テ
ー
マ
「アジア諸国の産業発展と中小企業」
日
時 2008
年
8
月
2
日(土) 9:30~17:30
3
日(日)10:00~17:30
会
場
専修大学神田校舎
7
号館
731
教室
使用言語
英語・日本語
開会挨拶
小口登良(中小企業研究センター代表/専修大学商学部教授)・・・・・・・・・・・1
招待講演
「中小企業成長の制約要因分析:中国の蘇州、温州、天津地域の中小企業調査に基づいて」 (The Analysis on the Growth Restriction of SMEs in China: Empirical Evidence from
SMEs in Some Cities of China)
谷 雲(南開大学(中国)経済学部副学部長准教授)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
“Entrepreneurship Development for Competitive SMEs: A Malaysian Comparative Analysis
(
”
中小企業の経営能力開発:マレーシアの比較分析)
ザファラン・ハッサン
(マラ工科大学(マレーシア)ビジネスマネージメント学部准教授)・・6
“Financing Characteristics and Difficulties of Small and Medium-sized Enterprises in Shanghai”(
沈 開艶(上海社会科学院経済研究所副所長)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
上海の中小企業融資における問題点と課題)
“Innovations and Internationalization of SMEs in Asia” (アジアにおける中小企業の技術革新と国際化)
ウィー・リン・タン(シンガポール経営大学ビジネススクール准教授)・・・・・・・・・・・23
“Small and Medium Enterprises in Australia: Encouraging Their Participation in the Global Economy”(オーストラリアの中小企業:
グローバル経済への参入の奨励
チャールズ・ハービイ
)
(ウーロンゴン大学経済学部准教授(オーストラリア)/中小企業研究センター客員研究員)・・・32
“Competitive Advantages and Business Culture of SMEs in Vietnam”
(べトナム中小企業の競争優位と企業文化)
トュラン・テイ・ヴァン・ホア(ハノイ国民経済大学ビジネススクール院長)・・・・・・・49
「台湾における中小企業のR&D政策と現状」
(R&D Policy and Current Status of SMEs in Taiwan)
“Small and Medium Enterprises(SMEs) Development in Malaysia”
(マレーシアにおける中小企業の発展)
ロスリナ・モハマッド・リサ(首相府経済計画局マレーシア開発機関主席副所長)・・・・・65
「アジアの中小企業を分析する」(Analyzing of SMEs in Asian Countries)
黒瀬 直宏(中小企業研究センター研究員/専修大学商学部教授)・・・・・・・・・・・・・・77
「日本の中小企業のアジア展開 」(Expansion in Asia by Japanese SMEs) 山田 伸顯
((財)大田区産業振興協会専務理事/法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科客員教授)・89
パネルディスカッション
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100パネリスト:谷 雲、ザファラン・ハッサン 、沈 開艶、ウィー・リン・タン
チャールズ・ハービイ、トュラン・テイ・ヴァン・ホア、劉 慶瑞、 、
ロスリナ・モハマッド・リサ 、
コーディネーター:黒瀬 直宏
山田 伸顯
国際シンポジウム「アジア諸国の産業発展と中小企業」
(小口) 皆さんおはようございます。ただいまご紹介いただきました小口です。きょう
は暑い中を朝早くからお集まりくださいましてありがとうございます。
私ども専修大学社会知性研究開発センター/中小企業研究拠点では、2004年に「アジア諸 国の産業発展と中小企業」という課題で研究を始めまして、文部科学省のオープン・リサ
ーチ・センター整備事業の研究プロジェクトとして採択され、5年計画で始め今年が最後
の年になります。最後の年ということになりましたので、これまでも毎年1年に1回国際
シンポジウムを開いてきたのですが、ことしは特に大きなものということで2日間にわた
っての国際コンファレンスを計画いたしました。同時に、今回の会にはこれまでオースト
ラリアのウーロンゴン大学から始まりまして、そのあとマレーシアのマラ工科大学、それ
から私どもの専修大学が加わりまして、共催しております「グローバル経済の中の中小企
業」という国際コンファレンスの一環として、第5回目の会議として同時に行っておりま
す。
今回はプログラムにございますように、多くの国のアジア諸国のこれまで中小企業の研
究や、政策にかかわってこられた方々に参加していただきまして、本日はその方々の講演
を1日、朝からきついスケジュールですが、みっちりといろいろなお話をお聞きすること
ができると思います。明日は午前中に一般から公募いたしました研究の発表がございまし
て、午後は日本人の基調講演のような講演があり、そのあとパネルディスカッションがあ
ります。今日いろいろ講演していただいた中で質問等がございましたら、お手もとに紙が
用意してありますので、そこに書いていただければ明日のパネルディスカッションのとき
にも取り上げていただくことができると思いますのでよろしくお願いいたします。
ご存じのように、先日WTOの会議が決裂したというようなニュースがありました。W
TOの会議が進もうが進むまいが、とにかく世界の経済がグローバル化している、この動
きは止められようがなくて、WTOの協定がなくてもFTAとかEPAというような2国
間あるいは多国間の協定が進んで、その中で中小企業も世界に向けての対応が余儀なくさ
れていると思います。
今日の講演の中ではそういうことについても多くお話ししていただけると思います。
非常に暑い中ですが、外の天気に負けないような熱いお話をお聞きできると期待してお
りますので、どうぞ皆様もいろいろご意見等がありましたら、明日取り上げることができ
ますので参加してくださるよう、お願いいたします。
「中小企業成長の制約要因分析:中国の蘇州、温州、天津地域の中小企業調査に基づいて」
“The Analysis on the Growth Restriction of SMEs in China”
谷 雲氏
(南開大学経済学部副学部長准教授)
