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−編集後記
アフリカ教育研究フォーラムの最初の会合が広島で行われた
2008
年4
月から、3
年半という短い期間に、アフリカ教育研究は、関わる大学院生や若手研究者の数も、 発表の質も飛躍的に向上した。第一回目はほとんど教員の発表で、学生発表は8
件に 過ぎなかったが、直近の2011
年10
月の会合では、発表は30
件、参加者数56
名にま で増加した。研究が先細る分野も少なくない中、国際開発学会では、例年、教育開発 に関するセッションが多く組まれるようになった(平成23
年度は42
セッション中5
つが教育開発(院生セッション含む)である)。その中でもアフリカに関する発表は年々 多くなっており、比較教育学会でも、「教育と開発」「アフリカ」と銘打った部会はほ ぼ毎回設置されるようになっている。こうした状況は、少なくとも数の上では、開発 研究の一環としてのアフリカ教育研究が、新規参入者の多い、活気のある分野である ことを示している。一方、流行は一過性のもので終わる危険をはらむ。「アフリカ教育研究をやってみ たい」と思う人たちが、その興味を深め、研究者として独自の領域を開拓していって くれるためには、魅力的な研究をしている先輩や、切磋琢磨できる研究仲間がいるこ とが重要だろう。この分野では、アフリカ教育研究フォーラムがそうした交流の場を 提供する役割を担ってきている。参加者数が増加しているだけでなく、発表の質も上 がっていると思われる。優秀発表賞の選考の際に候補に挙がるものは、今後の研究の 深まりを期待させる独自性の高いものが出てきている。フォーラム設立及び年
2
回 の開催を継続するために、澤村信英先生はじめ、関係諸先生の推進力と開催校で受け 入れ準備をする院生諸氏のコミットメントの高さなしに、ここまで来ることはできな かった。その半面、苦言を呈すならば、今回の紀要「アフリカ教育研究」の投稿論文は、数 は多かったが、掲載レベルに達していないものも多く、総じて査読者の評価は厳しい ものとなった。投稿者の中には、他誌に優れた論文を掲載されたこともある者もいる ことを考えれば、能力がありながら、「アフリカ教育研究」への投稿に際して、実力 を発揮していないとすれば遺憾である。アフリカ教育研究を今後志す若者に対しても いい刺激となるような紀要にするべく、関係各位に今後もご尽力いただければ幸いで ある。
(山田肖子)
今号より、次の方々に編集委員に加わっていただきました。 北村友人(上智大学)
西村幹子(国際基督教大学)