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名古屋大学 中岩浩巳pdf 2016年度の活動(HCG特別企画) 「魅力と意欲」

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Academic year: 2018

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博士リーダーに必要な資質・能力の育成

- 実世界データ循環学リーダー人材養成プログラム -

名古屋大学大学院情報科学研究科

中岩浩巳

nakaiwa@is.nagoya-u.ac.jp

概要 世界の急激な変化に対応しグローバルに活躍できる博士リーダー人材を養成する目的で 文部科学省が実施している博士課程教育リーディングプログラム、及び、名古屋大学の同プロ グラムの1つである「実世界データ循環学リーダー人材養成プログラム」の概要について説明 するとともに、同プログラムで実施している博士リーダー人材に必要な資質・能力の育成のた めの教育内容を紹介する。

1.はじめに

「博士課程教育リーディングプログラム」は優 秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわた りグローバルに活躍するリーダーへと導くため、国 内外の第一級の教員・学生を結集し、産・学・官の 参画を得つつ、専門分野の枠を超えて博士課程前 期・後期一貫した世界に通用する質の保証された学 位プログラムを構築・展開する大学院教育の抜本的 改革を支援し、最高学府に相応しい大学院の形成を 推進する文部科学省の事業である。本事業には全国 31大学から62のプログラムが採択されている。本 事業は平成24年度より実施されており1)、養成す べき人材像や解決すべき課題の分類に応じて「オー ルラウンド型(オールラウンドリーダー養成)」

「複合領域型(複合領域リーダー養成)」「オンリ ーワン型(オンリーワンリーダー養成)」の3つの 類型に分かれている。「実世界データ循環学リーダ ー人材養成プログラム」は平成25年に名古屋大学 で採択された情報分野の複合領域型のプログラムで あり、実世界データの「取得、解析、実装」を扱う 新しい学問領域である「実世界データ循環学」を身 につけ、社会的な価値の創造を担う人材の育成を掲 げている。

2.実世界データ循環学リーダー人材養成プログラ ムとは

2.1プログラムが目指すもの - 新しい社会的価値を 創造する産業科学リーダーの養成

製品やサービスがもたらす社会的価値の本質 は、それを受け取った人々が、「便利、楽しさ、健 康、豊かさ」と言った、根元的な価値を広く共有で きるところにあるが、その価値は、作り手が受け手 に一方的に伝えるものではなく、「受け手の望み」 と「作り手の思い」のやり取りの中で形づくられる ものである。しかしながら、「受け手の望み」は捉 えどころがないことが多いため、絶え間なく汲み取 って新しい製品やサービスに結び付ける「循環」 が、新たな社会的価値を創造するプロセスには必要 である。

本プログラムでは、我々は、この新しい社会的 価値を生み出す「循環」を作り出すための学問領域

「実世界データ循環学」を創設し、新しい社会的価 値の創造を牽引する産業科学リーダーを養成する。 学生は、コースワークを通じて「実世界データの取 得、解析、社会実装」という循環に関する様々な技 術を身に付けることができる。さらに、段階的な海 外経験や研究インターンシップ等を通じて、講義や 研究だけでは身に付けることが難しい、実世界デー タ循環の俯瞰力や構築力を涵養する。

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2.2実世界データ循環学とは

- 実世界データの「取得、解析、社会実装」の繰 り返し –

我々は、新しい社会的価値を生み出す循環を組織 的に作り出すためには、以下の 2 つが必要だと考え る。第 1 に、社会的価値の創造には、「便利、楽し さ、健康、豊かさ」と言った、より根元的な価値を担 う、工学(便利)、情報科学(楽しさ)、医学(健康)、 経済学(豊かさ)の方法論が必要であること。第2に は、「受け手の望み」と「新しい製品やサービス」の 間に循環を生み出すために、受け手の望みを、実世界 の様々な現象の観測などを通じてディジタルデータ として「取得」し、これを、情報技術を利用して「解 析」し、解析の結果を新たな製品やサービスとして

