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nl2007 1 最近の更新履歴 北海道都市地域学会

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(1)

岩 見 沢 市 の 沿 革

― 北 海 道 都 市 問 題 会 議 に よ せ て ―

      

札 幌 国 際 大 学 准 教 授  吉 岡 宏 高

 岩見沢という地名は、1878 年に官営幌内炭鉱(三笠市)を開発するため道路を開削した 際に、労働者休泊所が設けられ川畔で浴(ゆあみ)したことに由来している。1882 年には、 幌内炭鉱の石炭運搬のため幌内鉄道(三笠市幌内〜小樽市手宮:我が国三番目の鉄道)が 全通し、同時に岩見沢駅が開設され都市形成の端緒となった。谷口の河川合流点でもなく、 厚い泥炭層の軟弱地盤という不利な条件にあった場所に都市が成立したのは、まさに炭鉱 と鉄道によるものであった。

 その後、炭鉱と鉄道の払い下げを受けた北海道炭礦鉄道が、幾春別炭鉱(三笠市)・空知 炭鉱(歌志内市)と室蘭港を開発した。岩見沢は、三笠・歌志内の石炭を小樽港・室蘭港に

振り分ける分岐点となり、1904 〜 1906 年には北炭本社が岩見沢に置かれ、鉄道の拠点としての基盤が確立 された。当時建設された鉄道工場は、現在も JR 岩見沢レールセンターとして活用されており、岩見沢駅ホ ームから風格ある煉瓦建ての建物に掲げられた五稜星形の北炭社章を見ることができる。一方で、石炭輸送 のために敷設された鉄道は、政府から手厚い保護を受ける代わりに、開拓民や農産物の輸送の優遇義務を負 っていた。そのため、岩見沢発展のもう一つの要因となる内陸部の農業開発を促進する牽引役ともなった。  1906 年に鉄道が国有化され、北炭が独占していた鉄道線は、全道的な一貫輸送ネットワークに組み込ま れた。大手炭鉱が次々と進出し石炭輸送が増大するとともに、道東・道北からの農林水産物など貨物も増加 した。日本海と太平洋へのルートが分岐する岩見沢は、空知の石炭貨物輸送の拠点だけとしてだけではなく、 全道の輸送拠点として、2つの機関区と北日本有数の操車場(操車能力一日 2,500 車)を持つに至った。  このようにして岩見沢は、周辺後背圏での石炭産業・農業の発展と、全道的な鉄道貨物輸送の進展という、 いわば外的環境によって押し上げられながら成長し、やがて南空知圏域の経済・文化の拠点都市としての地 位を強固なものにした。

 1960 年代に入ると拠点形成の基盤となっていた外的環境に大きな変化が押し寄せた。石炭産業は、エネ ルギー革命によって急激に衰退し、有力な後背圏であった産炭都市の人口が激減した。また、石炭輸送の減 少に加えモータリゼーションの進展によって鉄道貨物自体が斜陽となり、次第に鉄道拠点としての地位から 凋落した。さらに農業は、1970 年代に入ると減反政策が打ち出され、稲作中心であった後背農業圏は大き な影響を受けた。

 このような岩見沢自身も凋落しかねない事態を防いだのは、炭鉱閉山による産炭地域からの人口流入と、 都市拡大による札幌圏からの人口流入であった。例えば 1989 年閉山の北炭幌内炭鉱の鉱員は、閉山後わず か1年で 11%が岩見沢に転居している。1975 〜 1995 年の市内区域別人口の伸びを見ると、札幌圏のベット タウンとして開発された西部地域(幌向・上幌向)は、全市平均の 14%増を大きく上回る 162%増であった。  

200 7

北海道都市地域学会

ニュースレター

第1号

TOPICS

★岩見沢市の沿革―北海道都市問題会議によせて―

★ 『北のランドスケープ』 の発刊にあたって

★第 45 回研究発表会のお知らせ

★第 31 回北海道都市問題会議のお知らせ

(2)

しかし、近年に入って、人口流入には陰りが見えてきている。1998 〜 2006 年の社会増減は年平均で− 51 人であり、特に石狩支庁管内からの転出入は− 489 人となっている。空知管内からは+ 342 人とまだ 比較的高い水準にあるが、空知各都市は人口減少が限界に達しており、今後はここに多くを望むことは できない。

 これまで岩見沢は、外的環境によって拠点都市としての要件が成立し、その環境変化の移り変わりを 自らの変革ではなく他の要素で補償することで乗り切ってきた。しかし、外的環境からの支援が尽き、 いよいよ拠点性を喪失する危機に直面しつつある。そこで、岩見沢自体が地域固有のテーマを掲げて自 立的な姿を模索するとともに、後背圏を支援し圏域全体でパイを大きくするような戦略的な取り組みが 不可欠な状況になっている。

