金融危機の発生は防げるのか
金融システム研究室 指導教員 飯島高雄 08175006 麻生穂高
1.はじめに
アメリカの住宅バブルが崩壊し、金融危機が 世界市場にまで拡大した。住宅バブルと言えば、 日本でも1990年代に入ると不動産バブルが崩 壊し、長期の不況へと陥っている。日本の経験と、 今回のアメリカの金融危機には、どちらも各時 代の背景による不動産価格の急激な上昇が大き く関わった。それゆえ、もし日本の経験を活かす ことができていれば、世界全体が不況へと陥ら ない方法が見出せたかもしれない。そこで、本論 文では日本とアメリカの経験の比較によって、 金融危機発生のメカニズムを分析し、将来の金 融危機の発生を防げるかを考察した。
2.日本のバブル発生と崩壊
2-1.では、日本銀行が円高不況対策として金 融緩和を行うまでの経緯を述べた。1985年の プラザ合意によって急激な円高が進行し、円高 不況が懸念された。円高による外需減少を内需 拡大で補うため、公定歩合が引き下げられるこ ととなった。
2-2.では、バブルが膨張していく過程を述べ た。金融緩和が長期に渡って続く中、地価上昇で 企業は含み益を抱え、エクイティ・ファイナン スを拡大した。また、金融機関は土地を担保とし て融資したことに加え、土地神話や都市や地方 での建築ラッシュもあり、株価や地価は急騰し た。
2-3.では、バブル崩壊後の経緯を述べた。日 銀が短期間で急激な引き締めを行い、株価・地 価が暴落した。企業の資産価値が下落し、倒産も 相次いだ。その結果、金融機関は不良債権を抱え、 日本は長期の不況に陥った。
3.アメリカのバブル発生と崩壊
3-1.では、ITバブルからアメリカが金融緩和 を行うまでの経緯を述べた。1990年代末、情報 技術関連企業に注目が集まり、ITバブルが発生 した。このITバブル崩壊に対し、FRBは日本の 二の舞にならないよう、金融緩和を行った。 3-2.では、住宅バブルの発生過程を述べた。 低所得者層が融資を受けられたことに要因は、
持ち家促進政策や証券化がある。住宅ローンが 証券化されたことによって、アメリカ住宅市場 に世界から資金が流入したことも、バブルの発 生につながったと言える。
3-3.では、金融危機が世界に拡大するまでの 経緯を述べた。パリバ・ショックでサブプライ ムローン問題が顕在化すると、投資家は住宅ロ ーン証券化市場以外でも証券を一斉に売却した。
欧米の金融機関が相次いで破綻し、金融危機が 世界的に拡大したが、FRBは大規模な流動性供 給で危機の収拾に努めた。
4.日本とアメリカの比較
日本とアメリカの経緯を比較すると、二つの
共通点と大きな相違点が見出すことができた。
共通点は長期に渡る金融緩和である。両国と も物価が安定していたため、バブルを見極める ことが困難であることが分かった。また、不動産 価格が上昇し続けるという神話が、両国の背景 にあったことも判明した。
相違点は金融システムの違いであり、日本は 間接金融体制で、アメリカは市場型金融の下で バブル崩壊が発生したことが分かった。
共通点と相違点を見出した結果、バブルが膨 張しても物価が安定していたため、FRBは日本 の経験を認識しながらも、バブルの発生は防ぐ
ことは困難であったことが分かった。しかし FRBは日本の経験を教訓とし、急激な金融緩和 を行ったことから、崩壊後の対応時に日本の経 験が活かされたことも明らかになった。
5.おわりに
将来、日本やアメリカと同じようなバブルが 発生する可能性があるが、資産価格の上昇がバ ブルなのかファンダメンタルズに基づくものな のか見極めるのは困難である。そのため、重要な のはバブル崩壊後の対応の仕方と言えよう。
これまでの経験を活かせば、バブル発生は防