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スーパーコンピュータを利用した最先端研究

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Academic year: 2017

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スーパーコンピュータを利用した最先端研究

情報基盤センター 教授

大宮

おおみや

まなぶ

(工学部情報エレクトロニクス学科情報工学コース)

専門分野 : 計算機工学,ソフトウエア工学,計算機応用

研究のキーワード : スーパーコンピュータ,無線通信,ナノテクノロジー HP アドレス : http://fox49.hucc.hokudai.ac.jp/~omiya/

スーパーコンピュータはどのようなもので、どんなことに役立ちますか?

10年後のパーソナルコンピュータ(PC)をイメージしてみてください...それが現在の スーパーコンピュータです。すなわち、最先端かつ高度なハードウエア及びソフトウエア 技術を結集させて真のスーパーコンピュータが構成されています。その目的は、PCでは取 り扱うことが困難な大容量のデータを処理したり、PCで取り扱うことができたとしても処 理に膨大な時間がかかる大量の演算を可能な限り短時間で効率よく処理し、新たな発見と 私たちの生活に役立つ情報を提供することです。そんなスーパーコンピュータが情報基盤 センターに設備されていて、全国の研究者に対して利用サービスが行われています。

計算機の急速な発展に伴って、研 究開発の手法もまた変化してきてい ます。従来からの理論研究や実験研 究に加えて、計算機シミュレーショ ンなど計算科学的手法に基づく研究 が盛んに行われています。その理由 は、計算機シミュレーションがもた らす現実を忠実に再現する精度とス ピード感です。スーパーコンピュー タでは、プログラム実行に対してほ ぼ無制限のプロセッサ数と主記憶容 量が用意されています。さらに、イ ンターネットが利用できるのであれ ば、世界中どこからでも、いつでも スーパーコンピュータに接続してプログラムの改良や実行ができます。このようにたくさ んの魅力がある中で決め手は、計算機の使い勝手がとても良くなったことにあります。高 速なコマンド実行、洗練されたプログラミング言語とプログラミング環境、コンパイラか らの丁寧なメッセージ、容易なジョブ実行及び解析結果の3次元表示など、計算機シミュ レーションのための準備作業から結果分析までを楽しく行えます。さらに、およそ5年間 隔でシステムが更新されるので、常に最先端の計算機システムを利用し続けることができ、 そのたびに新たな感動と発見を経験できます。

写真1 情報基盤センターで利用サービスを行っている高性能 スーパーコンピュータシステム

出身高校:北海道札幌東高校 最終学歴:北海道大学大学院工学研究科

情報

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どんな研究を行っていますか?

スーパーコンピュータは大変魅力的なシステムです。このことを表現するために、「スー パーコンピュータは研究者の夢を叶える玉手箱」と喩えています。そのことを一人でも多 くの研究者に実感してもらえたらと思いつつ、研究活動を行っています。

先に述べたように、研究に対しては3つのアプローチがあり、それぞれの専門家が共同 することで世界的な研究成果に繋げようと努力しています。計算機シミュレーションでは、 利用する計算機システムの特徴や機能を理解し、それに最適な解析手法や計算アルゴリズ ムを適用する必要があります。さらに、プログラムの開発、大規模化や高速化チューニン グにおいては高度な専門知識が要求されます。一方、すでに計算機シミュレーションで成 果が得られている地球環境、宇宙天文、物質材料、ものづくり、防災や生命生体など研究 分野が異なっていても、解析手法、解析アルゴリズムあるいはモデリングなど共通の技術 がたくさんあります。それらの手法や技術を熟知し、高精度や高速な計算機利用を実現す るための研究を行っています。さまざまな研究分野の研究者とのディスカッションや要求 事項を理解することは大変ですが、最先端の研究テーマに関わることができることで知的 な興奮を味わうことができます。

最近の研究成果を教えてください!

スーパーコンピュータが得意とすることは、同じ計算を異なったデータに対して並列し て実行することです。例えば、現実世界をそのまま忠実に再現することです。さらに、取 り扱うデータ量が多ければ多いほどスーパーコンピュータの大規模かつ高速な処理の特徴 が際立ちます。そのような研究のひとつとして、図1及び図2に示す無線通信に関連する 屋内電波伝搬特性評価と推定に関する研究に取り組んでいます。そのためのスーパーコン ピュータ用アプリケーションソフトウエアとしてJet FDTDを開発しています。このプロ グラムは、電磁波の時間的な変化を差分法で計算します。電磁波は携帯電話やスマートフォ ンで利用されている電波です。見ることはできませんが、計算機シミュレーションを行う ことで、その振る舞いを完全に理解することができます。その結果、通信品質の向上、通 信可能範囲の広域化、高性能な端末装置の設計に貢献します。

図1 携帯端末から放射された電磁波の車内強度分布 バス車輛内部の電波の様子を3次元で表示

図2 無線 LAN システムの室内強度分布 青色は家具、赤色は電界強度の強い部分

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参照

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