皆さんおはようございます。中国南開大学からまいりました谷と申します。
今日は、中国の中小企業の調査の結果を皆さんにご報告いたします。この調査は2005年
に専修大学社会知性開発研究センター/中小企業センターがアジア8か国の中小企業に対 するアンケート調査の一環として実施されました。
メイドイン・チャイナは世界経済の輪の中で既に欠くことができない重要な一部となっ
ています。相対的に低い労働コスト、比較低強いOEMの実力、安定した経済状況等が中国
製造業の強みです(競争力の優位性を持っていること)。しかし、去年の末から今年のは
じめに、原材料価格の大幅な高騰、人件費の上昇、人民元レートの上昇、輸出に対する税
還付政策の変更など多くのマイナス要因から多くの中小企業が厳しい存亡の危機に直面し
ています。
過去 10 年、中国の中小企業はマクロ経済、国の政策調整、制度改革や世界経済の状況、
市場の需要の好調から、ハイスピードの成長を遂げました。この2年は世界経済の減速、
中国の引き締め政策、デフレ、市場の需給変化から多くの中小企業に危機が訪れています。
調査を通じて、外部環境の制約は企業の存続に一定の影響を与えているものの、これら
制約が中小企業にとって決定的な要因ではなく、中国の中小企業自体の体質、経営水準の
全般、成長要素の欠如などが中小企業の存続と成長のカギであることがわかりました。ま
さしく、企業内部の成長制約要因の改善、競争力の向上をさせることは外部環境、市場不
況を克服するために必ず通らなければならない道です。
蘇州、温州、天津の中小企業の調査の結果の状況を説明する前に、まず中国の中小企業
の基本状況と特徴を簡単にご紹介いたします。
統計によりますと、2006 年の末、中国工商行政部門に登記(登録)された中小企業の数
は360万社を超え、それに個人工商自営業は4,242万であるので、あわせて中小企業が中国
企業全体の99.6%を占め、中国経済発展を支える重要な構成部分となっています。
現在中国の中小企業の発展は、歴史的ないい時期に入っており、納税、科学技術の開発
と革新および社会の事業の圧力の緩和などでますます重要な役割を果たしています。
中国の中小企業は、日本や欧米の中小企業と違います。独自の歴史的背景とその形成の
ベースとなる形態を持っている。それは成長の歴史が短いこと、基盤が弱く、特殊な発展
環境にあること、タイプごとに企業間の差異が大きいです。
商業形態から見ると、中国の事業主体は国有企業、集団企業、私営企業、外資系企業お
よび個人企業の5つに分けています。国有企業は企業を国が所有する企業で、直接経営し
身が出資者となって、その企業を所有するというかたちです。農村部の郷鎮企業などはこ
の範囲に入るものが多いです。主に実態としては、国の実質的な支配にある大集体企業か
ら、株式会社タイプ、まちの住民たちが共同出資して設立した小規模なものまで、これは
1950年代から1990年代を中心にさまざまな性格の企業がつくられてきました。企業の数も
最も多いです。
私営企業は、資産が個人に属し、雇用人数が8人以上の営利組織です。形態としては、
個人独資企業と有限責任公司があります。
外資系企業は、中外合資、中外合作、独資の3種類あります。合わせて三資企業とも呼
ばれます。
中小企業を指す言葉にはいろいろあります。イノベーティブな中小企業を指す高新技術
企業、農村部の中小企業を指す郷鎮企業、それから民営企業。民営企業はだいたい中小企
業とイコールの意味で使われています。
中小企業は中国の企業の中心であり、数が多く、広範に分布する一方、多くの企業はそ
の設備のレベルが低く、技術力が遅れている点も中国が経済成長の転換を進める上での困
難さであり、重要な改善点となるところです。
売上高ランキングの順によって、中小の製造業上位8業種は、紡績、非鉄金属製品製造、
金属製品製造、食品加工、一般機械製造、化学原料および化学製品製造、電気機械及び機
材製造、アパレル・繊維となっており、製造業は伝統的な加工業や軽工業、紡績業に集中
しています。
中国では中小企業の地域分布も不均衡で、2003 年の統計によると中国の中小企業が3つ
の地域に、東地域は70%、中部地域に18.8%、西の地域は11.2%を占めています。
中小企業の数は、浙江省、広東省、江蘇省、山東省、上海の5つの順で、5つの都市合
わせて全国の中小企業の数が51.6%を占めています。
これから中国政府の政策は、古い生産設備の更新と産業構造の質の向上が重要な方向で
す。また、技術レベルの低さ、クリエイト能力の弱さ、エネルギーの効率が悪く、資源多
消費、目に余る汚染中小企業はこれからの構造調整の対象になります。
次に、温州、蘇州、天津の3都市の中小企業調査の説明をいたします。
中国では市場経済化が進むなかで、蘇南モデル、温州モデル、華南モデル、3つのモデ
ルが現れ、それぞれの特徴があります。華南モデルには深センモデルもありますし、これ
は外国資本が牽引力となっています。蘇南モデルはもともと集団企業を中心に発展したも
のです。その企業の規模が小さく、従業員と企業全体の利益が一致し、労働積極性が高か
ったのです。
温州モデルはあくまでも中小民間企業を中心として展開されていました。
天津は中国では3番目の大都市で、主に国有企業が昔多かったです。本調査は天津、温
州、蘇州、この3都市を中国の地域別の代表として調査を実施しました。調査はアンケー
ト調査、企業訪問で、原則として企業の代表者を対象にしました。3都市各 150 社にアン
これは売上高規模で、3都市を合わせだいたい平均でこうなります。やはり 300 万元以
下の企業が多いようです。
調査の結果、大部分の製造業が民営、私営企業で、企業経営者の起業目的は、自分の考
えを実現するためでした。多くの経営者が企業の成功の要因を明確な市場の動向の把握で
あると考えています。経営手法では全般に先端の経営管理方法が欠けており、現在の管理
方法は初歩的な管理で、しかも会計の処理は帳簿記録に留まると感じています。管理手法、
人材などの不足の問題があると認識してよいと思われます。資金面では、主に自己資金、
国有商業銀行からの借入が主要な資金調達方法です。給料、原材料などに使う資金=運転
資金のショートと原材料、エネルギー・電力価格の大幅な上昇が新たな生産コストとして
生じており、経営コストの上昇によって企業利益が圧迫されているのが現状です。
多くの企業が必ずしも良好な発展状況になく、市場競争はどんどん激しくなります。中
小企業の多くは技術的に遅れており、融資を受けるのも困難で、管理体制は遅れています。
人材不足や情報不足といった問題もあります。
生産面では単一で、大企業依存度が高く、少数の大型企業や企業グループが局部的な地
域を支配しており、その力もどんどん強まり、中小企業が生き残って成長する余地が狭く
なっています。製品構成では、粗雑な加工製品が多く、精密な加工製品は少ないです。一
般的な製品が多く、自社ブランドは少ない。近代的な管理方法も欠けています。と、以上
が私のアンケートの結果についての基本認識です。
サンプル企業の状況を見て、だいたいこういうふうになっています。やはりいい企業も
