愛知県岡崎市のタンポポの雑種化の変遷
∼遺伝子解析に基づく 7 年間の追跡調査∼
愛知県立岡崎高等学校 スーパーサイエンス部 生物班
2 年 等百合佳 拜司さやか
1 年 小山秀 二村隆征 藤原栞 吉井章一郎
雑種のタンポポ地図
~ 2003
2007
セイヨウタンポポ 調査開始時の 2003 年度から 雑種率 100%
アカミタンポポ 2004 年度以降、雑種率上昇
→ 地図全体が黄色に変化
2008 2009
オレンジ色の地域の増加
→ 雑種のアカミタンポポの減少
真のタンポポ地図
緑色の地域:アカミタンポポが少なく、ニホンタンポポが多い
2003 2004
2006 2007
緑色の地域の増加(一見、真のニホンタンポポが増えたように見える)
→ 雑種のアカミタンポポの増加で真のアカミタンポポの割合が減少
2005 ニホンタンポポと交雑し、雑種のアカミタンポポが広範囲に出現
2008 黄色の地域の増加 → 真の帰化タンポポの増加
2009 緑色の地域の増加 → 真の帰化タンポポは増加し、局地的に分布
見かけのタンポポ地図
帰化タンポポがニホンタンポポの生育域に侵入
→ オレンジ色の地域の増加
2005 2006
2007 2008
地図右上(市街地):帰化タンポポ、左下(郊外):ニホンタンポポ
→ 『すみわけ』が明確
2003 2004
全体的に中間色 → ニホンタンポポと帰化タンポポの共存
2009
7 年間の帰化種の雑種率の推移
0
2 0
4 0
6 0
8 0
1 0 0
2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 2 0 0 8 2 0 0 9
雑
種
率
%
�
ア カ ミ タ ン ホ ゚ ホ ゚
セ イ ヨ ウ タ ン ホ ゚ ホ ゚
セイヨウタンポポ
雑種率(%) 雑種率(%) 真個体 雑種個体
2003 100 6.3 30 2
2004 100 17.9 46 10
2005 98.9 33.9 37 19
2006 100 59.7 25 37
2007 100 58.6 19 27
2008 92.8 25 39 13
2009 84.9 33.3 34 17
年度
アカミタンポポ
7 年間のタンポポ地図の変化
ニホン 帰化 真ニホン 真帰化 雑帰化 真帰化
●:ニホンタンポポ ×:真の帰化タンポポ ■:雑種性アカミタンポポ
見かけのタンポポ地図 真のタンポポ地図 雑種のタンポポ地図 材料の採取
赤枠(2km 四方)で 示される調査範囲を 8×8 の 64 メッシュ
(250m 四方)に区切り、 その中でそれぞれの
タンポポの頭花と痩果 を採取
乙 川
2 0
0 8
2 0
0 9
2 0
0 4
0 2
0 5
2 0
0 6
0 2
0 7
2 0
0 3
・アロザイム:機能が同
じで分子量が異なる酵素
群(アイソザイム)のうち
で同一の遺伝子座によっ
てコードされる酵素群
・直接 DNA を調べるの
ではなく DNA から生成
される酵素(GOT,6PG)
の多型について調べるこ
とで判別
アロザイム酵素多型解析
・ニホンタンポポ(2 倍体)
→ 有性生殖
・帰化タンポポ
→ 無性生殖(無融合性殖)
・帰化タンポポとニホンタンポポ
→ 雑種形成(3 倍体・4 倍体)
生殖方法
ク リ ー ム 色 の 痩 果
外総苞片が反り返っていない 外 総 苞 片 が 反 り 返 っ て い る
ニホンタンポポ セイヨウタンポポ アカミタンポポ
赤 い 痩 果
タンポポの分類
雑種のアカミタンポポの戦略
比較的「小型」のため、ニホンタンポポの生育域に侵入する際には
雑草が生い茂る夏季に、 ①葉の枚数を減らす ②発芽の抑制 → 有利
雑種化することでニホンタンポポの特性(夏季休眠性)を取り込んでいる
発芽特性
(各種子集団の総痩果数を 100% とする) ◆16℃ ■24℃ ▲32℃夏季休眠性についての調査・実験
葉の枚数の変化の調査
(各個体の葉の枚数が最大の時を 100% とする。)0% 20% 40% 60% 80% 100%
07/6/20 07/7/20日付 07/8/20 07/9/20 C 真のアカミタンポポの葉の枚数の変化
葉の 枚数
︵%
︶
0% 20% 40% 60% 80% 100%
06/6/20 06/7/20日付06/8/20 06/9/20 D 雑種性アカミタンポポの葉の枚数の変化