Fig.1 岩見沢市の拠点としての成立過程

Fig.2 圏域人口の推移

       Fig.4 北海道炭礦鉄道時代に建設された         工場

Fig.3 近年の人口統計

■参考文献

北炭幌内炭鉱労働組合『組合解散誌 幌労』 1991 年

各年次の国勢調査報告書 岩見沢市統計書

(3)

「北のランドスケープ」の発刊にあたって

        ― 編集者を代表して ―

北 海 道 大 学 名 誉 教 授  淺 川 昭 一 郎

退職するまで北大では、都市の緑や公園と自然公園に関わる制度・

課題を中心とする「公共緑地学」の講義を担当してきました。これま で、近年のグローバルな環境問題や身近な自然環境への関心の高まり の中で、北海道に即したより総合的なランドスケープについての視点 での参考書が必要であると強く感じていました。しかし、この広範囲 な内容を一人でまとめるのは困難で、思慮しておりましたが、この度、 多様な専門分野の教育・研究者や実務家の参加を得て一冊の図書とし て出版することができました。

 ランドスケープは一般に「景観」と訳されていますが、地域の自然や社会経済システムの反 映としての意味を強調するため、「景域」と訳されることもあります。表題では後者の意味も 含めて、「ランドスケープ」をそのままを用いています。当然、ランドスケープは地域の土地 利用によって規定されることになるため、便宜的ですが、人為的影響が強く働いている都市地 域、自然の秩序や変化のプロセスが重視される自然地域、自然と人為の作用が織りなす農業地 域に分けて、以下のように北海道での課題や事例を取り上あげています。

第1章では、まず、都市の自然やみどりの特徴を把握し、ついで、制度としての公園と緑のシ ステムについて述べ、具体的課題として、町並みと景観形成、都市近郊のみどりと管理、ガー デニングとまちづくり、冬の子どもの遊び場などについて述べています。

 第2章では、農業地域のランドスケープの特性と魅力を概説し、地域の活性化策としても期 待されているグリーンツーリズムについて述べ、農業地域を歩くことで魅力を引き出すフット パスを紹介しています。また、生活環境としての農村公園整備や農村の樹林地、人為によって 成り立ち親しみのある自然として評価される、里地・里山や野生の草花の管理について解説し、 環境教育にも触れています。

 第3章では、自然の保護と利用に関する制度について北海道における特性と課題を示し、具 体的な保全や管理に関わる事項を、森林、湿原、海岸、登山道について整理し、また、地域を つなぐエコロジカル・コリドーや川づくりの動向についても述べています。

終章では、ランドスケープ評価の基礎となる「好ましさ」について環境心理的側面から概説し ています。

 今後、さらに事例を増やし、また、河川や道路のように地域をつなぐランドスケープについ ての記述を補足し、河川流域としてのランドスケープの視点などを加えることができればと考 えております。関心のある方々には、全体を通して、あるいは興味のある章から、美しく豊か なランドスケープ形成への展開につながるヒントを読み取っていただければ幸いです。

(執筆者;愛甲 哲也、淺川昭一郎、有山忠男、板谷邦夫、岩瀬晴夫、岡田穣、小川巌、柿澤宏昭、 金子正美、小林昭裕、近藤哲也、斉藤浩二、孫田敏、中井和子、松島肇、村野紀雄、矢部和夫、 吉田惠介、笠康三郎、出版社;環境コミュニケーションズ、発行年;2007年)

(4)

1.第 45 回研究発表会のお知らせ

   今年も北海道都市地域学会の研究活動の一環として、第 45 回研究発表会を下記の通り開催 いたします。ぜひご参加くださいますようご案内申し上げます。

   ・日時:2007 年 9 月 10 日(月) 14:30 ∼ 17:40          (終了後、18:00 から懇親会が行われます)        

   ・場所:北海道大学情報教育館(「高等教育機能開発総合センター」と「図書館北分館」          の間の6階建建築物)3階「スタジオ型多目的中講義室」

          (地下鉄北 18 条駅より徒歩7分。下の地図をご参照ください)

2. 第 31 回北海道都市問題会議のお知らせ

   下記のように都市問題会議が開催されますので、ご案内申し上げます。  

    ・開催日:2007 年 10 月 25 日(木)11:30 ∼ 17:40(終了後交流会が行われます) 10 月 26 日(金) 9:30 ∼ 15:15

    ・会場:岩見沢平安閣(岩見沢市 5 条東 2 丁目)

    ・主催:北海道都市地域学会、北海道市長会、岩見沢市(開催市)     ・後援:(財)北海道市町村振興協会

3.学会事務局連絡先

    〒 062-8520 札幌市豊平区西岡3条7丁目3−1

       札幌大学女子短期大学部経営学科小山研究室内        北海道都市地域学会事務局(庶務担当 小山 茂)

       TEL 011-852-9342(直通) E-mail:koyama-s@sapporo-u.ac.jp        URL: http://wwwsoc.nii.ac.jp/haus/index.html

北海道都市地域学会事務局からのお知らせです。

参照

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