あります。職員の規模別に見て、だいたい50人から150人ぐらいまでの規模の企業が多い
ようです。この3都市の中小企業は、だいたい中国では3つのタイプを代表し、地方によ
りいろいろと違うところがあります。
もう1つの天津市は 341 社の企業調査を行いました。調査票もだいたい同じくらで、そ
のデータもだいたい同じです。
創業の成功の理由は、やはり経営者として必要な能力がついていたというのがいちばん
多いです。企業の代表者になる前の職業は、「企業で働いた」の人が多いです。9番のそ
の他も、地方によって違いますね。例えば天津市は 19.1%。主に天津市はもともと国営企
業が多かったので、企業改正で経営者が、その企業が民営企業になったり、またはその他
の性格の企業になっています。
経営の主たる目的。1番、2番を選んでいる人が多いです。だいたい 70%を占めていま
す。これは別の調査で、企業の責任者、創業者の学歴の状況。だいたい20歳、30歳ぐらい
では学歴が高いとわかっています。
販売活動の問題。「販売活動は活発化が必要だが、人材や資金が不足」が多いです。そ
の中で、「6番-特に問題はない」が多くなっています。これは問題があります。
13番-工場の問題。「工場の規模が小さすぎる、「町にあるため拡張できない」、これは だいたい天津市、温州はこの状況が多いです。蘇州は特別なところがありますから、この
技術開発の担当者は専門の、中国では中小企業の中に専門のスタッフ、技術者がいます。
たぶんほかの国の様子とはちょっと違うんですね。平均で 57.2%の中小企業の専門技術者
がいます。
調査で聞くと、事業の強さは、「親切がよい」と答える人が多いです。
従業員についての問題は次の順になっています。機能工が、技術を持っている人が不足
しています。専門の技術者が不足している。専門の管理者が不足しています。中国ではい
ままでは若手労働者が不足の状況がまた。この前が広東省の東莞というところに、広東省
が人手不足という状況がありました。ほかのところはまだ大丈夫です。
19-組織運営、経営理念。
情報の獲得。情報の獲得は3番の展示会で情報をとることが多いです。これは高いです。
あと、取引相手との対話等で情報を獲得。おもしろいところは、蘇州はほとんど業界団体
でそこから情報をとっていることはほとんどないです。その反対に温州のほうは業界団体
でみんな情報交換しているということがありました。
だいたい調査の質問が26ぐらいです。
中国中小企業の成長制約の要因。
市場参入問題。参入に際して事前の審査・批准の壁が数多く存在します。中小企業が国
有企業と外資企業と比べて参入資格の条件、機会は不利なポジションにあります。
資金調達の困難さ。資金調達方法が限られており、自己資金が不足して、各クラスの金
融機関の私営企業、とりわけ私営中小企業の資金調達へのサポートには厳しい制限があり
ます。現在の信用担保を行う機関も私営企業の必要とする大きな保証に応えていないです。
私営企業では資金調達の保証の困難な状況が普遍的に見られます。運転資金のショートも
中小企業にとっては頭の痛い問題です。
あと人材の確保も難しい。
生産の方法も、中小企業は専門化した協力レベルが高くないです。また、私営企業の制
度に革新性がないです。ファミリー経営の管理方法に留まっています。創造性に劣る。業
界の競争が激しいです。中小企業の生産品には似たようなものが広く見られます。労働集
約型業種が多く、中小企業によくある、“専門性、精巧さ、特徴性、新しさ”といった特
徴が強くないです。創造性が欠けております。
あと、労働者の流動性が高く、企業年金、企業保険率は低いです。
中国の製造が「大」から「強さ」へ転換を図るためには、「中国製造」から「中国創造」
への転換が最重要の課題となります。しかし、中国の最も重要な資本市場としての中国株
式市場は、現在のところ、「中国製造」から「中国創造」への転換を推進するエンジンの
機能は持ち合わせてはいないです。
中小企業の役割を発揮させ、国民経済の安定的、持続的な成長を約束するためには、中
小企業に満足のいく高い成長を促し、また数の上でも十分に成長性のある中小企業を擁す
“Entrepreneurship Development for Competitive SMEs: A Malaysian Comparative
Analysis”
(中小企業の経営能力開発:マレーシアの比較分析)ザファラン・ハッサン氏
(マラ工科大学(マレーシア)ビジネスマネージメント学部准教授)
皆さんおはようございます。マレーシアではそのまま、「パギー」、皆様にごあいさつ
を申し上げたいと思います。
きょうの私のプレゼンのタイトルとしまして、「中小企業の経営能力開発:マレーシア
の比較分析
労働コストの競争力でありますけれども、中小企業は単位労働コストを2.7%削減された 」ということであります。
導入部分としてお話しさせていただきますが、バックグランドを調べていきますと、ま
ずマレーシアの場所ですが、戦略的な競争力の指数、2006年から2007年の報告書を見てい
きますと、マレーシアのランキングは55 か国のうち23 位であります。これは全体的な競
争力ベースのランキングであります。またASEAN5か国の中の2位ということであります。
また、マレーシアは13のうち7位ということで、これはアジア・太平洋地域のマレーシア
のランキングになります。また、競争力の要因という意味では4位であります。ビジネス
の効率性ということで、人口が2,000万以上の国の中ではマレーシアはそのようなランキン
グになっております。ですからバックグランドとしましては、マレーシアのランキングは
世界の競争力指数では相対的にこのような地位であります。
ですから、きょうの朝このような指標などを背景に考え、また競争力のランキングベー
スで隣国などとも比較しながらお話しさせていただきます。また、連関性が中小企業のパ
フォーマンスにあるのかどうか。すなわちマレーシアと隣国の中小企業のパフォーマンス
とそれぞれの国の競争力のあいだに連関性があるかどうかを見てみたいと思います。
2007 年にマレーシアの経済は成長を続け、GDP の成長は 6.3%であります。この4年間
でいちばん高い成長率になりました。これに並行して経済は生産性の伸びが4.2%を記録い
たしました。そして生産性レベルは4万8,133マレーシアリンゲットとなっております。マ
レーシアの生産性の伸びは主要なOECD 諸国よりも高く、またアジアの多くの国々よりも
高かったわけであります。また、2.1%の成長も見られまして、5.9%の全要素生産性の伸び、
2003年から2007年は2.1でありました。そしてこの間の年間の成長は5.9%でありました。
中小企業は全体の製造拠点の96.5%を、食品、飲料の全生産の中小企業の貢献は32.3%、 化学製品16.5%、ゴム・プラスチック製品10.4、家具4.1であります。
中小企業の生産性は5.3%伸び、2007年には4万6,568マレーシアリンゲットになってお
ります。
