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第14準備書面(本件訴訟の審理対象) 過去の発言等/沖縄県

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全文

(1)

平成27年(行ケ)第3号

地方自治法第245条の8第3項の規定に基づく埋立承認処分取消処分取消命令請 求事件

原 告 国土交通大臣 石 井 啓 一 被 告 沖縄県知事 翁 長 雄 志

第14準備書面

平成28年1月7日

福岡高等裁判所那覇支部民事部ⅡC係 御 中

被告訴訟代理人

弁護士 竹 下 勇 夫

弁護士 加 藤 裕

弁護士 亀 山 聡

弁護士 久 保 以 明

弁護士 仲 西 孝 浩

弁護士 秀 浦 由紀子

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被告指定代理人

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1

本書面は,本件の審理の対象が,仲井眞前知事の埋立承認処分に裁量の逸脱・濫 用があるか,というものではなく,被告の取消処分に裁量の逸脱・濫用があるか, ということであることについて,改めて述べるものである。

1 前提

まず,代執行は,「法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは当 該各大臣の処分に違反する」場合に,他の要件を充足する限りで許される(地自 法第248条の8)。

したがって,審理の対象は,被告の取消処分(法定受託事務の管理若しくは執 行)が,法令(公水法)の規定に違反するか否かである。

これが大前提となる。

2 原告の主張

原告の主張は,いかなる論理なのか理解し難いが,取消処分は侵害行為の性質 を有し,昭和43年判決の法理が適用され,取消処分の適否は,その法理に合致 しているかどうかで判断されることから,現知事の本件取消処分に裁量権の逸脱 ・濫用があったかではなく,仲井眞前知事の公水法4条1号,2号適合性の判断 の裁量権の逸脱・濫用があったかを審理しなければならない,というものである

(原告第2準備書面P62,原告第3準備書面P231)。

そして,かかる判例法理に反する取消処分は,公水法42条1項により都道府 県知事に与えられた権限行使を誤るものであり,同条項に違反することから,昭 和43年判決の法理に反する取消処分は,公水法の規定に違反すると主張する(

原告第2準備書面P69)。

(4)

2 3 昭和43年判決の判示について

そこで,当の昭和43年判決の判示を再度確認すると,取消制限の法理につい て述べている箇所は以下のとおりである。

「買収計画、売渡計画のごとき行政処分が違法または不当であれば、それが、た とえ、当然無効と認められず、また、すでに法定の不服申立期間の徒過により争 訟手続によつてその効力を争い得なくなつたものであつても、処分をした行政庁 その他正当な権限を有する行政庁においては、自らその違法または不当を認めて、 処分の取消によつて生ずる不利益と、取消をしないことによつてかかる処分に基

づきすでに生じた効果を そのまま維持することの不利益とを比較考量し、しか

も該処分を放置することが公共の福祉の要請に照らし著しく不当であると認めら れるときに限り、これを取り消すことができると解する」

この判示を本件に即して要約すると,以下のとおりとなる。

① 処分が違法または不当であれば,処分をした行政庁は,自らその違法または 不当を認めて

② 処分の取消によって生ずる不利益と,取消をしないことによる不利益を比較 考量し,当該処分を放置することが公共の福祉の要請に照らし著しく不当である と認められるときに限り、これを取り消すことができる

被告の主張は,①について,処分庁が原処分の違法性(原処分の要件適合性) を判断する際に裁量が存在しない,というものである。

しかし,昭和43年判決は一言もそのような判示を行っていない。

①については,「処分が違法または不当」であれば,処分庁はその違法または 不当を認めることができるのである。

言うまでもないが,「不当」とは,「ある行為が「違法」ではないが、行政の 課題に照らして必ずしも適当とは言えない状態」を意味する(藤田宙靖『行政法

Ⅰ(総論)【改訂版】』P96)。

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合性(違法性)の判断には裁量がなくなっているのに,不当性は判断できるとい うのであろうか。論理矛盾もいいところであって,昭和43年判決は,①につい ては,処分庁に裁量が保持されていることを当然の前提としている。

原告は,意図的に①と②を混同している。

すなわち,原告は,昭和43年判決が「違法又は不当な処分があることを前提 に,取消権が制限される場合がある」と述べていることを曲げて,「違法又は不 当な処分と判断されること自体が制限されなければならない」と述べていると主 張しているのである。

繰り返すが,昭和43年判決は,一言もそのようなことは述べていない。 原処分の要件適合性の判断は,原処分の裁量と裏腹であるから,被告が,取消

処分をするに際して,埋立承認処分の要件適合性(埋立承認申請の要件適合性) を判断する要件裁量を有することは明らかであって,昭和43年判決がかかる裁 量を収縮させ,あるいはゼロにするような法理ではないことも明らかである。 せいぜい,②の要件適合性について,被告に裁量が認められるのか(裁判所が

判断代置で判断してよいのか)という点が議論に残るだけであって,仲井眞前知 事の裁量に逸脱・濫用があったかなどという問題の立て方はありえない。

原告の主張の枠組みは根本から誤りであり,それを前提に組み立てられた主張

(原告第3準備書面P8ないし P210)は全て誤りである。

4 職権取消と争訟取消の区別について

また,原告の主張は,職権取消と争訟取消の区別を意図的に無視するものであ ることも明らかである。

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4

【改訂版】』P98 ないし 101,南博方他『条解 行政事件訴訟法』P608 参照:行

政事件訴訟法第 30条)。

この意味で,「裁量」がある,ということの意味は,「行政処分の違法性に関 する裁判所の審査権の範囲・限界を画する」ものであり(南博方他『条解 行政

事件訴訟法』P608),「裁量」がある場合に,それをどのように統制すべきか,

という議論は,あくまで争訟取消の場面において,裁判所が行政機関の判断の違 法性を審査する場面においてのみ妥当するのである。

一方で,行政庁が自ら自身の判断の適法性を審査する場合(つまり,職権取消 の場面)においては,裁量統制の議論は出てくるはずがない。

本件では,偶々行政庁が自然人としては別人(仲井眞前知事と翁長現知事)だ から,あたかも別の者の判断を事後的に判断しているかのように見えるが,法的 には,行政庁が「自らの」判断を事後審査しているに過ぎない。

このような場面において,なぜ,被告が,仲井眞前知事(つまり,行政庁自身 )の裁量を尊重して要件適合性を審査しなければならないのであろうか。

原告の主張に従うなら,例えば,行政不服審査法に基づく異議申立てがなされ

た場合も(行政不服審査法第第3条第1項),処分庁は,自身がなした以前の処

分の「裁量」を尊重して,当該異議申立ての判断をしなければならないことにな ろうが,そのような見解は存在しない(なお,処分庁は,自身の処分の「違法又

は不当」性を審査できる(行政不服審査法第1 条第1項))。

原告の主張は,職権取消と争訟取消の区別を無視するという意味でも誤りであ る。

以上,原告の主張は,極めて独自の見解であり,行政法上,でたらめとしか言 いようがないものである。

参照

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