は切り換えにより使用) 、 16台の立体音響生成装置( Rol and RSS、10X
16) 、 4台のサウンドミキサー、 8台のスピーカーからなっている。
アプリケーシヨンの起動とともに、バーチャルリアリティ空間のパラメータ( 床面の反射係数、 観測者の床面からの距離、壁面の反射係数等) がMI D1インターフェイスを通して立体音響生成装置 に送られる。その後、アプリケーション内で逐次音源データ( 音の大きさ、ピッチ等) を定義し、 リアルタイムで音源モジュールに転送し、与えられた各音源データに応じて、音が生成される。そ の後音源データは立体音響生成装置に送られ、相対位置情報から頭部伝達関数を求め、それぞれの スピーカーでの出力を決定する。また本システムでは前回処理した時の相対位置情報を保持してお くことにより、ドップラー効果を入れることも可能である。このようにして求められた音データを サウンドミキサーで混合し、最終的にスピーカーから出力することで立体音響空問を実現する。
昶
血^
^^
^
^^
2. 6. 3 音響システムを利用したアプリケーション例
^
1!ー^^.
・' ^
1' ^ー:
、: ' , : ・^ー.
L^、、
立体音響システムを利用した、核融合プラズマ実験装置LHD ( Lar ge Hel i cal Devi ce) のシミュレ ーシヨン結果を可視化し、音響効果を付加したアプリケーションにつぃて説明する。
核融合実験装置は図5に示すような、直径10mのらせん形状の超伝導コイル2対からなってぃる。 このコイル間に非常に強い磁場を発生させ、その磁場内にプラズマ粒子を閉じ込める実験装
図3: 立体音響システム外観
ーー、、
孟
冒11Ⅱ
36
Head pos i t i on
Sound s our c e Pos i l i on
Sound s our c e Dat a
Rel at i ve pos i t i on
02. 秩序/ 無秩序の科学
Synt hes i z er
Sound s pace
Pr oc es s or
図4: 立体音響システム構成
Sound Mi xer
Ampl i f i er
'
Speaker
, 1
゛ ず
1 1"
, いon ゞ、e
, f o l r 、゛ P誤
0. 1' 1旦至X、ー' , 3、゛
0
図 5: Lar ge Hel i cal Devi ce
、
、、' ξ ξ Q, " , ε イ、コ
生 ι
叩 し
乢、、
置である。将来的に核融合反応を実現するためには、プラズマ粒子の密度を高くし、プラズマ粒子 同士の衝突確率を高める必要があるが、プラズマ粒子密度は、磁場構造に大きく依存している。数 値シミュレーション「91により、最適な磁場構造およびプラズマ粒子の物理的振る舞いを突き止め ることは核融合装置の実現にとって非常に重要であるとともに、科学的にも非常に興味深い課題で ある。しかしながら、コイル間の磁場構造およびプラズマ粒子の運動は非常に複雑であるため、従 来の表現手法でその物理的な振る趣いを理解することは難しかった。そこで複雑な振る舞いを容易 に理解するため、バーチャルリアリティ空間にこのモデルを構築した。
図6に示すように、プラズマ粒子の磁場内での運動は大きく2種類のパターンに分けられる。コ イル内をスムーズに回転する運動パターン( a) と磁力線にトラップされ往復運動を行いながら、コイ ル内を回転するパターン( b) である。( b) のような運動をバーチャルリアリティースペース内で観
図 6: ( a) スムーズに回転するパターン、( b) 往復運動を行うパターン
測しようとすると、局所的な往復運動と、大局的な回転運動を同時に把握する必要がある。しかし ながら、視覚情報だけではその二つを同時に観測することは非常に難しいため、立体音響システム を利用し、大局的な運動は聴覚で、局所的な運動は視覚で観測するアプリケーションを作成した。 このシステムを利用することにより、現在のプラズマ粒子の位置情報および運動モードを聴覚によ
り認識することが可能となり、物理現象の把握を深めることを可能とした。
、
篭゛
ー" 勺、
2. 6. 4 むすぴ
今回仮想現実空間に立体音響システムをりンクさせた立体音響仮想現実システム( compl excope)
を開発した。また、本システムを利用した数値シミュレーション結果の可視化アプリケーションの 例について報告した。立体音響技術を仮想現実装置に適用することにより、これまで同時に観測す
ることが難しかっ' た大規模シミュレーションにおける大局的および局所的な物理現象を同時に把握 することが容易となった。同様に従来手法では表現が難しい多次元数値シミュレーション等の結果
凡
、、
」' ー^
智
゛' 上
叉
巨
^
、、、
熱.