それに、別に中小企業や各業界の伸びでありますけれども、生産性の特に高い中小企業
の分野は、化学品、またはオフィスのコンピュータ、または木材・木材製品、基礎金属、
ということで、ビジネスの効率性または競争力指数が上がったということであります。中
小企業の生産性は2008年は6%以上伸びると予想されております。
では、規模またはセクター別のミクロ企業、小企業、中規模を見ていただきますと、製
造業では全体の合計では3万9,436社、サービス分野では47万4,706社、農業では3万4,245
社、全体では54万8,387社となっております。
ですから、このように見ていただきますと、主要な中小企業の貢献は、実際はサービス
セクターが主である、ここの数字がいちばん高いわけです。調査が ICT の実施で、マレー
シアの中小企業にどのくらい影響力を及ぼしているかということですけれども、その研究
成果としまして、ICTを実行しているかと、44.1%従業員のパフォーマンスを改善したとい
うことであります。ですから中小企業においてもコンピュータなどの導入によりまして改
善されているということです。また戦略的な経営管理ですけれども、ICT導入によって60%
のインパクトがあったということです。商品やサービスの納入、57.8%、サプライヤー62.1%、
セールスやマーケティング59.7%、そして顧客63.0%となっております。
ICT の採用が中小企業にどのような影響を及ぼしているかを示しています。全体の生産、
また付加価値、そして中小企業の雇用状況を見ていただきます。こちらの数字がございま
す。そして、全体の生産高も改善されておりますし、2006年から2007年にかけて生産が改
善されております。また、付加価値という意味でも、また雇用という意味でも貢献が見ら
れます。全体の生産または付加価値ということではリンゲット建てでこちらに示されてお
ります。
そうしますと、このペーパーの調査結果の主なポイントは何なのかということに戻るわ
けですが、戦略的な競争力の指数を中小企業で見ているわけです。起業家がどのくらい開
発されているかということを見極める1つの指標であります。ですから見なければならな
いというのはグローバルな競争力が激化する中で、企業はサプライヤー、顧客の仕事のや
り方、そのビジネスの内容にもっと関与するべきでありますし、現在の課題の多い厳しい
ビジネス環境で成功裏に競争するためには中小企業は内部の機能をそれぞれの会社の中で
有効に統合させ、品質の高い経営管理をしなければならないわけです。企業は現在やはり
主要な戦略的な競争力指数に照準を合わせ、競争上の優位性をそれで確保するべきであり
ます。
では、中小企業のプロフィール、パフォーマンス、特に製造部門で見ていただきますと、
やはり企業は従業員を150人以上を超えない、また年間の売上は2,500万リンギットを超え
ないというのが中小企業の定義であります。またさらに細分化されまして、中規模企業、
小規模企業とミクロ規模の企業に細分類されております。なぜこの定義をお見せするかと
言いますと、やはり比較分析を隣国と行う際に、それが私のペーパーの本題なわけですけ
れども、やはりいろいろな国はその国の事情によって中小企業の定義が多少異なるという
ことなので、やはりコンセンサスまたは合意をパフォーマンスについて見いだすには、や
はり定義が違うとなかなか難しいところがあります。ですからこのセクターまたは中小企
ォーマンスであります。このような状況であります。SME、中小企業ですけれども、サー
ビス、または一次産業、ICT、農業部門でありますけれども、50人を上回らない従業員、ま
た 500 万リンギットを上回らない年間の売上、そしてそれをさらに細分化し、中規模、小
規模、ミクロ規模ということです。SMEとSMI、異なった2つの定義があります。そして
いまお話しした部分のサマリーがこちらのページです。
そこで、隣国の中小企業との比較でありますけれども、まずインドネシア。SME はイン
ドネシアの国内経済を発展させる上で重要な役割を果たしている。また多くの世帯にとっ
て、1次または2次的な所得の重要な部分である。また国の生産、流通、サービス産業に
とって重要であります。そして2006年で、雇用機会の創出ということでは7,300万人分と
いうことであります。また、多くの企業はミクロ企業または家内工業でありまして、農業
部門に帰属する場合が多いわけです。インドネシアの中小企業は国の大手の企業よりもア
ジア通貨危機のときには、より強い弾力性を示しております。というのは、マーケット事
情の変化に対して大手よりもむしろ中小企業のほうがより柔軟に、より迅速に対応するこ
とができました。しかしながら、中小企業は金融機関や銀行から必ずしも融資を受けられ
ないということで、マーケティングまたは財務的な問題を抱えております。また、自分た
ちから直接資本市場に出て資金調達するというのもなかなか難しいわけであります。
では、より発展しているシンガポールという隣国でありますけれども、やはり工業的に
も商業的にも金融的にも世界で有数の発展した先進的な体制をシンガポールは持っており
ます。またテレコムの施設も最先端をいっているわけですけれども、中小企業はシンガポ
ールの場合さらに重要な役割を果たしております。報告などによりますと500のSMEの約
11%は5,000万シンガポールドル以上の売上、そして平均的な毎月の売上も500万シンガポ
ールドル以上ということでありますので、多くの場合は大手の企業に匹敵する、場合によ
ってはそれを上回る収益やパフォーマンスを示しております。
タイでありますが、タイは常にビジネス環境に沿った形で、また環境を整備するために
外資なども導入するわけですけれども、アジア通貨危機以降、政府は中小企業に対しての
サポートを強化し、また、第9次国家経済社会開発計画の中でもタイは中小企業の成長を
促進するために支援策をとっております。
ではマレーシアにおいては、品質管理という意味で中小企業は品質管理優秀賞という制
度への参加を奨励されます。それによって品質管理やプロセスが内部の業務システムに組
み込まれるようにという趣旨であります。また、基準や枠組みでありますけれども、この
ようなものが設定されております。トップマネージメント、リーダーシップ、また品質管
理、これについては明日のペーパーセッションでトップマネージメントの役割についてお
話しさせていただくつもりであります。また、ENABLERの指標といたしまして品質に関す
るデータや情報の活用、人材管理、または顧客中心主義、または外部のサプライヤーの品
質管理、またはプロセス管理などがこの分類に含まれます。また、成果ですけれども、品
質または業務上のビジネスの結果。
小企業向けに確立されております。ベンチマークやベストプラクティスを中小企業のため
に役立てようということです。ビジネス・パフォーマンスの尺度として使うわけでありま
す。7つの重要な分野における測定ということですけれども、この7つの重要分野、生産
性、品質、コスト、納入、安全性、人的資本と財務パフォーマンス、そして全体の29のパ
