第 42 回中部地区英語教育学会 岐阜大会 2012年 6 月 30 日 課題別研究プロジェクト③
英語教育研究法の過去・現在・未来
浦野 研(北海学園大学) 酒井 英樹(信州大学) 髙木 亜希子(青山学院大学) 田中 武夫(山梨大学) 藤田 卓郎(福井県立坂井農業高校) 本田 勝久(千葉大学) 亘理 陽一(静岡大学) 発表資料およびその他補足情報はウェブ上にも公開します。以下の URL をご利用ください。
http://www.urano-ken.com/research/project/
趣旨
英語教育研究の分野においても、近年研究の質向上に関する様々な取り組みが行われてい る。英語教育研究法をテーマにした書籍が出版され、多くの学会で研究法に焦点を当てたセ ミナー、ワークショップ、研究会などが開催されている。中部地区英語教育学会でも 2005 年度より英語教育研究法セミナーを実施しており、毎年多くの参加者を集めている。 研究法への関心の高まりは、この分野の発展のためにも好ましいことと言える。しかしな がら、このような関心の高まりは必ずしも研究そのものの質が向上したことを示しているわ けではない。そこで本プロジェクトでは、中部地区英語教育学会においてこれまでに研究が どのような形で行われてきたのかを明らかにし、それを研究法の点から議論することによっ て、より良い研究のあり方や、今まであまり採られてこなかったが今後参考にしたい研究法 を提案することを目標とする。
3年間の継続研究の1年目となる本年度は、英語教育研究の「過去」から「現在」にかけ て注目する。まず、過去数年間に本学会紀要に掲載された論文を方法論の観点から分析し、 どのような研究手法がどの程度の割合で使われてきたのかを明らかにする。次に、紀要掲載 論文を分析する中でみつかった研究の問題点を、方法論別にまとめて報告する。
具体的な発表内容は以下のとおりである。
(1) プロジェクトの概要、これまでの経緯、最終目標の紹介 (2) 研究法に注目した論文の分類、分析方法の提案
(3) 紀要論文の分析
(4) 過去数年の掲載論文で見られた方法論上の問題点の整理 A. 実証研究
A-1. 探索型研究
(a) 主に質的データを扱った研究 (b) 主に量的データを扱った研究 A-2. 検証型研究
B. 実践研究
(5) 質疑応答、ディスカッション (6) まとめと次年度への展望
プロジェクトの概要、これまでの経緯、最終目標の紹介
浦野 研(urano@ba.hokkai-s-u.ac.jp) 北海学園大学
1.プロジェクトの概要と主要目標
• 本プロジェクトは 2011 年度福井大会で提案され、3 年計画の 1 年目を終えたところ
• 主要目標
! 英語教育研究で利用可能な研究方法の分類と整理
" 分類方法の作成・提案
" これまでに使われてきた研究法のまとめ
" ほとんど使われていないものの、今後利用可能と思われる研究法の発掘・紹介
! 本学会紀要にこれまで収録された論文の研究法に焦点を当てた分析
" 松川 (2001)、平野 (2011) の方法論版
" 本学会で発表される研究の傾向調査
" 問題点の指摘
• 学会全体としての問題点
• 個別の研究についての問題点
! 研究法別に注意すべき点の提示、研究ガイドラインの作成 2.これまでの経緯(活動報告)
• プロジェクト用メーリングリストによる情報交換・議論
• メンバーそれぞれの得意分野を中心とした役割分担と個別作業
• 分析・提案内容の提案と検討 3.参考文献
(1) Ellis, R. (2012). Language teaching research & language pedagogy. Chichester, West Sussex: Wiley-Blackwell.
(2) 平野絹枝 (2011). 「本学会紀要における研究(1991 年–2010 年)のレビューと展望」
『中部地区英語教育学会紀要』40, 307-314.
(3) 松川禮子 (2001). 「これからの英語教育学はいかにあるべきか: 本学会における研究の レビューと展望」『中部地区英語教育学会紀要』20, 159-163.
(4) 竹内理・水本篤(編著) (2012). 『外国語教育研究ハンドブックー研究手法のより良い 理解のためにー』東京: 松柏社.