鷺
、穫
﹄、、
、", ヅ
嚇
舞
'
.
一
叉
'、 一測、、
38
表現方法に非常に有効であると考えられる。他のケースとして、物理現象を複数人で議論する場合 や、他の人に説明を行う場合など、シミュレーション結果を見ながら、多人数で議論することも少 なくない。シミュレーションを行った本人には物理現象が明確に解っても、他の人にとっては理解 し難いことが複雑なシミュレーションの場合しぱしば起こる。このような場合、今回報告したシス テムを利用することにより、, 情報量を視覚情報のみの場合より、多くすることが可能である。この ことにより、理解が深まり、より緊密な議論が行えると考えられる。
文献
Ⅱ1 陰山聡, 田村祐一, 佐藤哲也: CAVEシステムCompl excopeとその物理学研究への応用, 日本
バーチャルリアリティ学会論文誌( s ubmi t t ed) , 1999
121 陰山聡, 佐藤哲也: VRによる核融合シミュレーシヨンデータの可視化, comput er vi s ual i z at i on Sympos i um ' 98論文集, PP. 61- 64, 1998
B】 C. cr uz ・Nei r a, D. J . s andi n, and T. A. DeFant i : ' s ur r ound、s cr een pr oj ect i on、Bas ed vi r 、 加al Real i t y: The Des i gn and l mpl ement at i on of t he cAVE. " , pr oceedi ngs of s l GGRへ、PH ' 93 Comput er Gr aphi cs conf er ence, PP. B5- 142, 1993
141 鈴木陽一, 浅野太, 曽根敏夫: 音響系の伝達関数の模擬をめぐって( そのD , 日本音響学会誌 V01. 44, NO. 12, PP. 936- 942, 1988
151 鈴木陽一, 浅野太, 曽根敏夫: 音響系の伝達関数の模擬をめぐって( その2) , 日本音響学会誌 V01. 45, NO. 1, PP. 4450, 1989
161 S. Bar r as : " A per cept ual Fr ame、vor k f or t he Audi t or y Di s pl ay of s ci ent i 員C Dat a" , pr o、 Ceedi ngs of t he s econd l nt er nauonal conf er ence on Audi t or y Di s pl ay l cAD' 94, PP. B I 、
14, 1994
02. 秩序/ 無秩序の科学
171 S. s mi t h, H. Levkowi t z , R. M' pi cket t , and M. Tor pey : " A s ys t em f or ps ychomet r i c Tes t 、 i ngof Audi t or y Repr es ent at i ons of s ci ence Dat ず, pr oceedi ngs of t he s econd l nt er nat i onal Conf er ence on Audi t or y Di s pl ay l cAD' 94, PP. 217- 230, 1994
181 S. Das , T. Def ant i , and D. s andi n : " An or gani z auon For Hi gh、Leve11nt er act i ve con、 t r 010f s ound" , pr oceedi ngs of 血e s econd l nt er nat i onal conf er ence on Audi t or y Di s pl ay I CAD' 94, PP 217- 230, 1994
191 K. Har af uj i , T. Hayas hi , and T. s at o : J . comput . phys . , V01. 81, 169, 1989