葉の 枚数
︵%
︶
0% 20% 40% 60% 80% 100%
06/6/20 06/7/20日付06/8/20 06/9/20 A ニホンタンポポの葉の枚数の変化
葉の 枚数
︵%
︶
1 3
A
発芽 率︵
%︶
0 % 2 0 % 4 0 % 6 0 % 8 0 % 1 0 0 %
5 7 9 1 1 1 3 1 5 1 7 1 9 2 1
経 過 日 数 (日)
ニホンタンポポ 痩 果 数 39
1 3
C
発芽 率︵
%︶ 0% 20%40% 60%80% 100%
5 7 9 11 13 15 17 19 21
経 過 日 数(日 )
雑 種 性 アカミタンポポ 痩 果 数 65
0 % 2 0 % 4 0 % 6 0 % 8 0 % 1 0 0 %
1 3 5 7 9 1 1 1 3 1 5 1 7 1 9 2 1
経 過 日 数 (日)
D 雑 種 性 アカミタンポポ 痩 果 数 105
発芽 率︵
%︶
0 % 2 0 % 4 0 % 6 0 % 8 0 % 1 0 0 %
1 3 5 7 9 1 1 1 3 1 5 1 7 1 9 2 1
経 過 日 数 (日)
G 真 の アカミタンポポ 痩 果 数 78
発芽 率︵
%︶
ニホンタンポポ
➝夏季休眠性を持っている
➝夏季休眠性を持っている
真のアカミタンポポ
➝夏季休眠性を持っていない
雑種性アカミタンポポ
➝発芽する温度にばらつきがある
⇒
夏季休眠性を取り込んでいる
ものもある
ニホンタンポポ
➝夏季休眠性を持っている
真のアカミタンポポ
➝夏季休眠性を持っていない
雑種性アカミタンポポ
➝葉の枚数にばらつきがある
⇒
夏季休眠性を取り込んでいる
ものもある
展望
見かけのタンポポ地図の経年変化から見ると、年々都市化が進行? → この5年間で都市化の程度に大きな変化はない!
→ 雑種化したアカミタンポポの生育域拡大が原因 帰化種は、雑種化することで在来種の生育域に侵入
→ 「帰化種は市街地に多い」は ×、地図は都市化の程度を反映しない → 環境指標生物としてのタンポポの役割は薄れた
環境指標生物としてのタンポポ
交配実験による種子の結実と発芽
アカミタンポポの発芽率
各タンポポの外見上の特徴の比較
真のタンポポ➝外総苞片から判別可能
雑種性タンポポ➝外総苞片からの判別は困難
ニホン 真 帰 化
× ・・・真の 帰化 タンポポ
外 総 苞 片 が厚い
雑 種 性 アカミタンポポ
ニホンタンポポ(♀)× アカミタンポポ(♂)
交配実験で用いた親と子の遺伝子分析
アカミタンポポ
アカミタンポポ
➝無融合生殖をしないものもある
➝無融合生殖をしないものもある
ニホンタンポポ
ニホンタンポポ
➝自家不和合性が崩れることを確認
➝自家不和合性が崩れることを確認
電気泳動・結果
カ ミ ア
♂
ホ ン ニ
♀
次 代
次 代
次 代
200bp 300bp 400bp
交配実験の結果
アカミタンポポの花粉と
受精
雑種性タンポポの作出
アカミタンポポの花粉が
付着
自家不和合性が崩れる
ニホンタンポポ自身の○
花粉と受精
ニホンタンポポの作出
ニホンタンポポにアカミタンポポの花粉が付着
予測 結果
メントール効果
最 大 値 100 %
最 小 値 12 %
平 均 値 68 %
標 準 偏 差 0.11
最 大 値 100 %
最 小 値 40 %
平 均 値 93 %
標 準 偏 差 0.11
最 大 値 63 %
最 小 値 0 %
平 均 値 21 %
標 準 偏 差 0.37
最 大 値 31 %
最 小 値 0 %
平 均 値 7 %
標 準 偏 差 0.14
制限酵素(TaqⅠ)
ITS領域
制限酵素(TaqⅠ)
プライマー
ニホンタンポポ
アカミタンポポ
①ITS領域を用いた分析
②マイクロサテライト領域を用いた分析
40頭花、1881種子 11 頭花
1171種子
・雑種性帰化タンポポの増減が一過性なものなのかどうかの調査
・雑種性帰化タンポポと真のタンポポの見分け方の検討 ( 形態と酵素の不一致)
・急激な雑種率の変化要因の調査
→ 人工交配実験による雑種性タンポポの作出と栽培 → F 種子の発芽率の研究
→ F 植物の生存率の比較
⇒ 雑種のタンポポは繁栄するのか?
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