• 検索結果がありません。

参考資料書類 北陸Gi

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "参考資料書類 北陸Gi"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

201

2008.11

Nikkei Medical   久道は東北大医学部を卒業後、イ

ンターンとして赴任した秋田県大曲市

(現・大仙市)の病院で初めて胃癌検 診に取り組んだ。これを機に、癌検診 に情熱を注ぐようになる。

 1963 年に大学を卒業した私は旧 大曲市の公立病院に着任し、病棟 回診や外来診察以外に重要な仕事 を任されました。胃癌の検診です。  当時、癌は急速に増え、結核や肺

検診で癌を早期に発見できれば、死亡率は低下する─。

その信念の下、癌検診の有効性の科学的な検証に尽力してきた。

「検診屋は金もうけ主義」との批判にもエビデンスで立ち向かった。 炎を抜いて死亡原因第 2 位になって いました。特に胃癌は、男性の死亡 原因の癌の半分以上を占めていまし た。ですが、症状を訴えて受診した 患者は既に手遅れの進行癌ばかり。 そこで、患者の受診を待つのではな く、自ら出向いて早期癌を発見しよ うと考えたのが、東北大第 3 内科教 授を経て医学部長、学長も務めた 故・黒川利雄先生でした。

 黒川先生は 60 年、X 線撮影装置 を搭載した検診車を開発し、全国に

先駆けて宮城県で胃癌の集団検診 を始めました。検診車の開発費の工 面や検診の住民への周知など、多く の苦労をしたそうです。黒川先生は、 そうした状況でも自ら“山”(障壁) に挑み、粘り強く一つ一つ解決する ことの大切さを、「山上に山あり、山 また山」という言葉に込めました。こ れは、今でも私の座右の銘です。  駆け出しの時の私は、黒川先 生 が広めた胃癌検診の末端のスタッフ だったのです。大曲では週 2 回、農

写真:尾苗 清

癌検診にEBMを導入

有効性を検証し政策につなげる

PORTRAIT

ヒーローの肖像

久道 茂

宮城県対がん協会会長 東北大名誉教授

ひさみち しげる氏

宮城県生まれ。1963 年東北大医学部 卒。81年同大公衆衛生学教授、95 年 同 大 医学 部 長。2002 年 同 大 名誉 教 授、宮城県 病院事業管理者。07年宮 城県対がん協会会長。

(2)

202

Nikkei Medical 2008.11

村を回りました。農民は、昼間は農 作業をしなければなりません。私は 朝 4 時に起きて5 時半ころ保健所に 行き、9 時くらいまでに約 60人の胃 のX 線写真を撮りました。当時は撮 影だけでなく、X 線写真の読影や患 者への結果説明、要精密検査となっ た患者への内視鏡検査など、すべて を私たち医師が手掛けていました。  ある時のことです。胃癌検診の対 象は 40 歳以上ですが、年齢を偽っ て検診を受けた人がいたのです。す ると早期癌が発見され、手術をした ところ完全治癒しました。癌検診は 重労働でしたが、癌が治った患者を 見るにつれ、私の中でやりがいのあ る仕事となっていったのです。  その後、癌検診の論文を多数発 表したことが評価され、81年には 42 歳で東北大公衆衛生学の教授に抜 てきされました。

 83 年、胃癌と子宮頸癌の検診が老

人保 健法の保 健事業となり、全国に 広まった。87年には肺癌と乳癌、子宮 体癌が、92 年には大腸癌も対象にな り、久 道が 黒川から引き継いだ癌検 診の普及の夢は結実したかにみえた。 だが、それに水を差す声が出始めた。

 癌の見逃しを防ぐために複数の 医師で診断したり、検診で癌が疑わ れた患者に精密検査を行う「宮城方 式」の検診は、老健法の施行で全国 に広がりました。中でも大腸癌検診 の普及には、特別の思いがあります。  まず便潜血検査で患者を拾い上 げる大腸癌検診は当時、経 験的に 効果があることは知られていました。 ただ私は、癌の発見だけでなく、死 亡率低下を明確にすることが必要 で、そのために集団を対象とした研 究をすべきと考えました。

 大腸癌検診を保健事業にする議 論の中で、私は有効性を検証する必 要を主張し続けました。そして、82

年から89 年にかけて宮城県と青森 県をモデル地域として、大腸癌によ る死亡者と、性・年齢・居住地が同じ 生存者(対照群)を比較する症例対 照研究をしました。結果、検診を受 けなかった人が大腸癌で死亡する 確率を1とすると、受けた人は死亡 確率を0.36に減らせることが示唆さ れたのです。これが、大腸癌検診の 有効性確認の第 1歩となりました。  ただ 90 年代前半、癌検診に異議 を唱える声が出始めました。「無症状 の人に検診をし、金もうけのために 進行しない癌を見つけて不必要な手 術をしている」と揶揄されたのです。  確かに研究が進むにつれ、進行が 遅く放置してもよい癌が全体の1∼ 2 割あることが分かってきました。た だ、早期癌がどの程度の速さで進行 するのかはなかなか予測できない。 つまり癌検診への批判は、手術の必 要ない1∼2 割の癌のために検診を やめ、残りの危険な癌は見逃しても よいと言っているのと同じなのです。  私は、こうした検診への間違った 批判を一般の人が鵜呑みにしてしま うのではないかと危惧しました。そ こで、様々な癌検診の有効性を科学 的に検証すべきだと考えました。  癌検診は、「有効性」「効率性(手 間の少ない方法)」「経済性(適正な 費用)」などをできるだけ満たすこと が求められます。ただ、効率性や経

