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教育メッセージ平成25年(本編)

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いわきの復興に向けた教育メッセージ(平成 25 年度に向けて)

平成 25 年3 月 28 日

いわき市教育委員会

教育委員長 山本もと子

1 はじめに

東日本大震災から2年が経過しました。

ようやく市内各地で本格的な復興に向けた取り組みが始まるとともに、学

校をはじめとする教育現場においても落ち着きが戻ってきたように思われま

す。

教育委員会におきましては、昨年度末、今後の本市の教育が目指す方向性

やそのための施策等についてとりまとめ、「いわきの復興に向けた教育メッセ

ージ」として発表いたしました。

その内容を端的に申し上げますと、「地域が人を育み、人が地域をつくる」

という認識に基づき、子どもたちの発達段階に応じた一貫した方針の下、学校、

家庭、地域など様々な主体が連携しながら、子どもたちの心と体を育むための

「豊かな土壌づくり」を進めていくという基本理念を謳い、これに基づいて

「困難を乗り越え、自立して社会を生き抜く人づくり」、「いわきを 支え、日

本を支え、未来へ飛躍する人づくり」の 2 点を基本目標として掲げました。

そのうえで、その実現のための諸施策を、「守る」「支える」「伸ばす」の3つ

の観点で整理いたしました。

今回、その後1年が経過した中で、この間どのような取り組みを行い、そ

の成果や進捗はどうなのか、さらに今後、どのような点に力を入れて教育行

政を進展させていくのかなどについて、今般あらためて「いわきの復興に向

けた教育メッセージ(平成 25 年度に向けて)」として発表するものです。

2 これまでの取り組み

⑴ 主要な施策の進捗状況等について

昨年度末にメッセージを発表した後、その着実な具現化を図ることを基本

(2)

メッセージに掲げた「守る」「支える」「伸ばす」の観点で若干申し上げま

すと、「守る」の観点からは、まずは被災した学校施設や学校給食共同調理場

の復旧作業を進め、特に被害が甚大な一部の施設を除き復旧が完了したほか、

放射線対策として数多くの教育施設において除染作業に取り組みました。ま

た、今般の震災により耐震化対策の有効性が確認されたことから、「市学校施

設耐震化推進計画」の目標年次を3年間前倒しし、平成 27 年度までにすべて

の学校施設の耐震化を図ることといたしました。

次に、「支える」の観点からは、被災した児童生徒へ学用品費や給食費など

の援助を行うとともに、遠距離等の通学を余儀なくされた児童生徒へはスク

ールバス等による通学支援を行いました。また、特別支援教育の充実に努め

たほか、学校・家庭・地域が連携しながら子どもたちの体験活動や学校支援

活動等を実施するため「学校・家庭・地域パートナーシップ推進事業 」を積

極的に展開いたしました。

さらに、「伸ばす」の観点からは、「生徒会長サミット」の実施により長崎

市をはじめ全国の子どもたち と交流するとともに、韓国の中学生との交流も

行ったほか、OECD東北スクール やヤングアメリカンズにも参加し、これ

らの取り組みにより子どもたちのリーダーシップ向上などの成果がみられた

ところでございます。また、子どもたちが幼少期から優れた芸術文化に触れ

る体験の機会を積極的に創出するとともに、子どもたちが地域の特色ある職

業を体験し、その体験をアーティストとともにアートで表現する「わくわく

仕事塾」などの取り組みも実施したところでございます。

これらの施策につきましては、先ほどの基本理念や基本目標を実現してい

くために重要なものですので、来年度以降もそれぞれ着実に取り組みを進め

てまいりたいと考えております。

⑵ 新たな検討推進体制について

これらの取り組みのほか、年々複雑多様になっている教育を取り巻く課題

に総合的に取り組むため、新たな検討推進体制として、教育長をトップとし、

教育部長・次長・事務局各課長を構成員とする、組織横断的な「教育行政イノ

(3)

