9 金融政策と物価
9.0 今回のアウトライン
A. インフレ率と産出量の関係を理解する
B. MP曲線とフィリップス曲線の関係を理解する
9.1 短期と長期の変動の区分
A. 長期トレンド ¯Ytと短期変動 ˜Ytが現在の産出量 Ytを構成
現在の産出量 Yt=長期トレンド ¯Yt+短期変動 ˜Yt (9.1)
B. 短期変動は比率を用いて、以下の関数で定義 Y˜t= Yt−Y¯t
Y¯t (9.2)
1. 潜在 GDP と実績値、短期変動 (テキスト p.34)
C. インフレ率と景気変動との関係 (テキスト p.40)
1. フィリップス曲線
イ ンフ レ率 の変 化
2. オークンの法則
循 環 的 失 業
短期変動
9.2 フィリップス曲線
A. インフレ率を 2 つに区分:期待インフレ率と需要状況
πt= πet + ¯v ˜Yt (9.3)
1. 過去の実績値による適合的期待形成 πet = πt−1による期待形成を仮定すると
πt= πte+ ¯v ˜Yt (9.4)
B. 価格ショック ¯o を組み込むと πt= πt
−1+ ¯v ˜Yt+ ¯o (9.5)
C. 原油価格の急激な上昇による効果
イ ンフ レ率 の変 化
短期変動
D. コストプッシュインフレとディマンドプルインフレ
9.3 MP 曲線
A. 金融政策は貨幣供給量を通じて名目利子率を操作
名 目 利 子 率
B. フィッシャー方程式に基づいた関係式を見る
it= Rt+ πt (9.6)
C. インフレ率は各時点では所与と考える (硬直的なインフレーションの仮定) と、 金融政策は実質利子率を決定しているのと同じ
Rt = it−πt (9.7)
D. シンプルな金融政策は実質利子率を直接決定
MP : Rt= ¯r (9.8)
実 質 利 子 率
短期変動
E. インフレ率を考慮した金融政策は実質利子率を直接決定
MP : Rt= ¯r+ ¯m(πt− ¯π) (9.9) 1. フィリップス曲線を考慮して
πt= πt
−1+ ¯v ˜Yt+ ¯o (9.10)
実 質 利 子 率
短期変動
F. テイラールールによる金融政策
MP : Rt= ¯r+ ¯m(πt− ¯π) + ¯n ˜Yt (9.11) 1. フィリップス曲線を考慮して
πt= πt
−1+ ¯v ˜Yt+ ¯o (9.12)
実 質 利 子 率
9.4 次の課題について検討しなさい
A. 日本の消費者物価の変化率と完全失業率を直近 10 年程度のデータを用いてグ ラフ化しなさい
B. シンプルな金融政策において、予想外のインフレーション ¯o > 0 が起き、名目 利子率を MP 曲線に合わせて変更したらどうなるかを考えなさい
C. シンプルな金融政策において、予想外のインフレーション ¯o > 0 が起き、名目 利子率を変更しなかったらどうなるかを考えなさい
D. インフレ率を考慮した金融政策において、予想外のインフレーション ¯o > 0 が 起き、名目利子率を MP 曲線に合わせて変更したらどうなるかを考えなさい