複数の医師が X 線写真を読影する 方式は宮城県で生まれた。外国の 医師が学びにくることもあった。

ヒーローの肖像

(3)

203

2008.11

Nikkei Medical 済性を高めようとすれば有効性が

犠牲になるというように、すべての 条件を満足させるのは不可能です。 その中で、釣り合いの取れた判断を 国民に示さなければならなかった。  96 年度には、私が主任研究者と なって「がん検診の有効性評価に関 する研究」班を組織。各癌検診に関 する300 以上に上る国内外の文献を 精査し、有効性や効率性を評価しま した。研究設定の妥当性から分析内 容まで詳細に検討したのです。  研究班では、死亡率の減少効果 の観点から各検診を5 段階で評価。 結果、子宮頸癌と大腸癌は「効果が ある十分な根拠」が、胃癌と肺癌は

「相応の根拠」がありました。一方、 乳癌は、視触診とマンモグラフィー の併用では「効果がある相応の根 拠」が見られましたが、視触診単独 では逆に、「効果がない相応の根拠」 があると結論付けました。

 この研究は「久道班の報告」とし て、今でも多くの専門家に参考にさ れています。この取り組みは、今でこ そ一般的になった EBM の走りだっ たと自負しています。

 ところが、一つの“山”を越えた久道 に衝撃的な出来事が起きる。98 年に 癌検診が老健法から外されたのだ。  私は、国から裏切られた気持ちに

なりました。研究班で報告書をまと めた数カ月後に、国は癌検診への補 助の廃止を決めたのです。代わりに、 地方交付税が増額されましたが、こ れは使い道を特定しない一般財源 のため、増額分を検診に充てず、や めてしまう自治体も出始めました。  研究班の報告書が施策変更の要 因になったとして私を非難する人も いました。ですが、それは全くの誤 解で、財政難に陥った国が経費削減 のために勝手に決めたことです。  さらに最近では、検診費用を抑え ようと事業者を入札で決める自治体 も出てきています。昨年、がん対策 基本法が施行されて各癌検診の受 診率を50%に上げる目標が示されま したが、今後こうした自治体が増える と、検診の質は下がるかもしれない。 本来なら、癌検診は通常の診療と同 様に保険給付の対象とし、保険者に 実施を義務付けるべきでしょう。  一方で、検診への補助の廃止は

「癌検診の自由化」を進めたとも言 え、従来とは異なる検診手法を導入 する例が増えました。様々な手法が 出てきたのは好ましいことですが、 有効性をきちんとチェックすること は必要です。そこで、久道班が2000 年度に再度まとめた報告書では、ヘ リコバクターピロリ抗体測定を使っ た胃癌 検 診 やX 線 CTによる肺 癌 検診のほか、保健事業の対象ではな かった肝癌や前立腺癌の検診の有 効性なども検証しました。

 例えば、前立腺特異抗原(PSA) 測定による前立腺癌検診は方法とし て完成しているが、発見された前立 腺癌の中に進行速度の極端に遅い ものが多く含まれている傾向が分か り、有効性の判断を保留しました。  科学的検証の下、本当に必要な癌 検診を普及させる下地はできました。 今後は次世代の研究者が、より詳細 な検証に挑んでくれることを期待し ます。  (敬称略、聞き手:豊川 琢)

胃癌検診で拾い上げた患者に実施する内視鏡検査も担当。地域の公民館などが検査会場となった。

参照

関連したドキュメント

1.都道府県別延べ宿泊者数 都道府県別延べ宿泊者数(令和3年12月(第2次速報))と2019年同月比及び前年同月比 (単位:人泊 施設所在地 全国 北海道 青森県 岩手県

(2)特定死因を除去した場合の平均余命の延び

3.基本料率の増減率と長期係数 ◆基本料率(保険金額 1,000 円につき) 建物の構造 都道府県 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県

 日本一自殺死亡率の高い秋田県で、さきがけとして2002年から自殺防

 宮城県岩沼市で、東日本大震災直後の避難所生活の中、地元の青年に

令和元年11月16日 区政モニター会議 北区

世界中で約 4 千万人、我が国で約 39 万人が死亡したと推定されている。 1957 年(昭和 32 年)には「アジアかぜ」 、1968 年(昭和 43

In this study, spatial variation of fault mechanism and stress ˆeld are studied by analyzing accumulated CMT data to estimate areas and mechanism of future events in the southern