的な個別課題を柔軟かつ機動的に検討するためのプロジェクトチームを設け、

課題の解決や新たな事業の展開に取り組んでまいりました。

具体的には「学校のあり方」「地域教育力向上」「教育行政活性化」「芸術・

文化資源活用」「食育・健康推進」の5つのプロジェクトチームを年度早々に

立ち上げ、10 月からは取りまとめを終えた「学校のあり方」に替わって「経

済教育」プロジェクトチームを設置したところでございます。

⑶ 各プロジェクトチームの成果等について

これらのプロジェクトチームにおいてそれぞれ一定の成果を得たところで

あり、既に取り組みを開始したもの、あるいは、次年度からの新規事業とし

たものや組織改編につなげたものなどがございます。

このうち何点か例を挙げて申し上げます。

まず、「学校のあり方」についてでございます。

「学校のあり方」については、少子高齢化を背景に学校の小規模化が進む

中で、今後必ずや大きな問題になることが予想される、子どもたちによりよ

い教育環境を持続的に提供していくためどのような方策を採るべきかを検討

したものであり、昨年9月までに考え方を取りまとめ、基本方針を策定して

公表いたしました。端的に申し上げますと、子どもたちが生まれてから社会

に巣立つまでの間、一貫した方針の下、地域住民の方々と協働しながら、い

わば、その地域ならではのオーダーメイドで子どもたちにとって望ましい教

育環境を構築しようとするものであります。

この考え方に基づき、現在は、震災や津波の被害により速やかな対応が求

められる豊間地区、田人地区の皆様と協議を重ねているところであり、今後

意見の集約を図りながら、市全体のモデルとなるような学校づくりの 取り組

みを進めてまいりたいと考えております。

2点目は「教育行政活性化」についてでございます。

将来を展望したうえで、まずは教育行政推進の基盤となる事務局組織につ

いて見直しを行うことといたしました。

その狙いを申し上げますと、一つには、多岐にわたる教育行政の総合的な

マネジメント機能を強化すること 、二つには、学校教育に関する業務を集約

し、窓口を一元化することにより、学校現場や市民の皆様から分かりやすく、

また、連携しやすい組織体制を構築すること、そして三つには、文化・スポ

(4)

こうした組織の抜本的な改編を行うことによって、人心の一新を図り、よ

り柔軟で機能的な組織体制としてまいりたいと考えております。

3点目は「経済教育」についてでございます。

子どもたちが社会のしくみや経済の働きを正しく理解し、自分の確たる意思

で 進 路選 択 や将 来設 計 が行 える よ うな 基本的 資 質を 育 むこ とを 目 的と して 、

「公益社団法人ジュニア・アチーブメント日本」が有するプログラムを各学校

の教育課程に組み入れた上で、実際の街並みを模した専用施設「カタールフレ

ンド基金 スチューデント・シティ ファイナンス・パーク いわき」において、

様々な役割を体験しながら学習するものでございます。

若干、その導入経緯を申し上げますと、同様の施設が東京都品川区などに

設けられており、本市にも導入できないものかと思案していたところ、ちょう

ど中東のカタール国が東日本大震災の復興支援を目的に設立した「カタールフ

レンド基金」の事業公募があり、これに応募したところ、昨年10月に数多く

の提案の中から当事業が採択されたものであります。これにより、施設の整備

については当該基金を活用して行われることとなった次第でございます。

今後、来年5月を予定しております施設の供用開始に向けて、計画的に準

備作業を進めてまいりたいと考えております。

このほか、教育行政の活性化に関連した新たな取り組みとしまして、教育委

員会としての様々な決定に関して、教育委員が従来以上にその決定過程の段階

から積極的に関わっていくことといたしました。今後もこのような自己改革の

取り組みをさらに進めていこうと考えているところでございます。

3 今後の展望

今後とも、昨年度末のメッセージに掲げた教育の基本理念 や基本目標を再

確認したうえで、先ほど申しました「守る」「支える」「伸ばす」の枠組みでの

事業展開を一層進めてまいります。また同時に、これまでの取り組みの成果を

十分に継承しつつ、昨年度に引き続き「教育行政イノベーション推進会議」及

び各種プロジェクトチームをフルに活用し、教育行政のさらなる進展を図って

まいりたいと考えております。

このような考え方の下、主なものといたしましては、今後以下のような取

(5)

1点目は、先ほど申しました経済教育体験施設の平成26年5月の供用開始に

向け、法令整備や各種契約の締結、またプログラムの教育課程 への組み込み

や各学校への説明周知、さらにはスタッフの募集・採用・研修や、施設の施

工監督等、必要な手続きを一つずつ行いながら開設準備を進めていきます。

2点目は、来年度から第5期市生涯学習 推進 計画が施行されること などか

ら、今後ますます重要となる公民館の役割について、今年度の検討成果 を継

承しつつ、新たに「公民館のあり方」プロジェクトチームを設け検討してま

いりたいと考えております。

3点目は、平成27年度から「認定子ども園法」をはじめとする、いわゆ

る「子ども・子育て3法」が施行されることなども踏まえ、今後子どもたちの

健全な成長 に向け大 きな可能 性を秘め た分 野と思われ る幼児教 育につい て 、

「幼児教育」プロジェクトチームを設け本格的な検討に入ってまいります。

また、このような取り組みのほか、教育委員会の活性化や開かれた教育委

員を目指した取り組みをさらに進めるとともに、来年度から組織体制が大き

く変更になりますので、新たな体制が円滑に運営できるよう意を用いながら、

教育行政の新たな進展に向けた基盤づくりをしてまいりたいと考えておりま

す。

繰り返しになりますが、このような様々な取り組みを積極的に行うことに

より、先ほど申しました基本理念や基本目標の実現につなげてまいりたいと考

えております。

最後に、市民の皆様におかれましても、次代を担う子どもたちの、のびの

びとした豊かな成長を望んでおられるのは私たちと同じ思いと存じます。その

実現に向け、ともに知恵を出し合い、手を取り合って歩んでいこうではありま

参照

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