フォーマンス・インディケーターが開発され、それによってこのコミュニティ・オブ・プ
ラクティスということを測定したわけです。そして中小企業は伝統的なビジネス・オペレ
ーションを超えて、よりイノベーション性に富んだものへ移行することが奨励されました。
これがベンチマーク、キーパフォーマンス・インディケーターです。こういうものを開
発いたしました。これをマレーシアの生産性機構が開発したわけで、生産性の各次元を見
ています。組織としての生産性で KPI を見ています。例えば労働生産性、労働コストの競
争力を見ています。品質については顧客からの苦情が年間何件あるか。コストの中でやり
直し、リワークを見ています。これはどれだけの費用がかかったかを勘定しています。や
り直しにどれだけコストがかかっているか。また、納期を守るかたちで納入ができている
かどうか。安全性については年間の事故の数。人的資本に関しては無断欠勤の割合。1人
の従業員あたりの訓練期間並びに1人あたりの訓練教育のための投資の額。財務について
は資産の回転率などを見ています。
この論文の重要な次元ですけれども、このような KPI のインディケーターをより広い視
野で見ることです。どのようにして戦略的なアントレプレナー開発が中小企業の中で行わ
れているかを把握したいんです。プロブレム・ステートメントを書いております。事実と
していま現在我々が焦点を当てているのは、中小企業はもはや選択の余地はなくこれから
強く競争力を持たなければならないんです。そうしないと今日の企業と産業のグローバル
化の中で生産ができません。好むと好まざるとにかかわらず、成長するしかありません。
かつ、ベスト・オブ・プラクティスを導入しなければなりません。品質管理が中小企業が
競争力を得るためのカギであることがわかりました。
このような根拠に基づいて比較分析を近隣諸国と行っています。
はじめにGlobal Competitiveness Index Report、GCIです。グローバルな競争力のインディ
ケーターです。タイ、インドネシア、ベトナム、スリランカ、フィリピン、パキスタン、
バングラ、ネパールを扱っています。ランキングを書いてありますけれども、言うまでも
ありませんがシンガポールがいちばん上です。次がマレーシア。そして順番にタイ、イン
ドネシア、インド、ベトナム、スリランカ、フィリピン、パキスタン、バングラデシュ、
ネパールです。ただ、繰り返しますけれども、これは GCI ということで、グローバルな競
争力なんです。その上で、企業の効率性インデックス、BCI、企業ごとのインデックスを見
る必要があります。シンガポールが9、マレーシアが21、同じです。タイ37、インドネシ
ア36位、インド31、ベトナム76位、スリランカ52位、パキスタン79、バングラ118、ネ
パール120位というランキングでした。
各国間のSMEのアントレプレナーシップ開発イニシャティブの共通性と違いを比較分析
実際の論文、アップインデックスにつけてあるんですけれども、比較分析の詳細が書いて
あります。それぞれの国に関するデータがついています。このイニシャティブ・インデッ
クスでの比較があります。
この発表の中では重要なインディケーターだけ申し上げます。我々が何を比較をしたの
か。戦略的な競争力を起業家志向について見ています。各国のSMEについて、そのイニシ
ャティブを見ております。まずイニシャティブの中でSME推進カウンシル、あるいは機関、
組織などがあるかどうか見ています。アントレプレナー開発プロモーションのキャンペー
ンがあるかどうか。成功しているSMEに対してどのような賞があるかどうか。例えばプレ
ジデント賞などがあるかどうか。また、アントレプレナーということがトップのスピーチ
あるいは財政、予算などで出てくるかどうか。アントレプナー開発アクションプランが国
レベルであるかどうか。政府としてアントレプレナーを促進したいイノベーション、ある
いは競争力を促進したいというビジョンがあるかないか。中小企業のためのアントレプレ
ナーシップ・プロフィールのデータベースがあるかどうか。ベンチマーキング、ベストプ
ラクティスのネットワーキングが促進されているかどうか。女性や若者に対して会社をつ
くれという促進が行われているかどうか。eビジネスとIT開発が促進されているか。中小
企業に技術革新が呼びかけられているかどうか、中小企業向けの金融商品スキームがある
か。中小企業のためのプロモーション・キャンペーンが生産性についてあるか。中小企業
のデータベース、中小企業に関する定期刊行物、ウェブベースのビジネス・マッチングが
あるかどうか。ファシリティがあるかどうか。工業団地あるいは輸出、特区などなどがあ
るかないか。中小企業向けのさまざまな施策があるかないかを見ています。
規制と政策に関するイニシャティブです。これも各国間で比較しています。法律、規則、
政策で中小企業関連のものが国レベルであるかどうか。技術開発をサポートするための政
策、規制、IT開発のための規制、中小企業のマーケット・アクセスに関する政策と規制、
金融ファシリティに対するアクセスがあるかどうか。アントレプレナー育成のための政策、
倒産法があるかどうか。倒産法があると、うまくいかなかった場合の円滑な撤退を認める
ことが可能です。労働法、雇用法で中小企業に影響を与えるもの、インフラ、設備、ある
いは例外規定、中小企業に対する金融に関する規則、さまざまなインセンティブ、例えば
免税、特典、状況的な関税、生産性発展のための政策・規制があるかどうか。知的財産権
に関する政策・規制はどうか。
管理環境も比較しています。まず、常設であれアドホックであれ、中小企業の見方を規
制を制定する過程で反映する方法があるかどうか。審議会、協議会、タスクフォースがあ
るかどうか。諮問委員会、専門委員会があるかどうか。生産性改善プログラムがあるか。
アントレプレナーシップのプロフィール、データベースがあるか。アントレプレナーのプ
ロフィールや活動をモニターするためのシステムやプログラムがあるかどうか。起業家精
神のマインドセットに焦点を当てたプログラムがあるか、中小企業発展のための手順があ
るか、企業の登記、新会社の設立、上場基準はどうか。
ンプライアンス、報告基準。許認可。会計基準。ウェブポータルを使ったIT主導のコミ
ュニケーション、税制、公益サービス、標準化、品質に関する証明書、ISOのサーティフィ
ケーション、保険加入スキーム。
アントレプレナーに関するトレーニングと育成はどうか。これも関連する国々のあいだ
で比較をしました。アントレプレナーシップに関するカリキュラムが大学やカレッジにあ
るかどうか。インターンシップがあるかどうか。例えば企業と提携して企業現場でスキル
を磨く場があるかどうか。中小企業とカレッジ、大学とのあいだの連携はどうか。産学連
携のことです。ちょっと脱線しますけれども、例えば我が大学、マラ工科大学は首相府と
提携しました。そのもとで、中小企業と大学院とのあいだでの連携プログラムがあります。
大学院生も就職先を探すというよりは、すでに中小企業との関係がありますので、企業の