「実装」するという、3つの機能(取得・解析・実装) を総合する必要があること。言い換えれば、工学、情 報科学、医学、経済学の分野に跨り、実世界データの

「取得、解析、実装」という循環を扱う学問領域が必 要ということである。これが、「実世界データ循環学」 である。

3. 実世界データ循環学のリーダー養成

自 ら の 専 門 分 野 で 博 士 と し て 相 応 し い 高 度 な 専 門知識を持ちつつ、実世界の計測データの意味を正 しく理解する「基礎学力」、多様な技術群の組み合わ せに循環を見出す「俯瞰力」、そして、実世界データ の価値ある循環を構想し、その構想を実現する「構築 力」を併せ持つ人材、一言で言えば「循環に気付き(き づき)、循環を築く(きずく)」人材が、実世界デー タ循環学で育成するリーダー像である。

少子高齢化が進む我が国の将来には、アジア地域 との一体的な発展が不可欠である。しかし、資源、人 口、環境、宗教といった背景の中で、世界の地域間に は深刻な不均衡や対立が存在しているのも事実であ る。国際社会との一体的発展とは、異文化を前提とし て国際的協働を推進することにほかならず、それを 支える新産業に代表される新しい社会的価値の創造

は、我が国が世界の先頭に立って解決しなければな らない課題である。

異文化との協働が産業活動の前提である今日、本 プログラムでは、国際的な産業分業を「実世界データ 循環」の一部として俯瞰し、文化の多様性や地域間の 対立をも超克しうる社会的価値の創造によって、国 際社会の一体的発展に貢献できるリーダー人材の育 成を目指している。

4.カリキュラム

本プログラムでのカリキュラムの概要について 説明する。本プログラムは博士課程5年間の大学院 教育の一環であるため、本プログラムの履修生は、 各学生所属研究科の研究室に所属し、修士号所得の ための研究(博士前期課程)及び博士号取得のため の研究(博士後期課程)も行う。これに加えて、実 世界データ循環学リーダーとなるための特別な教育 プログラムを提供している。

本プログラムでは、独自に設定したカリキュラ ムを通じて、実世界データ循環学の基礎知識、世界 を動かす多種多様な技術の中に「データの循環」を 見出す俯瞰力、新しい価値創造をする、独創的な実 世界データ循環の構築力、を身につけることができ る。このような能力の修得のために、本プログラム では、国内外での様々な実践的経験(「イノベーシ ョン循環系」(産業現場体験)と「グローバル循環 系」(国際現場体験))を積み重ねていく「実世界ワ ーク」を軸として、そのための実世界データ循環学 に関する基礎知識を習得する「コースワーク」、実 践を研究成果として学位論文にするための「研究指 導」を組み込んだカリキュラムを設定している。ま た、最先端の設備や情報機器を導入し、幅広い学生 とともに自由な発想や斬新なアイディアを生み出す

「学びの場」である「リーダーズサルーン」と「リ ーダーズスタジオ」を提供している。両施設ではプ ログラム履修生のディスカッションや発表会、実世 界データ取得の実験などを行っている。

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1 本プログラムのカリキュラム

図2 リーダーズサルーン 図3 ミャンマー学生交流

4。まとめ

本稿では、実世界データ循環学という新しい 学術領域を学ぶ博士課程教育リーディングプログ ラムについて概説した。また、本プログラムで実 施している博士リーダー人材に必要な資質・能力の 育成のための教育内容を紹介した。

参考文献

1) http://www.jsps.go.jp/j-hakasekatei/

図   1  本プログラムのカリキュラム 図2 リーダーズサルーン                 図3 ミャンマー学生交流 4。まとめ  本稿では、実世界データ循環学という新しい 学術領域を学ぶ博士課程教育リーディングプログ ラムについて概説した。また、本プログラムで実 施している博士リーダー人材に必要な資質・能力の 育成のための教育内容を紹介した。 参考文献1) http://www.jsps.go.jp/j-hakasekatei/

参照

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