入門物理学 B 2017/11/9
入門物理学 B
第 7 回 (11/9) 波 (2)
・波の干渉
- 光の干渉の応用例 (構造色)
・光のスペクトル
- 目に見えない光の発見 - 光の色と元素の関係
・ドップラー効果 (赤方偏移)
次回 (11/16) 光速について・相対性理論 (1)
・光の粒子説と波動説
・光速の測定
・相対性理論の登場
(エーテルの風、マイケルソン・モーリーの実験、 ローレンツとアインシュタインの登場)
法政大学 市ヶ谷リベラルアーツセンター兼任講師 福川 賢治 (https://sites.google.com/site/kfukukawa00/hosei2017)
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前回の復習
ヤングの干渉実験
干渉によってできる縞を見ることで、光が波であることを示した実験。 S2R の距離が 2 方向の光が進む距離の差なので、S2R d(x/L) が
d (x/L)= nλ の時、光は強めあい (明線) =(n+1/2)λ の時、光が弱め合う (暗線)
明線 (暗線) 同士の間隔: Δx = (L/d)λ λ=(d/L)Δx (Δxからλが決まる、分光の原理)
光源
S0
S1
S2 距離 L
O P
θ x
R
2
d
2017/11/9 入門物理学 B
光の干渉の応用例
構造色
… 光の波長あるいは、それ以下の微細構造による 光の干渉を原因とする発色現象人間が見る角度に応じて光の経路の差が異なるので、様々な色彩が見られる。
画像は Wikipedia ``構造色 より引用、
Photo by en:User:Tagishsimon, (30th July, 2005), CC-BY-SA 3.0ライセンス
シャボン玉
薄膜の上の面で反射した光と 下の面で反射した光の干渉
CD
デジタル情報の記録のため刻まれた凹凸 によって光の干渉が起こる
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画像は Wikipedia ``構造色 より引用、
Photo by Luis Fernandez Garcia, (2nd June, 2005), CC-BY-SA 2.1 esライセンス
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目に見えない光の発見
赤外線 ウィリアム・ハーシェルによる発見 (1800年)
Sir Frederick William Herschel (英、1738-1822)
天王星の発見で有名
画像 は Wikipedia より引用
太陽光
赤外線
可視光
温度上昇 大
小
ハーシェルは太陽光をプリズムで分光し、それに温度計をかざして 温度上昇を測定した。色によって上昇幅に違いがあること、
虹の外の領域にも温度上昇を引き起こす光線が到達していることを発見した。
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紫外線の発見 (1801年、リッター)
塩化銀を太陽光に当てると黒変することが知られていた。 紫色の光を用いるより、その外側の光 (紫外線)を
用いた方が速く反応することが判明した。 2 AgCl → 2Ag+Cl2
塩化銀の光分解の動画 (Fukuno Katsuhisa さん): https://www.youtube.com/watch?v=IaivTvjD3kE
光の色と元素の関係
原子・分子は、元素に特有な波長を持った 光を吸収したり発したりできる。
太陽光を分光した結果、太陽ガスの吸収による
数多くの暗線があることが判明。(フラウンホーファー線) (1802年 ウォラストンが発見、
1814年 フラウンホーファーによる系統的な研究)
Johann Wilhelm Ritter (独、1776-1810) 画像は Wikipedia より引用
Joseph von Fraunhofer (独、1787-1826)
画像はともにWikipedia より引用 横軸は Å (オングストローム、
= 1/10 nm =10-10m, 100億分の 1 m) 単位
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炎色反応
各金属を熱すると、それぞれの元素に特有の色を示す 例. 花火大会の花火の着色などに用いられる
画像は Wikipedia より引用 Na の画像は,
Photo by Soren Wedel Nielsen, (13th June, 2005),
CC-BY-SA 3.0ライセンス
Li (リチウム) Ca (カルシウム) Pb (鉛)
Na (ナトリウム) D1, D2 線
1860年 キルヒホッフ &ブンゼン (炎光分析法) 太陽光の暗線の波長と炎色反応で起きる
元素に固有の色の波長が一致する。
1. 太陽や恒星にどんな元素があるのか知る手がかり 2. 新元素 Cs (セシウム), Rb (ルビジウム)
1868 年、ロッキャーによる He (ヘリウム, D3線) の発見
分光器を覗くキルヒホッフ 画像は Wikipedia より引用
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ドップラー効果
(1842年)音や光などの波源と観測者の間の相対的な速度の存在
によって、波の波長や周波数が異なって観測される現象。
Johann Christian Doppler (独、1803-1853)
画像は Wikipedia より引用
初め点O にいた波源 が、速度 v で離れ、 Sについたとする。
v v/f
λ=V/f
観測者 (静止) 波源 S O
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波の基本式
f:振動数 [Hz] λ: 波長 [m] 媒質が波を伝える速さ V=fλ 波源が止まっていれば、O にいた時に出た波面の次の波面は
点線になっているはず。ところが実際の波面は v/f だけ遠ざかっているので、 観測者からは波の波長が λではなく λ = (V+v)/f =((V+v)/V)λ に見える。
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ドップラー効果 (続き)
波長の関係式 λ = (V+v)/f =((V+v)/V)λ
ただし、波とは媒質の振動が伝わっていくことであったので、 波の速度は波源の動きと関係なく V
したがって観測者には、波の振動数は f=V/λではなく、
f = V/λ =f V/(V+v) であるように聞こえる (音が低くなる)。 光のドップラー効果
光の場合は、通常の波との以下の違いで式が多少変更される。 1. 特殊相対論的な効果
2. 光の場合は媒質を必要とせずに動くことができる。 真空中では常に光速度 c で伝わる。
速さ v で遠ざかりながら波長λの光を出す光源は、観測者からは の波長の光であるかのように見える (赤方偏移) 。 これは、c >> v (非相対論) の時、上の通常の波の式と一致する。
λ! = λ! c + v c − v
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赤方偏移 (redshift)
主に天文学において、観測対象からの光のスペクトルが、 長波長側 (可視光でいうと赤側)にずれる現象。
で表される。
他にも強い重力をもたらす天体の近く (中性子星・ブラックホール) では、
一般相対論的効果による赤方偏移がある(重力赤方偏移) 光のドップラー効果から
天体が地球から遠ざかる速度 (後退速度) を割り出し、 ハッブルの法則から遠い天体の距離を割り出している。 ハッブルの法則 (1929年)
宇宙は膨張しているので、地球から見ると 全天体が遠ざかっているように見える。
天体と地球の距離を D, 後退速度を vとすると、 v と D は比例する。v = H0 × D
ただし、H0= 67.15 ± 1.2 km/(s・Mpc)
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画像は Wikipedia ``Redshift より引用、 Photo by Georg Wiora, (2nd February, 2011), CC-BY-SA 3.0ライセンス
左: 太陽のスペクトル
右: 遠方の超銀河団のスペクトル フラウンホーファー線が赤い側 に移動している。
z = (λ -λ)/λ