現場でアントレプレナーシップを勉強することができますし、中小企業は学生から知識を
得ることができます。契約がありまして、2年間の義務期間があります。2年間提携をし
たあと、本当の意味でパートナーを組みたいかどうかを考える機会があります。基本給が
定められております。政府が定めた基本給でスタートしてもよいですし、あるいはオプト
アウトして大学院生は自分の会社を設立する可能性もあります。ですから自分で会社を作
るようにと大学院生に促しています。雇われるよりも、被傭者よりもアントレプレナーに
なるように呼びかけています。始めてから2年たっています。このプログラムのエンドデ
ィゾート、実績はまだわからないですけれども、実際に始めてから2年たっています。
インスティテュート・オブ・アントレプレナーシップ、これが一部の省庁で設けられて
おります。アントレプレナーシップ・トレーニング・プログラムがあります。そのほかの
技能開発プログラムで、GAの勉強をさせます。品質標準化検査機関、それ以外の中小企業
の人材育成のための訓練期間の有無もチェックしています。
中小企業養成のためのネットワークリンケージ。これを図るために各国においてエンタ
ープライズ・クラスターがあるか見ています。企業発展サポートサービスプロバイダがあ
るかをどうか。アドバイザリーやコンサルタンシーが中小企業向けにあるか。戦略提携の
機会があるか。ジョイントベンチャー、これは国内同士あるいは国際的な企業同士でジョ
イントベンチャーが可能かどうか。外注の機会があるかどうか。インキュベーターがある
かどうか。マーケット・アクセス、製品開発、技術アクセス等のためのリンケージがある
かどうか。サプライチェーン・ネットワーク、バリューチェーン・ネットワークが国内あ
るいは国際的に存在するかどうかを見ています。
技術とITに関して、国境を超えるような技術協力イニシャティブがあるかどうか。テク
ノロジー・ビジネス・インキュベーターがあるか。バックアップ・プロジェクトあるいは
パイロット・プロジェクト、デモンストレーション・プロジェクトがあって、イノベーシ
ョンを育成しているかどうか。テクノプレニュア、開発のための設備があるかどうか。こ
れも共同で一部の公立大学と行っています。ファシリテーションをベンチマーキングで行
っているかどうか。ベスト・オブ・プラクティスを共有できるようなファシリテーション
ースのSMEポータル、SMEデータベースがあるかどうか。
当然財務サポートがあるかどうか見ています。例えば各国の中央銀行が中小企業に資金
を提供しているかどうか。あるいは特別な中小企業金融公庫などがあるかどうか。特別な
インセンティブがあるかどうか。SME ファンドがテクノプレニュアシップ、あるいはイン
トラプレニュアシップのためにあるかどうか。ベンチャーキャピタルがあるか、リスクフ
ァイナンス・メカニズムがあるか。グラント、助成金が技術支援のためにあるか。そして、
最終的に何がわかったか。
詳細は私のフルペーパーのアップインデックスに添付されています。以下、各国を見た
ところの結論です。このようなイニシャティブをすべて比較してみました。
まず第1に、マイクロレベルのイニシャティブに関してはより実利的なアプローチをと
るべきだと思います。いま現在のところはデータベースは育っています。それぞれの中小
企業に関しまして、中規模のもの、小規模のもの、データベースはあるんですけれども、
まだ足りないのがミクロレベルの最も小さなものに関するデータベースが足りません。ア
ントレプレナーのスキルでマイクロレベルのものに関してフォーカスを当てて、さまざま
な国レベルであるプログラムと政策に関するデータを集める必要があります。
このようなデータベースを編纂することによりまして、各組織レベルでの生産性に関連
したイニシャティブとプログラムをハイライトすることができます。それはアントレプレ
ナーの育成に特化した内容であり、ものとサービスをグローバル・マーケットで自由に流
通させるための自由化にもつながるものであって、技術開発、科学発展は相乗効果として
不可欠なものです。それによってグローバルに拡張していく中で機会を確保する必要があ
ります。言うまでもありませんけれども、このような環境の中で、各企業も生産性を高め
る必要が出てきています。生産性コストが各国の健闘力です。否が応でも生産性がカギな
んです。これは認めなければなりません。中小企業が競争力を持つためには生産性がカギ
です。それが不可欠です。
結論として、私の提案です。いかにして生産性志向、そして競争力志向のマインドセッ
トを育成するかどうか。すなわちアントレプレナーを育成するための枠組みです。複数の
ファクターを見ていかなければなりません。例えば、マクロ経済、ミクロ経済の要素、社
会、経済、法制度の状況で、各経済においてアントレプレナー文化を育成するために重要
な各次元を見ていかなければなりません。どれも過小評価はできません。各国でとらえて
イニシャティブを比較する必要があります。比較してみますとたしかに政府、公的部門は
アントレプレナーシップを育成するために重要な役割を果たしてはいるんですけれども、
ただ単に官ががんばればよいということではありません。つまり、官とか政府のイニシャ
ティブだけに依存してはならないということです。理想的な解決策、あるいは理想的なイ
ニシャティブが存在しているわけではありません。いつの時期でもどこの国でもこれをや
ればよいというものがあるわけではありません。違う国であればカルチャーも違います。
したがって、ワン・サイズ・フィッツ・オールはないんです。たった1つの正しい正解は
めるためにただ1つ正しい解答があるわけではありません。しかしアントレプレナーに関
する政策、改革、教育、あるいは円滑化するファシリテーションはどうしても見なければ
なりません。各国ともプライオリティは異なるはずです。開発段階に応じて優先順位の項
目は違うはずです。さらに重要なのは、たった1つか2つのファクターを見ればすむわけ
ではありません。財務だけが重要なわけではありません。それ以外にも多くのファクター
があって1国において起業家活動をふやすことが可能です。また、環境ファクターのプロ
フィールあるいは関税のパッケージだけではなく、アントレプレナーそれ自体の能力を理
解することが、ある特定の地域において役に立つ情報かもしれません。さらにこのような
パッケージは有効であったとしても、その時代に合ったもの、場所にあったものになりが
ちです。あるいは特定のアントレプレナーのセクターあるいはタイプ、あるいはプロフィ
ール特定の有効なパッケージになり得る可能性があります。
最終の分析ですが、民間部門もとても重要な役割を果たす余地があります。民間におい
てもCSRとガバナンスを改善しなければなりません。中小であったとしても、企業の社会
的責任、ガバナンスを忘れてはなりません。小規模なアントレプレナーを育成するための
リンケージ、ネットワークを強化する必要があり、新しいビジネス・オポチュニティと、
