15Seika2-3 生化学Ⅱ 第 3 回小テスト
2015.7.28 問題 1.
クエン酸サイクルを構成する 8 つの酵素を順不同で下の表に記載したが,表に空欄が 2 箇所あって 不完全である。この表に関する以下の問題に答えなさい。
スクシニル CoA シンテターゼ ①
リンゴ酸デヒドロゲナーゼ アコニターゼ
クエン酸シンターゼ ②
フマラーゼ 2オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ
i. 空欄①,空欄②に入る酵素の名前を答えなさい。
ii.クエン酸サイクルは「ピルビン酸デヒドロゲナーゼ多酵素複合体」が触媒する反応から始まり,
「クエン酸シンターゼ」→「アコニターゼ」→...と続いて「リンゴ酸デヒドロゲナーゼ」の 触媒反応生成物がクエン酸シンターゼの反応基質になる「サイクル;循環代謝経路」である。 このサイクルにおいて,空欄①,空欄②の酵素のどちらが「順番が先」ですか?酵素の名前で 答えなさい。
iii. 空欄①と空欄②の酵素は共に「酸化還元反応」を触媒する酵素だが,還元されて生じる(電子を 受け取った)高エネルギー化合物の種類が異なる。それぞれの酵素が触媒する反応の生成物でも あるこの「高エネルギー化合物」の名前を各々の酵素について答えなさい。
なお,小問 iii.の正解は小問 i.の解答と連動している点にご注意下さい。 iv. 生成物が「オキサロ酢酸」である反応を触媒する酵素の名前を答えなさい。
v. クエン酸シンターゼが触媒する反応の基質となる 2 つの化合物の名前を答えなさい。
vi. 解糖系で生成されたピルビン酸 2 分子がクエン酸サイクルで完全に二酸化炭素に変換された結 果,生成される NADH,FADH2,GTP の総数をそれぞれ答えなさい。
問題 2.
i. 下の表は電子伝達系の各複合体の性質をまとめた一覧表です。空欄①∼⑧に適当な語句を記入し, 表を完成させなさい。(⑤と⑦はとても似ている分子同士ですが,違いを意識して回答して下さ い)
複合体名 別名 電子供与分子 電子受容分子 移動する水素イオンの数
I NADH-CoQ-オキシドレ
ダクターゼ NADH 酸化型 CoQ 4
II ① FADH2 酸化型 CoQ ②
III ③ ④ ⑤ ⑥
IV シトクロム c オキシダー
ゼ ⑦ 酸素 ⑧
ii. 電子伝達系が移動させた水素イオンはミトコンドリアのどの場所に集められるか,答えなさい。 iii. ii. で集められた水素イオンは F0F1ATPaseがATP合成に利用する。解答用紙にミトコンドリア
の内膜の模式図と F0F1ATPaseの漫画を表記しているが,ミトコンドリア内膜に F0F1ATPaseがど のように配置されているか,正しくスケッチして下さい。さらに,F0F1ATPase が働く際,水素 イオンがミトコンドリア内膜のどちら側からどちら側へ移動するか,矢印で簡単に示しなさい。 iv. 理論的に,グルコース1分子から解糖系→クエン酸サイクル→電子伝達系を経て合成される
ATP分子の総数を答えなさい。
v. 実際の細胞では様々な理由でグルコース1分子あたり約32分子の ATP が合成される計算とな り,iv.で計算された値よりも少ない。理論値よりも実際の ATP 合成量が少なくなる理由を2つ, 答えなさい。 <裏に続く>
15Seika2-3 問題3.下の図に関する以下の質問に答えなさい。
i. 上の図は光合成の「暗反応」で,二酸化炭素を有機化合物に変換する過程を示す。空欄①は「世 界で一番多い酵素」という異名を持つ酵素を表している。この酵素の正式名称を答えなさい。 ii. 上記図②の ATP は光合成の「明反応」,つまり光の入射を必要とする反応で生産される。明反応
において ATP が合成される一連のプロセスを説明しなさい。なお,本問については ・基本的なプロセスを正しく説明できて獲得できる「ベース配点」
・より詳細に説明できたときに獲得できる「ボーナス配点(満点に上乗せ)」
を設定します。明反応について知っているところをできる限り詳しく説明してみて下さい。 iii. 上記図③の NADPH を生産する酵素の名前を答えなさい。
iv. 空欄④,「光合成産物」の正しい名称を答えなさい。
v.光合成の暗反応を指す,「別名」を一つ答えなさい(講義では 2 つ紹介しました)。
問題4.
i.
空欄①∼④に適当な語句を入れ,,文章を完成させなさい。DNA の複製は複製される DNA 内のある場所( ① )から開始される。2 重らせん構造 を 1 本鎖にほどき,新しい DNA を合成しながら DNA ポリメラーゼは鋳型 DNA 上を進む。こ の時,新しい DNA 分子は 2 本同時に合成されるが,DNA 合成反応が必ず3 末端に新しいヌク レオチドを付加するように進むため,合成される DNA の一方は酵素の進行方向と逆方向に伸び ていく。このジレンマを解決するため,DNA ポリメラーゼは片方の DNA を「途切れ途切れ」 に合成し,そのあと DNA の断片を「つなぎ合わせる」ことが知られている。鋳型の DNA をほ どきながら,DNA ポリメラーゼの進む方向通りに合成される新規 DNA 分子は
「 ② 鎖」,ポリメラーゼの進行方向と逆の方向に向いている分子を
「 ③ 鎖」と呼び,「 ③ 鎖」を合成するときに「途切れ途切れ」 に合成される短い DNA 分子のことを発見者の名前を用いて「 ④ 」と呼ぶ。
ii. 上記問題 i.において,
「 ④ 」が「 ③ 鎖」に仕上げられる一連
のプロセスを,関与する酵素の名前とその酵素の活性の名前を正しく述べながら説明し
なさい。
①
② ③
④
解答用紙 所属 学籍番号 氏名
15Seika2-3
問題 1. 28 点
i.① イソクエン酸デヒドロゲナーゼ (3) ② コハク酸デヒドロゲナーゼ (3)
ii. イソクエン酸デヒドロゲナーゼ (3) iii. ① NADH (2) ② FADH
2(2)
iv. リンゴ酸デヒドロゲナーゼ (3)
v. アセチル補酵素 A(アセチル CoA) (3) オキサロ酢酸 (3)
vi. NADH (2)
8 個
FADH
2(2)
2 個
GTP (2)
2 個
問題 2.34 点
i.① コハク酸CoQ オキシドレダクターゼ (2) ② 0 (2)
③ CoQシトクロムcオキシドレダクターゼ (2) ④ 還 元 型 CoQ
(2)
⑤ シトクロムc
3+(2)
⑥ 4 (2) ⑦ シトクロムc
2+(2)
⑧ 2 (2)
ii. ミトコンドリア膜間部 (3)
iii. (3)x2
iv. (3)
38 個
v. 移動した水素はある程度自然に漏れ出してマトリックスに戻るため (3)
ミトコンドリアにATPを作るための材料分子を輸送するために一部水素イオンが
使われるため (3)
<裏に続く>
F0F1ATPase のモデルはこれ
←
を用いて下さい F1
F0
<マトリックス側>
<膜間部側>
解答はこちらの枠内に(モデルの配向と水素イオ ンの流れ)
F0
15Seika2-3