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「埼玉から地学 地球惑星科学実習帳」の最終到達点 -地学基礎版、環境・防災の観点を加えて-

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Academic year: 2018

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……… 第46回関東理科教育研究発表会

1 はじめに

 2010年5月に「埼玉から地学 地球惑星科学実習帳」(以下、本実習帳)を初めて発行して以来、今年で 7年目を迎えた。この間、2012年度から現行学習指導要領の実施により地学基礎が開講され、前学習指導要 領下で7%程度だった地学領域の履修率は、2016年度には約27%に達するなど、地学教育を巡る状況は大幅 に改善された。

 本実習帳は、地学基礎の開講及び、その際には地学を専門としない教員が授業を担当する可能性が高まる ことを想定し、2年以上にわたって内容を検討し、地学の基礎的概念や手法を精選して完成させたものであ る。さらに発行以来、各学校での授業実践や教員研修会などで得られた意見を基に、継続的に改訂を重ねて きたが、昨年度末の改訂を経た2016版で一応の最終到達点に至った。

 本講演では、この間の実習帳改訂の経緯を報告し、最終到達点である地学基礎版「埼玉から地学 地球惑 星科学実習帳」について紹介する。

2 実習帳改訂の経緯 

 本実習帳改訂の内容について、立ち上げ期、確定期、変革期に分けて解説する。なお、改訂の経緯を表1 に示した。

(1)立ち上げ期(2010、2011年度)

  2010年度に5分野35実習を精選してスタートした本実習帳だが、発行年度末には30実習で改訂を行った。 大きな改訂点としては、演示実験の生徒用記録シートを新たに作成したことが挙げられる。それ以外には、 図を明瞭にしたり、文言を整えたりと、初期のバグ取りの要素が強い。

  実習帳編集に際して、地学の基礎基本、教員の誰もが無理なく行える実習をできる限り絞り込むという 意識が非常に強く働いて選んだ35実習だったが、実は、他に採り上げるべき候補としていくつかの実習が 俎上に上がっていた。結局、時間切れで

結論が得られず選定できなかった実習に ついて、選定の意義や目的、他の実習と の関連性について合意に達し、2011年度 末に4実習を新たに加えて合計で39実習 を選定した。価格について初年度に1冊 130円でスタートしたが、2011年度末の 改訂(2012版)で内容量が増加(カラー ページも加わる)して以来、1冊200円 での発行を続けている。

(2)確定期(2012-2013年度) 

  2012年度末には11実習を改訂している が、主に考察の文言の一部を修正した程 度の内容で根本的な変更はなく、さらに 2013年度末の改訂はさらに少ない。この 2カ年は基本的に内容が確定した時期と 見なすことができる。

「埼玉から地学 地球惑星科学実習帳」の最終到達点

-地学基礎版、環境・防災の観点を加えて-

埼玉県高等学校理化研究会地学研究委員会  実習帳改訂WG代表  埼玉県立熊谷高等学校 

宮嶋  敏 

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千葉大会

  ところで地学基礎の開講にあたり意識したのは、39実習の うちどれが地学基礎の授業で使えるかという観点であった (表2)。ところで2012年度以降は地学基礎が開講された影響 もあり、生徒用冊子の利用数が地学基礎開講前の2011年度に 比べて2013年度に1.3倍程度と増加したが(表1)、大きな伸 び率ではなく、翌年度には既に下降線となるなど、我々が期 待したほどの普及に至らなかったことが残念であった。

  この原因の一つには、本実習帳が地学基礎専用に開発されたもの ではく、高校地学全般をカバーするものであるため、地学基礎の内 容に適合し、授業で活用できる実習が約半分強でしかないことが挙 げられる。また、地学基礎は2単位であるため、思いの外、実験実 習を行う余裕がない。これではせっかく本実習帳を購入しても稼働 率が悪く、購入の根拠が弱いという教員の心理があると分析した。 また、地学が専門でない教員にとって、どの実習を行うべきか戸惑 うところがあるという指摘もなされた。そこで次なる課題として、 冊子の良さを残しつつ、稼働率の高い実習帳にするには、内容を厳 選した地学基礎版を作成するべきであるという認識に至った。 (3)変革期(2014-2016年度)

  2014年12月に埼玉県の地学教員に対し、選定された39実習の中から地学基礎で必ず実施したい(するべ き)実習を各分野から1つを選ぶとすると、どの実習が当てはまるかというアンケート調査を行った(回 答数約20)。その結果、原則的に各分野の上位2つの実習を選定したもの(表3)を地学基礎版実習帳(試 作・簡易製本)として発行した。

  翌年度の理化研総会(5月)にて、埼玉県下の各校にそれを配布し、意見聴取を行った。その結果、次 のような指摘がなされた。 

 ・現行の実習の寄せ集めではなく、この期に合わせて各実習の内容の再検討をするべきである。

 ・現行の考察はかなり発展的な内容を含み、生徒及び地学が専門でない教員にとって戸惑う内容のも   のが散見されることから、考察等はごく基礎的な内容を中心にする。

 ・地学基礎の目玉である環境や災害に関する実習がない。   この結果として環境・災害に関する2実習を新たに追

加して10実習とし、各実習の考察の再検討を行うなど大 幅な改訂を実施し、2015年度末に地学基礎版実習帳の内 容を決定した(表4)。

  ところでこの地学基礎版実習帳(2016版)は、この内 容だけの実習帳は発行していない。印刷物としては、従 来通り39実習のフルボリューム版を生徒用として印刷す るに留まっている。次年度は、いよいよ地学基礎版を独 立させ1冊100円程度の価格で発行し、普及に努める予 定である。

3 おわりに

 本実習帳の構想から来年度で10年目となり、地学基礎版の発行で一応の最終到達点に至る。次期学習指導 要領でも地学基礎は存続することが確定的となったが、次期学習指導要領では、主体的な学び・協働的な学 びが求められるという。班で協力して行う実験実習は、まさしくその要求を満たすものと思われる。我々が 到達した地学基礎版実習帳を有効に活用し、ますます地学基礎を盛んにしてゆきたい。

表4 地学基礎版実習帳(2016版)

表3 地学基礎版実習帳(2015試作) 表2 39実習と地学基礎との適合性

参照

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