技術をアップグレードする機会をふやす必要があります。官だけではなく民も義務がある
のです。もちろん政府のほうでも改革、規制、政策、法的な枠組みを中小企業のために考
える必要があります。また中小企業に関する政策を策定する際には必ず民間からの意見を
反映し、参画を求める必要があります。アントレプレナーカルチャーを国全体として推進
しなければなりません。また、アントレプレナーが生まれた場合にはそのプロフィール、
活動、ビジネス環境のモニタリングを国として責任をもって見ていく必要があります。
それでは官、民の連携はどうか。官、民が力を合わせることによりまして、重要なサー
ビスに関してパートナーシップをつくることができます。官、民が力を合わせれば戦略的
に広げることができますし、競争力を高め、競争力がある環境を中小企業のために実現す
ることができます。
ファイナンスのオプションも拡大することができます。より革新的な金融スキームをつ
くることができます。アントレプレナーに関する知識開発とトレーニングも官、民で力を
合わせますと役に立つと思われます。これは私立の大学等を巻き込む必要があると思いま
す。
“Financing Characteristics and Difficulties of Small and Medium-sized
Enterprises in Shanghai”(
さて、中小企業の定義でございますが、異なる省、異なる機関において基準がまちまち
であります。これは中国ばかりがそうなのではありません。他国においても同様の状況が
あります。中国の統計局によりますと、中小企業の定義を明白にしておりますが、国家統
計局の定義ですと、工業における中小企業は次の条件を満たさなければなりません。従業
員の数2,000人以下。売上高が3億元以下、総資産が4億元以下となっております。その中
上海の中小企業融資における問題点と課題)
沈 開艶氏
(上海社会科学院経済研究所副所長)
ありがとうございました。小口先生、平尾先生、黒瀬先生、そして著名な同僚の学者の
方々、おはようございます。私今回専修大学様のお招きを受けまして、この国際会議に出
席できることを大変うれしく思います。中小企業研究センター様に御礼を申し上げたいと
思います。
私の研究領域はマクロ経済でございまして、中国のマクロ経済の改革というのも研究テ
ーマとなっております。しかしながら、中小企業の開発プロジェクトというのは非常に重
要な私どもの研究所の研究テーマとなっておりますので、そういうことから中小企業の開
発における資金調達の問題をマクロ経済という観点から論じたいと思います。私はこの分
野の専門家ではありませんので、多くの間違いあるいは不十分な点もあろうかと思います
が、その点に関してはコメント、ご批判をぜひ承りたいと思っております。
私の報告の構成でございますが、2つの部分に分けてお話ししたいと思います。この2
つの部分に言及する前に、中小企業の定義から始めて、一般的な情報を資金調達の上海に
おける状況を簡単に申し上げたいと思います。そして第1部におきまして、資金調達の特
性について、中小企業の問題を申し上げ、上海の状況をお話しいたします。そして特に上
海市が中小企業政策としてどういうことをしたかというお話をしたいと思います。ご存じ
のとおり中国は市場経済でありまして、しかしながら中央政府及び地方政府が統制をして
います。強いかたちで市場の統制をしています。そういう意味で上海市が何をしたかとい
うことは特に重要です。中小企業の発展のために何をしたかという点を申し上げて、その
あと2つの例を申し上げたいと思います。地元の商業銀行、上海銀行、上海農村商業銀行
が中小企業支援策として何をしたかというお話をしたいと思います。これらの2つの銀行
が主要な中小企業の資金供給源となっております。そのあとに、いろいろな問題面から中
小企業資金調達に関連するものに言及したいと思います。最後、まとめを申し上げたいと
思います。これは第1部のまとめとなります。第2部におきましては、中小企業の金融の
さらなる改善についての見解を述べたいと思います。私、リサーチのバックグラウンドを
もっていますので、十分に具体的なことは申し上げられません。非常に大まかな粗いお話
で特に中規模企業は次の条件を同時に満たさなければなりません。従業員数 300 人以上、
売上高3,000万元以上、総資産4,000万元以上ということで、残りが小企業となります。
2006年末におきまして上海の中小企業の数は36万3,600となっておりまして、上海市の
全企業に占める割合は99.7%となっております。2005年は2万6,200増加しておりまして、
上 海 市 全 体 に お け る 企 業に 就 職 す る 従 業 員 の う ち、 中 小 企 業 に 就 職 し て いる 従 業 員 数 は
84.5%となっておりまして、2005年にはその増加が23万3,000となっております。
成長する中小企業はかなりの資金需要を持っております。しかしながら金融資金提供の
ためのルートは非常に狭いものであり、中国全体でもそうですし、上海でもそうでありま
して、主要な融資元は金融機関となっております。最近中小企業の金融は明らかに多様化
の傾向を示しております。しかしながら、ほとんどの中小企業はその資金不足を解消する
にあたって銀行に依存しております。中国におきましては銀行融資以外にも資金調達の手
段があります。エクイティファイナンス、債権、信用担保権の融資、そして企業の内部留
保資金による資金調達、BOT のプロジェクト・ファイナンス、政府金融、あるいは金融リ
ースなどがあります。
現在国内の中小企業の 90%の資金が銀行融資というかたちで提供されております。固定
資産の更新のための資金というのも全額金融機関から提供されております。なぜこういう
状況になっているかということでありますが、一般的に中小企業は信用度が低いというこ
とが挙げられます。しかしながら、信用リスクも高い、事業の経営コストも高い、そして
取得する情報も非対称的なものであり、銀行も貸し渋っているというところがあります。
1,000の上海の企業を調査したところ、小企業の69%がその発展における最大の制約要因は
融資を受けることが困難であることと述べております。
第 1 部ということで、中小企業の金融特性とそして中小企業の直面する困難というお話
をしたいと思います。
まず、先ほど申し上げましたように、上海市が何をしたかというお話をしたいと思いま
す。上海市は中小企業金融という意味では多くのことをしております。実際上海市は中小
企業金融ということにおきましては重要な役割を果たしているのです。まず環境を整備し
ました。市のそして地域の財務局、その他の組織、例えば中小企業開発調整局、その他政
府機関の積極的な関与、銀行、企業の関与を促し、銀行と企業のあいだでの双方向の協力
を誘導し、それをもたらしております。つまり企業及び銀行のあいだでWin-Win の関係を
つくるべく努力をしたのであります。良好な環境づくりを中小企業の金融のためにしたと
いうことであります。
