クローニング・ケーブルの自作
市販のUSB-シリアル変換モジュールを使ってICOM IC-R6用にクローニングケーブルを自作し ました。
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FT232RL USB-
シリアル変換モ
ジュール
図 1: FT232RL USB-シリアル変換モジュール
秋月電子のFT232RL USB-シリアル変換モジ ュール(図1)は、USBインターフェイスを通じ
てPCに直接接続できる調歩同期式通信モジュー
ルで入出力はTTLレベルです1。これはクローニ
ングケーブル(OPC-478UC = USBタイプ)とほ ぼ同じ電気的仕様の筈なので、クローニングケー ブルとして使えるか実験してみました。
先ず、説明書に従ってドライバーをネットか らダウンロードしてWindows-XP(当時) にイン ストール。次に FT232RL をPCに接続すると 即Windows-XP でCOMポートとして認識出来
ました。
試しにバラックで図2のような回路を組んでみ ました。
クローニングケーブルは、送受で1本の信号線 を共有する半二重通信を行っていますからイーサネ ットと同じように双方からの送信が衝突(collide)
します。衝突しても電気的に問題ないよう、回路 にはダイオードを1個入れて単純なWired-ORに しています。当然、片方が送信したデータはその
1よく似た名前の「FT232RL USB-RS232c変換モジュー
ル」もありますので混同しないようにしてください。
図2: FT232RL を使ったテスト
まま双方で受信されますが、IC-R6 はこの事を衝
突検出・再送に使っているようです。
この状態でクローニングソフトCS-R6 で
IC-R6 の設定を読み出してみると、高速モードでも
問題なく読み出せました。
CS-R6はIC-R6 と手順をとった通信を行いな
がらメモリーデータを読み出していますから、電 気的にはこの回路で送受信とも正常に機能してい る事になります。
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回路の検討
実験した方法ではICの出力をいきなりIC-R6
に繋いでいるのでドライブ能力等に若干不安があ り、電気的仕様を調べてみました。
試しに正規のクローニングケーブルの出力を計 ってみると開放電圧は4V位、短絡電流は0.1mA
であり見かけ上の内部抵抗は40KΩ程度です。ま た、ネットに出回っている回路図によるとIC-R6
側は18KΩ+ダイードで3.3Vにプルアップされ ている感じです。
一方Sinkについては、FT232RL のドライブ 能力(最大定格)は25mAあり、とりあえず十分 でしょう。なお、IC-R6 側はトランジスタで受け ており(最大定格)150mAと十分な能力があり ます。
これらを踏まえて自作のケーブルでは、特に ドライブ用トランジスタ等は使わずモジュールの 出力を直接接続することにしました。また Wired-ORは手持ちの22KΩでプルアップする事としま した(この値に神経質になる必要はありません)。
図3: 自作の回路図
ということでクローニングケーブルの製作に
取りかかりました。回路は図3のようになります。
J1はテストのため送信を切り離すことが出来るよ
う設けましたが、実用上は接続しっ放しでも何も 問題はありません。D1がWired-OR用のダイオー ド、D2,D3は保護用ダイオードです。ダイオード は汎用のもので十分、私の場合は昔秋葉原で買っ たジャンクの基板から外したもの(たぶん1S1588)
が大量にあるので、それを使いました。
イヤホン端子が2つありますが、3Pがステレ
オイヤホン用、2Pがモノラルのイヤホン用です。
私の場合は2Pを録音用に使っています。
CI-V端子も2つ設けています。これでIC-R6
を2台接続するような使い方も出来ると思います
(私は今のところIC-R6 を1台しか持ってないの で未挑戦です)。
なおWired-ORのプルアップ抵抗R1は低い値 の方が安定な通信が期待できますが、イヤホン端
子の接地側の接触抵抗が高いと逆効果(L側の電
位が下がらない)になります。またイヤホンに回 り込むノイズも増えます(私のIC-R6はイヤホン 端子の接地側の接触がやや不安定で、イヤホンに
CI-Vのノイズが回り込む場合があります)。 また、この抵抗と直列にLEDを付ければ通信 の状態を確認出来るようになるでしょう(その場 合はR1の値を数百Ω程度まで下げてLEDを光ら せるのに十分な電流にする必要があります)。
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収納ケース
ケースは、不要になったスマホ充電用電池パッ ク(単三×4)が丁度良い大きさだったので、こ れに納めることに。あとは手持ちの部品と、足り ないものは八潮にある秋月電子へひとっ走りして、 久しぶりにドリルやらヤスリやら持ち出して工作 しました。
こんな出来上がりです。
図4: 外観
FT232RL上のジャンパーは、J1が2-3を短絡 (USBの電源電圧をそのままI/O側にも供給(プ ルアップ抵抗に供給)、J2(USBからモジュール へ電源を供給)は短絡です。)
図5: 内部構造
ミニジャックが4つありますが、2つはCI-V
(IC-R6 接続用とスルー用)で、残り2つはイヤ ホンジャックです。イヤホンジャックはステレオ用 とモノラル用で2つ設けました。イヤホン用と録 音用みたいな使い方も出来ます。
FT232RLモジュールを外すと、こうなってま
す。下の基板上にダイオード1個と抵抗1個が見 えます。手前のジャンパーは送信を切り離せるよ うに設けました(保護用ダイオードD2,D3は未実 装です)。
モジュールはソケットに乗せ、いじっているう ちに壊れた場合はいつでも差し替えが効くように しています。
図6: 内部基板
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完成
ネット ブック(Windows7-Starter)に ICF-Editor(LT-R6)を乗っけて完成したクローニング
ケーブルを使ってみましたが、普通に問題なく使 えます。ダウンロード(クローニング)もちゃん と出来ます。そしてアップロードも· · ·。
図7: ICF-Editor(LT-R6)での利用
その後オシロスコープを入手したのでCI-V信
号の波形を見てみました。観測した波形はLT-R6
でアクティブモニターしているときのLT-R6から の問い合わせ信号(左半分)とIC-R6 からの応答 (右半分)です。
図8: CI-Vの波形
LT-R6 のL レベルがやや上がっているのは
Wired-ORのためダイオードを入れた性ですが、
閾値までまだ余裕があるので大丈夫でしょう(き ちっとしたいならトランジスターかデジタルICで 回路を組む必要があります)。
なお、本クローニングケーブルはIC-R6に限っ たものではなく、同様のCI-Vインターフェイス
を持つICOMの他の機種にも使えると思います。
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その後・
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・
ダイオードD1を順方向電圧降下が約0.7Vの
シリコンダイオードから0.2Vのショットキーダイ オードに変えてみました。
図9: CI-Vの波形(ショットキーダイオード使用)
問い合わせ信号のローレベルが下がってノイズ マージンが1V以上に増えました。