上海市は財務局の中に特別な組織を設立するということを要請しました。これは中小企
業の融資のための特別な組織であります。政府はまた、財務局に対して中小企業の発展、
開発の支援を依頼をし、また銀行融資に占める中小企業向け融資の割合を設定をして、規
定をしております。
次に市がしたこととしては、中小企業向けの信用制度を構築したということであります。
したのであります。中国人民銀行上海支店が率いるかたちで2005年4月に上海市の財務局
及び市の経済委員会、商工業局が協力いたしまして、中小企業の信用格付を行いました。
3番目に保証制度の構築です。融資を受ける際には中小企業は保証機関の保証を受ける
必要があります。その資金調達能力を強化するという意味でそれが必要なのであります。
補助の種類は上海では3現在3つあります。政策施行の保証、商業保証、及び相互保証で
あります。2003 年上海は1つの金融リースのための連鎖、チェーンを構築しました。中身
としては、保証機関、商業銀行リース会社が手を組み、中小企業の金融のニーズを満たす
ということをしたのであります。重要な金融ファシリティの提供でありました。2006 年末
におきましては、上海の90の保証機関ができました。そして1999年から2006年末までこ
れらの保証機関が中小企業向けに 450 億元の保証をいたし、この保証を受けた中小企業の
数は1万2,000に及びます。
4番目に、調整のサービスの実行であります。特に中小企業の財務の部が銀行の要件を
満たすことができないという場合、そういう問題が多く生ずるということから政府は、中
小企業の職員向けの訓練を提供しました。そして資料、教材を作成したのであります。銀
行と企業のあいだでどのように対面のコミュニケーションをしたらいいかということに関
する資料を中小企業などに提供し、そして銀行、企業からの協力を促進しました。2008 年
上海労働保証部が非常にタイムリーに資金の提供をいたしまして、特別資金5億元を中小
企業の投資家向けに提供いたしました。特にこれらの対象となるのは新しい企業、小規模
なサービス企業、新しい種類の労働集約的企業が対象でありました。その他、小規模な投
資家に対してあらゆる便宜を図りました。例えば参入閾値という意味で、あるいは信用保
証、減税という意味での便宜を図ったのであります。その上で既存の資源を活用し、中小
企業に対する現場の支援を提供しました。
政府、市以外に2つの地元の銀行が大変すぐれた支援、サービスを中小企業に提供した
というお話をしたいと思います。地元の商業銀行2行、上海銀行及び上海農村商業銀行は、
こういう側面からは非常にすぐれた役割を果たしました。地元の小企業に対して融資を提
供するという上で大いに影響力を持ったのです。2007 年上海銀行は小企業に対する信用実
行のための見解を採択し、銀行として小企業に対する融資を3年間で倍増するということ
を宣言しました。そして融資対象となる小企業の数を2006年末までにやはり倍増するとい
うことを宣言したのです。2007年11月上海銀行は、投資銀行部門を設立いたしました。商
業銀行のサービスと投資銀行のサービスを合わせてこの部を通じて提供し、あらゆる投資
銀行と協力をし、直接金融を必要とする小企業に対して投資銀行のサービスを提供いたし
ました。これらに含まれるサービスとしては、ベンチャーキャピタルあるいは IPO 関連の
サービスであります。それによって小企業は直接金融のルート、チャンネルを拡大するこ
とが可能となったのです。
2008 年、上海銀行の融資プログラムの成長率及び小企業に対する融資はそれぞれ 14%、
67%の成長を記録いたしておりまして、これは中国の銀行規制委員会が要請するレベルよ
は毎年の増加分が 30%を下回らないということになっております。銀行はまた、経済資本
評価制度というものを導入いたしまして、小企業の借手に関しましては、リスク加重計数
を 80%と設定し、その銀行の下部組織の中小企業への信用供与の熱意を奨励したのであり
ます。また、銀行の下部組織の実績評価にあたって、中小企業向けの信用ターゲットを満
たしているかどうかということを連関して考慮するようになっております。
当行は20万の中小企業顧客の審査を行い、これらの中小企業に対して専門のマーケティ
ング・チームを編成し、特別な信用方針を設け、あらゆるサービスを中小企業に対して提
供しました。これは中小銀行が絶賛したものであります。上海銀行が行っております。
さて、上海農村商業銀行でありますが、既存の上海農村商業銀行の顧客は主に小企業と
なっております。顧客ベースもしっかりとしたものを持っており、中小企業向けのビジネ
スを発展させるという上での基盤を持っております。2007年末におきまして、銀行は9,693
の小企業に対して信用供与をしておりまして、一般の顧客に対する融資、全額の 95%を占
めておりまして、融資残高は408億元となっています。2007年6月末現在、上海における
中国系資金の商業銀行は2万2,998の中小企業に対して信用供与を行っておりまして、信用
残高は2,210億元となっております。現在上海の種々の銀行の中で農村商業銀行はその融資
返済率が最も高くなっております。これは非常に興味深いことです。また、もう1つの特
性といたしまして上海農村商業銀行におきましては、販売ネットワークが主に郊外の地域
にあるということで、また競争優位も郊外の地域にあるということであります。その上海
の商業銀行の全320支店のうち 240支店が外部環状線の外にあります。外部環状線という
のはだいたい上海の郊外、農村地域であります。上海の商業銀行の中小企業顧客は製造業
における中小企業となっております。ほとんどが規模の小さい企業であります。これらの
2行がそれらを対象としています。
さて、上海における中小企業金融の制約要因を次に見てみたいと思います。中小企業の
金融の制約要因としては一般的に5つの側面を挙げることができましょう。1つは、銀行
及び金融機関が貸し渋っているということであります。1つは銀行、金融機関の問題と言
えましょう。2番目に、銀行信用の投入量が不足しているということ。中小企業に対する
ローンの規模が限られているということ。3番目には、信用保証制度がさらに改善の余地
があるということ。それからオペレーション・リスク、中小企業の信用の不足ということ
が資金調達能力に影響を与えているということであります。そして最後の点として、政府
支援が相対的に不十分であるということであります。政府がすでにたくさんのことを中小
企業向けにしたとは申し上げましたが、それでもなおかつ不足しているということです。
最初の制約要因ですが、銀行・金融機関が中小企業に対して貸したがらないという点に
ついてお話ししたいと思います。中国銀行の融資の流れを見ますと、国内銀行、国内金融
機関は大企業の大規模な国営企業を好んでいることがわかります。政府が仲介的な役割を
果たし、また触媒的な機能を果たすことにより、信用資本の多くは大規模な国営企業に流
れております。これらの国有金融機関は市場に注目するということをしておりません。つ